第七章
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殉職というかたちで終結してしまった死神ごっこ。
「あ〜あ、負けちまった。春水、何マジになってんだよ」
「この子の攻撃は、もう喰らいたくないの」
「ふゆ〜👼」
くすぐりから解放されると、ジョンスミスはくてんと大の字で動けなくなった。
「ほっぺぷにぷにだね」
反撃されないのを良いことに、虚は死神のほっぺをつんつんした。
「こんなにかわいい女の子に、死神になれって焚き付けるなんて、どうしちゃったの?七緒ちゃんには言ったことないくせにさ」
おじちゃんは、ジョンスミスの暴れる足から飛んでいったつっかけを拾い、縁側の下に揃えた。
「そうだな。やっぱり無責任だったかもな」
ジョンスミスを挟んで、兄弟は並んで座った。
「俺な…、密かに夢だったんだよ」
「何が?」
「息子に戦いの稽古を付けること」
「ははっ、女の子じゃん、これ」
ジョンスミスのぽんぽんをぽんぽんする弟。
「これじゃない!ちゃんとなまえあるもん!」
復活したジョンスミスはぴょこっと起き上がった。
「お、正直に言う気になったか」
「む!じょんちゅみちゅでち!」
「あー、そうかよ」
おじちゃんは諦めた。
「何で嘘つくのさ。それに、ジョンスミスって何?」
「ちらないちとに、なまえおちえちゃダメでち!」
「ふ〜ん。ボクははじめましてでも教えちゃうけどね。キミみたいなかわいい娘に、覚えててもらいたいから。京楽春水っていうんだ。よろしくね😉」
「は…?」
おくちあんぐりジョンスミス。
「きょーあくちゅんちゅん?ヘンななまえーッ🤣」
なっはーはは!と笑った。
「んだよ、タチのワルいスズメかよ」
「しょうがねぇだろ。お前の名前、チビには言いにくいんだよ」
「この舌足らず」
「うるたい!ちゅんちゅん!せーばいつるぞ!」
ちゅんちゅんの背をぽこすか叩いた。
「あぁ〜、そこそこ。もうちょっと上もできる?」
「ここでちか」
「いーね〜」
「って、なんでちゅんちゅんにまったーじちなかんの‼️✋💥」
「痛いッ」
ペンッと平手を喰らわして、ノリツッコミ完了。
「おじちゃん!むつこがほちいなら、わたちがなってあげるよ!わたち、ここのむつこになる!ここで、ちにがみのおけいこと、おべんきょーちゅる!」
「話戻したな。気持ちだけ受け取っとくよ。お前をここに置くわけにいかねぇからな」
「どちて」
「七緒だけで手一杯だからだ」
「むつこほちーんでちょ?」
「キミがここの子になっても、息子にはならないけどね」
「なんだとー!」
「折角だから、小言を溢しておくか」
「「ん?」」
ジョンスミスとちゅんちゅんは、揃って首を傾げた。
「俺ら男兄弟で育ってな。ガキの頃は親父に鍛えられたんだよ。ウチの家系は、男なら必ず死神になるようしつけられるからな」
「ふーん」
「懐かしい話だね」
「その稽古はまぁ厳しくて、当時は嫌がってた節もあるが、いざ大人になって死神になって、家庭も持って、父親になったら、親父への尊敬の念を抱くようになった。俺も親父のように、自分の息子に戦い方を教えたくなっちまってよ。あいつが妊娠してる時な、産まれてくるのは絶対男だと思ってたんだ。だから俺は、親父を手本に、良い父親になろうと想像していた。そうすると段々、息子に稽古を付けるのが父親の義務みたいに思えてきてよ、楽しみに待っていた。だが、実際はそういかなかった。七緒が産まれてきたことは心底嬉しいが、息子を持てなかったのは多少のシコリになってな。お前にさっき白打教えてる時、ちったぁ俺の無念が晴れた気がしていた。ありがとよ」
ぽいぽいと摘むように、おじちゃんはジョンスミスの頭を撫でた。
「ほんの一瞬の隙で、簡単に命を落とすような職なんだよな、死神って。自分の大事なひとり娘を、そんな危ない目に遭わせたくねぇから、七緒には鬼道をちょっとだけしか教えたことがねぇ。だがお前は他人の子だからよ、つい、俺の夢を投影しちまった。素直に応えやがって。こんなに楽しい思いをしたのは、久しぶりだぜ」
褒めてくれるならもっと撫でろと、離れるおじちゃんの手を掴んで、ジョンスミスは自分からその手を引き寄せ、嬉しそうに撫でさせた。
「春水でも、そんな怪我しちまうんだからな。簡単に勧めちゃいけねぇよな」
「あぁ。これ?ちょっとヘマしたんだ。でも、これくらいならすぐ治るよ。大丈夫さ」
「そーでちよ!なおるなおる!つよくなれば、いーだけだち!おじちゃん、そんなかおちないで。わたち、ちにがみになりたい!きめたよ!おとなになったら、つよいちにがみになって、おじちゃんも、ちゅんちゅんも、たつけてあげる!」
「ははっ、頼もしいね」
「おとうたんとこかえれないなら、おじちゃんのとこにいたい!おじちゃんがむつこほちいなら、わたちがなる!おじちゃんから、いっぱいちにがみのことおそわる!りっぱなちにがみなる!いいこにつるから、あっちのいえにつれてかないで!おひめたまになることちか、ゆるちてくれないもん!あっち、つまんないもん!こっちがいい!おじちゃんみたいな、つよいちにがみになる!かっこいいことちたい!かっこいいことちて、みんなからほめられたい!おひめたまがどんなかっこいいことつるか、わたちわかんない。おひめたまにおともだちいるかもわかんない。でも、ちにがみはいっぱいおともだちいるでちょ?」
「あぁ」
「たっくさんいるよ」
「なら、ぜったいちにがみになる。こわいことも、なかよちといっちょなら、きっとこわくない!おじちゃんは、いいことおちえてくれたでち!ありがとうは、わたちのセリフでち!にっこりちて!」
ジョンスミスは両手をおじちゃんのほっぺに当てて、クイッと上げた。
「そうだな」笑顔になったおじちゃんは、ジョンスミスを抱き上げて、向き合った姿勢で膝の上に乗せた。「未来のことなんか、わかんねぇよな。やりたいことやって生きんのが一番か。お前の気持ち、よくわかったぜ。お前のやる気、すげぇ気に入った。でもな、それでもウチには置けねぇんだ。ごめんな」
「なんで」
おじちゃんは少し俯いて、躊躇ってから決心して、小さなジョンスミスに打ち明けることにした。
「俺はな、今、体調悪くて、死神の仕事できてねぇんだ。病気だ、病気」
「兄貴…」
「良いだろ。こいつは、名前以外、正直に話してくれたんだ。俺だって、ちゃんと説明してやらなきゃな」
弟は口を閉じなければならなくなった。
「びょーきだなんて、うそでち。おじちゃん、げんきじゃん」
「今日はな。お前と会えたから、余計に忘れられてんのかもしれねぇが」
「だったら…」
正直にと言ったが、病気のこと、呪いのことを、自分の口から言うのははばかられる。まるで認めるようで、立ち向かうつもりだった運命に負けるような気がしたためだ。
そこで、あるひらめきがおじちゃんの頭に現れた。ジョンスミスを悲しませたくない優しさが、明るい方へ導いてくれたようだ。
「そうだ❗️良いこと思い付いたぞ❗️」
「☹️⁉️」
そう言っておじちゃんが、ジョンスミスの座る膝をコンコンと上げ下げした。
「なぁに?」
「あのな、俺がお前に稽古を付ける約束をしてやる!」
「え⁉️」
「え⁉︎」
ちゅんちゅんまで驚いた。
「だーが、それには条件がある」
「じょーけん?」
「そうだ。お前は、預けられた家に帰って、新しい保護者にちゃんと説明するんだ。お姫様にはならないこと。死神になるのを目指すことをな。そんで、その家で暮らして、とりあえず大きくなれ」
「えー😩」
「俺も一緒に説得する。なら、心強いだろ?大丈夫、俺を信じろ。目標を変えるくらいで意地悪するような人が、お前を引き取るわけねぇからな。優しい人たちに決まってるだろ。真摯に話せば、わかってくれるはずだ」
「んー。そーかな」
「弱気になるな。これ以外に方法は無ぇ」
「どちておっきくなってからなの?つぐじゃダメなの?」
「だって、お前チビすぎ」
「む‼️😠」
「確かに(笑)」
「む‼️うるたい、ちゅんちゅん💢」
「もう少し大きくねぇと、筋力足りねぇし、攻撃範囲狭ぇし、鬼道も大して使えねぇし、刀なんか絶対持てねぇだろ。今のお前に教えられることなんざ、ほぼ無ぇ」
「なんだとぉ⁉️」
「そうだな…」
おじちゃんはジョンスミスを膝から下ろし、ピシッと立たせた。そして、少し身体を後ろに倒し、ジョンスミスの全身をじっと見る。
「身長が倍になったら、稽古を始めてやる」
「もー!そんなのずっとたきじゃん!」
「そうだ。ずっと先だ。その間に、俺はこの病気を治しておく」
(!)
兄の発言に目を見張る。
「元気な身体を取り戻して、職場にも復帰する。そうしねぇと、お前の師匠として相応しくねぇからな。だから時間をくれ。ウチで良い子にできるんなら、向こうでもできるだろ?お前は元気にすくすく育ってろ。お互い、稽古に向けて準備しようぜ。文句あるか?」
すっと小指を構えた。
「約束してやる」
童顔の前に差し出された小指だが、ぷいとそっぽを向かれてしまった。
「おじちゃんは、わたちをおいだちたいだけでち。けびょーでち」
信じてもらえなかったようだ。
「ったく…」
ここは弟が悪役を買って出なければ。
「こんな良い話無いよ?兄貴はね、本当に今病気なんだ。けど、治せて、元気になれば、ボクなんか比べものにならないくらい、ずっと強い死神に戻るからね。復帰できれば、すぐ隊長に上がっちゃうよ」
「言い過ぎだ」
「褒めてんだから、黙ってなよ。でね、そんな凄い人が教えてあげるって言ってるんだから、ちゃんと信じてあげた方が良いと思うよ。蹴るなんて、もったいない」
「お前が代わりに面倒見るとは、言わねぇんだな」
「ボクなら、おっぱい大っきくしてから出直せって言うもんね」
ボカンッ👊
ジョンスミスの回し蹴りは届かなかったものの、兄からの拳骨が脳天にモロに入った。
「たいてー❗️」
「マジで最低だな💢」
凶悪チュンチュン敗れたり。
「兄貴が適任だってこと…。他にキミの相手を真面目にしてくれる人は、いないんじゃないのって言いたかっただけだよ。本気で殴るなよッ❗️」
「遠回しが過ぎるんだよ、お前は」
いや、恐らく願望もそこそこ本物だったはず。
「わかったよ、おじちゃん。わたち、おじちゃんいがいに、たよれるちといないから、おじちゃんのじょーけんのむ!やくそくつる。あたらちいおうちで、いいこにちて、おっきくなる。そちたら、ここにもどってきて、おじちゃんに、ちにがみになれるようにきたえてもらう!」
力のこもった小指が、ぴんと構えられた。
「そうか!よし。約束だ。俺は病気を治す。そんで、お前を誰にも負けない死神にしてやる!」
きゅっと小指同士が結ばれる。
「絶対叶えるぞ!」
「ぜったいだー❗️」
堅い誓いを結ぶと、2人は手を放し、両手の拳を掲げて「オー!」とやる気満々な雄叫びを上げた。
「フフッ、絶対だからね、兄貴」
靄のかかっていた未来に、思い切り風を送り込めたジョンスミスとおじちゃんは、生きる希望が標す道の上に立てたことを喜んだ。
「おーし。風呂の準備するぞ」
「つるぞー!」
ひとつひとつの行動が、待ち望む未来に繋がっている。
「義姉さん遅いね」
「3人で入るか😁」
「何それ。何で兄貴と一緒に風呂入んなきゃいけないの。勘弁してよ」
「コイツは良いのかよ」
「ん?ちっちゃくても女の子だし」
「…😑」「…🙄」
「どんな大人になるか」
「お前それ以上ほざいたら出禁にするぞ」
「はいはーい🤐👌」
おくちチャック。
「ちゅんちゅんバーカ」
「このクソガキ。お風呂が沸くまで、目上の人への礼儀作法を叩き込んでやる!」
「ちゅんちゅんちたっぱっていったもん!えらいくないち!えろいだけだち!だれがへりくだるか!」
「あーそーだよ!男はみんなエロいんだよ‼︎お尻触ってやるぞ、コノヤロー!」
「なんだとぉ⁉️このきょーあくほろーめ❗️ちにがみごっこ、だい2らうんどといくぞ❗️いざ、ちんみょーにしょーぶ‼️」
「尋常な!珍妙はお前だ!」
「どっちもバカだ(笑)」
万病の薬、笑いが、遠慮無しに彼の身体を満たしていた。
「あ〜あ、負けちまった。春水、何マジになってんだよ」
「この子の攻撃は、もう喰らいたくないの」
「ふゆ〜👼」
くすぐりから解放されると、ジョンスミスはくてんと大の字で動けなくなった。
「ほっぺぷにぷにだね」
反撃されないのを良いことに、虚は死神のほっぺをつんつんした。
「こんなにかわいい女の子に、死神になれって焚き付けるなんて、どうしちゃったの?七緒ちゃんには言ったことないくせにさ」
おじちゃんは、ジョンスミスの暴れる足から飛んでいったつっかけを拾い、縁側の下に揃えた。
「そうだな。やっぱり無責任だったかもな」
ジョンスミスを挟んで、兄弟は並んで座った。
「俺な…、密かに夢だったんだよ」
「何が?」
「息子に戦いの稽古を付けること」
「ははっ、女の子じゃん、これ」
ジョンスミスのぽんぽんをぽんぽんする弟。
「これじゃない!ちゃんとなまえあるもん!」
復活したジョンスミスはぴょこっと起き上がった。
「お、正直に言う気になったか」
「む!じょんちゅみちゅでち!」
「あー、そうかよ」
おじちゃんは諦めた。
「何で嘘つくのさ。それに、ジョンスミスって何?」
「ちらないちとに、なまえおちえちゃダメでち!」
「ふ〜ん。ボクははじめましてでも教えちゃうけどね。キミみたいなかわいい娘に、覚えててもらいたいから。京楽春水っていうんだ。よろしくね😉」
「は…?」
おくちあんぐりジョンスミス。
「きょーあくちゅんちゅん?ヘンななまえーッ🤣」
なっはーはは!と笑った。
「んだよ、タチのワルいスズメかよ」
「しょうがねぇだろ。お前の名前、チビには言いにくいんだよ」
「この舌足らず」
「うるたい!ちゅんちゅん!せーばいつるぞ!」
ちゅんちゅんの背をぽこすか叩いた。
「あぁ〜、そこそこ。もうちょっと上もできる?」
「ここでちか」
「いーね〜」
「って、なんでちゅんちゅんにまったーじちなかんの‼️✋💥」
「痛いッ」
ペンッと平手を喰らわして、ノリツッコミ完了。
「おじちゃん!むつこがほちいなら、わたちがなってあげるよ!わたち、ここのむつこになる!ここで、ちにがみのおけいこと、おべんきょーちゅる!」
「話戻したな。気持ちだけ受け取っとくよ。お前をここに置くわけにいかねぇからな」
「どちて」
「七緒だけで手一杯だからだ」
「むつこほちーんでちょ?」
「キミがここの子になっても、息子にはならないけどね」
「なんだとー!」
「折角だから、小言を溢しておくか」
「「ん?」」
ジョンスミスとちゅんちゅんは、揃って首を傾げた。
「俺ら男兄弟で育ってな。ガキの頃は親父に鍛えられたんだよ。ウチの家系は、男なら必ず死神になるようしつけられるからな」
「ふーん」
「懐かしい話だね」
「その稽古はまぁ厳しくて、当時は嫌がってた節もあるが、いざ大人になって死神になって、家庭も持って、父親になったら、親父への尊敬の念を抱くようになった。俺も親父のように、自分の息子に戦い方を教えたくなっちまってよ。あいつが妊娠してる時な、産まれてくるのは絶対男だと思ってたんだ。だから俺は、親父を手本に、良い父親になろうと想像していた。そうすると段々、息子に稽古を付けるのが父親の義務みたいに思えてきてよ、楽しみに待っていた。だが、実際はそういかなかった。七緒が産まれてきたことは心底嬉しいが、息子を持てなかったのは多少のシコリになってな。お前にさっき白打教えてる時、ちったぁ俺の無念が晴れた気がしていた。ありがとよ」
ぽいぽいと摘むように、おじちゃんはジョンスミスの頭を撫でた。
「ほんの一瞬の隙で、簡単に命を落とすような職なんだよな、死神って。自分の大事なひとり娘を、そんな危ない目に遭わせたくねぇから、七緒には鬼道をちょっとだけしか教えたことがねぇ。だがお前は他人の子だからよ、つい、俺の夢を投影しちまった。素直に応えやがって。こんなに楽しい思いをしたのは、久しぶりだぜ」
褒めてくれるならもっと撫でろと、離れるおじちゃんの手を掴んで、ジョンスミスは自分からその手を引き寄せ、嬉しそうに撫でさせた。
「春水でも、そんな怪我しちまうんだからな。簡単に勧めちゃいけねぇよな」
「あぁ。これ?ちょっとヘマしたんだ。でも、これくらいならすぐ治るよ。大丈夫さ」
「そーでちよ!なおるなおる!つよくなれば、いーだけだち!おじちゃん、そんなかおちないで。わたち、ちにがみになりたい!きめたよ!おとなになったら、つよいちにがみになって、おじちゃんも、ちゅんちゅんも、たつけてあげる!」
「ははっ、頼もしいね」
「おとうたんとこかえれないなら、おじちゃんのとこにいたい!おじちゃんがむつこほちいなら、わたちがなる!おじちゃんから、いっぱいちにがみのことおそわる!りっぱなちにがみなる!いいこにつるから、あっちのいえにつれてかないで!おひめたまになることちか、ゆるちてくれないもん!あっち、つまんないもん!こっちがいい!おじちゃんみたいな、つよいちにがみになる!かっこいいことちたい!かっこいいことちて、みんなからほめられたい!おひめたまがどんなかっこいいことつるか、わたちわかんない。おひめたまにおともだちいるかもわかんない。でも、ちにがみはいっぱいおともだちいるでちょ?」
「あぁ」
「たっくさんいるよ」
「なら、ぜったいちにがみになる。こわいことも、なかよちといっちょなら、きっとこわくない!おじちゃんは、いいことおちえてくれたでち!ありがとうは、わたちのセリフでち!にっこりちて!」
ジョンスミスは両手をおじちゃんのほっぺに当てて、クイッと上げた。
「そうだな」笑顔になったおじちゃんは、ジョンスミスを抱き上げて、向き合った姿勢で膝の上に乗せた。「未来のことなんか、わかんねぇよな。やりたいことやって生きんのが一番か。お前の気持ち、よくわかったぜ。お前のやる気、すげぇ気に入った。でもな、それでもウチには置けねぇんだ。ごめんな」
「なんで」
おじちゃんは少し俯いて、躊躇ってから決心して、小さなジョンスミスに打ち明けることにした。
「俺はな、今、体調悪くて、死神の仕事できてねぇんだ。病気だ、病気」
「兄貴…」
「良いだろ。こいつは、名前以外、正直に話してくれたんだ。俺だって、ちゃんと説明してやらなきゃな」
弟は口を閉じなければならなくなった。
「びょーきだなんて、うそでち。おじちゃん、げんきじゃん」
「今日はな。お前と会えたから、余計に忘れられてんのかもしれねぇが」
「だったら…」
正直にと言ったが、病気のこと、呪いのことを、自分の口から言うのははばかられる。まるで認めるようで、立ち向かうつもりだった運命に負けるような気がしたためだ。
そこで、あるひらめきがおじちゃんの頭に現れた。ジョンスミスを悲しませたくない優しさが、明るい方へ導いてくれたようだ。
「そうだ❗️良いこと思い付いたぞ❗️」
「☹️⁉️」
そう言っておじちゃんが、ジョンスミスの座る膝をコンコンと上げ下げした。
「なぁに?」
「あのな、俺がお前に稽古を付ける約束をしてやる!」
「え⁉️」
「え⁉︎」
ちゅんちゅんまで驚いた。
「だーが、それには条件がある」
「じょーけん?」
「そうだ。お前は、預けられた家に帰って、新しい保護者にちゃんと説明するんだ。お姫様にはならないこと。死神になるのを目指すことをな。そんで、その家で暮らして、とりあえず大きくなれ」
「えー😩」
「俺も一緒に説得する。なら、心強いだろ?大丈夫、俺を信じろ。目標を変えるくらいで意地悪するような人が、お前を引き取るわけねぇからな。優しい人たちに決まってるだろ。真摯に話せば、わかってくれるはずだ」
「んー。そーかな」
「弱気になるな。これ以外に方法は無ぇ」
「どちておっきくなってからなの?つぐじゃダメなの?」
「だって、お前チビすぎ」
「む‼️😠」
「確かに(笑)」
「む‼️うるたい、ちゅんちゅん💢」
「もう少し大きくねぇと、筋力足りねぇし、攻撃範囲狭ぇし、鬼道も大して使えねぇし、刀なんか絶対持てねぇだろ。今のお前に教えられることなんざ、ほぼ無ぇ」
「なんだとぉ⁉️」
「そうだな…」
おじちゃんはジョンスミスを膝から下ろし、ピシッと立たせた。そして、少し身体を後ろに倒し、ジョンスミスの全身をじっと見る。
「身長が倍になったら、稽古を始めてやる」
「もー!そんなのずっとたきじゃん!」
「そうだ。ずっと先だ。その間に、俺はこの病気を治しておく」
(!)
兄の発言に目を見張る。
「元気な身体を取り戻して、職場にも復帰する。そうしねぇと、お前の師匠として相応しくねぇからな。だから時間をくれ。ウチで良い子にできるんなら、向こうでもできるだろ?お前は元気にすくすく育ってろ。お互い、稽古に向けて準備しようぜ。文句あるか?」
すっと小指を構えた。
「約束してやる」
童顔の前に差し出された小指だが、ぷいとそっぽを向かれてしまった。
「おじちゃんは、わたちをおいだちたいだけでち。けびょーでち」
信じてもらえなかったようだ。
「ったく…」
ここは弟が悪役を買って出なければ。
「こんな良い話無いよ?兄貴はね、本当に今病気なんだ。けど、治せて、元気になれば、ボクなんか比べものにならないくらい、ずっと強い死神に戻るからね。復帰できれば、すぐ隊長に上がっちゃうよ」
「言い過ぎだ」
「褒めてんだから、黙ってなよ。でね、そんな凄い人が教えてあげるって言ってるんだから、ちゃんと信じてあげた方が良いと思うよ。蹴るなんて、もったいない」
「お前が代わりに面倒見るとは、言わねぇんだな」
「ボクなら、おっぱい大っきくしてから出直せって言うもんね」
ボカンッ👊
ジョンスミスの回し蹴りは届かなかったものの、兄からの拳骨が脳天にモロに入った。
「たいてー❗️」
「マジで最低だな💢」
凶悪チュンチュン敗れたり。
「兄貴が適任だってこと…。他にキミの相手を真面目にしてくれる人は、いないんじゃないのって言いたかっただけだよ。本気で殴るなよッ❗️」
「遠回しが過ぎるんだよ、お前は」
いや、恐らく願望もそこそこ本物だったはず。
「わかったよ、おじちゃん。わたち、おじちゃんいがいに、たよれるちといないから、おじちゃんのじょーけんのむ!やくそくつる。あたらちいおうちで、いいこにちて、おっきくなる。そちたら、ここにもどってきて、おじちゃんに、ちにがみになれるようにきたえてもらう!」
力のこもった小指が、ぴんと構えられた。
「そうか!よし。約束だ。俺は病気を治す。そんで、お前を誰にも負けない死神にしてやる!」
きゅっと小指同士が結ばれる。
「絶対叶えるぞ!」
「ぜったいだー❗️」
堅い誓いを結ぶと、2人は手を放し、両手の拳を掲げて「オー!」とやる気満々な雄叫びを上げた。
「フフッ、絶対だからね、兄貴」
靄のかかっていた未来に、思い切り風を送り込めたジョンスミスとおじちゃんは、生きる希望が標す道の上に立てたことを喜んだ。
「おーし。風呂の準備するぞ」
「つるぞー!」
ひとつひとつの行動が、待ち望む未来に繋がっている。
「義姉さん遅いね」
「3人で入るか😁」
「何それ。何で兄貴と一緒に風呂入んなきゃいけないの。勘弁してよ」
「コイツは良いのかよ」
「ん?ちっちゃくても女の子だし」
「…😑」「…🙄」
「どんな大人になるか」
「お前それ以上ほざいたら出禁にするぞ」
「はいはーい🤐👌」
おくちチャック。
「ちゅんちゅんバーカ」
「このクソガキ。お風呂が沸くまで、目上の人への礼儀作法を叩き込んでやる!」
「ちゅんちゅんちたっぱっていったもん!えらいくないち!えろいだけだち!だれがへりくだるか!」
「あーそーだよ!男はみんなエロいんだよ‼︎お尻触ってやるぞ、コノヤロー!」
「なんだとぉ⁉️このきょーあくほろーめ❗️ちにがみごっこ、だい2らうんどといくぞ❗️いざ、ちんみょーにしょーぶ‼️」
「尋常な!珍妙はお前だ!」
「どっちもバカだ(笑)」
万病の薬、笑いが、遠慮無しに彼の身体を満たしていた。