第六章
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「そうと決まれば、作戦会議をしなきゃね」
「はーい‼️✋😆」
なつみはテキパキと、シートの皺を伸ばし、フルーツ盛りをちょっと横にスタンバイ、スケッチブックから時間軸のグラフをペリッと取り外し、床に置く。新しいページとマジックペンを用意して、作戦会議の準備をした。
「計画を立てる前に、確認しておきたいことがあるヨ」
マユリがムッちゃんに迫った。
「時空を越えられるのは、なつみだけなのかネ?」
顔が近かったため、そーっと距離を取るムッちゃん。
「私にきかれてもな」
「ちょっと、まさかついてくつもりかい⁉︎」
「何を馬鹿な…」呆れて手で目元を覆う。そして離す。「当然だろう。私以外、誰が適任だと言うのかネ」
「😮」
「そんな顔して驚かないでおくれ」
梨の果汁を、驚いて緩んだ口の端から垂らすなつみ。マユリがそっと拭ってやった。
「🤭‼️⁉️」
その流れで、拭った指をぺろと舐めた。
(((💢)))
「うまいじゃないか」
(後でボクもやる‼ついてなくてもやる‼︎️💢)
「良いかネ?1人の人物が同時に2人存在することは、あってはならないことなんだヨ。君らがその状況に陥ってみろ。世界が矛盾に耐えかねて、宇宙ごと崩壊してしまうかもしれないネ」
「ジェニファーの場合は、とってもびっくりして気絶しただけで済みましたけど」
「あれは運が良かっただけだヨ。しかし、私なら運などというものに頼らずに、うまくやり過ごせると思わんかネ?何故なら、例え私が2人並んでいようと、驚き、不思議に感じるだろうが、大概の連中は実験か何かだと納得してくれるだろうからネ。そして、過去の私自身も、この状況を説明されれば必ず理解するはずだヨ。大きな混乱は起きないだろうネ。つまり、私がついていれば、向こうで動きやすくなるんだヨ。君の消耗した霊力の回復も、私が面倒を見てやれるからネ。どうかネ、なつみ?」
「完璧す……🥺」
他の者たちもこの意見には論破できない。
「で、でもさ!どう連れてくって言うの」
「どうすんの、ムッちゃん!」
「……、能力を発動させるのはお前だ。お前ができると思うことを考え出せば良いだろ」
「むー!ケチケチ!ムッちゃんのケチー!」
責められて嫌になったか、ムッちゃんは姿を消した。
「あ!逃げた!もー‼︎」
ほっぺをぷんぷんに膨らませ、腰に差した斬魄刀を睨みつける。
「木之本、過去に戻る方法だが、昨夜お前がやったことを再現してみるしか無いんじゃないか」
「そうだね。それしか手がかりがないからね」
「再現て、どこからですか」
「んー…、パジャマにお着替えするところから?」
「却下です。服は関係無いと思いますから」
「じゃ、お風呂😚」
「却下です‼️何で脱がそうとするんですか‼️」
「んふふっ、ごめんごめん。怒んないでよ〜。寝るところからで良いんじゃない?たぶん、意識が睡眠に移るときに、時空移動が始まるんだよ。行きも帰りも、そのタイミングだったと思うからね」
「そっか…。そうですよね。眠ることがトリガーなんだ」
ふと自分の両手を見つめるなつみ。
「眠る前に、『いつ』『どこに』行きたいのか、はっきり思い浮かべていることも必要じゃないかな」
藍染が付け足したアドバイスにうんうんと頷くと、ぐにぐにしていた手の感触で閃いた。
「お。ぼくの勝手な予想で良いなら、離れないようにしっかり掴んでいられるなら、お連れできるかもしれませんよ!」
ぴんと伸ばした両腕の先、おててをぐっぱぐっぱしてみせる。
「ふむ。ということは、私とあともう1人」
なつみとマユリが候補者へと顔を向け…
「はいっ✋🥰」「はい✋😊」「はい✋😌」
たその間に3人の立候補者登場。
「…ヤですよ😒」
「何でー⁉️😫」
いつになく冷めきっているなつみ。
「なつみちゃんのボディーガードといえばボクだろ?」
「京楽隊長、昨日のお昼、どちらにいましたか?」
「ん〜?」
「お散歩してたんじゃないですか?」
「うっ💦」
「お仕事サボってたんですね?」
「で、でもさ、なつみちゃんが行ってたっていうお店の方には行ってないよ。自分がどこ歩いたかはちゃんと覚えてるから、ばったり会うってことも無いよ。心配無いって」
「伊勢副隊長は?」
「うっ💦」
「京楽隊長を探し回ってたなんてことありませんか?」
「どぉだったかな〜?💦」
「伊勢副隊長がいつどこを通ったのか、把握できないということですよね。昨日の京楽隊長と勘違いされて、連行されちゃうなんてことが、起こりうるってことですよね?」
「うー😖💦」
「だったら、京楽隊長は連れて行けません!お留守番です!」
「なつみちゃんの役に立ちたいのにぃ!ぐうの音も出ないよ😫‼️」
1人脱落。
「市丸隊長も、お散歩されてましたよね」
ギクッ
「ぼくがいた世界での話でしたが、その反応はこっちでもされてたんですね」
「そぉやったかもね💦」
「十二番隊舎に行く途中で、姿は見ていませんが、隊長の霊圧を確かに察知したのを覚えています。もし隊長と昨日に戻ったら、昨日の隊長と鉢合わせするかも知れません。そしたら宇宙の破滅ですよ」
「せやけど、妹を守るんがお兄ちゃんの勤めやんか」
「ダメったらダメです!失敗はできないんですよ。リスクは最大限に回避しなくちゃ」
「むぅ」
2人目脱落。
「それなら、僕は問題無いじゃないか。昨日はずっと隊舎にいたから、誰かが僕を探しに来るとか、自分に会ってしまうとか」
「藍染隊長はワルモノなのでダメです😤」
「ッ‼️⁉️」
藍染の話をカットインしてお断り。そして睨む。2人の視線がバチバチ交じり合う。
((ししとうの怨み……‼️‼️))
「(大正解やけど)何かあったん?😅」
その3人を掻き分け、もう1人申し出てきた。
「木之本、あと1人行けるなら、俺を連れてってくれ!これは俺の問題でもある。ここで大人しく待つなんて、できねぇんだよ!頼む!」
にっこり笑ったなつみが迎え入れた。
「もちろんですよ、志波副隊長!ぼくもそのつもりでいました。知らないうちに消えちゃってたら困りますから、近くにいてほしいです。良いですよね、涅隊長?」
こちらもにっこり。
「ああ。利口な判断だヨ。私も同じことを考えていた」
「やったー!」
そしてせかせかと屈んで、フルーツ盛りから爪楊枝で刺した一口サイズのメロンを、海燕とマユリの前に差し出した。
「はい!きびだんご!」
「鬼退治には行かんがネ」
「そうですけど。誓いの印です!同じ釜の飯を食って、約束を立てます!」
「生だけどな」
「むぅ、あー言えばこー言ぅ」
いちゃもんつけるも、2人のお供はメロンを手にした。なつみも自分の分を取る。
「One for All❗️All for One❗️ぼくたち3人三銃士❗️スパルターン、えーっくす‼️やるぞ、やるぞ、やるぞぉー✊」
「「……。」」
謎の音頭で盛り上がるのはなつみだけ。
「ちょっとちょっとちょっと、ぼく、スベったみたいになってる💦」
「成功させるぞ❗️カンパーイ‼️」
「あわぁ〜💦」
海燕に良いとこ取られたなつみであった。
「うまーい😆」「あまっ🤭」「美味いじゃないか」
「はいはい。決起集会はその辺にして。計画立てるよ」
仲間外れにされた京楽が、拗ねた態度で口を挟んだ。
「機嫌なおしてくださいよ」
なつみは再びメロンを一欠片取り上げて、こそっと京楽に差し出した。
「浮竹隊長を悲しませたくない京楽隊長の想い、しかと受け取りましたから🍈」
「なつみちゃん…」
「はい!きびだんご!」
「ふふっ」
少し屈んで、なつみと目線の高さを合わせたら、てっきり爪楊枝を手に取ってくれると思っていたのに、京楽ときたら、そのままパクりと食べてしまった。
「ぁわ‼️」
「んふ〜。なつみちゃんに『あーん』してもらったから、お留守番で我慢してあげる。おいしいね、これ」
京楽による使用済みの爪楊枝をプルプルしながら握ってフリーズするなつみ。
「それ、お持ち帰り?お持ち帰りですか?(笑)」
また意地悪を言う市丸である。
(あーんしてもーたぁ…‼︎これ程までにプレミアがついた爪楊枝が、やまだかつてあっただろうかいや無い!ぼくの手の中にぃー‼︎‼︎あるよぉー…💖)
宙高く掲げた高貴な爪楊枝。喜びを噛み締めるなつみ。
衛生上問題があるということで、当人が気づいていない内に、藍染は使用済み爪楊枝をすっとその手から抜き取り、ダーツよろしくゴミ箱に捨てた。そこで一時停止から再生へ。
「お持ち帰りー‼️‼️無ーーーいッ‼️⁉️」
手元のお宝が紛失。
「わかってんすよ‼️こんな極悪なことすんのは、あんたしかいねぇってことはなぁッ‼️‼️」
ほくそ笑む藍染をなつみはゆっさゆっさ揺すった。
さて、ようやく作戦会議に移ろうかというところで、1人の男が口を開いた。
「おい、じいさん。悪ぃが、帰らせてくんねぇか。眠ぃんだよ」
「更木、お前⁉︎」
「よせ、雀部」
元柳斎は訴えてきた更木の様子を片眉上げて伺った。
「戦ってもいねぇのに、やたらと疲れてんだよ。まともに頭が働きそうにねぇ。別に、俺がいなくても何とかなんだろ」
「わかった。帰って良し。明日までに回復させておけ」
「わーってるよ。じゃあな」
なつみがぱちぱち瞬きをする前を更木が通り過ぎていった。
「団体行動のできん奴だ」
「いや、彼なりに頑張った方じゃないかな」
部屋を出た更木の後をなつみは追った。廊下を歩く背中に、戸の枠に寄りかかって声をかける。
「更木隊長!」
振り返る。
「ありがとうございました!」
ふっと笑う。
「うまくやれよ、なつみ」
「はい!おやすみなさい!」
更木も軽く手を振って答えてやった。
話し合いは始まった。それをなつみは、後ろから市丸に抱かれながらベッドに座り、フルーツをつまみながら聞いていた。この体勢で、先程消耗した分の霊力を、市丸から分けてもらい蓄えているのだ。市丸曰く、フル充電で出発する必要があるからだとか。
「市丸隊長も食べますか?ぼくがうさぎにしたんです」
カットされたりんごを市丸に差し出してみる。市丸は左手をなつみのお腹から離して、そのりんごを受け取った。
「耳がちょっと短ない?」
「むぅ、どーせ下手ですよ」
「クスッ、なつみちゃんのお耳といっしょ。ちっちゃい」
ぷくっとして、なつみは両耳を塞いだ。コンプレックスのひとつなのだ。
大方作戦が練られた頃、ようやく待望の一報が飛び込んできた。
「お!来たな」
海燕の伝令神機に着信。通話ボタンを押して応答する。
「もしもし」
「あ!志波副隊長、スピーカーにしてください!」
「ああ。隊長、一瞬すんません。拡声にします」
耳元から離し、モードを切り替える。
「OKす、隊長。どうぞぉ⤴︎」
「どうだったんですか、どうぞぉ⤴︎」
「その声は木之本か?決めてくれたようだな」
「決めましたよ!決めましたから、早く教えてください!」
「わかったわかった。落ち着け」
伝令神機を握る海燕の腕をしっかり掴むなつみ。周囲もドキドキ。
「3人で探したが、それらしい記述は見当たらなかった。行けるぞ、木之本。過去を改変しても、お前が罪に問われることは無い!」
「よっしゃー🙌」
なつみは嬉しくて、ロケット打ち上げ成功の管制室のスタッフのように喜んだ。
「浮竹ー、お疲れ」
「京楽!すまん、待たせただろう」
「良いよ。こっちはもう、計画を練り終えそうなんだ。あとは準備して、出発するだけ」
「そうか。片付けを終えたら、すぐに戻る」
「お願いしゃーす」
通話終了。
さまざまなパターンを考慮して、『昨日のなつみに海燕を助けに行ってもらうきっかけを与える大作戦』は、綿密に組まれた。それも完了し、マユリは必要な物を自室へ取りに行きたいと言った。なつみも、昨日着ていた服に着替えるため、美沙の待つ部屋へ一度帰ることにした。
「ただいまー!」
「おかえりー」
「美沙ちゃん、またぼくすぐに出かけなきゃいけなくなったんだ。昨日着てた服どこかわかる?」
「洗濯して、畳んでベッドの上に置いといたけど。こんな時間からどこ行くの?」
「昨日だよ!」
「は?」
「イエスタデイ」
「ちょっと意味わかんない」
「ぼく、タイムスリップしたんだ!できたほころびを修正するために、また時空を飛ばなきゃいけないの!」
「はぁ⁉️」
「はーい‼️✋😆」
なつみはテキパキと、シートの皺を伸ばし、フルーツ盛りをちょっと横にスタンバイ、スケッチブックから時間軸のグラフをペリッと取り外し、床に置く。新しいページとマジックペンを用意して、作戦会議の準備をした。
「計画を立てる前に、確認しておきたいことがあるヨ」
マユリがムッちゃんに迫った。
「時空を越えられるのは、なつみだけなのかネ?」
顔が近かったため、そーっと距離を取るムッちゃん。
「私にきかれてもな」
「ちょっと、まさかついてくつもりかい⁉︎」
「何を馬鹿な…」呆れて手で目元を覆う。そして離す。「当然だろう。私以外、誰が適任だと言うのかネ」
「😮」
「そんな顔して驚かないでおくれ」
梨の果汁を、驚いて緩んだ口の端から垂らすなつみ。マユリがそっと拭ってやった。
「🤭‼️⁉️」
その流れで、拭った指をぺろと舐めた。
(((💢)))
「うまいじゃないか」
(後でボクもやる‼ついてなくてもやる‼︎️💢)
「良いかネ?1人の人物が同時に2人存在することは、あってはならないことなんだヨ。君らがその状況に陥ってみろ。世界が矛盾に耐えかねて、宇宙ごと崩壊してしまうかもしれないネ」
「ジェニファーの場合は、とってもびっくりして気絶しただけで済みましたけど」
「あれは運が良かっただけだヨ。しかし、私なら運などというものに頼らずに、うまくやり過ごせると思わんかネ?何故なら、例え私が2人並んでいようと、驚き、不思議に感じるだろうが、大概の連中は実験か何かだと納得してくれるだろうからネ。そして、過去の私自身も、この状況を説明されれば必ず理解するはずだヨ。大きな混乱は起きないだろうネ。つまり、私がついていれば、向こうで動きやすくなるんだヨ。君の消耗した霊力の回復も、私が面倒を見てやれるからネ。どうかネ、なつみ?」
「完璧す……🥺」
他の者たちもこの意見には論破できない。
「で、でもさ!どう連れてくって言うの」
「どうすんの、ムッちゃん!」
「……、能力を発動させるのはお前だ。お前ができると思うことを考え出せば良いだろ」
「むー!ケチケチ!ムッちゃんのケチー!」
責められて嫌になったか、ムッちゃんは姿を消した。
「あ!逃げた!もー‼︎」
ほっぺをぷんぷんに膨らませ、腰に差した斬魄刀を睨みつける。
「木之本、過去に戻る方法だが、昨夜お前がやったことを再現してみるしか無いんじゃないか」
「そうだね。それしか手がかりがないからね」
「再現て、どこからですか」
「んー…、パジャマにお着替えするところから?」
「却下です。服は関係無いと思いますから」
「じゃ、お風呂😚」
「却下です‼️何で脱がそうとするんですか‼️」
「んふふっ、ごめんごめん。怒んないでよ〜。寝るところからで良いんじゃない?たぶん、意識が睡眠に移るときに、時空移動が始まるんだよ。行きも帰りも、そのタイミングだったと思うからね」
「そっか…。そうですよね。眠ることがトリガーなんだ」
ふと自分の両手を見つめるなつみ。
「眠る前に、『いつ』『どこに』行きたいのか、はっきり思い浮かべていることも必要じゃないかな」
藍染が付け足したアドバイスにうんうんと頷くと、ぐにぐにしていた手の感触で閃いた。
「お。ぼくの勝手な予想で良いなら、離れないようにしっかり掴んでいられるなら、お連れできるかもしれませんよ!」
ぴんと伸ばした両腕の先、おててをぐっぱぐっぱしてみせる。
「ふむ。ということは、私とあともう1人」
なつみとマユリが候補者へと顔を向け…
「はいっ✋🥰」「はい✋😊」「はい✋😌」
たその間に3人の立候補者登場。
「…ヤですよ😒」
「何でー⁉️😫」
いつになく冷めきっているなつみ。
「なつみちゃんのボディーガードといえばボクだろ?」
「京楽隊長、昨日のお昼、どちらにいましたか?」
「ん〜?」
「お散歩してたんじゃないですか?」
「うっ💦」
「お仕事サボってたんですね?」
「で、でもさ、なつみちゃんが行ってたっていうお店の方には行ってないよ。自分がどこ歩いたかはちゃんと覚えてるから、ばったり会うってことも無いよ。心配無いって」
「伊勢副隊長は?」
「うっ💦」
「京楽隊長を探し回ってたなんてことありませんか?」
「どぉだったかな〜?💦」
「伊勢副隊長がいつどこを通ったのか、把握できないということですよね。昨日の京楽隊長と勘違いされて、連行されちゃうなんてことが、起こりうるってことですよね?」
「うー😖💦」
「だったら、京楽隊長は連れて行けません!お留守番です!」
「なつみちゃんの役に立ちたいのにぃ!ぐうの音も出ないよ😫‼️」
1人脱落。
「市丸隊長も、お散歩されてましたよね」
ギクッ
「ぼくがいた世界での話でしたが、その反応はこっちでもされてたんですね」
「そぉやったかもね💦」
「十二番隊舎に行く途中で、姿は見ていませんが、隊長の霊圧を確かに察知したのを覚えています。もし隊長と昨日に戻ったら、昨日の隊長と鉢合わせするかも知れません。そしたら宇宙の破滅ですよ」
「せやけど、妹を守るんがお兄ちゃんの勤めやんか」
「ダメったらダメです!失敗はできないんですよ。リスクは最大限に回避しなくちゃ」
「むぅ」
2人目脱落。
「それなら、僕は問題無いじゃないか。昨日はずっと隊舎にいたから、誰かが僕を探しに来るとか、自分に会ってしまうとか」
「藍染隊長はワルモノなのでダメです😤」
「ッ‼️⁉️」
藍染の話をカットインしてお断り。そして睨む。2人の視線がバチバチ交じり合う。
((ししとうの怨み……‼️‼️))
「(大正解やけど)何かあったん?😅」
その3人を掻き分け、もう1人申し出てきた。
「木之本、あと1人行けるなら、俺を連れてってくれ!これは俺の問題でもある。ここで大人しく待つなんて、できねぇんだよ!頼む!」
にっこり笑ったなつみが迎え入れた。
「もちろんですよ、志波副隊長!ぼくもそのつもりでいました。知らないうちに消えちゃってたら困りますから、近くにいてほしいです。良いですよね、涅隊長?」
こちらもにっこり。
「ああ。利口な判断だヨ。私も同じことを考えていた」
「やったー!」
そしてせかせかと屈んで、フルーツ盛りから爪楊枝で刺した一口サイズのメロンを、海燕とマユリの前に差し出した。
「はい!きびだんご!」
「鬼退治には行かんがネ」
「そうですけど。誓いの印です!同じ釜の飯を食って、約束を立てます!」
「生だけどな」
「むぅ、あー言えばこー言ぅ」
いちゃもんつけるも、2人のお供はメロンを手にした。なつみも自分の分を取る。
「One for All❗️All for One❗️ぼくたち3人三銃士❗️スパルターン、えーっくす‼️やるぞ、やるぞ、やるぞぉー✊」
「「……。」」
謎の音頭で盛り上がるのはなつみだけ。
「ちょっとちょっとちょっと、ぼく、スベったみたいになってる💦」
「成功させるぞ❗️カンパーイ‼️」
「あわぁ〜💦」
海燕に良いとこ取られたなつみであった。
「うまーい😆」「あまっ🤭」「美味いじゃないか」
「はいはい。決起集会はその辺にして。計画立てるよ」
仲間外れにされた京楽が、拗ねた態度で口を挟んだ。
「機嫌なおしてくださいよ」
なつみは再びメロンを一欠片取り上げて、こそっと京楽に差し出した。
「浮竹隊長を悲しませたくない京楽隊長の想い、しかと受け取りましたから🍈」
「なつみちゃん…」
「はい!きびだんご!」
「ふふっ」
少し屈んで、なつみと目線の高さを合わせたら、てっきり爪楊枝を手に取ってくれると思っていたのに、京楽ときたら、そのままパクりと食べてしまった。
「ぁわ‼️」
「んふ〜。なつみちゃんに『あーん』してもらったから、お留守番で我慢してあげる。おいしいね、これ」
京楽による使用済みの爪楊枝をプルプルしながら握ってフリーズするなつみ。
「それ、お持ち帰り?お持ち帰りですか?(笑)」
また意地悪を言う市丸である。
(あーんしてもーたぁ…‼︎これ程までにプレミアがついた爪楊枝が、やまだかつてあっただろうかいや無い!ぼくの手の中にぃー‼︎‼︎あるよぉー…💖)
宙高く掲げた高貴な爪楊枝。喜びを噛み締めるなつみ。
衛生上問題があるということで、当人が気づいていない内に、藍染は使用済み爪楊枝をすっとその手から抜き取り、ダーツよろしくゴミ箱に捨てた。そこで一時停止から再生へ。
「お持ち帰りー‼️‼️無ーーーいッ‼️⁉️」
手元のお宝が紛失。
「わかってんすよ‼️こんな極悪なことすんのは、あんたしかいねぇってことはなぁッ‼️‼️」
ほくそ笑む藍染をなつみはゆっさゆっさ揺すった。
さて、ようやく作戦会議に移ろうかというところで、1人の男が口を開いた。
「おい、じいさん。悪ぃが、帰らせてくんねぇか。眠ぃんだよ」
「更木、お前⁉︎」
「よせ、雀部」
元柳斎は訴えてきた更木の様子を片眉上げて伺った。
「戦ってもいねぇのに、やたらと疲れてんだよ。まともに頭が働きそうにねぇ。別に、俺がいなくても何とかなんだろ」
「わかった。帰って良し。明日までに回復させておけ」
「わーってるよ。じゃあな」
なつみがぱちぱち瞬きをする前を更木が通り過ぎていった。
「団体行動のできん奴だ」
「いや、彼なりに頑張った方じゃないかな」
部屋を出た更木の後をなつみは追った。廊下を歩く背中に、戸の枠に寄りかかって声をかける。
「更木隊長!」
振り返る。
「ありがとうございました!」
ふっと笑う。
「うまくやれよ、なつみ」
「はい!おやすみなさい!」
更木も軽く手を振って答えてやった。
話し合いは始まった。それをなつみは、後ろから市丸に抱かれながらベッドに座り、フルーツをつまみながら聞いていた。この体勢で、先程消耗した分の霊力を、市丸から分けてもらい蓄えているのだ。市丸曰く、フル充電で出発する必要があるからだとか。
「市丸隊長も食べますか?ぼくがうさぎにしたんです」
カットされたりんごを市丸に差し出してみる。市丸は左手をなつみのお腹から離して、そのりんごを受け取った。
「耳がちょっと短ない?」
「むぅ、どーせ下手ですよ」
「クスッ、なつみちゃんのお耳といっしょ。ちっちゃい」
ぷくっとして、なつみは両耳を塞いだ。コンプレックスのひとつなのだ。
大方作戦が練られた頃、ようやく待望の一報が飛び込んできた。
「お!来たな」
海燕の伝令神機に着信。通話ボタンを押して応答する。
「もしもし」
「あ!志波副隊長、スピーカーにしてください!」
「ああ。隊長、一瞬すんません。拡声にします」
耳元から離し、モードを切り替える。
「OKす、隊長。どうぞぉ⤴︎」
「どうだったんですか、どうぞぉ⤴︎」
「その声は木之本か?決めてくれたようだな」
「決めましたよ!決めましたから、早く教えてください!」
「わかったわかった。落ち着け」
伝令神機を握る海燕の腕をしっかり掴むなつみ。周囲もドキドキ。
「3人で探したが、それらしい記述は見当たらなかった。行けるぞ、木之本。過去を改変しても、お前が罪に問われることは無い!」
「よっしゃー🙌」
なつみは嬉しくて、ロケット打ち上げ成功の管制室のスタッフのように喜んだ。
「浮竹ー、お疲れ」
「京楽!すまん、待たせただろう」
「良いよ。こっちはもう、計画を練り終えそうなんだ。あとは準備して、出発するだけ」
「そうか。片付けを終えたら、すぐに戻る」
「お願いしゃーす」
通話終了。
さまざまなパターンを考慮して、『昨日のなつみに海燕を助けに行ってもらうきっかけを与える大作戦』は、綿密に組まれた。それも完了し、マユリは必要な物を自室へ取りに行きたいと言った。なつみも、昨日着ていた服に着替えるため、美沙の待つ部屋へ一度帰ることにした。
「ただいまー!」
「おかえりー」
「美沙ちゃん、またぼくすぐに出かけなきゃいけなくなったんだ。昨日着てた服どこかわかる?」
「洗濯して、畳んでベッドの上に置いといたけど。こんな時間からどこ行くの?」
「昨日だよ!」
「は?」
「イエスタデイ」
「ちょっと意味わかんない」
「ぼく、タイムスリップしたんだ!できたほころびを修正するために、また時空を飛ばなきゃいけないの!」
「はぁ⁉️」