第一章
夢小説設定
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なつみちゃんを護る会発足から2週間後の始業時間、席官の部屋が並ぶ廊下はワクワクソワソワした雰囲気に満ちていた。第五席の先輩隊士が他隊へ移動することになり、新体制への準備が着々と進む中、いよいよお引越しの日を迎えたのだ。1歩ずつ1歩ずつ、慎重に登ってくる足音が階段から響いてくる。「おいしょっ、おいしょっ」という声と微かに連動させながら。
席官はそれぞれ1人につき一部屋の個室が与えられる。あるひとつの階には第十一席から第二十席用の10の部屋が並んでおり、隣の部屋に移るだけの十九席までの引越しは既に完了していた。そして、十四から十九まではお馴染みの面々であり、空いた二十番目の部屋の新たな主を今か今かと待っていた。
「木之本ー‼︎早く上がってこいよー!」
階段の上から大きな声で呼ばれる。
「うるせー!だったら手伝いに来いよ、尾田‼︎」
階段の踊り場で折り返し、顔を上げてみると、嬉しそうな同期たちが勢揃いでなつみを待ち構えているのが視界に飛び込んできた。
「マジで遅え」
「ほんとほんと、待ちくたびれちゃったよね」
「ウサギとカメで言うと、ウサギのゴールって感じ?」
「いや、サボってたわけじゃないから、ちょっと違うと思うよ」
「何はともあれだな!」
好き勝手言われている間に、大きな箱を両腕で抱えながらもなつみはぴょんぴょんと一段飛ばしで駆け上がっていき、ようやくみんなのもとにたどり着いた。
「お待たせ‼︎」
ニヒヒッと照れ笑いして合流する。欠けていたピースがやっと届いたような気持ちだった。大好きな仲間の大好きな笑顔が、それぞれの心を幸せで満たしていった。
とそこにさらに上の階から声がしてきた。
「ちょっとー、もうサボってんの?はよ仕事始めんと、イヅルに怒られるで〜」
上階の手すりから少し身を乗り出して、市丸が一応隊長らしく注意をする。
「「「「「「「はーい!」」」」」」」
仲良し7人組は上に向かって返事をした。
「クーちゃん、部屋の整理手伝いながらなつみちゃんに仕事の引継ぎしてあげてや〜」
「了解です!行こっ、なつみ」
「うん!」
「他のみんなは自分の仕事するよーに!」
「「「「「へーい」」」」」
つまんないのーと思いつつ、5人は自室に向かった。
第二十席と書かれた表札を掲げた扉の前に来ると、荷物を抱える手にキュッと力が入った。
「今日からここがなつみの部屋だよ。隣は俺だから、何かあったら遊びに来ていいからね」
「遊びにかよ(笑)」
久原がなつみのために扉を開いてやった。
「失礼しまーす。お、さすがクーちゃん、綺麗に部屋使ってたんだね」
部屋のあちこちを見回しつつ、荷物の入った箱を机の上に置いた。
「まぁね。昨日めっちゃ掃除したし、ピカピカでしょ!好きに使っていいとはいえ、こうして誰かと交代する日が来るわけだから、それなりに気を使うよ。変なもん持ち込んだりすんなよ」
「(ギクッ!)……、しないよ〜、そんなん。仕事部屋なんだから、持ってくるわけないだろ〜、あはは〜」
実は、せっかく個室を与えられるのだから、机の引き出しのひとつは、大好きな京楽グッズで埋め尽くしてやろうと密かに目論んでいたなつみであった。仕事の合間にも京楽の顔を拝めるなんて、最高じゃないかと楽しみにしていたのだ。その怪しい反応を察知した久原はニヤついて申し出る。
「中身出すの手伝おうか」
「結構です!自分でやるっす!」
なつみは慌ててガバッと箱を死守する。
「アハハハハ!変なの!」
久原はなつみのほっぺをぷにぷにつついてやった。
「うっさい!かまうなよー」
楽しそうな笑い声が廊下を伝わり、6つ隣の部屋まで聞こえてきた。
「良いなー。俺もあっち行きたいなー」
第十四席の部屋の扉を薄っすら開けて、尾田は恨めしそうに顔を覗かせていた。
「なら俺と部屋変わるか?ひとつ分近づけるぜ」
第十五席の李空も同じだけ薄っすら扉を開けて尾田を見た。
「それはヤダ!」
そう吐き捨てて尾田はピシャリと扉を閉める。
席官になると、仕事の質が変わってくる。部下の管理をしなければならなくなるため、書類での仕事が増える。資料の書き方やまとめ方の説明を久原から教えてもらうと、一区切りついたところで休憩することにした。
「なぁ、そういえばさ、あの後誰かにお前の始解見せたの?」
「うん、見せたよ。ちゃんとクーちゃんで試した見せ方でね」
「あれって無理矢理な感じしない?」
「しょうがないじゃん。隠さなきゃいけないんだもん。ぼくは嘘つける性格じゃないからさ、能力の一部をそれっぽく見せるのが得策なの」
「そだね。で、誰に見せたの?」
「美沙ちゃんとね……」
席官はそれぞれ1人につき一部屋の個室が与えられる。あるひとつの階には第十一席から第二十席用の10の部屋が並んでおり、隣の部屋に移るだけの十九席までの引越しは既に完了していた。そして、十四から十九まではお馴染みの面々であり、空いた二十番目の部屋の新たな主を今か今かと待っていた。
「木之本ー‼︎早く上がってこいよー!」
階段の上から大きな声で呼ばれる。
「うるせー!だったら手伝いに来いよ、尾田‼︎」
階段の踊り場で折り返し、顔を上げてみると、嬉しそうな同期たちが勢揃いでなつみを待ち構えているのが視界に飛び込んできた。
「マジで遅え」
「ほんとほんと、待ちくたびれちゃったよね」
「ウサギとカメで言うと、ウサギのゴールって感じ?」
「いや、サボってたわけじゃないから、ちょっと違うと思うよ」
「何はともあれだな!」
好き勝手言われている間に、大きな箱を両腕で抱えながらもなつみはぴょんぴょんと一段飛ばしで駆け上がっていき、ようやくみんなのもとにたどり着いた。
「お待たせ‼︎」
ニヒヒッと照れ笑いして合流する。欠けていたピースがやっと届いたような気持ちだった。大好きな仲間の大好きな笑顔が、それぞれの心を幸せで満たしていった。
とそこにさらに上の階から声がしてきた。
「ちょっとー、もうサボってんの?はよ仕事始めんと、イヅルに怒られるで〜」
上階の手すりから少し身を乗り出して、市丸が一応隊長らしく注意をする。
「「「「「「「はーい!」」」」」」」
仲良し7人組は上に向かって返事をした。
「クーちゃん、部屋の整理手伝いながらなつみちゃんに仕事の引継ぎしてあげてや〜」
「了解です!行こっ、なつみ」
「うん!」
「他のみんなは自分の仕事するよーに!」
「「「「「へーい」」」」」
つまんないのーと思いつつ、5人は自室に向かった。
第二十席と書かれた表札を掲げた扉の前に来ると、荷物を抱える手にキュッと力が入った。
「今日からここがなつみの部屋だよ。隣は俺だから、何かあったら遊びに来ていいからね」
「遊びにかよ(笑)」
久原がなつみのために扉を開いてやった。
「失礼しまーす。お、さすがクーちゃん、綺麗に部屋使ってたんだね」
部屋のあちこちを見回しつつ、荷物の入った箱を机の上に置いた。
「まぁね。昨日めっちゃ掃除したし、ピカピカでしょ!好きに使っていいとはいえ、こうして誰かと交代する日が来るわけだから、それなりに気を使うよ。変なもん持ち込んだりすんなよ」
「(ギクッ!)……、しないよ〜、そんなん。仕事部屋なんだから、持ってくるわけないだろ〜、あはは〜」
実は、せっかく個室を与えられるのだから、机の引き出しのひとつは、大好きな京楽グッズで埋め尽くしてやろうと密かに目論んでいたなつみであった。仕事の合間にも京楽の顔を拝めるなんて、最高じゃないかと楽しみにしていたのだ。その怪しい反応を察知した久原はニヤついて申し出る。
「中身出すの手伝おうか」
「結構です!自分でやるっす!」
なつみは慌ててガバッと箱を死守する。
「アハハハハ!変なの!」
久原はなつみのほっぺをぷにぷにつついてやった。
「うっさい!かまうなよー」
楽しそうな笑い声が廊下を伝わり、6つ隣の部屋まで聞こえてきた。
「良いなー。俺もあっち行きたいなー」
第十四席の部屋の扉を薄っすら開けて、尾田は恨めしそうに顔を覗かせていた。
「なら俺と部屋変わるか?ひとつ分近づけるぜ」
第十五席の李空も同じだけ薄っすら扉を開けて尾田を見た。
「それはヤダ!」
そう吐き捨てて尾田はピシャリと扉を閉める。
席官になると、仕事の質が変わってくる。部下の管理をしなければならなくなるため、書類での仕事が増える。資料の書き方やまとめ方の説明を久原から教えてもらうと、一区切りついたところで休憩することにした。
「なぁ、そういえばさ、あの後誰かにお前の始解見せたの?」
「うん、見せたよ。ちゃんとクーちゃんで試した見せ方でね」
「あれって無理矢理な感じしない?」
「しょうがないじゃん。隠さなきゃいけないんだもん。ぼくは嘘つける性格じゃないからさ、能力の一部をそれっぽく見せるのが得策なの」
「そだね。で、誰に見せたの?」
「美沙ちゃんとね……」