第五章
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なつみお気に入り、エリンギの串揚げをつまみつつ、京楽は話しかけた。
「それで、いろいろ話してスッキリしたのかい?」
「そっすね。だいぶ気が楽になりましたよ」
「そうだよね〜。キミは尾田くんと悩みが似てそうだもんね」
誰のせいでそうなってるのかと李空と尾田は、ジトーッと睨んだ。
「じゃあね、今からボクがキミらみんなを慰めてあげよう」えっへん。「邪魔しに来ただけじゃないんだからね😤」
邪魔しに来たんかいと、みんなの注目が集まる中、クッと酒でエリンギを流す。
「今は辛いのが多いんだよね。最初は新しい場所と新しい仕事に慣れるまで忙しくて、要領が掴めて余裕が出ると、今度は以前の環境と比べて寂しくなる。ちょうどホームシックが一番深刻になってる頃でしょ。気持ち、よくわかるよ〜」
本当に共感できているんだろうか。
「キミたちのことだから、三番隊に帰りたいのは、仕事がキツいからではないだろうね。仲良しのお友達と会えないから帰りたいんでしょ。でもこうして、まぁ、約束しなきゃいけないけど、集まれば会えるわけだから、何とか堪えて欲しいね。会えないことに慣れてはもらいたいけど、会いたいと思い続けては欲しいっていうのもあるんだ。キミらの強い絆を見込んで、バラバラの隊に配属されたわけだから」
「絆…ですか?」
「うん。フフッ、いきなりだけど、ここでみんなにクイズ😉」
ジャジャンッ♪
「護廷十三隊の『廷』は何のことでしょうか?」
「はいッ✋‼️」
「はい、なつみちゃん」
「瀞霊廷のことです!」
「せいかーい🥰」
「イェーイ😆」
そんなことはみんな知っている。
「瀞霊廷を護ることが、ボクら死神の役目。じゃあ他には護る場所は無いかな?」
「はーいッ✋‼️…って、お前らも参加しろよ、クイズ大会」
お前らと言いつつ、ノリを求めてレンだけを見て訴えるなつみ。
「わかったよ。はい✋」
「だがしかし、ぼくの方が早かったから、解答権はぼくにありますぅー😙」
(✋💢)
「すばり、流魂街ですね!」
「ピンポーン♪つまり、尸魂界全部ってことになるね。だけど、それだけじゃ足りないんじゃないかな?」
「はい✋」
「お、レンくんどうぞ」
「現世も、死神の活動の場です。魂葬と虚退治をしなきゃいけませんから」
「その通り!こちらの世とあちらの世、2つの世界の平和を保つ大事なお仕事が、ボクらの勤めだよ。すごーく広範囲だと思わない?ひとりじゃ絶対護りきれないよね。だから13隊あるんだけど」
「人が多すぎて、まとめにくいんですね!」
「いやー、なつみちゃんはいち早くボクの言いたいことをわかってくれるね😊」
「えへへ///」
「なつみちゃんの言う通り。いろんな場所でいろんなお仕事をこなす必要があるから、たくさんの隊士がいるんだけど、その人数が増えれば増えるほど、それだけ意見も増えてくる。対立してしまうこともある。でもそれではいけない時もあるよね。
反対意見があることは悪いことじゃない。ボクも右向け右な思想は好きじゃないからさ、時には山じいに文句言うことだってあるよ。それでも、ボクはちょっと怒られるくらいで済んで、事態の悪化にはならないんだ。何でだと思う?」
「お話をちゃんと聞くからですか?」
「フフッ、そうだね。頭ごなしに反対するんじゃなくて、ちゃんとお話を聞いて、どうして違うのかを冷静に考えられるからなんだ。それはボクらの間に信頼があるからじゃないかな。自分で言ってて恥ずかしいけど(笑)」
「でもっ、大事なことです!」
「そう、大事なことだ。例えばね、隊首会に出ると、時折意見が対立するんだ。隊長たちの面子を想像してごらん。誰とは言わないけど、ケンカする人たちがいるんだよ。
最初はその人の意見が気に食わないから嫌いになってケンカだけど、その後からは、その人が嫌いだからとりあえずケンカになっちゃってる。困ったもんだよ」
「ぼくたちと違いますね」
「うん。キミら8人とは違う。みんなそれぞれの意見を持っていても、ケンカをしても、お互いに信頼しているから、話し合って、仲直りして、みんなが納得する方法を導き出すことができるんだ。それは組織において、とても大切で、それができないと、協力しあえなくて非効率なんだよ。
キミらがもっと力をつけて、もっと偉くなって、たくさんの部下を率いるようになったら、その絆が活きてくるはずさ。別の隊だからといがみ合わず、仲良く連携できれば、大きなことも成し遂げられるんだから」
「偉くなれるのかな〜」
「なるさ!」
「そうそう。キミたちなら、副隊長も夢じゃないぞ」
おぉ〜と、各々想像してみる。
「これまでは、三番隊っていう小さな枠の中で収まってたのが、これからは護廷十三隊っていう大きな枠で動けるようになるんだ。組織としては、理想的な形態だよ。だからみんなキミたちに期待してるのさ。ホームシックなんかに負けないでくれよ😉」
本当にちゃんと慰めてもらえて、心がほっこりする6人と、しゅてき…😍とメロメロする1人と、やっぱり蚊帳の外かなと思う1人。
「それからね、期待してることがもう一つあるんだよ」
「何ですか?」
「現隊長格は、優秀な人たちばっかりなのは、みんなも納得のところだよね。一部自画自賛で申し訳ないけど」
くすくすっとみんな笑う。
「で、三席よりも下の人たちはどうだろう。キミらも含めだけど。といっても、なつみちゃんは外さないといけないか(笑)」
「むぅー!どういうことですかぁ!」
「はいはい、お話の邪魔しないの」
美沙にエリンギを咥えさせられるなつみ。もぐもぐ。
「ギリアンをひとりで倒しちゃうなつみちゃんを例外として、副隊長と三席の間にある力の格差を、正直ボクは問題だと思ってる。
もしもさ、隊長格を総動員させないと勝てそうにない敵が現れたら、瀞霊廷の留守をキミらに任せないといけなくなるんだ。山じいなら、ここから遠く離れた場所を戦場にするはずだからね。そんな時に、別の敵さんが瀞霊廷を襲撃してごらんよ。ボクら、帰るお家が無くなっちゃうかも」
「そうだぞ!お前らしっかりお留守番しろよ!」
「キミもお留守番だよ、なつみちゃん」
「えー⁉️😫」
「当たり前だろ、二十席」
「キーッ‼︎こういう時だけ出世したい‼︎」
「信頼と実績が無いからダメだろうな」
「お前の暴走で足を引っ張られる隊長たちがかわいそうだし」
「おう、それ以上言うなよ。泣いてやるぞ」
エリンギで人を指して、脅さないでください。
「キミらはまだまだ成長していく見込みがある。ボクはそう見ているよ。キミたちがこれからいろんな経験を積んで、戦闘能力を上げてくれれば、もうちょっと安心できるんだよね。あと、なつみちゃんは『秘密兵器』だから、お留守番。ね?」
「『ひみつへーき』⁉️💖」
むきゃ〜っと喜ぶが、一般的に、秘密兵器とは秘密で終わることが多いと、ここでは書いておこう。
「美沙ちゃんも😉」
「あたしも⁉️」
蚊帳の外と思われた美沙までも、実は秘密兵器だったらしい。
「そうだよー。自分は関係無いと思ってた?そんなことないよ。なつみちゃんの活躍で隠れてはいるけど、キミの優秀ぶりはボクの耳にも届いてる。キミだって、次世代の護廷隊を担う1人なんだよ。自信持って☺️」
「わーい!美沙ちゃんと一緒!嬉しいね、美沙ちゃん!」
「う、うん」
きゅーっと美沙に抱きつくなつみを眺めて、ニンマリな京楽。
「ホント、この2人をセットでウチの隊に入れようとしてるのにさ。なつみちゃんは市丸隊長から離れたくないって言うし、美沙ちゃんのことは藍染隊長に渡したくないって言われるしさ。結局来てくれたのは、尾田くんだけ😞」
「それは残念でしたね」
「ホントに残念だと思うなら、2人を口説き落としてよ、尾田くん!これは隊長命令だ😤」
「わぁぁぁぁ、聞こえませぇぇん」
両耳を自分で押さえて、聞こえないフリをする。京楽の、イジメとも呼べる隊長命令には、これで対応するようにと、七緒からアドバイスを受けていたのだ。
「わぁぁぁぁ」
「えいっ!」
言うことを聞かない子には、鬼道もとい指導で体罰を。京楽は指先に霊圧を込めて、デコピンを尾田に飛ばしてやった。
「イタッ‼️」
「これからは、耳を塞ぎながらおでこも守れるようにしなさい。それができなきゃ、三席にはさせないからね」
円乗寺にそれができるかときかれると、できないだろう。
「あ!ぼくできると思う!」
何…だと⁉︎
「こうして、こうすると、ほれ、指動かせるに、こうだ!李空、来いや」
「おっしゃ」
挑発を賜った李空は、京楽と同様、指先にググッと霊圧を込める。受け止めるなつみは、両手の親指を耳に突っ込み、まずは更なる挑発をして敵を煽る。掌をヒラヒラさせてベロを出すのだ。
「ベロベロバー😝」
変顔のおまけ付き。
「ウザ💢」バキュンッ
「セイッ‼️」カコンッ
人差し指と中指は伸ばしたまま、薬指と小指を曲げて、鬼道を放つ型を耳を塞いだまま顔の横で構えると、おでこの前にバリアを作った。
「ドヤ〜🤗」
「すごい!できてた!👏」
「俺にそれを隊長にやれってのかよ💧(殺されるって)」
「さすがなつみちゃん!八番隊第三席に任命するよ👏」
「それは遠慮しときます✋」ズバッ
「はーい」
ずぅぅんと落ち込む京楽さん。
そんな落ち込む京楽さんに、クーちゃんが感謝の気持ちを伝える。
「京楽隊長、俺、マジ感動しました!仕事をがんばる意味、自分の中で見つけられそうな気がします。ありがとうございます。ご機嫌な音楽を音漏れさせてくる面白い人はいないけど、新しい楽しみを探して、寂しくないようにします」
「俺も、右に同じっす。俺らで戦力の底上げしてやりますよ!隊長たちがかっこいいばっかじゃ、ズルいですしね。お菓子食べよーって言って、急に他人の部屋に入ってきて居座る変な人もいないけど、人脈広げて、お互いを高め合えるような仲間を増やさないとですね😄」
ハルの感想だ。レンはというと。
「木之本が目立ってんのもズルいしな。負けてらんねー。孤独に押しつぶされそうになったら、ライバルなコイツら思い出して、自分を奮い立たせますよ。な、ケイジ!」
「お、おう」
ケイジはまだちょっと、心につっかえるものがあるような。
「ケイジくん、いいかい?キミは山じいに選ばれて一番隊に入ったんだ。そのことは絶対の事実だから、誇りに思うべきだよ。ボクなら3日と保たないだろう一番隊での生活を、キミは1ヶ月も続けられてるし。それも凄いことさ。忙しいのと、堅苦しい雰囲気のせいで、独りになりがちになって、誰かがポツリと言ってしまった妬みを、みんなの意見だと捉えてしまってるだけかもしれないよ。
そうだ、なつみちゃん。今度雀部さんとこ行った帰りにさ…、て、何してんの?」
「へ?アテッ‼️」
なつみは、テーブルを挟んで、まだ李空とデコピンをして遊んでいた。李空が両手でデコピンの空気砲を連射し、その見えない弾をなつみがシュッシュッと掴むという遊びだ。京楽に話しかけられて、最後の一発は命中してしまったが。
「イテテ。大丈夫ですよ、京楽隊長。ケイジなら大丈夫‼️そうだ!良い言葉を教えてあげる。覚えて帰れよ、ケイジ。ゴホンッ。いくぜ」
両腕を高く掲げ、なつみの声が店内に不思議と響き渡る。
あーる いーず ゔぇーる
「は?」
「だから、"Aal Izz Well"だよ!『3 Idiots』見ろし!『きっと、うまくいく』だぜ」
「あー、俺も見たことある、その映画。面白いよね!」
「クーちゃんも好き?やったー、通じ合ってるぜ、俺ら」
「「Aal Izz Well〜♩♩♩」」
ヒンディー語まではお勉強していないなつみなので、以下鼻歌。でも踊って楽しいので、気にしない気にしない。
「ね!なるようになるんだから、大丈夫。お前が誰かに嫌われてるのが本当でも、ぼくたちはめっちゃお前が好きだから、それで良いじゃん!あなたのことがー、とぅきだかだ〜!」
席を立って踊っていたなつみは、ケイジのとこまで行って、後ろからハグしてやった。「えへへ」と笑うと、すぐに離れて、京楽のもとへ移動。こそっと耳打ち。
「次に先生のとこ行った後、調査をするつもりでいます。サプライズの方が嬉しいに決まってますよ」
「そっか😌」
あまり親切を過ぎると、元柳斎の思う壺となりそうで、多少なりとも不満ではあるが、仲間想いのなつみを止めるなど、京楽にはできなかった。する権利も無い。
「おっしゃー!李空、さっきよりもっと速く撃てよ。全部止めてやらー。連打連打で来い!」
ん?
「連打?れんだ?レンだ〜😚」
レンを指差しながらヘラヘラする。
「お前、マジでしょーもない」
「レンだ、レンだー!レンだ、レンだ、レンだーあー♪」
それを言うなら、リンダリンダ。だがもう楽しくなっちゃったなつみは止まらない。THE BLUE HEARTSの「リンダ リンダ」熱唱が始まる。
ドブネズミみたいに美しくなりたい
写真には写らない美しさがあるから
★「レンだ、レンだー!レンだ、レンだ、レンだー♪ レンだ、レンだー!レンだ、レンだ、レンだー♪」
もしも僕がいつか君と出会い話し合うなら
そんな時はどうか愛の意味を知って下さい
★くり返し
ドブネズミみたいに誰よりもやさしい
ドブネズミみたいに何よりもあたたかく
★くり返し
もしも僕がいつか君と出会い話し合うなら
そんな時はどうか愛の意味を知って下さい
愛じゃなくても恋じゃなくても君を離しはしない
決して負けない強い力を僕は一つだけ持つ
★くり返し
他のお客さんは帰っていて、彼らだけになっていたため、こんな大騒ぎをしても怒られなかった。
「あっはははは!楽しいね!」
「あー、なんか、花見ん時みたい(笑)」
「俺らが揃うと、何でいつもバカ騒ぎになるんだよ(笑)」
「バカ騒ぎするために集まるんだろ!バーカ!」
「バカって言う方がバカだ、クソチビ」
「やっぱお前ら最高だわ」
「当たり前だろ‼︎」
「先月まで、こんなんが毎日だったの?三番隊って相当賑やかだったのね😅」
「なつみちゃんがいてこそだよ」
するとそのタイミングでお店の扉が開いた。
「もー、なつみちゃーん、歌声が外まで聞こえるで〜」
「あ!市丸隊長ー!」
もう自分の上司ではないのだが、それでも尊敬する彼の姿を再び拝見することができ、6人は込み上げてくる喜びで、目頭が熱くなった。
「「「「「「お疲れ様です!市丸隊長!」」」」」」
「お疲れ、みんな😄」
「用事があるから来れないって言ったじゃないですかー」
「はよ終わったから来れたんよ。こんばんは、京楽さん、美沙ちゃん」
「こんばんは」「お疲れ様です」
立ち上がって踊り跳ねていたなつみの空いた席に勝手に座って、市丸が一言。
「そいで、みんな、元気?😊」
嬉しくて嬉しくて。
「「「「「「はい‼️‼️」」」」」」
「そっか。良かった」
なんだか良い雰囲気だったのに、そこでなつみは手に腰を当てて、偉そうに言った。
「嘘つけ。さっきまでグチグチパーリーだったくせに」
「うるせぇ!」
「さっきはさっき!」
「もういいの!」
「つーかさ、会えなくて寂しがってたの、お前だって一緒だったんだろ、木之本」
「もしくは、いちばん会いたがってたのがお前だったりして?」
「じゃなきゃ、連絡よこすはずねぇもんな」
一発パンチしたら、パンパンやり返されて、うるうるする。
「うる、うっ、うるせぇ。会いたかったよ。寂しかったんだよ。会いたくなっちゃって、悪いか、ちくしょー!😭」泣き出した。「えーーーん‼︎💦」
これでシラフとは。
「ぼくも元気でぇす😭」
「「「「「「嘘つけぇ‼️(笑)」」」」」」
「みんな元気で一安心やわ〜♪」
「いや、なつみ泣いてますけど💧」
「ボクの胸で泣いて良いよ。おいで、なつみちゃん!」
「ここで大丈夫ですぅ😭」
「そうかい💧」
こうして、明日からは気持ちを切り替えて、新たな意気込みと共に死神業務に取り組むことができそうだった。遠くに離れていても、みんなの心はそばにある。それを確認できた夜だった。寂しくなったら会いに行こう。それができるように、いつでも元気に生きていかねば。みんなが頭を撫でてくれると、なつみの泣き顔は笑顔に変わっていった。
「そんなになでなでしないでよー。ハゲるー‼︎‼︎🤣」
会えないと、触れないし、触ってもらえないから。
「それで、いろいろ話してスッキリしたのかい?」
「そっすね。だいぶ気が楽になりましたよ」
「そうだよね〜。キミは尾田くんと悩みが似てそうだもんね」
誰のせいでそうなってるのかと李空と尾田は、ジトーッと睨んだ。
「じゃあね、今からボクがキミらみんなを慰めてあげよう」えっへん。「邪魔しに来ただけじゃないんだからね😤」
邪魔しに来たんかいと、みんなの注目が集まる中、クッと酒でエリンギを流す。
「今は辛いのが多いんだよね。最初は新しい場所と新しい仕事に慣れるまで忙しくて、要領が掴めて余裕が出ると、今度は以前の環境と比べて寂しくなる。ちょうどホームシックが一番深刻になってる頃でしょ。気持ち、よくわかるよ〜」
本当に共感できているんだろうか。
「キミたちのことだから、三番隊に帰りたいのは、仕事がキツいからではないだろうね。仲良しのお友達と会えないから帰りたいんでしょ。でもこうして、まぁ、約束しなきゃいけないけど、集まれば会えるわけだから、何とか堪えて欲しいね。会えないことに慣れてはもらいたいけど、会いたいと思い続けては欲しいっていうのもあるんだ。キミらの強い絆を見込んで、バラバラの隊に配属されたわけだから」
「絆…ですか?」
「うん。フフッ、いきなりだけど、ここでみんなにクイズ😉」
ジャジャンッ♪
「護廷十三隊の『廷』は何のことでしょうか?」
「はいッ✋‼️」
「はい、なつみちゃん」
「瀞霊廷のことです!」
「せいかーい🥰」
「イェーイ😆」
そんなことはみんな知っている。
「瀞霊廷を護ることが、ボクら死神の役目。じゃあ他には護る場所は無いかな?」
「はーいッ✋‼️…って、お前らも参加しろよ、クイズ大会」
お前らと言いつつ、ノリを求めてレンだけを見て訴えるなつみ。
「わかったよ。はい✋」
「だがしかし、ぼくの方が早かったから、解答権はぼくにありますぅー😙」
(✋💢)
「すばり、流魂街ですね!」
「ピンポーン♪つまり、尸魂界全部ってことになるね。だけど、それだけじゃ足りないんじゃないかな?」
「はい✋」
「お、レンくんどうぞ」
「現世も、死神の活動の場です。魂葬と虚退治をしなきゃいけませんから」
「その通り!こちらの世とあちらの世、2つの世界の平和を保つ大事なお仕事が、ボクらの勤めだよ。すごーく広範囲だと思わない?ひとりじゃ絶対護りきれないよね。だから13隊あるんだけど」
「人が多すぎて、まとめにくいんですね!」
「いやー、なつみちゃんはいち早くボクの言いたいことをわかってくれるね😊」
「えへへ///」
「なつみちゃんの言う通り。いろんな場所でいろんなお仕事をこなす必要があるから、たくさんの隊士がいるんだけど、その人数が増えれば増えるほど、それだけ意見も増えてくる。対立してしまうこともある。でもそれではいけない時もあるよね。
反対意見があることは悪いことじゃない。ボクも右向け右な思想は好きじゃないからさ、時には山じいに文句言うことだってあるよ。それでも、ボクはちょっと怒られるくらいで済んで、事態の悪化にはならないんだ。何でだと思う?」
「お話をちゃんと聞くからですか?」
「フフッ、そうだね。頭ごなしに反対するんじゃなくて、ちゃんとお話を聞いて、どうして違うのかを冷静に考えられるからなんだ。それはボクらの間に信頼があるからじゃないかな。自分で言ってて恥ずかしいけど(笑)」
「でもっ、大事なことです!」
「そう、大事なことだ。例えばね、隊首会に出ると、時折意見が対立するんだ。隊長たちの面子を想像してごらん。誰とは言わないけど、ケンカする人たちがいるんだよ。
最初はその人の意見が気に食わないから嫌いになってケンカだけど、その後からは、その人が嫌いだからとりあえずケンカになっちゃってる。困ったもんだよ」
「ぼくたちと違いますね」
「うん。キミら8人とは違う。みんなそれぞれの意見を持っていても、ケンカをしても、お互いに信頼しているから、話し合って、仲直りして、みんなが納得する方法を導き出すことができるんだ。それは組織において、とても大切で、それができないと、協力しあえなくて非効率なんだよ。
キミらがもっと力をつけて、もっと偉くなって、たくさんの部下を率いるようになったら、その絆が活きてくるはずさ。別の隊だからといがみ合わず、仲良く連携できれば、大きなことも成し遂げられるんだから」
「偉くなれるのかな〜」
「なるさ!」
「そうそう。キミたちなら、副隊長も夢じゃないぞ」
おぉ〜と、各々想像してみる。
「これまでは、三番隊っていう小さな枠の中で収まってたのが、これからは護廷十三隊っていう大きな枠で動けるようになるんだ。組織としては、理想的な形態だよ。だからみんなキミたちに期待してるのさ。ホームシックなんかに負けないでくれよ😉」
本当にちゃんと慰めてもらえて、心がほっこりする6人と、しゅてき…😍とメロメロする1人と、やっぱり蚊帳の外かなと思う1人。
「それからね、期待してることがもう一つあるんだよ」
「何ですか?」
「現隊長格は、優秀な人たちばっかりなのは、みんなも納得のところだよね。一部自画自賛で申し訳ないけど」
くすくすっとみんな笑う。
「で、三席よりも下の人たちはどうだろう。キミらも含めだけど。といっても、なつみちゃんは外さないといけないか(笑)」
「むぅー!どういうことですかぁ!」
「はいはい、お話の邪魔しないの」
美沙にエリンギを咥えさせられるなつみ。もぐもぐ。
「ギリアンをひとりで倒しちゃうなつみちゃんを例外として、副隊長と三席の間にある力の格差を、正直ボクは問題だと思ってる。
もしもさ、隊長格を総動員させないと勝てそうにない敵が現れたら、瀞霊廷の留守をキミらに任せないといけなくなるんだ。山じいなら、ここから遠く離れた場所を戦場にするはずだからね。そんな時に、別の敵さんが瀞霊廷を襲撃してごらんよ。ボクら、帰るお家が無くなっちゃうかも」
「そうだぞ!お前らしっかりお留守番しろよ!」
「キミもお留守番だよ、なつみちゃん」
「えー⁉️😫」
「当たり前だろ、二十席」
「キーッ‼︎こういう時だけ出世したい‼︎」
「信頼と実績が無いからダメだろうな」
「お前の暴走で足を引っ張られる隊長たちがかわいそうだし」
「おう、それ以上言うなよ。泣いてやるぞ」
エリンギで人を指して、脅さないでください。
「キミらはまだまだ成長していく見込みがある。ボクはそう見ているよ。キミたちがこれからいろんな経験を積んで、戦闘能力を上げてくれれば、もうちょっと安心できるんだよね。あと、なつみちゃんは『秘密兵器』だから、お留守番。ね?」
「『ひみつへーき』⁉️💖」
むきゃ〜っと喜ぶが、一般的に、秘密兵器とは秘密で終わることが多いと、ここでは書いておこう。
「美沙ちゃんも😉」
「あたしも⁉️」
蚊帳の外と思われた美沙までも、実は秘密兵器だったらしい。
「そうだよー。自分は関係無いと思ってた?そんなことないよ。なつみちゃんの活躍で隠れてはいるけど、キミの優秀ぶりはボクの耳にも届いてる。キミだって、次世代の護廷隊を担う1人なんだよ。自信持って☺️」
「わーい!美沙ちゃんと一緒!嬉しいね、美沙ちゃん!」
「う、うん」
きゅーっと美沙に抱きつくなつみを眺めて、ニンマリな京楽。
「ホント、この2人をセットでウチの隊に入れようとしてるのにさ。なつみちゃんは市丸隊長から離れたくないって言うし、美沙ちゃんのことは藍染隊長に渡したくないって言われるしさ。結局来てくれたのは、尾田くんだけ😞」
「それは残念でしたね」
「ホントに残念だと思うなら、2人を口説き落としてよ、尾田くん!これは隊長命令だ😤」
「わぁぁぁぁ、聞こえませぇぇん」
両耳を自分で押さえて、聞こえないフリをする。京楽の、イジメとも呼べる隊長命令には、これで対応するようにと、七緒からアドバイスを受けていたのだ。
「わぁぁぁぁ」
「えいっ!」
言うことを聞かない子には、鬼道もとい指導で体罰を。京楽は指先に霊圧を込めて、デコピンを尾田に飛ばしてやった。
「イタッ‼️」
「これからは、耳を塞ぎながらおでこも守れるようにしなさい。それができなきゃ、三席にはさせないからね」
円乗寺にそれができるかときかれると、できないだろう。
「あ!ぼくできると思う!」
何…だと⁉︎
「こうして、こうすると、ほれ、指動かせるに、こうだ!李空、来いや」
「おっしゃ」
挑発を賜った李空は、京楽と同様、指先にググッと霊圧を込める。受け止めるなつみは、両手の親指を耳に突っ込み、まずは更なる挑発をして敵を煽る。掌をヒラヒラさせてベロを出すのだ。
「ベロベロバー😝」
変顔のおまけ付き。
「ウザ💢」バキュンッ
「セイッ‼️」カコンッ
人差し指と中指は伸ばしたまま、薬指と小指を曲げて、鬼道を放つ型を耳を塞いだまま顔の横で構えると、おでこの前にバリアを作った。
「ドヤ〜🤗」
「すごい!できてた!👏」
「俺にそれを隊長にやれってのかよ💧(殺されるって)」
「さすがなつみちゃん!八番隊第三席に任命するよ👏」
「それは遠慮しときます✋」ズバッ
「はーい」
ずぅぅんと落ち込む京楽さん。
そんな落ち込む京楽さんに、クーちゃんが感謝の気持ちを伝える。
「京楽隊長、俺、マジ感動しました!仕事をがんばる意味、自分の中で見つけられそうな気がします。ありがとうございます。ご機嫌な音楽を音漏れさせてくる面白い人はいないけど、新しい楽しみを探して、寂しくないようにします」
「俺も、右に同じっす。俺らで戦力の底上げしてやりますよ!隊長たちがかっこいいばっかじゃ、ズルいですしね。お菓子食べよーって言って、急に他人の部屋に入ってきて居座る変な人もいないけど、人脈広げて、お互いを高め合えるような仲間を増やさないとですね😄」
ハルの感想だ。レンはというと。
「木之本が目立ってんのもズルいしな。負けてらんねー。孤独に押しつぶされそうになったら、ライバルなコイツら思い出して、自分を奮い立たせますよ。な、ケイジ!」
「お、おう」
ケイジはまだちょっと、心につっかえるものがあるような。
「ケイジくん、いいかい?キミは山じいに選ばれて一番隊に入ったんだ。そのことは絶対の事実だから、誇りに思うべきだよ。ボクなら3日と保たないだろう一番隊での生活を、キミは1ヶ月も続けられてるし。それも凄いことさ。忙しいのと、堅苦しい雰囲気のせいで、独りになりがちになって、誰かがポツリと言ってしまった妬みを、みんなの意見だと捉えてしまってるだけかもしれないよ。
そうだ、なつみちゃん。今度雀部さんとこ行った帰りにさ…、て、何してんの?」
「へ?アテッ‼️」
なつみは、テーブルを挟んで、まだ李空とデコピンをして遊んでいた。李空が両手でデコピンの空気砲を連射し、その見えない弾をなつみがシュッシュッと掴むという遊びだ。京楽に話しかけられて、最後の一発は命中してしまったが。
「イテテ。大丈夫ですよ、京楽隊長。ケイジなら大丈夫‼️そうだ!良い言葉を教えてあげる。覚えて帰れよ、ケイジ。ゴホンッ。いくぜ」
両腕を高く掲げ、なつみの声が店内に不思議と響き渡る。
あーる いーず ゔぇーる
「は?」
「だから、"Aal Izz Well"だよ!『3 Idiots』見ろし!『きっと、うまくいく』だぜ」
「あー、俺も見たことある、その映画。面白いよね!」
「クーちゃんも好き?やったー、通じ合ってるぜ、俺ら」
「「Aal Izz Well〜♩♩♩」」
ヒンディー語まではお勉強していないなつみなので、以下鼻歌。でも踊って楽しいので、気にしない気にしない。
「ね!なるようになるんだから、大丈夫。お前が誰かに嫌われてるのが本当でも、ぼくたちはめっちゃお前が好きだから、それで良いじゃん!あなたのことがー、とぅきだかだ〜!」
席を立って踊っていたなつみは、ケイジのとこまで行って、後ろからハグしてやった。「えへへ」と笑うと、すぐに離れて、京楽のもとへ移動。こそっと耳打ち。
「次に先生のとこ行った後、調査をするつもりでいます。サプライズの方が嬉しいに決まってますよ」
「そっか😌」
あまり親切を過ぎると、元柳斎の思う壺となりそうで、多少なりとも不満ではあるが、仲間想いのなつみを止めるなど、京楽にはできなかった。する権利も無い。
「おっしゃー!李空、さっきよりもっと速く撃てよ。全部止めてやらー。連打連打で来い!」
ん?
「連打?れんだ?レンだ〜😚」
レンを指差しながらヘラヘラする。
「お前、マジでしょーもない」
「レンだ、レンだー!レンだ、レンだ、レンだーあー♪」
それを言うなら、リンダリンダ。だがもう楽しくなっちゃったなつみは止まらない。THE BLUE HEARTSの「リンダ リンダ」熱唱が始まる。
ドブネズミみたいに美しくなりたい
写真には写らない美しさがあるから
★「レンだ、レンだー!レンだ、レンだ、レンだー♪ レンだ、レンだー!レンだ、レンだ、レンだー♪」
もしも僕がいつか君と出会い話し合うなら
そんな時はどうか愛の意味を知って下さい
★くり返し
ドブネズミみたいに誰よりもやさしい
ドブネズミみたいに何よりもあたたかく
★くり返し
もしも僕がいつか君と出会い話し合うなら
そんな時はどうか愛の意味を知って下さい
愛じゃなくても恋じゃなくても君を離しはしない
決して負けない強い力を僕は一つだけ持つ
★くり返し
他のお客さんは帰っていて、彼らだけになっていたため、こんな大騒ぎをしても怒られなかった。
「あっはははは!楽しいね!」
「あー、なんか、花見ん時みたい(笑)」
「俺らが揃うと、何でいつもバカ騒ぎになるんだよ(笑)」
「バカ騒ぎするために集まるんだろ!バーカ!」
「バカって言う方がバカだ、クソチビ」
「やっぱお前ら最高だわ」
「当たり前だろ‼︎」
「先月まで、こんなんが毎日だったの?三番隊って相当賑やかだったのね😅」
「なつみちゃんがいてこそだよ」
するとそのタイミングでお店の扉が開いた。
「もー、なつみちゃーん、歌声が外まで聞こえるで〜」
「あ!市丸隊長ー!」
もう自分の上司ではないのだが、それでも尊敬する彼の姿を再び拝見することができ、6人は込み上げてくる喜びで、目頭が熱くなった。
「「「「「「お疲れ様です!市丸隊長!」」」」」」
「お疲れ、みんな😄」
「用事があるから来れないって言ったじゃないですかー」
「はよ終わったから来れたんよ。こんばんは、京楽さん、美沙ちゃん」
「こんばんは」「お疲れ様です」
立ち上がって踊り跳ねていたなつみの空いた席に勝手に座って、市丸が一言。
「そいで、みんな、元気?😊」
嬉しくて嬉しくて。
「「「「「「はい‼️‼️」」」」」」
「そっか。良かった」
なんだか良い雰囲気だったのに、そこでなつみは手に腰を当てて、偉そうに言った。
「嘘つけ。さっきまでグチグチパーリーだったくせに」
「うるせぇ!」
「さっきはさっき!」
「もういいの!」
「つーかさ、会えなくて寂しがってたの、お前だって一緒だったんだろ、木之本」
「もしくは、いちばん会いたがってたのがお前だったりして?」
「じゃなきゃ、連絡よこすはずねぇもんな」
一発パンチしたら、パンパンやり返されて、うるうるする。
「うる、うっ、うるせぇ。会いたかったよ。寂しかったんだよ。会いたくなっちゃって、悪いか、ちくしょー!😭」泣き出した。「えーーーん‼︎💦」
これでシラフとは。
「ぼくも元気でぇす😭」
「「「「「「嘘つけぇ‼️(笑)」」」」」」
「みんな元気で一安心やわ〜♪」
「いや、なつみ泣いてますけど💧」
「ボクの胸で泣いて良いよ。おいで、なつみちゃん!」
「ここで大丈夫ですぅ😭」
「そうかい💧」
こうして、明日からは気持ちを切り替えて、新たな意気込みと共に死神業務に取り組むことができそうだった。遠くに離れていても、みんなの心はそばにある。それを確認できた夜だった。寂しくなったら会いに行こう。それができるように、いつでも元気に生きていかねば。みんなが頭を撫でてくれると、なつみの泣き顔は笑顔に変わっていった。
「そんなになでなでしないでよー。ハゲるー‼︎‼︎🤣」
会えないと、触れないし、触ってもらえないから。