第四章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なつみが悩もうと、朝は昨日と同じようにやって来る。昨日の朝とは、いる世界が違うのだが。
「昨日はサボっちまったからな!ちょっとくらい走っとかないと、鈍っちまうぜ」
ぐぉぉ〜っと伸びをした尾田は、ランニングウェアを着ていた。まだ朝飯前。
「木之本、ほんとに帰ってこなかったな」
「風呂と歯磨きだけ済ませて、あと行ったっきりだもんな」
「昼間はあんなに『ひとりで寝たくないー‼️』って言ってたのにな(笑)」
「構うもんか。アイツのことだ、夢遊病だとか言って、何しでかすかわかったもんじゃねぇ。これで良かったんだよ」
「クスッ、ピロートークのこと?😏」
「お前さ、いつも余裕ありげにからかってくるけど、その気は無ぇの?」
「フッ、まさか、冗談よしてよ」その男、何気ないトーンで続ける。「お前らがいなきゃ、とっくにヤッてる。…誰だってそうだろ」
みんながいなきゃと言いつつ、みんなで行動する人たち。冷んやりとした空気の中、なつみを起こしにいくついでに、牧場敷地内をぐるっと走ってくるらしい。
みるくセンターの前で、エサをあげる女将さんとそのエサをガツガツ食べるケイティに会った。
「「「「「「おはようございます!」」」」」」
「あら、おはよう!早いわねー」
「ワン‼️」
「っていうか、眩しいッ!朝日に照らされたイケメンたちが眩しすぎるッ‼︎キャハァ〜ッ😍💖」
この人は…💧
「みんなでジョギング?😃」
「はい🙂」
「そ〜。精が出るわね」
「体を鍛えるのも、仕事のうちですから」
「あー、悪い人を追っかけるために?大変ね〜、探偵さん」
「あはは😅」
この嘘、最後まで貫けるのか。
「木之本はまだ寝てますか?」
「私が見たときは、まだなつみちゃん寝てたわよ。柵越しだけど、あの親子とぴったりくっついて寝てた。かわいいわよぉ。観察カメラに映ってたんだけどね、夜寝る前に、お母さん牛とお話してたみたい。ほんと変わった子よね(笑)」
「なんか、すいませんね、アイツのわがまま聞いてもらっちゃって」
「良いのよ〜。これも命のお勉強だから、協力してあげなきゃ。知った上で、どうこれからを過ごしていくのか、納得するまでとことん考えて、自分なりに決めたいはずだもの。向き合おうとしてくれたこと、ほんとに感謝してる。なつみちゃんは、とっても良い子ね」
同感だというふうに、6人は微笑んだ。
牛舎に入り、なつみのもとへ。
「イモムシ」
すっかり毛がふわふわふさふさしている赤ちゃんが眠るその横に、ころんと寝ている赤いイモムシ。もとい、なつみ。スタッフの方から借りた寝袋で眠っている。
「よくこんなとこで寝れるよ」
「お母さんはご飯中だね」
「モ〜🐄」
「おはよう、お母さん😄」
「おーい、起きろ、木之本」
李空がしゃがんで、なつみのほっぺをツンツンした。
「むにゅ…うにゅ〜…」
まだ寝かせろということだろうか。なつみは、うにょうにょと寝返りをした。
「起きろっつんだよッ💢」
ブシュッと強めにほっぺを突く。
「あむッ💢」
怒ったなつみは李空の指に噛み付いた、というか、咥えた。
「うわッ💦」
ちゅぷんっ
「うわぁー、汚ねぇ」
とっさに指を抜き、とっさにシャツの裾でふきふき。
「んー…」
「モ〜」
何事かと、なつみと赤ちゃんは薄目で辺りを確認した。
「おはよー…😑」
「おはよ、なつみ」
「おはよー、サンタ」
「サンタ?」
なつみは寝袋のファスナーを下ろして、腕を伸ばし、赤ちゃんの頭を撫でた。
「お前…、そいつに名前付けちまったのか?」
「良いじゃん。ぼくらだけの内緒だよ」
2人は、くぁ〜と🥱あくびをして、伸びをして、ようやくパッチリと目覚めた。
「木之本、鍵」
「おう、ありがと」
「俺ら、牧場をひとっ走りしてくるからよ。お前も来たきゃ、追いかけてこいな」
「はーい。いってらっしゃーい👋」
「来る気無ぇな💧」
そんなことは滅多に起こることではない。あっては困ることだ。しかし、なつみが現世に来ると、何故だか滅多なことが起こる。見た目は子供、頭脳は大人だからなのか。
この辺りは畜産が盛んで、動物たちの生命が大河のように巡っている。普段は人間の魂魄を求める虚も、この密度に引き寄せられることもある。そしてこの時は珍しく、その引き寄せられた虚に引き寄せられた大きな虚が、空を割って現れた。
「嘘だろ⁉︎こんなところにギリアン⁉︎」
ジョギング中の6人は、花畑のある丘でそれを確認した。
「どうする。ここら担当の死神に任せるにも、メノスじゃ無理だろ」
「6人でやりゃあ、なんとかなるんじゃ?」
「でも、尸魂界からの指示が先だよ」
「勝手に動いて、隊に迷惑かけることになっても困るしな」
「奴の狙いは虚だ。腹を満たせば帰ってくれるかもしれねぇ。すぐ動けるように、様子を見つつ、待機しよう」
と、気になる事がひとつ。
「木之本は、コテージにいるよな」
そんな訳が無い。
「あ‼︎‼︎あれ、なつみじゃない⁉︎」
「ひとりでなんか無理だ‼︎あのクソチビッ」
ソウルキャンディを各々飲み込み、死神の姿でギリアンの方へ駆けていくが、なつみの方が断然速い。
なつみはギリアンの真正面で構えた。敵を確認し、ギリアンは虚閃を放つ準備をする。収縮される霊子を前に、なつみは霊圧を上げて能力を解放した。
「叶え、夢現天道子。散らせ」
集められる霊子より先に、内側から外側に拡散する力が速く加えられ、虚閃は不発に終わった。新たな集束が始まっても、結果は同じ。既になつみは、ギリアン1体相手では、負けない力を有していた。※彼女は特殊な訓練を受けています
「諦めてください。ぼくは攻撃を望まない」
6人は近くまで来たには来たが、そこから先は壁があるかのように進めない。
「おい‼︎ 木之本‼︎無茶するな‼︎」
見えない壁を叩いても、斬魄刀で斬ろうとしても、どうにもできない。
なつみは憂いを秘めた瞳でギリアンを見つめる。ギリアンもその瞳に応える。大きな手が下からゆっくり上がってきた。
「アイツ、何する気だよ」
「なつみ、握り潰されちゃうっ」
「木之本ー‼︎中に入れろぉーッ‼︎」
壁の内側は静かな空間。彼らを邪魔する者は無し。
ギリアンの片手がなつみに届こうとした。それを迎えにいくように、なつみの小さな手が伸ばされる。触れればまた、虚の感情が彼女を呑み込むだろう。それでも彼女はもう、あの頃の彼女とは違っていた。
「魂へ救済を…。今のぼくには、この方法しかできません。お許しください。でもいつか、いつかきっと…」
続きの言葉は喉の中、唇をくっと噛み、念を込める構えに変える。
ふわり…、ギリアンの体が後ろに反って、下がっていく。幸せが誘う眠りへと、落ちていくように。
「次の世界は、もう少し、悪いことが減っていることを祈って、楽しみにしていてください。応えてくれる人が、きっといますよ」
すっとギリアンの真上へ移動。斬魄刀を振り上げる。くっと力を込めて柄を握りなおすと、ふっと呼吸を整えた。
「いきます」
仲間たちが蚊帳の外から固唾を飲んで見守る中、なつみは自らの迷いも断ち切るように、全力で夢現天道子を振り下ろした。刀身が、ギリアンの上から下までしっかりと貫けるように伸びていく。
ズドーンッ‼︎‼︎…………
巨体を真っ二つにするほどの爆発的な霊圧が、周囲に衝撃を行き渡らせた。なつみの作った見えない壁によって、その外側に影響は無かったが、6人は驚きに襲われていた。
「アイツ…、こんな強くなってたのか…」
「あり得ねえ…」
空中で佇むなつみの全身を撫でるように、虚を構成していた魂魄の数々が昇華されていく。その中で、なつみはたくさんの声を聞いていた。
「少しずつ…、少しずつ…」
モ〜、モ〜
尾田は伝令神機を取り出した。なつみから視線を外さずに、通話を始める。
「三番隊第十四席、尾田です」
「尾田くん!大変や!そこの牧場辺りでギリアンが出現したらしいわ!」
「はい。そうですね」
「あ、確認できてる?ごめんな。ウチの担当地区とちゃうから、連絡が遅なってもうて。みんなケガとかしてへん?大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
「え…?ナニ…?あ、ほんま!」市丸は一瞬、電話口から離れたところで話していたが、すぐに通話に戻る。「尾田くん、もうギリアン倒されたらしいわ。良かったわ〜。仕事早かったな!優秀な人らがおったんやね😄」
「木之本がひとりでやりました」
息を飲む間。
「へ…?マジで…?」
「マジっす」
「お疲れ様です。勝手に動いて、すいませんでした。被害を最小限にと思って、とっさにやっちゃいました」
なつみは尾田の瞬きの間にそちらにいて、尾田の手から伝令神機を奪っていた。
「もー、無茶してもうて。そういう大っきいことはな、仕事中にしてや。休み中にされても、点数つけられへんよ」
「ついたところで、出世なんか興味無いですよ」
その声色に異変を感じる。
「なんかあった?大丈夫?」
「いろんなことを見直せる良い旅ですよ」
「…そっか。帰ってきたら、話聞かせてや」
「はーい。では、尾田に返します」
そう言って伝令神機を返すと、えぐってしまった地面を元通りにするため、ギリアンのいた場所へ帰っていった。
「なつみー!手伝うよー!」
それくらいは手を出させて欲しいお友だち。
「木之本、斬ったな」
「ああ、それな。てっきり虚圏に送り返すもんだと思ってたのに」
「昨日はサボっちまったからな!ちょっとくらい走っとかないと、鈍っちまうぜ」
ぐぉぉ〜っと伸びをした尾田は、ランニングウェアを着ていた。まだ朝飯前。
「木之本、ほんとに帰ってこなかったな」
「風呂と歯磨きだけ済ませて、あと行ったっきりだもんな」
「昼間はあんなに『ひとりで寝たくないー‼️』って言ってたのにな(笑)」
「構うもんか。アイツのことだ、夢遊病だとか言って、何しでかすかわかったもんじゃねぇ。これで良かったんだよ」
「クスッ、ピロートークのこと?😏」
「お前さ、いつも余裕ありげにからかってくるけど、その気は無ぇの?」
「フッ、まさか、冗談よしてよ」その男、何気ないトーンで続ける。「お前らがいなきゃ、とっくにヤッてる。…誰だってそうだろ」
みんながいなきゃと言いつつ、みんなで行動する人たち。冷んやりとした空気の中、なつみを起こしにいくついでに、牧場敷地内をぐるっと走ってくるらしい。
みるくセンターの前で、エサをあげる女将さんとそのエサをガツガツ食べるケイティに会った。
「「「「「「おはようございます!」」」」」」
「あら、おはよう!早いわねー」
「ワン‼️」
「っていうか、眩しいッ!朝日に照らされたイケメンたちが眩しすぎるッ‼︎キャハァ〜ッ😍💖」
この人は…💧
「みんなでジョギング?😃」
「はい🙂」
「そ〜。精が出るわね」
「体を鍛えるのも、仕事のうちですから」
「あー、悪い人を追っかけるために?大変ね〜、探偵さん」
「あはは😅」
この嘘、最後まで貫けるのか。
「木之本はまだ寝てますか?」
「私が見たときは、まだなつみちゃん寝てたわよ。柵越しだけど、あの親子とぴったりくっついて寝てた。かわいいわよぉ。観察カメラに映ってたんだけどね、夜寝る前に、お母さん牛とお話してたみたい。ほんと変わった子よね(笑)」
「なんか、すいませんね、アイツのわがまま聞いてもらっちゃって」
「良いのよ〜。これも命のお勉強だから、協力してあげなきゃ。知った上で、どうこれからを過ごしていくのか、納得するまでとことん考えて、自分なりに決めたいはずだもの。向き合おうとしてくれたこと、ほんとに感謝してる。なつみちゃんは、とっても良い子ね」
同感だというふうに、6人は微笑んだ。
牛舎に入り、なつみのもとへ。
「イモムシ」
すっかり毛がふわふわふさふさしている赤ちゃんが眠るその横に、ころんと寝ている赤いイモムシ。もとい、なつみ。スタッフの方から借りた寝袋で眠っている。
「よくこんなとこで寝れるよ」
「お母さんはご飯中だね」
「モ〜🐄」
「おはよう、お母さん😄」
「おーい、起きろ、木之本」
李空がしゃがんで、なつみのほっぺをツンツンした。
「むにゅ…うにゅ〜…」
まだ寝かせろということだろうか。なつみは、うにょうにょと寝返りをした。
「起きろっつんだよッ💢」
ブシュッと強めにほっぺを突く。
「あむッ💢」
怒ったなつみは李空の指に噛み付いた、というか、咥えた。
「うわッ💦」
ちゅぷんっ
「うわぁー、汚ねぇ」
とっさに指を抜き、とっさにシャツの裾でふきふき。
「んー…」
「モ〜」
何事かと、なつみと赤ちゃんは薄目で辺りを確認した。
「おはよー…😑」
「おはよ、なつみ」
「おはよー、サンタ」
「サンタ?」
なつみは寝袋のファスナーを下ろして、腕を伸ばし、赤ちゃんの頭を撫でた。
「お前…、そいつに名前付けちまったのか?」
「良いじゃん。ぼくらだけの内緒だよ」
2人は、くぁ〜と🥱あくびをして、伸びをして、ようやくパッチリと目覚めた。
「木之本、鍵」
「おう、ありがと」
「俺ら、牧場をひとっ走りしてくるからよ。お前も来たきゃ、追いかけてこいな」
「はーい。いってらっしゃーい👋」
「来る気無ぇな💧」
そんなことは滅多に起こることではない。あっては困ることだ。しかし、なつみが現世に来ると、何故だか滅多なことが起こる。見た目は子供、頭脳は大人だからなのか。
この辺りは畜産が盛んで、動物たちの生命が大河のように巡っている。普段は人間の魂魄を求める虚も、この密度に引き寄せられることもある。そしてこの時は珍しく、その引き寄せられた虚に引き寄せられた大きな虚が、空を割って現れた。
「嘘だろ⁉︎こんなところにギリアン⁉︎」
ジョギング中の6人は、花畑のある丘でそれを確認した。
「どうする。ここら担当の死神に任せるにも、メノスじゃ無理だろ」
「6人でやりゃあ、なんとかなるんじゃ?」
「でも、尸魂界からの指示が先だよ」
「勝手に動いて、隊に迷惑かけることになっても困るしな」
「奴の狙いは虚だ。腹を満たせば帰ってくれるかもしれねぇ。すぐ動けるように、様子を見つつ、待機しよう」
と、気になる事がひとつ。
「木之本は、コテージにいるよな」
そんな訳が無い。
「あ‼︎‼︎あれ、なつみじゃない⁉︎」
「ひとりでなんか無理だ‼︎あのクソチビッ」
ソウルキャンディを各々飲み込み、死神の姿でギリアンの方へ駆けていくが、なつみの方が断然速い。
なつみはギリアンの真正面で構えた。敵を確認し、ギリアンは虚閃を放つ準備をする。収縮される霊子を前に、なつみは霊圧を上げて能力を解放した。
「叶え、夢現天道子。散らせ」
集められる霊子より先に、内側から外側に拡散する力が速く加えられ、虚閃は不発に終わった。新たな集束が始まっても、結果は同じ。既になつみは、ギリアン1体相手では、負けない力を有していた。※彼女は特殊な訓練を受けています
「諦めてください。ぼくは攻撃を望まない」
6人は近くまで来たには来たが、そこから先は壁があるかのように進めない。
「おい‼︎ 木之本‼︎無茶するな‼︎」
見えない壁を叩いても、斬魄刀で斬ろうとしても、どうにもできない。
なつみは憂いを秘めた瞳でギリアンを見つめる。ギリアンもその瞳に応える。大きな手が下からゆっくり上がってきた。
「アイツ、何する気だよ」
「なつみ、握り潰されちゃうっ」
「木之本ー‼︎中に入れろぉーッ‼︎」
壁の内側は静かな空間。彼らを邪魔する者は無し。
ギリアンの片手がなつみに届こうとした。それを迎えにいくように、なつみの小さな手が伸ばされる。触れればまた、虚の感情が彼女を呑み込むだろう。それでも彼女はもう、あの頃の彼女とは違っていた。
「魂へ救済を…。今のぼくには、この方法しかできません。お許しください。でもいつか、いつかきっと…」
続きの言葉は喉の中、唇をくっと噛み、念を込める構えに変える。
ふわり…、ギリアンの体が後ろに反って、下がっていく。幸せが誘う眠りへと、落ちていくように。
「次の世界は、もう少し、悪いことが減っていることを祈って、楽しみにしていてください。応えてくれる人が、きっといますよ」
すっとギリアンの真上へ移動。斬魄刀を振り上げる。くっと力を込めて柄を握りなおすと、ふっと呼吸を整えた。
「いきます」
仲間たちが蚊帳の外から固唾を飲んで見守る中、なつみは自らの迷いも断ち切るように、全力で夢現天道子を振り下ろした。刀身が、ギリアンの上から下までしっかりと貫けるように伸びていく。
ズドーンッ‼︎‼︎…………
巨体を真っ二つにするほどの爆発的な霊圧が、周囲に衝撃を行き渡らせた。なつみの作った見えない壁によって、その外側に影響は無かったが、6人は驚きに襲われていた。
「アイツ…、こんな強くなってたのか…」
「あり得ねえ…」
空中で佇むなつみの全身を撫でるように、虚を構成していた魂魄の数々が昇華されていく。その中で、なつみはたくさんの声を聞いていた。
「少しずつ…、少しずつ…」
モ〜、モ〜
尾田は伝令神機を取り出した。なつみから視線を外さずに、通話を始める。
「三番隊第十四席、尾田です」
「尾田くん!大変や!そこの牧場辺りでギリアンが出現したらしいわ!」
「はい。そうですね」
「あ、確認できてる?ごめんな。ウチの担当地区とちゃうから、連絡が遅なってもうて。みんなケガとかしてへん?大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
「え…?ナニ…?あ、ほんま!」市丸は一瞬、電話口から離れたところで話していたが、すぐに通話に戻る。「尾田くん、もうギリアン倒されたらしいわ。良かったわ〜。仕事早かったな!優秀な人らがおったんやね😄」
「木之本がひとりでやりました」
息を飲む間。
「へ…?マジで…?」
「マジっす」
「お疲れ様です。勝手に動いて、すいませんでした。被害を最小限にと思って、とっさにやっちゃいました」
なつみは尾田の瞬きの間にそちらにいて、尾田の手から伝令神機を奪っていた。
「もー、無茶してもうて。そういう大っきいことはな、仕事中にしてや。休み中にされても、点数つけられへんよ」
「ついたところで、出世なんか興味無いですよ」
その声色に異変を感じる。
「なんかあった?大丈夫?」
「いろんなことを見直せる良い旅ですよ」
「…そっか。帰ってきたら、話聞かせてや」
「はーい。では、尾田に返します」
そう言って伝令神機を返すと、えぐってしまった地面を元通りにするため、ギリアンのいた場所へ帰っていった。
「なつみー!手伝うよー!」
それくらいは手を出させて欲しいお友だち。
「木之本、斬ったな」
「ああ、それな。てっきり虚圏に送り返すもんだと思ってたのに」