第一章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
約束の翌日、戦闘訓練で屋外に出ていたなつみと6人の同期たちは、訓練終了後、広場に集まっていた。
「じゃあ木之本、約束通り見せてもらおうか。昨日できるようになったっていうお前の始解」
「あの、…それな!まだうまく使いこなせねーから、また今度見せるよ。な!汗かいたし、中に戻ろうぜ」
そう言って、その場から去ろうとするなつみの死覇装の首元がクッと引っ張られる。
「逃げんな」
「放せ、李空!失敗したら、お前笑うだろ。バカにされるのはごめんだぜ」
「だからって逃げるのか?ダセぇこと言うなよ。お前が見せるって大見得切ったんだろーが」
「うぐぐ」
ダサいと言われるのが大嫌いななつみだが、今回ばかりは大人しく耐えなければならない。特にこの戸隠李空にけちょんけちょんに言われるのが大嫌いだが、甘んじて受け入れる他は無い。
「そうだよ!ぼくはダサいよ!それで良いだろ!はーなーせー!」
こんな風に李空の言い分をあっさり受け止めるなど、普段のなつみではあり得ない。何かあるに違いないと誰もが思っていた。その表情がなつみを苦しめる。
「何だよ、可哀想なヤツを見るような顔すんなよ、お前ら!始解はほんとにできたんだ!嘘なんかついてねーよ!ただッ、ただ…」
続きの言葉を喉の奥に押し込もうとなつみは俯いた。
「いや、別に今日じゃなくても大丈夫だよ、木之本。自信がついてから見せてくれれば良いから。な!おい李空、放してやれよ」
「ふん」
尾田の慰めにもならない言葉に、もっと惨めさを感じるなつみ。
今にも泣きだすんじゃないかとハラハラしているところで、救いの手がやってきた。
「あかんやろ、なつみちゃんいじめたら」
「市丸隊長!」
7人の隊士たちは隊長の登場で、一同頭を下げる。
「どないしたん?」
そうきかれたが、誰が話すのかと、男たちは顔を見合わせるばかりで、市丸の問に答えられない。
「言われへんの」
「…いえ」
「なら言うてみ」
「昨日修得したという始解を木之本に見せてもらおうとしていたんです」
口火を切ったのはケイジだったが、みんなも後に続く。
「約束していたので、みんなたのしみにしていたんですけど」
「調子が悪いみたいで、今日はできないと言い出したんです」
「無理することないって言ってはみても、やっぱり、せっかくできるようになったんだから、失敗してもいいから見せて欲しいなって思うんですけど」
「なぁ、誰もお前を嘘つきだなんて思ってねーから、うまくできなくても、笑ったりしねーから、やってみてくれよ。李空も何か言ってやれって」
「……」
そっぽを向く李空。
「じゃあ俺が言う。李空はな、だいぶ前にお前のいないところで言ってたんだよ」
「おい、やめろよ」
「いいじゃん。木之本なら、どんなに時間がかかったとしても、絶対始解できるようになるから、それまで一緒に待ってやろう、俺たちで木之本を支えてやろうって言ってたの」
「そうそう。こんな態度してるけど、昨日お前が始解できるようになったって聞いて、結構嬉しそうにしてたんだぜ」
「李空…」
なつみは申し訳ない想いで、李空の顔を見上げた。だがムスッとしたまま李空はなつみに目を合わせようとしない。
「ごめん、みんな」
仲間の想いを聞いて謝るなつみの頭を、優しく撫でてやって市丸が割って入った。
「謝らなかんのは、ボクやで、なつみちゃん」
「隊長…」
「どういうことですか」
同期たちは市丸に説明を求めた。
「あんな、みんなになつみちゃんの始解を見せびらかしたらあかんって、ボクが言うといたんや。せやから、なつみちゃんはキミらの前でできひん言うたんよ。ボクが止めさせたんや」
「何故」
「なつみちゃんの能力が特殊やから。使い方に気ぃつけないかんもんなんよ。ちょっとここやと、目が気になるしな」
そう言いながら、市丸は広場に残って鬼道の練習をする者や隊舎の窓から見える隊士たちに目を走らせた。
「でもやな、今のキミらの言葉を聞いて、安心したわ。なつみちゃん、この子らなら大丈夫。信用できる子たちやで。見せてあげよか」
その言葉にほっぺを紅潮させ、嬉しそうに目を輝かせながらなつみは、笑顔で大きく頷いた。
「はい!」
「ほんなら、イヅルも呼ばんとな。おーい、イヅルー!」
少し離れたところで、若手隊士たちのトレーニングを見ていたイヅルがこちらを振り向き、口元に手を当てて返答する。
「何ですかー?」
「みんなに中入るように言うてー!外の様子も見んように言うといてー!それからイヅルこっち来てー!」
「わかりましたー!」
こちらに声が届かない距離で、イヅルが言われたことを隊士たちに伝え、申し訳なさそうにみんなを見送った。それが終わると、こちらに姿を現した。
「お待たせしました。どうしたんですか?みんなを集めて」
「ん?今からな、なつみちゃんに始解やってもらおう思て。イヅルも見たいやろ?」
「はい!それはもう。良かったね、木之本くん、始解できるようになって」
「はい!」
では、となつみが斬魄刀を抜こうとしたところで。
「ちょっと待った、なつみちゃん。始める前に、みんなで誓いを立てなあかん」
「誓い?」
「せや!なつみちゃんを護る会の発足や。ええか?みんな」
何のこっちゃと小首をかしげる部下たちを前に、隊長は右手の人差し指をグッと掲げた。
「ひとーつ!なつみちゃんの能力をヨソでベラベラしゃべらんこと」
「はい」と戸惑いつつ返事をする。
「ふたーつ!なつみちゃんを裏切ったり、悲しい思いさせんこと」
「しませんよ」とお互い頷き合い、もちろんだと同意する。
「みーっつ!なつみちゃんが危険にさらされたとき、命をかけて守りに行くこと」
「当ったり前ッスよ‼︎」と、「当然だ」と、男たちは全員胸を張って答えた。嬉しくて涙が込み上げるなつみだったが、ちょっとだけ文句も込み上げてきた。
「ちょっと良いですか?」
「どうしたん?なつみちゃん」
「ぼくだって、みんながピンチのときは命をかけて助けに行きます‼︎‼︎守られてばっかりなんて、イヤです!」
小さい体でピンと背筋を伸ばし、右手を掲げてなつみも誓いを立てた。
「そうやね(笑)なら、ピンチの時はみんなで一緒に戦いに行こうな!」
「はい‼︎」
一致団結できたところで、ここになつみちゃんを護る会が発足された。
「まぁ、なつみちゃんとしては、ここにもう1人2人いて欲しいやろうけどね」
「美沙ちゃんですね!」
「それから〜?」
人差し指をなつみの鼻の前でクルクル回して、市丸が意地悪を言う。
「///‼︎」
「追い追いな」
「はい///」
「何照れてんだよ」
「うっさい、バカ李空!」
「あ?バカにバカって呼ばれる筋合いねーから。てか、早く始解やれ、バカ」
「やるよ!今からやってやっから、バカって言うな、バーカ!」
元気に明るく楽しそうにそう叫ぶと、なつみはシャキーンっと斬魄刀を抜いた。
「さて、実験の始まりですよ、みなさん」
「じゃあ木之本、約束通り見せてもらおうか。昨日できるようになったっていうお前の始解」
「あの、…それな!まだうまく使いこなせねーから、また今度見せるよ。な!汗かいたし、中に戻ろうぜ」
そう言って、その場から去ろうとするなつみの死覇装の首元がクッと引っ張られる。
「逃げんな」
「放せ、李空!失敗したら、お前笑うだろ。バカにされるのはごめんだぜ」
「だからって逃げるのか?ダセぇこと言うなよ。お前が見せるって大見得切ったんだろーが」
「うぐぐ」
ダサいと言われるのが大嫌いななつみだが、今回ばかりは大人しく耐えなければならない。特にこの戸隠李空にけちょんけちょんに言われるのが大嫌いだが、甘んじて受け入れる他は無い。
「そうだよ!ぼくはダサいよ!それで良いだろ!はーなーせー!」
こんな風に李空の言い分をあっさり受け止めるなど、普段のなつみではあり得ない。何かあるに違いないと誰もが思っていた。その表情がなつみを苦しめる。
「何だよ、可哀想なヤツを見るような顔すんなよ、お前ら!始解はほんとにできたんだ!嘘なんかついてねーよ!ただッ、ただ…」
続きの言葉を喉の奥に押し込もうとなつみは俯いた。
「いや、別に今日じゃなくても大丈夫だよ、木之本。自信がついてから見せてくれれば良いから。な!おい李空、放してやれよ」
「ふん」
尾田の慰めにもならない言葉に、もっと惨めさを感じるなつみ。
今にも泣きだすんじゃないかとハラハラしているところで、救いの手がやってきた。
「あかんやろ、なつみちゃんいじめたら」
「市丸隊長!」
7人の隊士たちは隊長の登場で、一同頭を下げる。
「どないしたん?」
そうきかれたが、誰が話すのかと、男たちは顔を見合わせるばかりで、市丸の問に答えられない。
「言われへんの」
「…いえ」
「なら言うてみ」
「昨日修得したという始解を木之本に見せてもらおうとしていたんです」
口火を切ったのはケイジだったが、みんなも後に続く。
「約束していたので、みんなたのしみにしていたんですけど」
「調子が悪いみたいで、今日はできないと言い出したんです」
「無理することないって言ってはみても、やっぱり、せっかくできるようになったんだから、失敗してもいいから見せて欲しいなって思うんですけど」
「なぁ、誰もお前を嘘つきだなんて思ってねーから、うまくできなくても、笑ったりしねーから、やってみてくれよ。李空も何か言ってやれって」
「……」
そっぽを向く李空。
「じゃあ俺が言う。李空はな、だいぶ前にお前のいないところで言ってたんだよ」
「おい、やめろよ」
「いいじゃん。木之本なら、どんなに時間がかかったとしても、絶対始解できるようになるから、それまで一緒に待ってやろう、俺たちで木之本を支えてやろうって言ってたの」
「そうそう。こんな態度してるけど、昨日お前が始解できるようになったって聞いて、結構嬉しそうにしてたんだぜ」
「李空…」
なつみは申し訳ない想いで、李空の顔を見上げた。だがムスッとしたまま李空はなつみに目を合わせようとしない。
「ごめん、みんな」
仲間の想いを聞いて謝るなつみの頭を、優しく撫でてやって市丸が割って入った。
「謝らなかんのは、ボクやで、なつみちゃん」
「隊長…」
「どういうことですか」
同期たちは市丸に説明を求めた。
「あんな、みんなになつみちゃんの始解を見せびらかしたらあかんって、ボクが言うといたんや。せやから、なつみちゃんはキミらの前でできひん言うたんよ。ボクが止めさせたんや」
「何故」
「なつみちゃんの能力が特殊やから。使い方に気ぃつけないかんもんなんよ。ちょっとここやと、目が気になるしな」
そう言いながら、市丸は広場に残って鬼道の練習をする者や隊舎の窓から見える隊士たちに目を走らせた。
「でもやな、今のキミらの言葉を聞いて、安心したわ。なつみちゃん、この子らなら大丈夫。信用できる子たちやで。見せてあげよか」
その言葉にほっぺを紅潮させ、嬉しそうに目を輝かせながらなつみは、笑顔で大きく頷いた。
「はい!」
「ほんなら、イヅルも呼ばんとな。おーい、イヅルー!」
少し離れたところで、若手隊士たちのトレーニングを見ていたイヅルがこちらを振り向き、口元に手を当てて返答する。
「何ですかー?」
「みんなに中入るように言うてー!外の様子も見んように言うといてー!それからイヅルこっち来てー!」
「わかりましたー!」
こちらに声が届かない距離で、イヅルが言われたことを隊士たちに伝え、申し訳なさそうにみんなを見送った。それが終わると、こちらに姿を現した。
「お待たせしました。どうしたんですか?みんなを集めて」
「ん?今からな、なつみちゃんに始解やってもらおう思て。イヅルも見たいやろ?」
「はい!それはもう。良かったね、木之本くん、始解できるようになって」
「はい!」
では、となつみが斬魄刀を抜こうとしたところで。
「ちょっと待った、なつみちゃん。始める前に、みんなで誓いを立てなあかん」
「誓い?」
「せや!なつみちゃんを護る会の発足や。ええか?みんな」
何のこっちゃと小首をかしげる部下たちを前に、隊長は右手の人差し指をグッと掲げた。
「ひとーつ!なつみちゃんの能力をヨソでベラベラしゃべらんこと」
「はい」と戸惑いつつ返事をする。
「ふたーつ!なつみちゃんを裏切ったり、悲しい思いさせんこと」
「しませんよ」とお互い頷き合い、もちろんだと同意する。
「みーっつ!なつみちゃんが危険にさらされたとき、命をかけて守りに行くこと」
「当ったり前ッスよ‼︎」と、「当然だ」と、男たちは全員胸を張って答えた。嬉しくて涙が込み上げるなつみだったが、ちょっとだけ文句も込み上げてきた。
「ちょっと良いですか?」
「どうしたん?なつみちゃん」
「ぼくだって、みんながピンチのときは命をかけて助けに行きます‼︎‼︎守られてばっかりなんて、イヤです!」
小さい体でピンと背筋を伸ばし、右手を掲げてなつみも誓いを立てた。
「そうやね(笑)なら、ピンチの時はみんなで一緒に戦いに行こうな!」
「はい‼︎」
一致団結できたところで、ここになつみちゃんを護る会が発足された。
「まぁ、なつみちゃんとしては、ここにもう1人2人いて欲しいやろうけどね」
「美沙ちゃんですね!」
「それから〜?」
人差し指をなつみの鼻の前でクルクル回して、市丸が意地悪を言う。
「///‼︎」
「追い追いな」
「はい///」
「何照れてんだよ」
「うっさい、バカ李空!」
「あ?バカにバカって呼ばれる筋合いねーから。てか、早く始解やれ、バカ」
「やるよ!今からやってやっから、バカって言うな、バーカ!」
元気に明るく楽しそうにそう叫ぶと、なつみはシャキーンっと斬魄刀を抜いた。
「さて、実験の始まりですよ、みなさん」