第四章
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その唸り声がサイレンのように響き渡ると、何事かと屋根の上から下を見下ろす4人の影が地上に伸びてきた。
「なつみちゃん⁉️そこにいるのなつみちゃんかい⁉️」
正直、うるさいな〜と思って様子を見に来たのだが、音源の正体がわかり、嬉しくなった。
「なんだ。お前らそこにいたのか」
下の2人も上にいる4人に気付いた。
「やだぁ!更木隊長、なつみ泣かせてるんですかぁ?」
「違ぇッ‼︎こいつが勝手に泣き出したんだ!」
「泣いてませぇーんッ」
「うん。ギリギリね(笑)」
京楽が笑っていると、一角がなつみにきいた。
「なつみ、俺に用だったか?」
しかし答えたのは更木だった。
「道場開けてくれってよ。無理だよな」
「こんな時間にっすか⁉︎どうしたんだよ、マジで」
ここまでのやり取りを黙って見ていた弓親が言う。
「まぁ、とりあえずこっち来てもらえば?慰めてあげようよ」
「そうよ、なつみいらっしゃい」
乱菊が手招きをした。
「更木隊長、なつみちゃんを連れて、上がってきてくれるかい?」
「何で俺が」
面倒事はごめんだというように、更木は部屋に戻ろうとした。だが。
「ボクが持ってきたお酒あげるから、頼むよ」
その提案がスンッと耳に入ると、唾液が分泌されるとともに、自然となつみを小脇に抱えていた。
「しょうがねぇな」
「あわっ」
瞬歩で一気に上がって、京楽と一角の間になつみを置いた。
「くれ」
「はいはい。ありがとう(笑)」
そう言って、京楽は真新しい酒瓶を取り出して、差し出された更木の手に渡してあげた。
「え⁉︎京楽隊長、隠してたんですかぁ⁉︎」
「フフッ、そうしないと乱菊ちゃんに全部飲まれちゃうだろ?」
空いてるスペースに移動しつつ、文句をひとつ言う更木。
「おい、余ってねぇのか?これラッパで飲むぞ」
「あぁ、待って。はい、どうぞ」
京楽はまだ使っていないお猪口も取り出した。
「誰かが割っちゃうといけないから、予備を持ってきてたんだ」
デスクワークにおいても、それだけ先回りな働きをすれば良いのに。
「なつみちゃんは飲まないよね。それにしても、どうしたのさ。悲しいことがあったなら、ボクに話してごらん。って、え⁉️」
京楽がひとりでそう話している最中に、なつみはざっと辺りを見渡し、一角が飲もうと構えている手首をグッと自分の方に引き寄せて、酒を横取りして飲んでしまった。手は掴んだままで。
「まじゅーい😖」
「おい⁉︎何してんだよ」
「そうだぞ、なつみ。飲むならこっちにしろ」
「うぃ!」
一角から完全にお猪口を奪うと、なつみは更木に注いでもらった。
「ちょっと、ペース早くない?大丈夫?」
「飲まなきゃやってらんないんすよ😠」
弓親の心配を跳ね除けるなつみ。体を動かせないなら、せめてこの場を利用して、ヤケ酒したろうと決めかましたようだ。その証拠に、またクイーッと2杯目も飲み干した。
「まじゅーい😖」
そもそもアルコールが口に合わないなつみにとって、どんな酒を飲んでも、おいしくはない。
「ああ?そうか?うめぇけどな」
更木は京楽持参の酒にありつけて、舌鼓を打つ。
ヤケ酒もうまくいかないと思ったなつみは、一角の後ろに回り込み、座った。彼の背中に対して、斜め横向きに体操座り。
「うぅぅぅぅ」
泣くことにした。
「うぅッ、あの、ぼくのことは、気になさらずッ、グスン、みなさんは、わいわいお酒を楽しんでください、グスン」
きゅぅっと膝を抱える。
「ぼくは、こっちで、泣いてますから、無視、してください。うわーぁぁぁ、あーぁぁぁ😭」
しかし、これだけ大声で泣かれては。
「無視なんかできるわけないだろ!なつみちゃん、どうしたのか話してごらん?」
「うぅぅぅ‼︎」
背中をさすってあげようとする京楽の手から、なつみはグッと逃げた。
「え⁉︎」
思わずショックを受ける京楽。
「なつみ、そんなツルッパゲに隠れてないで、こっち来なさい。あたしが慰めてあげるから」
「うぅぅぅ‼︎」
片方の腕を掴んで引き寄せようとする乱菊の手からも、なつみはグッと逃げた。
「え⁉︎」
乱菊もショック。
そしてさらにショックなことに、なつみは体を捻って一角の背中にすがりついて、「うわーんっ」と号泣し始めてしまった。
「一角、顔キモい。イデッ💥」
なつみが、想い人である京楽と、姉と慕う乱菊に拒否反応を示したことで、一角はこの2人に対し、珍しく勝ったような気がしてきた。意識していない風を装いながらも変にニヤついてしまい、弓親から嫌みを言われ、裏拳で黙らせた。
なつみのこの態度が意味することは何だろうと、京楽は心当たりを探しながら元いた場所に戻っていく。
「うーん…、ボクと乱菊ちゃんを避けるワケ」
2人の共通点と、なつみにとって嫌なこととは何か、じっと考えてみる。そしてひらめいた。
「そうか!あぁ、そういうことか。…、だったら、思い切り泣いた方が良いね。うんうん。泣いて、スッキリするのが一番だ」
かわいい理由に気付けて、頭を撫でに行きたかったが、京楽は控えることにした。
「どういうことですか?」
戸惑う乱菊に教えてあげる。
「ほら、お友だちのことだよ」
そう言われて、「ああ!」と乱菊も納得できた。
「なら、あたしたちにできることは無いですね。泣け、泣け、なつみ!あんたの気が晴れるまで、何リットルでも泣いちゃいなさい!」
その声援に応えるように、なつみは一声上げた。
「さみしいぃぃぃーッ‼︎‼︎‼︎よぉぉぉー…グスン」
心の底に押し込めていた小さなマイナス思考が、打ち上げ花火のように喉を駆け上り、ドカーンと体の外で弾けることができた。
余韻の中しくしく泣き続けるなつみを慰めようとしない京楽と乱菊は、ただ温かい目で遠くから見守っているだけだった。
「何がどういうことなんだ。説明しろよ」
十一番隊の3人は状況が飲み込めずに、置いてけぼりだ。
「なつみちゃんのお友だちが、八番隊に異動することになったんだよ。それから、同じタイミングで十番隊にも1人行く」
「あと3ヶ月したら、なつみはひとり、三番隊に残されちゃうのよ」
つまり今、なつみの目には、『尾田を連れてっちゃう人』と『李空を連れてっちゃう人』にしか見えていないため、京楽と乱菊を拒絶しているということだった。
「へぇー、なるほど。それは手の打ちようがないね」
弓親が俯くなつみの頭を撫でてあげると、難なく触らせてもらえた。
「今度のことでは、ボクらは悪者だよ。もちろんボクは、尾田くんよりもなつみちゃんに来てもらいたいんだけど。でも、七緒ちゃんが彼を気に入っちゃったみたいでさ〜。決まっちゃったんだよね」
「え?七緒に恋の予感ですか?😏」
「そんなわけないだろ?ただ尾田くんが、ボクより真面目にお仕事してくれるから採用したってだけだよ。七緒ちゃんはボクにメロメロなんだから、他の男が入る隙なんて無ぁいのっ😤」
そこまでではないだろうと思う面々がいる中で、ひとりだけムスーッとした空気を漂わせる。
「うぅぅぅッ…💢」
「あ、ごめん、なつみちゃん。妬いちゃったかい?かわいいなぁ〜。なつみちゃんのことは特別に想ってるから、そんなに怒らないでね😚」
「うわぁぁぁぁ‼️💢😖」
「わぁっ、ごめんよぉ💦💦」
もしかすると、ヤマアラシのようなトゲが、背中から出ていたかもしれない。
「フシャァーーーッ💢」
威嚇され、完全悪と見なされた京楽、為す術なし。
「ボクも泣こっかなぁ😣」
「泣いても、めんどくさそうなんで、ほっときますね」
「そんなぁ💦慰めてよぉ〜、乱菊ちゃーん😭」
「うにゃぁぁぁぁー‼️‼️‼️」
寂しさとヤキモチとで感情が昂ったなつみの泣き声が、どこまでも響き渡る。七番隊舎の庭で、五郎が遠吠えをして寄り添ってくれたほどに。
大人になった、成長したと言えど、悲しいものは悲しいし、一滴目を許してしまえば、どうしようもなく大泣きしてしまう。だが、行かないでとは絶対に言わなかった。思うこともなかった。現実を受け止めた上で、なつみは「さみしい!」と思う気持ちを表に出した。あの6人には内緒のところで。涙が、その弱い心を洗い流して、彼らが望むなつみの姿を見せられるようになれ!と願いつつ。
「わぁぁぁんッ」
「なつみちゃん⁉️そこにいるのなつみちゃんかい⁉️」
正直、うるさいな〜と思って様子を見に来たのだが、音源の正体がわかり、嬉しくなった。
「なんだ。お前らそこにいたのか」
下の2人も上にいる4人に気付いた。
「やだぁ!更木隊長、なつみ泣かせてるんですかぁ?」
「違ぇッ‼︎こいつが勝手に泣き出したんだ!」
「泣いてませぇーんッ」
「うん。ギリギリね(笑)」
京楽が笑っていると、一角がなつみにきいた。
「なつみ、俺に用だったか?」
しかし答えたのは更木だった。
「道場開けてくれってよ。無理だよな」
「こんな時間にっすか⁉︎どうしたんだよ、マジで」
ここまでのやり取りを黙って見ていた弓親が言う。
「まぁ、とりあえずこっち来てもらえば?慰めてあげようよ」
「そうよ、なつみいらっしゃい」
乱菊が手招きをした。
「更木隊長、なつみちゃんを連れて、上がってきてくれるかい?」
「何で俺が」
面倒事はごめんだというように、更木は部屋に戻ろうとした。だが。
「ボクが持ってきたお酒あげるから、頼むよ」
その提案がスンッと耳に入ると、唾液が分泌されるとともに、自然となつみを小脇に抱えていた。
「しょうがねぇな」
「あわっ」
瞬歩で一気に上がって、京楽と一角の間になつみを置いた。
「くれ」
「はいはい。ありがとう(笑)」
そう言って、京楽は真新しい酒瓶を取り出して、差し出された更木の手に渡してあげた。
「え⁉︎京楽隊長、隠してたんですかぁ⁉︎」
「フフッ、そうしないと乱菊ちゃんに全部飲まれちゃうだろ?」
空いてるスペースに移動しつつ、文句をひとつ言う更木。
「おい、余ってねぇのか?これラッパで飲むぞ」
「あぁ、待って。はい、どうぞ」
京楽はまだ使っていないお猪口も取り出した。
「誰かが割っちゃうといけないから、予備を持ってきてたんだ」
デスクワークにおいても、それだけ先回りな働きをすれば良いのに。
「なつみちゃんは飲まないよね。それにしても、どうしたのさ。悲しいことがあったなら、ボクに話してごらん。って、え⁉️」
京楽がひとりでそう話している最中に、なつみはざっと辺りを見渡し、一角が飲もうと構えている手首をグッと自分の方に引き寄せて、酒を横取りして飲んでしまった。手は掴んだままで。
「まじゅーい😖」
「おい⁉︎何してんだよ」
「そうだぞ、なつみ。飲むならこっちにしろ」
「うぃ!」
一角から完全にお猪口を奪うと、なつみは更木に注いでもらった。
「ちょっと、ペース早くない?大丈夫?」
「飲まなきゃやってらんないんすよ😠」
弓親の心配を跳ね除けるなつみ。体を動かせないなら、せめてこの場を利用して、ヤケ酒したろうと決めかましたようだ。その証拠に、またクイーッと2杯目も飲み干した。
「まじゅーい😖」
そもそもアルコールが口に合わないなつみにとって、どんな酒を飲んでも、おいしくはない。
「ああ?そうか?うめぇけどな」
更木は京楽持参の酒にありつけて、舌鼓を打つ。
ヤケ酒もうまくいかないと思ったなつみは、一角の後ろに回り込み、座った。彼の背中に対して、斜め横向きに体操座り。
「うぅぅぅぅ」
泣くことにした。
「うぅッ、あの、ぼくのことは、気になさらずッ、グスン、みなさんは、わいわいお酒を楽しんでください、グスン」
きゅぅっと膝を抱える。
「ぼくは、こっちで、泣いてますから、無視、してください。うわーぁぁぁ、あーぁぁぁ😭」
しかし、これだけ大声で泣かれては。
「無視なんかできるわけないだろ!なつみちゃん、どうしたのか話してごらん?」
「うぅぅぅ‼︎」
背中をさすってあげようとする京楽の手から、なつみはグッと逃げた。
「え⁉︎」
思わずショックを受ける京楽。
「なつみ、そんなツルッパゲに隠れてないで、こっち来なさい。あたしが慰めてあげるから」
「うぅぅぅ‼︎」
片方の腕を掴んで引き寄せようとする乱菊の手からも、なつみはグッと逃げた。
「え⁉︎」
乱菊もショック。
そしてさらにショックなことに、なつみは体を捻って一角の背中にすがりついて、「うわーんっ」と号泣し始めてしまった。
「一角、顔キモい。イデッ💥」
なつみが、想い人である京楽と、姉と慕う乱菊に拒否反応を示したことで、一角はこの2人に対し、珍しく勝ったような気がしてきた。意識していない風を装いながらも変にニヤついてしまい、弓親から嫌みを言われ、裏拳で黙らせた。
なつみのこの態度が意味することは何だろうと、京楽は心当たりを探しながら元いた場所に戻っていく。
「うーん…、ボクと乱菊ちゃんを避けるワケ」
2人の共通点と、なつみにとって嫌なこととは何か、じっと考えてみる。そしてひらめいた。
「そうか!あぁ、そういうことか。…、だったら、思い切り泣いた方が良いね。うんうん。泣いて、スッキリするのが一番だ」
かわいい理由に気付けて、頭を撫でに行きたかったが、京楽は控えることにした。
「どういうことですか?」
戸惑う乱菊に教えてあげる。
「ほら、お友だちのことだよ」
そう言われて、「ああ!」と乱菊も納得できた。
「なら、あたしたちにできることは無いですね。泣け、泣け、なつみ!あんたの気が晴れるまで、何リットルでも泣いちゃいなさい!」
その声援に応えるように、なつみは一声上げた。
「さみしいぃぃぃーッ‼︎‼︎‼︎よぉぉぉー…グスン」
心の底に押し込めていた小さなマイナス思考が、打ち上げ花火のように喉を駆け上り、ドカーンと体の外で弾けることができた。
余韻の中しくしく泣き続けるなつみを慰めようとしない京楽と乱菊は、ただ温かい目で遠くから見守っているだけだった。
「何がどういうことなんだ。説明しろよ」
十一番隊の3人は状況が飲み込めずに、置いてけぼりだ。
「なつみちゃんのお友だちが、八番隊に異動することになったんだよ。それから、同じタイミングで十番隊にも1人行く」
「あと3ヶ月したら、なつみはひとり、三番隊に残されちゃうのよ」
つまり今、なつみの目には、『尾田を連れてっちゃう人』と『李空を連れてっちゃう人』にしか見えていないため、京楽と乱菊を拒絶しているということだった。
「へぇー、なるほど。それは手の打ちようがないね」
弓親が俯くなつみの頭を撫でてあげると、難なく触らせてもらえた。
「今度のことでは、ボクらは悪者だよ。もちろんボクは、尾田くんよりもなつみちゃんに来てもらいたいんだけど。でも、七緒ちゃんが彼を気に入っちゃったみたいでさ〜。決まっちゃったんだよね」
「え?七緒に恋の予感ですか?😏」
「そんなわけないだろ?ただ尾田くんが、ボクより真面目にお仕事してくれるから採用したってだけだよ。七緒ちゃんはボクにメロメロなんだから、他の男が入る隙なんて無ぁいのっ😤」
そこまでではないだろうと思う面々がいる中で、ひとりだけムスーッとした空気を漂わせる。
「うぅぅぅッ…💢」
「あ、ごめん、なつみちゃん。妬いちゃったかい?かわいいなぁ〜。なつみちゃんのことは特別に想ってるから、そんなに怒らないでね😚」
「うわぁぁぁぁ‼️💢😖」
「わぁっ、ごめんよぉ💦💦」
もしかすると、ヤマアラシのようなトゲが、背中から出ていたかもしれない。
「フシャァーーーッ💢」
威嚇され、完全悪と見なされた京楽、為す術なし。
「ボクも泣こっかなぁ😣」
「泣いても、めんどくさそうなんで、ほっときますね」
「そんなぁ💦慰めてよぉ〜、乱菊ちゃーん😭」
「うにゃぁぁぁぁー‼️‼️‼️」
寂しさとヤキモチとで感情が昂ったなつみの泣き声が、どこまでも響き渡る。七番隊舎の庭で、五郎が遠吠えをして寄り添ってくれたほどに。
大人になった、成長したと言えど、悲しいものは悲しいし、一滴目を許してしまえば、どうしようもなく大泣きしてしまう。だが、行かないでとは絶対に言わなかった。思うこともなかった。現実を受け止めた上で、なつみは「さみしい!」と思う気持ちを表に出した。あの6人には内緒のところで。涙が、その弱い心を洗い流して、彼らが望むなつみの姿を見せられるようになれ!と願いつつ。
「わぁぁぁんッ」