第四章
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午後の始業が遅れてしまったために、残業を強いられ、ラストオーダーギリギリの時間で馴染みの定食屋に駆け込んだなつみが、ひとりで晩御飯を済ませた頃、十一番隊の隊舎屋根の上では、京楽、乱菊、弓親、一角が満月の下でお酒を楽しんでいた。
「むふふ~。ほんと今夜の月は格段にキレイだねぇ~」
そう言って、くいっとお猪口を傾ける京楽。
「あぁ~、もうちょっとで空になっちゃう。ちょっと一角!あんた新しいの取って来なさいよ」
徳利をフリフリ揺すりながら、乱菊が不満そうな声を出した。
「だぁ⁉︎何でオレなんだよ‼︎京楽隊長、持ってきたのもう無いんすか」
「そうだねぇ。それが最後みたい」
4人の周りには、1本、2本、…etc。
「松本!てめぇ、一人で飲みすぎなんだよ‼︎」
一角は乱菊を睨んだ。
「なーによ。あんただって、うめぇうめぇって言って、結構飲んでたじゃない」
「徳利放さねぇてめぇに言われたかねーんだよ」
だが、乱菊は「フン」と言ってそっぽを向いた。
「ンダ、てめぇッ‼️‼️」
「まぁ一角、落ち着きなよ」
夜風に髪を流す弓親が言った。
「下に行って、取って来るだけじゃない」
「じゃ、てめぇが行けよ、弓親」
そのやり取りに痺れを切らした乱菊が、立ち上がって一角の背中を蹴り飛ばした。
「イッテェ‼︎何しやがんだ、松本‼︎」
一角が見上げた先の乱菊は、すごい剣幕で下を指差していた。
「さっさと行く‼︎」
「はい…」
一角が立ち去った後、暇つぶしに残った3人は、彼のことを話し始めた。
「全く、気が利かないわよねぇ、一角って」片手で髪をサッと掻きあげて乱菊が言う。「言うことすぐに聞けば良いのに」
「あっはは。斑目くんは良いように使われてるね」くくくっと笑いながら京楽が言った。そして続ける。「んーでも、女の子相手じゃ、断れないか」
「そうですね。彼、異性からのお願いには弱いみたいだから」
弓親は確信しているように、にやにやして口を挟んだ。
「そうなのかい?」
興味津々に京楽が尋ねる。
「さっきみたいに、松本さんの言うことは何だかんだ聞くでしょう。それから副隊長のも嫌々聞いてるし。それに、特になつみちゃんの頼みは何でも聞いてあげてるみたいですよ」
「どーせ、あの子の頼みは一回で聞くんでしょ!あたしには文句言わないと動かないくせに。何が違うのかしら!」
乱菊は信じられないという風に大声を出した。
「乱菊ちゃんとなつみちゃん、2人とも美人でかわいいのにね。ボクならどっちのお願いも、すぐ叶えてあげちゃうよ」京楽は、ふむふむと頷きながら言う。「そうかそうか。斑目くんもなつみちゃんに恋してるのかぁ。彼女を狙う人がどんどん増えてきちゃって、困るんだよねぇ」
(確か市丸隊長が、なつみちゃんに何かしたら京楽隊長に殺されるみたいなこと言ってたっけ…。あんまりしゃしゃり出ると、一角のヤツ、お仕置きされちゃうかもな。それはそれで面白そうだけど)
と、弓親がそんなことを思っている横で、乱菊は京楽の言葉にぶーすかしていた。
「そんなこと言って、全然困った顔してないじゃないですかぁ。そりゃそうですよね、なつみが好きなのは、京楽隊長ですもんね。他の誰が言い寄って来ようと、あの子は全員フリますよ。はぁ〜、とっとと告白して、付き合って、プロポーズして、結婚して、子供作って、幸せな家庭築いちゃえば良いのに。そしたらみんな諦めますよ。変に両想いだからイチャイチャを見せつけられて、あの子に片想いしてるアホどもは半殺し状態。かと言って、付き合ってるわけじゃないから、もしかすると押せばなんとかなるかもって期待してるとこもあるでしょ?気の毒なのはアホどもの方ですぅ!」
「ははは…、何と返せば良いやら😅」
「あ、アホが1匹帰ってきましたよ」
一角が酒瓶を持って、屋根に上がってきた。
「誰がアホだよ💢」
「あんたに決まってんでしょ、ハゲ」
「ハゲじゃねぇ💢💢」
「毛量で判断するなら、一角に勝ち目は無いよね」
「何の話してたんだよ、お前ぇーら💢💢💢」
「お疲れ様、斑目くん。今ね、なつみちゃんの話してたんだ😄」
「⁉️」
束ねられた髪からの、0㎜坊主。だとするならば。
「完敗です…」
意気消沈。
「あぁ、乾杯とかけたの?うまいね〜、斑目くん♪」
(こんなオヤジギャグ言う人に負けるのか、俺は💢)
なつみが各隊に赴くようになり、虫除けをしなければと京楽は、『なつみちゃんはボクが好きなんだよ』キャンペーンを陰ながら広めており、彼女が京楽に恋しているというのは周知されていた。特に、一角と大前田には強めに言い聞かせていた。
だが、その事実を前にしても、相手がなつみでは、好きの気持ちを抑えるのは難しいらしい。
「はいはい、乾杯しますよ。ちゃんと持ってきたんで、これ飲みますか、京楽隊長」
「うん、いただきまーす」
注いでもらい、「乾杯」をしてから、一口飲んでみる。
「…、おいしくないね、これ😗」
「悪かったっスね😑」
一角も飲んでみた。
「…。そりゃ、京楽隊長が持ってきたのと比べりゃ、こんなもんすよ。俺の安月給で買えるレベルっすから」
「ごめんよぉ。これはこれでおいしいよ😄」
「おいしくないっつったじゃないすか」
「😅」
乱菊も弓親も勝手に注いで飲んでみた。
「まっずぁッ」
「ちょっとぉ、試飲してから買いなよ」
「文句言うなら、飲むなぁッ‼️帰れ💢」
そんなに怒らなくてもぉ〜という目で訴える2人を放っておいて、京楽は、なつみの話題が出てしまったから、一角と彼女についておしゃべりをしたくなってきた。
「それで、なつみちゃんの調子どう?最近会えてなくてさ、気になって仕方ないんだよね」
「…、悪くないっすよ。二番隊行ってるおかげで、動きが良くなってる。あいつのスピードについてくのは、並のヤツなら無理っすね。俺ですら、たまに勘で振ってるときがあるくらいすもん」
「あんまり無茶して、怪我させないでよ?」
「フッ…、知らないんすね。あいつは怪我したって、秒で治しやがる。稽古中に、うまく間合いを取って、俺が攻撃できない間に回復するんすよ。鬼道の能力が上がってて、その相乗効果で回道も上達してるのかもしれないすね」
「そっか」
「マジで、かわいい顔したバケモンすよ」
と言った途端にハッとした。そして京楽の視線に当てられる。
「ふ〜ん😏」
「いやっ、あの、…、何でもないっす」
かわいいも、バケモンも、どの言葉にも代えられず、無かったことにしたかったが。
「気にしないで。ほんとのことだからさ」
と言われてしまった。
「あいつって、どこ目指してるんすかね」
「スーパーヒーローってのは、そういうものだよ」
「…?」
噂をすれば影がさすというわけでもないが、その頃なつみは十一番隊舎に、ふら〜ふら〜な足取りでやってきていた。ひとりぼっちでいると、気分がズーンと落ち込んでやってらんなくなり、誰かといたくなって、じっとしていたくなくなっていたから、淡い期待を抱きつつ、十一番隊の道場で一角が相手してくれないかと来てみたのだ。しかし、こんな時間に開いているわけもなく、真っ暗で施錠された道場を前に、さらにズーンとなってしまった。
「ですよねぇ…」
肩を落として踵を返すと、人の気配を感じた。パッと目線を上げると、そこにいたのは更木だった。浴衣姿で、首にはタオルをかけている。髪が下ろされているところから、入浴してきたばかりなのだろうと推測できる。自室に戻る途中、道場前に小さな気配を感じ、様子を見にきたのだった。
「オウ、なつみじゃねーか。どうした。一角に用か?」
「更木隊長、こんばんは。あの、稽古をつけてもらえないかと思って、伺ったんですけど…」
「今か⁉︎何時だと思ってんだよ」
そう言われて、なつみはシュンとなってしまった。
(わかってるもん…)
「一角のヤツ、今いねぇぞ。今日は早めに切り上げやがってな。なんか、弓親たちと酒飲みに行くっつってたぜ」
「そうなんですか…」
さらにシュン。
そんななつみの様子に、さすがの更木もたじたじになってしまう。
「俺が相手してやっても良いが、生憎、風呂に入っちまったしな。汗かきたくねぇから、悪い、なつみ、今日は無理だ」
なつみはふるふると首を振った。
「気まぐれに急に伺ったぼくが悪いので、謝らないでください。ぼくこそ、ごめんなさい」
頭を下げて謝罪する。
戦い以外に関しては鈍い更木でも、なつみに何かあったことは予想できた。
「道場は開けてやれねぇが、話くらい聞いてやろうか」
「え…」
「ヤなことでもあったんだろ」
柄にも無い優しい言葉にびっくりして、なつみはキョトンとした。そして、優しくされるとうるうるくる。
「うぅぅぅぅ🥺」
「⁉️泣くなよ‼️💦」
「うぅぅぅぅーッ😖」
唸ってどうにか耐えようとした。
「むふふ~。ほんと今夜の月は格段にキレイだねぇ~」
そう言って、くいっとお猪口を傾ける京楽。
「あぁ~、もうちょっとで空になっちゃう。ちょっと一角!あんた新しいの取って来なさいよ」
徳利をフリフリ揺すりながら、乱菊が不満そうな声を出した。
「だぁ⁉︎何でオレなんだよ‼︎京楽隊長、持ってきたのもう無いんすか」
「そうだねぇ。それが最後みたい」
4人の周りには、1本、2本、…etc。
「松本!てめぇ、一人で飲みすぎなんだよ‼︎」
一角は乱菊を睨んだ。
「なーによ。あんただって、うめぇうめぇって言って、結構飲んでたじゃない」
「徳利放さねぇてめぇに言われたかねーんだよ」
だが、乱菊は「フン」と言ってそっぽを向いた。
「ンダ、てめぇッ‼️‼️」
「まぁ一角、落ち着きなよ」
夜風に髪を流す弓親が言った。
「下に行って、取って来るだけじゃない」
「じゃ、てめぇが行けよ、弓親」
そのやり取りに痺れを切らした乱菊が、立ち上がって一角の背中を蹴り飛ばした。
「イッテェ‼︎何しやがんだ、松本‼︎」
一角が見上げた先の乱菊は、すごい剣幕で下を指差していた。
「さっさと行く‼︎」
「はい…」
一角が立ち去った後、暇つぶしに残った3人は、彼のことを話し始めた。
「全く、気が利かないわよねぇ、一角って」片手で髪をサッと掻きあげて乱菊が言う。「言うことすぐに聞けば良いのに」
「あっはは。斑目くんは良いように使われてるね」くくくっと笑いながら京楽が言った。そして続ける。「んーでも、女の子相手じゃ、断れないか」
「そうですね。彼、異性からのお願いには弱いみたいだから」
弓親は確信しているように、にやにやして口を挟んだ。
「そうなのかい?」
興味津々に京楽が尋ねる。
「さっきみたいに、松本さんの言うことは何だかんだ聞くでしょう。それから副隊長のも嫌々聞いてるし。それに、特になつみちゃんの頼みは何でも聞いてあげてるみたいですよ」
「どーせ、あの子の頼みは一回で聞くんでしょ!あたしには文句言わないと動かないくせに。何が違うのかしら!」
乱菊は信じられないという風に大声を出した。
「乱菊ちゃんとなつみちゃん、2人とも美人でかわいいのにね。ボクならどっちのお願いも、すぐ叶えてあげちゃうよ」京楽は、ふむふむと頷きながら言う。「そうかそうか。斑目くんもなつみちゃんに恋してるのかぁ。彼女を狙う人がどんどん増えてきちゃって、困るんだよねぇ」
(確か市丸隊長が、なつみちゃんに何かしたら京楽隊長に殺されるみたいなこと言ってたっけ…。あんまりしゃしゃり出ると、一角のヤツ、お仕置きされちゃうかもな。それはそれで面白そうだけど)
と、弓親がそんなことを思っている横で、乱菊は京楽の言葉にぶーすかしていた。
「そんなこと言って、全然困った顔してないじゃないですかぁ。そりゃそうですよね、なつみが好きなのは、京楽隊長ですもんね。他の誰が言い寄って来ようと、あの子は全員フリますよ。はぁ〜、とっとと告白して、付き合って、プロポーズして、結婚して、子供作って、幸せな家庭築いちゃえば良いのに。そしたらみんな諦めますよ。変に両想いだからイチャイチャを見せつけられて、あの子に片想いしてるアホどもは半殺し状態。かと言って、付き合ってるわけじゃないから、もしかすると押せばなんとかなるかもって期待してるとこもあるでしょ?気の毒なのはアホどもの方ですぅ!」
「ははは…、何と返せば良いやら😅」
「あ、アホが1匹帰ってきましたよ」
一角が酒瓶を持って、屋根に上がってきた。
「誰がアホだよ💢」
「あんたに決まってんでしょ、ハゲ」
「ハゲじゃねぇ💢💢」
「毛量で判断するなら、一角に勝ち目は無いよね」
「何の話してたんだよ、お前ぇーら💢💢💢」
「お疲れ様、斑目くん。今ね、なつみちゃんの話してたんだ😄」
「⁉️」
束ねられた髪からの、0㎜坊主。だとするならば。
「完敗です…」
意気消沈。
「あぁ、乾杯とかけたの?うまいね〜、斑目くん♪」
(こんなオヤジギャグ言う人に負けるのか、俺は💢)
なつみが各隊に赴くようになり、虫除けをしなければと京楽は、『なつみちゃんはボクが好きなんだよ』キャンペーンを陰ながら広めており、彼女が京楽に恋しているというのは周知されていた。特に、一角と大前田には強めに言い聞かせていた。
だが、その事実を前にしても、相手がなつみでは、好きの気持ちを抑えるのは難しいらしい。
「はいはい、乾杯しますよ。ちゃんと持ってきたんで、これ飲みますか、京楽隊長」
「うん、いただきまーす」
注いでもらい、「乾杯」をしてから、一口飲んでみる。
「…、おいしくないね、これ😗」
「悪かったっスね😑」
一角も飲んでみた。
「…。そりゃ、京楽隊長が持ってきたのと比べりゃ、こんなもんすよ。俺の安月給で買えるレベルっすから」
「ごめんよぉ。これはこれでおいしいよ😄」
「おいしくないっつったじゃないすか」
「😅」
乱菊も弓親も勝手に注いで飲んでみた。
「まっずぁッ」
「ちょっとぉ、試飲してから買いなよ」
「文句言うなら、飲むなぁッ‼️帰れ💢」
そんなに怒らなくてもぉ〜という目で訴える2人を放っておいて、京楽は、なつみの話題が出てしまったから、一角と彼女についておしゃべりをしたくなってきた。
「それで、なつみちゃんの調子どう?最近会えてなくてさ、気になって仕方ないんだよね」
「…、悪くないっすよ。二番隊行ってるおかげで、動きが良くなってる。あいつのスピードについてくのは、並のヤツなら無理っすね。俺ですら、たまに勘で振ってるときがあるくらいすもん」
「あんまり無茶して、怪我させないでよ?」
「フッ…、知らないんすね。あいつは怪我したって、秒で治しやがる。稽古中に、うまく間合いを取って、俺が攻撃できない間に回復するんすよ。鬼道の能力が上がってて、その相乗効果で回道も上達してるのかもしれないすね」
「そっか」
「マジで、かわいい顔したバケモンすよ」
と言った途端にハッとした。そして京楽の視線に当てられる。
「ふ〜ん😏」
「いやっ、あの、…、何でもないっす」
かわいいも、バケモンも、どの言葉にも代えられず、無かったことにしたかったが。
「気にしないで。ほんとのことだからさ」
と言われてしまった。
「あいつって、どこ目指してるんすかね」
「スーパーヒーローってのは、そういうものだよ」
「…?」
噂をすれば影がさすというわけでもないが、その頃なつみは十一番隊舎に、ふら〜ふら〜な足取りでやってきていた。ひとりぼっちでいると、気分がズーンと落ち込んでやってらんなくなり、誰かといたくなって、じっとしていたくなくなっていたから、淡い期待を抱きつつ、十一番隊の道場で一角が相手してくれないかと来てみたのだ。しかし、こんな時間に開いているわけもなく、真っ暗で施錠された道場を前に、さらにズーンとなってしまった。
「ですよねぇ…」
肩を落として踵を返すと、人の気配を感じた。パッと目線を上げると、そこにいたのは更木だった。浴衣姿で、首にはタオルをかけている。髪が下ろされているところから、入浴してきたばかりなのだろうと推測できる。自室に戻る途中、道場前に小さな気配を感じ、様子を見にきたのだった。
「オウ、なつみじゃねーか。どうした。一角に用か?」
「更木隊長、こんばんは。あの、稽古をつけてもらえないかと思って、伺ったんですけど…」
「今か⁉︎何時だと思ってんだよ」
そう言われて、なつみはシュンとなってしまった。
(わかってるもん…)
「一角のヤツ、今いねぇぞ。今日は早めに切り上げやがってな。なんか、弓親たちと酒飲みに行くっつってたぜ」
「そうなんですか…」
さらにシュン。
そんななつみの様子に、さすがの更木もたじたじになってしまう。
「俺が相手してやっても良いが、生憎、風呂に入っちまったしな。汗かきたくねぇから、悪い、なつみ、今日は無理だ」
なつみはふるふると首を振った。
「気まぐれに急に伺ったぼくが悪いので、謝らないでください。ぼくこそ、ごめんなさい」
頭を下げて謝罪する。
戦い以外に関しては鈍い更木でも、なつみに何かあったことは予想できた。
「道場は開けてやれねぇが、話くらい聞いてやろうか」
「え…」
「ヤなことでもあったんだろ」
柄にも無い優しい言葉にびっくりして、なつみはキョトンとした。そして、優しくされるとうるうるくる。
「うぅぅぅぅ🥺」
「⁉️泣くなよ‼️💦」
「うぅぅぅぅーッ😖」
唸ってどうにか耐えようとした。