第三章
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雀部の音楽室とは、彼が趣味でバイオリンを弾くための部屋だが、何故かそこそこの広さがある。客でも招くつもりか?そんな広い部屋を見て、なつみがポロリとわがままをつぶやいたことがある。
「ピアノ置きません?」
彼女の願いを叶えたい雀部は、グランドピアノを調達しようと目論んだが、そこまでは求めていないとなつみに引かれ、アップライトを置くことにした。もちろん、いくらかなつみも協力したいと申し出たが、もちろん、雀部は全額支払い、なつみからは一銭も受け取らなかった。ただ、彼のリクエストに応えることを、このピアノを使う条件として言い渡しただけだった。そして誰に披露するでもなく、たまに2人で集まっては、バイオリンとピアノのデュオをこっそり楽しんでいた。
なつみはピアノを弾くことが大好きで、本屋で楽譜を眺めたり、現世のネットでコードをメモしたりしてネタを集め、雀部にこの部屋を開けてと、ちょいちょい頼んでいた。雀部はなつみに弾いて欲しいからと、好きなクラシックの楽譜を渡してくるが、彼女はジャズもロックもポップスも好きなので、ジャンルを問わず、自由に楽しんでいた。
「ドラム置きません?」
その願いは、まだ言えずにいた。
今日は休みで、ピアノを弾きたい欲に駆られたなつみは雀部に頼んで、音楽室を開けてもらった。雀部は仕事をしなければならないと知っていたため、ひとりで好きなだけ好きな曲をガンガン弾くことにした。弾きながら、仕事や特訓について思い返し、反省し、改善できることはないかと考えを巡らせる。ただぼーっと何もせずにいるより、ピアノを弾きながら考える方が、見えてくることもあるのだ。
そして今は弾き語りをしていた。反省会はとりあえず終え、歌いたくなってきたらしい。良い曲を見つけたのだそうだ。
それは、結城アイラの『ペールムーンがゆれてる』。なかなか気持ち良さそうに歌っている。大丈夫、誰も来やしない。だから音楽だけに集中していた。途中からではあるが、少し聴いてみよう。
「Do you know?
あこがれのような
尊くおもう人だって
Do you lie?
自分にウソついたこと
おぼろ月だけが みていた
きっと気付いてなんていないでしょう
密かな恋のサイン
消そうとするほど 色濃くなってゆく
触れたい… あなたのその手に
Do you know?
問いかけた言葉
かよわく舞ってきえてゆく
Do you mind?
想ってて…いいですか
おぼろ月淡く…ゆれてる
潤んだ瞳のなかに…」
弾き終わった両手を鍵盤からふわりと離す。
すると後ろから急に抱きしめられた。
「ボクもキミを想ってて良いかい?なつみちゃん…」
「京楽隊長…///⁉︎」
京楽は、自分が来たことを認識してもらうと、なつみの横に座ろうとした。ひとりで座るには長いピアノの椅子も、2人ではさすがに狭く、なつみはちょっとずつ端に逃げていく。
「うわッ‼︎」
迫る京楽から逃げようとしたら、片手が椅子を捉えられず、体のバランスが崩れた。
「おっと」すかさず京楽が、その小さな体を支えてあげた。「危ない危ない」
落ちないように支えてあげるために、なつみの体を引き寄せた。にしては、近い。
「なつみちゃん、気持ち良さそうに歌ってたけど、誰のこと想って歌ってたの…」
「ッ///」
顔を真っ赤にしてプイッとそっぽを向いた。
そっぽを向いたら、ちょうど市丸の姿が見えた。
「え!市丸隊長⁉︎」
慌てて立って視線を音楽室中にザッと走らせる。
「わぁッ⁉︎」「グフッ」
「みんないる⁉︎どうされたんですか⁉︎」
びっくりして、市丸に視線を戻した。
(ん?隊長が何か指差してる。下?)
市丸が指差す方へ目をやると。
「ひぃッ⁉️」
「なつみちゃんのおっぱいで窒息できるなんて、本望だよ」
驚いた勢いで、思わず京楽を抱きしめており、思い切り自分の胸に顔を埋めさせていたのに気付いた。
「キャーーーーーッ///‼️‼️」
京楽を突き放し、瞬歩で部屋の角に逃げ、壁と同化しようとしているのか、みんなに背を向けて、90°のところにピッタリ収まろうと突っ立った。
「見たかい?珍しく女の子みたいな反応しちゃって、かわいいんだからぁ🥰」
「そりゃ女の子だからだろッ」
「浮竹はわかってない!」
ビシッと指差し注意。
「ぼくは女じゃありません‼️‼️」
壁に向かって叫ぶなつみ。
「ほら、あれがいつものなつみちゃん」
ピアノの椅子に座ったままで、やれやれと語る京楽。
「なつみちゃんを女の子にしちゃうなんて、何てボクは罪な男なんだ…✨」
「ほぅじゃのぉ、牢にでも入っておれ」
「え…😅」
視線がちべたいです、総隊長💦
市丸は妹の救助に向かう。
「なつみちゃん、大丈夫?ボクがついとったるから、こっちおいで。な?」
そう言ってくれるから、渋々なつみは肩を抱くように胸をガードしながら、部屋の中央へ、市丸に背中を押してもらいながら戻っていった。
「隊首会があったんですか?」
「せやで」
むぅぅ…っとアヒルぐちになる。
「何で言ってくれなかったんですかぁ、総隊長」
とても言いづらい話だが。
「きかれんかったからのぉ」
((おい…💢))
「ピアノがうるさくて、注意しに来たんですね?🥺」
「違うよ。それなら、私がひとりで来るだろう?」
雀部さんの言う通り。
「え、じゃあ、…、あっ‼︎」
思い当たったなつみは、ぺたんと床に座り込んで、突っ伏した。
「ぼくを檻に閉じ込めに来たんだー!あー!絶対そうだー!危険因子だから捕まえに来たんだー!うわー!😭」
ピアノの次は一人芝居が始まったようなので、暇つぶしには持ってこいなエンターテイメント。
泣き叫ぶなつみの首が突然後ろに曲がった。額を何かで突かれたように。
「痛いッ!」
おでこをさすりながら、犯人を探す。と、目の前に鳥の顔があった。
「ムッちゃん!何するのさァ!😫」
犯人はこの人、夢現天道子のムッちゃん。なつみにデコピンをお見舞いしていたのだ。現在、身長30cm。ふわふわと宙に浮いている。
「落ち着け。何をひとりで被害妄想駆け抜けさせてるんだ。状況をよく見ろ、おバカさん。お前を捕まえるために来たなら、とっくにやっているはずだろう。こんなことで『助けて』と叫ぶな。彼らの目をご覧」ムッちゃんはなつみの左肩に乗り、自身の左腕を伸ばして、彼女の視線をぐるりとエスコートした。「温かい目でお前のことを……」
「めっちゃ困惑の目を向けられてるんすけど😟」
「……🐤💧」
なつみにとっては見慣れた姿だが、隊長たちには、得体の知れない生命体が現れたとしか認識できない。
「なつみちゃん、それ何?」
「『それ』とは失礼な。私にも名前はある。今は自由に動かねばならないからな、こちらの名で良いだろう」
ムッちゃんは、みんなに自分の姿がよく見えるよう、飛び上がっていった。
「私は、なつみの斬魄刀、夢現天道子だ。お目にかかれて光栄ですよ、紳士淑女のみなさん」
礼儀正しくお辞儀するムッちゃんを見上げるなつみ。
「何でムッちゃん出てきたの?」
「それはお前、彼らは私についての話をするために集まったのだから、私が姿を見せるのは当然だろう」
「そうなんですか?😲」
何故かはわからないが、なつみの質問に誰も答えようとしなかった。
「違うみたいだよ」
「何⁉︎本当になつみのピアノを聴きにきただけなのか」
「やーい、ムッちゃんの早とちりぃ😝」
なつみがヘラヘラとからかうものだから、ムッちゃんはヘソを曲げてしまった。
「もういい!そういうことならば、私は帰る」
「あぁ、待って!」
止めたのは藍染だった。
「キミは木之本くんの斬魄刀で、今、具象化しているの?本当に?」
「あぁ、具象化とは少し違うが、そんなところだ。応用だな✨」
「どういうことかな」
「こいつにはまだ、他人に見せられる程の力は無い。今は私の勝手な意志で、可視化しているだけなんだ。原理についてなら、あなたは理解できるはずだが」
「…ごめん、わからない、かな」
疑いの目😕を向けるムッちゃん。
「こういう時に寂しい思いをするな。どんな姿か気になるよ。持ち主に似て、可愛らしいんだろうな。どうだい、狛村」
盲目の東仙は、気配と大きさしか把握できていない。
「可愛らしいとは、お世辞にも言えんな…」
「何だと🐤💢」
「すまん。頭がヒヨコで、身体はヒト、黒の斑点模様のついた赤い翼が4つ生えているんだ」
「つまり、スマートということだ🐤✨」
「……💧」
「あなたには同意していただきたい❗️🐥」
それにはお答えできない狛村さん。
「全く君は常識が通用しないらしいネ、なつみ。君の能力は分析のし甲斐があるヨ」
マユリがなつみを立たせてやる。
「その前に、気になることがあるだろ」
「うん。日番谷隊長の言う通り。なつみちゃん、キミはいつから具象化できるようになってたんだい?」
立ち上がったなつみに、自分の膝の上に座るよう促しながら、京楽が尋ねた。その誘いを断りながら、なつみは答える。
「始解を修得してからすぐですよ」
「え⁉︎」
「何でそんなに驚かれるんですか。ぼく霊術院で習いましたよ。始解ができるようになったら、次は具象化するようになるって」
「そうだけど…」
「あんな、なつみちゃん。斬魄刀の具象化いうんは、始解できたらできるんとちゃうよ。そんな芋づる式やないで。そう教わってるはずやけど。覚えてないん?」
「あれ…、そうでしたっけ…😯」
学校で習ったはずのことをよーく思い出してみようと試みる。
「信じられねぇ。始解修得にも鍛錬は必要だが、具象化に至るまでは更にその倍以上も鍛錬を積まなきゃならねぇってのに、その苦労を知らねぇってのか、コイツは」
「日番谷隊長に言われたって、説得力無いっすよ」
「💢」
「すいません💦」
具象化できるのが凄いことだと復習したところで、そこから何に繋がるのか、まだ思い出せないでいるご様子。
「この子の記憶力がこの程度ということは…、ここ最近私が教えた知識も…」
「お気持ちお察します、卯ノ花隊長。僕も不安になってきました…」
「あぁ!先生たち‼︎💦」
「なつみちゃんてもしかして、お勉強が苦手なタイプ?😅」
「そんなことないですよ!😣」
困った立場に陥った主を救うムッちゃんが、颯爽と間に入った。
「そうだ。なつみは優等生だった。ただ、興味の無いことを覚えていられないというだけのことだ。コイツをバカにするなよ😤」
「ムッちゃん…、フォローになってない😓」
そこで、藍染先生が小テストを出題した。
「木之本くん、斬魄刀の具象化と屈服ができるようになったら、何の準備が整ったことになるか、わかるかな?」
「これはさすがにどっかで聞いたことある組み合わせですよ。ちょっと待ってください。クイズっすよね。えーっと、ぐしょーかとぷっぷく」
「屈服」
「くっぷく!んーと、んーと」
悩むポーズがプーさんと一緒。肘を逆の手で支えながら、右手の拳で耳の上辺りをコンコンしている。
「嘘だろ。興味が無ぇってのか」
日番谷にしたら、これは呆れるを通り越して、衝撃。
頭を抱えて天を仰ぐなつみ。ギブアップ!
「忘れちゃったー😫💦」
そしてタイムアップ。
「卍解だよ!なつみちゃん!卍解!」
ばん、かい…?
京楽先生の補習授業が始まる。
「キミはもう具象化してるから、あとはその子を屈服させれば、卍解を会得できるってことだよ」
「えーーーーーーーーーーッ‼️‼️⁉️😱」
音楽室が防音で良かった。
「驚きたいのはこっちだよ、なつみちゃん」
「ピアノ置きません?」
彼女の願いを叶えたい雀部は、グランドピアノを調達しようと目論んだが、そこまでは求めていないとなつみに引かれ、アップライトを置くことにした。もちろん、いくらかなつみも協力したいと申し出たが、もちろん、雀部は全額支払い、なつみからは一銭も受け取らなかった。ただ、彼のリクエストに応えることを、このピアノを使う条件として言い渡しただけだった。そして誰に披露するでもなく、たまに2人で集まっては、バイオリンとピアノのデュオをこっそり楽しんでいた。
なつみはピアノを弾くことが大好きで、本屋で楽譜を眺めたり、現世のネットでコードをメモしたりしてネタを集め、雀部にこの部屋を開けてと、ちょいちょい頼んでいた。雀部はなつみに弾いて欲しいからと、好きなクラシックの楽譜を渡してくるが、彼女はジャズもロックもポップスも好きなので、ジャンルを問わず、自由に楽しんでいた。
「ドラム置きません?」
その願いは、まだ言えずにいた。
今日は休みで、ピアノを弾きたい欲に駆られたなつみは雀部に頼んで、音楽室を開けてもらった。雀部は仕事をしなければならないと知っていたため、ひとりで好きなだけ好きな曲をガンガン弾くことにした。弾きながら、仕事や特訓について思い返し、反省し、改善できることはないかと考えを巡らせる。ただぼーっと何もせずにいるより、ピアノを弾きながら考える方が、見えてくることもあるのだ。
そして今は弾き語りをしていた。反省会はとりあえず終え、歌いたくなってきたらしい。良い曲を見つけたのだそうだ。
それは、結城アイラの『ペールムーンがゆれてる』。なかなか気持ち良さそうに歌っている。大丈夫、誰も来やしない。だから音楽だけに集中していた。途中からではあるが、少し聴いてみよう。
「Do you know?
あこがれのような
尊くおもう人だって
Do you lie?
自分にウソついたこと
おぼろ月だけが みていた
きっと気付いてなんていないでしょう
密かな恋のサイン
消そうとするほど 色濃くなってゆく
触れたい… あなたのその手に
Do you know?
問いかけた言葉
かよわく舞ってきえてゆく
Do you mind?
想ってて…いいですか
おぼろ月淡く…ゆれてる
潤んだ瞳のなかに…」
弾き終わった両手を鍵盤からふわりと離す。
すると後ろから急に抱きしめられた。
「ボクもキミを想ってて良いかい?なつみちゃん…」
「京楽隊長…///⁉︎」
京楽は、自分が来たことを認識してもらうと、なつみの横に座ろうとした。ひとりで座るには長いピアノの椅子も、2人ではさすがに狭く、なつみはちょっとずつ端に逃げていく。
「うわッ‼︎」
迫る京楽から逃げようとしたら、片手が椅子を捉えられず、体のバランスが崩れた。
「おっと」すかさず京楽が、その小さな体を支えてあげた。「危ない危ない」
落ちないように支えてあげるために、なつみの体を引き寄せた。にしては、近い。
「なつみちゃん、気持ち良さそうに歌ってたけど、誰のこと想って歌ってたの…」
「ッ///」
顔を真っ赤にしてプイッとそっぽを向いた。
そっぽを向いたら、ちょうど市丸の姿が見えた。
「え!市丸隊長⁉︎」
慌てて立って視線を音楽室中にザッと走らせる。
「わぁッ⁉︎」「グフッ」
「みんないる⁉︎どうされたんですか⁉︎」
びっくりして、市丸に視線を戻した。
(ん?隊長が何か指差してる。下?)
市丸が指差す方へ目をやると。
「ひぃッ⁉️」
「なつみちゃんのおっぱいで窒息できるなんて、本望だよ」
驚いた勢いで、思わず京楽を抱きしめており、思い切り自分の胸に顔を埋めさせていたのに気付いた。
「キャーーーーーッ///‼️‼️」
京楽を突き放し、瞬歩で部屋の角に逃げ、壁と同化しようとしているのか、みんなに背を向けて、90°のところにピッタリ収まろうと突っ立った。
「見たかい?珍しく女の子みたいな反応しちゃって、かわいいんだからぁ🥰」
「そりゃ女の子だからだろッ」
「浮竹はわかってない!」
ビシッと指差し注意。
「ぼくは女じゃありません‼️‼️」
壁に向かって叫ぶなつみ。
「ほら、あれがいつものなつみちゃん」
ピアノの椅子に座ったままで、やれやれと語る京楽。
「なつみちゃんを女の子にしちゃうなんて、何てボクは罪な男なんだ…✨」
「ほぅじゃのぉ、牢にでも入っておれ」
「え…😅」
視線がちべたいです、総隊長💦
市丸は妹の救助に向かう。
「なつみちゃん、大丈夫?ボクがついとったるから、こっちおいで。な?」
そう言ってくれるから、渋々なつみは肩を抱くように胸をガードしながら、部屋の中央へ、市丸に背中を押してもらいながら戻っていった。
「隊首会があったんですか?」
「せやで」
むぅぅ…っとアヒルぐちになる。
「何で言ってくれなかったんですかぁ、総隊長」
とても言いづらい話だが。
「きかれんかったからのぉ」
((おい…💢))
「ピアノがうるさくて、注意しに来たんですね?🥺」
「違うよ。それなら、私がひとりで来るだろう?」
雀部さんの言う通り。
「え、じゃあ、…、あっ‼︎」
思い当たったなつみは、ぺたんと床に座り込んで、突っ伏した。
「ぼくを檻に閉じ込めに来たんだー!あー!絶対そうだー!危険因子だから捕まえに来たんだー!うわー!😭」
ピアノの次は一人芝居が始まったようなので、暇つぶしには持ってこいなエンターテイメント。
泣き叫ぶなつみの首が突然後ろに曲がった。額を何かで突かれたように。
「痛いッ!」
おでこをさすりながら、犯人を探す。と、目の前に鳥の顔があった。
「ムッちゃん!何するのさァ!😫」
犯人はこの人、夢現天道子のムッちゃん。なつみにデコピンをお見舞いしていたのだ。現在、身長30cm。ふわふわと宙に浮いている。
「落ち着け。何をひとりで被害妄想駆け抜けさせてるんだ。状況をよく見ろ、おバカさん。お前を捕まえるために来たなら、とっくにやっているはずだろう。こんなことで『助けて』と叫ぶな。彼らの目をご覧」ムッちゃんはなつみの左肩に乗り、自身の左腕を伸ばして、彼女の視線をぐるりとエスコートした。「温かい目でお前のことを……」
「めっちゃ困惑の目を向けられてるんすけど😟」
「……🐤💧」
なつみにとっては見慣れた姿だが、隊長たちには、得体の知れない生命体が現れたとしか認識できない。
「なつみちゃん、それ何?」
「『それ』とは失礼な。私にも名前はある。今は自由に動かねばならないからな、こちらの名で良いだろう」
ムッちゃんは、みんなに自分の姿がよく見えるよう、飛び上がっていった。
「私は、なつみの斬魄刀、夢現天道子だ。お目にかかれて光栄ですよ、紳士淑女のみなさん」
礼儀正しくお辞儀するムッちゃんを見上げるなつみ。
「何でムッちゃん出てきたの?」
「それはお前、彼らは私についての話をするために集まったのだから、私が姿を見せるのは当然だろう」
「そうなんですか?😲」
何故かはわからないが、なつみの質問に誰も答えようとしなかった。
「違うみたいだよ」
「何⁉︎本当になつみのピアノを聴きにきただけなのか」
「やーい、ムッちゃんの早とちりぃ😝」
なつみがヘラヘラとからかうものだから、ムッちゃんはヘソを曲げてしまった。
「もういい!そういうことならば、私は帰る」
「あぁ、待って!」
止めたのは藍染だった。
「キミは木之本くんの斬魄刀で、今、具象化しているの?本当に?」
「あぁ、具象化とは少し違うが、そんなところだ。応用だな✨」
「どういうことかな」
「こいつにはまだ、他人に見せられる程の力は無い。今は私の勝手な意志で、可視化しているだけなんだ。原理についてなら、あなたは理解できるはずだが」
「…ごめん、わからない、かな」
疑いの目😕を向けるムッちゃん。
「こういう時に寂しい思いをするな。どんな姿か気になるよ。持ち主に似て、可愛らしいんだろうな。どうだい、狛村」
盲目の東仙は、気配と大きさしか把握できていない。
「可愛らしいとは、お世辞にも言えんな…」
「何だと🐤💢」
「すまん。頭がヒヨコで、身体はヒト、黒の斑点模様のついた赤い翼が4つ生えているんだ」
「つまり、スマートということだ🐤✨」
「……💧」
「あなたには同意していただきたい❗️🐥」
それにはお答えできない狛村さん。
「全く君は常識が通用しないらしいネ、なつみ。君の能力は分析のし甲斐があるヨ」
マユリがなつみを立たせてやる。
「その前に、気になることがあるだろ」
「うん。日番谷隊長の言う通り。なつみちゃん、キミはいつから具象化できるようになってたんだい?」
立ち上がったなつみに、自分の膝の上に座るよう促しながら、京楽が尋ねた。その誘いを断りながら、なつみは答える。
「始解を修得してからすぐですよ」
「え⁉︎」
「何でそんなに驚かれるんですか。ぼく霊術院で習いましたよ。始解ができるようになったら、次は具象化するようになるって」
「そうだけど…」
「あんな、なつみちゃん。斬魄刀の具象化いうんは、始解できたらできるんとちゃうよ。そんな芋づる式やないで。そう教わってるはずやけど。覚えてないん?」
「あれ…、そうでしたっけ…😯」
学校で習ったはずのことをよーく思い出してみようと試みる。
「信じられねぇ。始解修得にも鍛錬は必要だが、具象化に至るまでは更にその倍以上も鍛錬を積まなきゃならねぇってのに、その苦労を知らねぇってのか、コイツは」
「日番谷隊長に言われたって、説得力無いっすよ」
「💢」
「すいません💦」
具象化できるのが凄いことだと復習したところで、そこから何に繋がるのか、まだ思い出せないでいるご様子。
「この子の記憶力がこの程度ということは…、ここ最近私が教えた知識も…」
「お気持ちお察します、卯ノ花隊長。僕も不安になってきました…」
「あぁ!先生たち‼︎💦」
「なつみちゃんてもしかして、お勉強が苦手なタイプ?😅」
「そんなことないですよ!😣」
困った立場に陥った主を救うムッちゃんが、颯爽と間に入った。
「そうだ。なつみは優等生だった。ただ、興味の無いことを覚えていられないというだけのことだ。コイツをバカにするなよ😤」
「ムッちゃん…、フォローになってない😓」
そこで、藍染先生が小テストを出題した。
「木之本くん、斬魄刀の具象化と屈服ができるようになったら、何の準備が整ったことになるか、わかるかな?」
「これはさすがにどっかで聞いたことある組み合わせですよ。ちょっと待ってください。クイズっすよね。えーっと、ぐしょーかとぷっぷく」
「屈服」
「くっぷく!んーと、んーと」
悩むポーズがプーさんと一緒。肘を逆の手で支えながら、右手の拳で耳の上辺りをコンコンしている。
「嘘だろ。興味が無ぇってのか」
日番谷にしたら、これは呆れるを通り越して、衝撃。
頭を抱えて天を仰ぐなつみ。ギブアップ!
「忘れちゃったー😫💦」
そしてタイムアップ。
「卍解だよ!なつみちゃん!卍解!」
ばん、かい…?
京楽先生の補習授業が始まる。
「キミはもう具象化してるから、あとはその子を屈服させれば、卍解を会得できるってことだよ」
「えーーーーーーーーーーッ‼️‼️⁉️😱」
音楽室が防音で良かった。
「驚きたいのはこっちだよ、なつみちゃん」