第三章
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八、十、十二番隊長が3人でわちゃわちゃしているのを他所に、話は進む。
「総隊長は、その報告書をもうお読みになったんですか」
「そうじゃ。読んだその直後、偶然なつみと会うての。道場に連れて行き、あの子の始解を見せてもろうたわ」
さも当然というように答える元柳斎に、京楽は疑問しか抱けない。
「ちょっとちょっと、待って!待ってよ、山じい!偶然なつみちゃんと会うことがあるの⁉︎ほんとに、山じいとなつみちゃんて、どういう関係なの⁉︎何でそんなに親しいの⁉︎どこで偶然あの子と会えるのさ!ボクだってもっと毎日偶然なつみちゃんに会いたいよ!」
「う〜🥺」と両手で顔を覆って、悲ぴーアピールをするも、周りは完全スルーで進行する。
「儂というよりも、なつみと以前より親しくしておるのは、雀部の方じゃ」
元柳斎のやや後ろにいる雀部が、ぺこっと頭を下げた。
「何年前じゃったかの…、ある日から、こやつがなつみを自分の部屋に連れ込むようになっての」
(え?パパ活?)と類似した感じにざわついたため、雀部が慌てて訂正する。
「いや、誤解しないでくれ。私はただあの子と読書をしているだけだ。そんな変な目で、私を見ないでくれ!💦」
(それをパパ活というのだ)
「あ!わかった!」京楽が何か思い出したらしい。「あんたがなつみちゃんの英語の先生だな!」
「…ん、まぁ、そうだ」
それはなつみと斬魄刀について話した日のこと。なつみの部屋で、秘密の引き出しを覗く前に、本棚を眺めていた京楽は、そこで大きな英和辞書を見つけていた。その隣には洋書が何冊か。確か、それらの本には付箋が所々に貼られていて、独学で勉強してるにしては、やけに熱心だなという印象を受けていた。だが今発覚した。実際は独学ではなく、雀部に教えてもらいながら、2人で一緒に小説を読んでいたということ。
遡ること3年前、瀞霊廷の中にある、とある古書店になつみは来ていた。その店は、珍しく洋書も取り扱っており、かねてより英語の本を読んでみたいと思っていたなつみは、充分に貯まったお小遣いを握りしめて、本棚を眺めていた。
「簡単そうなのって、どれだろう」
何故、洋書を読んでみたいと思ったかというと、『読めたらかっこいい』が一番だが、翻訳を読んでいては、本当を知れないんじゃないかと思う節があったためだ。好奇心の強いなつみは、知りたいと思ったら、答えに近づいていこうとするタイプなのだ。
なつみの最終目標としては、シャーロックホームズを原作版で読むこと。だが、単語も文法もわからない彼女には、到底不可能な目標だった。しかし、それで諦めるようななつみではない。まずは児童文学の作品から読めるようになれば、いつかは難しいミステリーだって読めるようになるに違いないと考えた。
そして、手を伸ばしてみる。棚の一番上に見つけた、”Winnie the Pooh”と書かれた背表紙。
「プーさーん‼︎‼︎…ッ、届かなーい‼︎‼︎」
背伸びをして、体のどこもかしこも伸ばせるだけ伸ばしたが、届かない。唸っても、届かない。はしごや踏み台を持ってきたら良いのに、ちっちゃなプライドがちょっぴり許せなかった。それをやったら負けなのだ。
「うにゃーッ😖」
「これかな」
そこに現れた、有難迷惑な紳士。なつみが取ろうとしていた本をすっと棚から抜いて、彼女に差し出す。
「どうぞ」
ちっちゃい子扱いをされたようで、ご不満ななつみは、くだらないプライドにより、まだ伸びの姿勢をプルプル保っていた。
(誰だよ、この失礼なやっちゃは!)
その失礼なやっちゃの顔を拝むと、ギョッとした。
「ギョッ‼︎」
「ぎょ?(笑)」
「雀部副隊長!これはどうも、ご親切に、ありがとうございます。すいません」バッと本を受け取って。「ありがとうございます///」
恥ずかしい姿勢を見られて、なつみは顔を真っ赤にして、本を抱きながら縮こまった。
「君は、…死神なのか?」
その日、休日だったなつみは死覇装ではなく、私服を着ていた。
「それとも…」
なつみを上から下まで見てみたら、霊圧と斬魄刀があったので、死神だろうかと思ったが、それ以外がそうでもないため、疑ってしまう。その視線に気付いたなつみは、この失礼なやっちゃに自己紹介する。
「そうです!ぼくは三番隊所属、木之本なつみです!よろしくお願いします!」
ビシッと一礼決めかます。
「三番隊か。すまない。てっきり、どこかの名家の娘さんかと思ったよ(笑)」
何か面白そうな本は無いかな的なそぶりをしつつ、なつみに話しかける。
「君はその、英語が好きなのかな」
取ってもらったプーさんの表紙を見て、なつみが答える。
「英語が好きというわけではなく、英語で読んでみたいと思ったんです」クスッと笑う。「文法とか全然知らないんですけどね😌」
「そうなのか。それなら、その本はまだ難しいと思うぞ」
「そうなんですか?翻訳と比べて読めば、大丈夫かなって考えは、甘いですか」
ほっぺをぽりぽり。
「そうだな。…、英語の知識はどれくらいあるんだ?」
「えっと…、アルファベットは完璧です👍あと、映画は字幕で見るようにしてます。洋楽もたまに聞きますね。そんな感じです。勉強はしてないんですけど、耳はちょっとだけ育ってます」
「ほぉ、良い趣味をしている」
「ほんとですか😊」
褒められて悪い気のしないなつみと、珍しく趣味の合う者と出会えて嬉しい雀部。にこにこが止まらない。
(一番隊の副隊長に、褒められちゃった〜よ〜)
(こんな偶然があって良いのか。この好機、逃してなるものか)
「あの!」
チャンスを逃したくないのはなつみも同じ。
「何かな」
「もしよかったら、英語を初めて勉強するのに打って付けの本をご存知でしたら、是非紹介していただきたいんですけど」
なつみはもじもじしながら尋ねた。そんななつみに優しく微笑みながら答えてあげる。
「まずは、辞書を手に入れることだな。単語を調べられなければ、物語を読み進められないだろう」
「辞書ですか。そうですね。あっちの棚ですかね」
なつみは文学のコーナーから移動しようと踏み出したが、右手をパッと掴まれて動きを止められた。
「待ちなさい。ここはお店だから、大きな声で言えないが」
雀部は手招きをして、小さな声が届く距離に来てもらった。
「私のお古で良ければ、英和辞書を君にあげようか。買うとなると、結構するからね」
「ぅわー💖良いんですか!」
ひとつ頷く。
「今日はこの後、予定があるかな?」
「無いです。ありません!」
「では、うちの隊舎までついてきてくれ」
「はい!😆」
コソコソコソコソとおしゃべりをした2人、とりあえず、プーさんを購入すべくレジへ向かった。
「おや、雀部副隊長、お戻りですか。査定が終わりましたので、お支払いしますね。お値段がこちらになります。いかがでしょうか」
一枚の紙を見せられる。
「わかった。それで良いよ」
「はい、では用意します」
「あ、待ってくれ。1冊買いたい本があるんだ。木之本、それを渡しなさい」
「え、結構ですよ!自分で払います!」
「良いじゃないか。知り合った記念だ。プレゼントさせてくれ」
せっかくのご厚意に、ここまで言われて断るのも申し訳ないため、甘えることにした。
「わかりました。どうぞ」
「ありがとう」
なつみから本を受け取り、そのままお店の方に渡した。
店での用事を終えて、なつみと雀部は一番隊隊舎へ行き、雀部の部屋へ。洋風の家具で揃えられたインテリアを目にし、つい感動に浸ってしまう。
「うぅぅ、すっごい素敵です💖ときめきます💖家具の脚が、猫足だぁ〜✨かわいいー😍」
こりゃたまらん!と瞳をキラキラさせて椅子に座ってみる。
「ふわふわだ〜💖枠の曲線もたまらんが、座面クッションのストライプが、悶絶かわいい💖」
インテリアを洋風にまとめていることについて、周りが変態扱いしてくるのを目の当たりにしてきたが、よもや絶賛してくる変態が現れようとは思いもしなかった。その変態は椅子の背もたれに抱きついて、「しあわせ💕」とつぶやき、うっとりしていた。
(本当に変わった子だな…💧)
雀部は本棚から分厚い英和辞書を取り出し、机の上に置いてやった。
「持って帰るには、少し重いかもしれないな」
「大丈夫です!大事に持って帰ります!」
「そうか。なら、受け取ってくれ」
「はい!大切に使います!ありがとうございます😊」
「君の返事は、清々しいな(笑)」
感心していると、何か思い付いたようだ。
「お茶を淹れよう。紅茶は飲めるかな?」
「はい!好きです!」
「砂糖かミルクは入れた方が良いか?」
「ふふっ、ぼくもお手伝いします。一緒に用意しましょう」
「そうだな。そうしよう」
2人はすっかり仲良くなっていた。
お茶を楽しみながら決めたことは、以下の通り。雀部がなつみに英語の文法を一から教えてあげること。教室は雀部の部屋。2人が予定を確認し合えるように、連絡先を交換すること。文法がある程度わかるようになったら、一緒に小説を読むこと。授業前に、おいしいお茶とお菓子を毎回用意すること。雀部が英語を教えてくれるからと、なつみは雀部を「先生」と、雀部はなつみを下の名前で呼ぶことにした。
「よろしくお願いします、先生!」
「こちらこそ、よろしく。なつみ」
こうして人知れず、なつみの英語レッスンは始まっていた。
それから何度となつみと授業をしていくうち、彼女と会えるのが楽しみで仕方なくなっていた雀部は、明らかに様子が変わっていた。
「何やら機嫌が良さそうに見えるのは、儂の気のせいか?沖牙よ」
鼻歌まじりに庭の花に水をやる雀部を、物陰から顔を出して盗み見る姿2人。
「気のせいではありません。恐らく、最近こちらに来るようになった、三番隊の木之本という隊士が関係しているのでしょう。自分の部屋にその子を連れ込んで、何やら楽しそうにお喋りしている声が度々聞かれています」
「なんと⁉️ついに奴にもそのような存在ができたということか。ここは、温かい目で見守るべきかの」
「そうですね…😌」
しみじみと、それはもうしみじみと、温かい目で成り行きを見届けてやることで落ち着いた総隊長殿。
と、思われたが、やはり気になる、大事な部下の恋模様。英語のレッスン中に乱入して、挨拶をしてやった。するとビックリ、相手はなんと年端も行かぬ少女であった。
「あわっ!総隊長!はじめまして、こんにちは。三番隊所属、木之本なつみです!お邪魔してます」
ぺこっと頭を下げるなつみを上から下まで眺めて得た感想。「小さい」
「雀部よ、お前、よくも恥ずかしげもなく、幼いおなごに手を出せたものじゃな💢」
「違いますよ!誤解です、元柳斎殿!💦」
「そうです!誤解です!ぼくは幼くありません!大人です!」
そういうこっちゃねーよな論争で一悶着あったものの、雀部が丁寧に事情を説明することで、なんとか事態は収まった。
なんやかんやと初対面のときは不機嫌だった元柳斎も、なつみという者を知っていくうちにどんどんと彼女に惹かれていき、ついには孫のように可愛がるようになっていた。
特に、なつみが始解を修得しようと鍛錬を積んでいた頃には、たくさんのアドバイスを送り、彼女の心を支えていた。だからこそ、なかなかできるようにならないことでプレッシャーとなり、ストレスになっていた節もあるが、だからこそ、なつみは諦めることなく自分の斬魄刀と向き合い続けることができたのだ。
ということが、実はひっそりとあった。隊首会では時間の都合上、話されることはなかったため、今もなお、一番隊だけの秘密となっている。
話は、マユリがなつみについての報告書を提出し、元柳斎がそれを読んだ日へと移る。
元柳斎さんが言うことにゃ、こんなことがあったそうな。
「総隊長は、その報告書をもうお読みになったんですか」
「そうじゃ。読んだその直後、偶然なつみと会うての。道場に連れて行き、あの子の始解を見せてもろうたわ」
さも当然というように答える元柳斎に、京楽は疑問しか抱けない。
「ちょっとちょっと、待って!待ってよ、山じい!偶然なつみちゃんと会うことがあるの⁉︎ほんとに、山じいとなつみちゃんて、どういう関係なの⁉︎何でそんなに親しいの⁉︎どこで偶然あの子と会えるのさ!ボクだってもっと毎日偶然なつみちゃんに会いたいよ!」
「う〜🥺」と両手で顔を覆って、悲ぴーアピールをするも、周りは完全スルーで進行する。
「儂というよりも、なつみと以前より親しくしておるのは、雀部の方じゃ」
元柳斎のやや後ろにいる雀部が、ぺこっと頭を下げた。
「何年前じゃったかの…、ある日から、こやつがなつみを自分の部屋に連れ込むようになっての」
(え?パパ活?)と類似した感じにざわついたため、雀部が慌てて訂正する。
「いや、誤解しないでくれ。私はただあの子と読書をしているだけだ。そんな変な目で、私を見ないでくれ!💦」
(それをパパ活というのだ)
「あ!わかった!」京楽が何か思い出したらしい。「あんたがなつみちゃんの英語の先生だな!」
「…ん、まぁ、そうだ」
それはなつみと斬魄刀について話した日のこと。なつみの部屋で、秘密の引き出しを覗く前に、本棚を眺めていた京楽は、そこで大きな英和辞書を見つけていた。その隣には洋書が何冊か。確か、それらの本には付箋が所々に貼られていて、独学で勉強してるにしては、やけに熱心だなという印象を受けていた。だが今発覚した。実際は独学ではなく、雀部に教えてもらいながら、2人で一緒に小説を読んでいたということ。
遡ること3年前、瀞霊廷の中にある、とある古書店になつみは来ていた。その店は、珍しく洋書も取り扱っており、かねてより英語の本を読んでみたいと思っていたなつみは、充分に貯まったお小遣いを握りしめて、本棚を眺めていた。
「簡単そうなのって、どれだろう」
何故、洋書を読んでみたいと思ったかというと、『読めたらかっこいい』が一番だが、翻訳を読んでいては、本当を知れないんじゃないかと思う節があったためだ。好奇心の強いなつみは、知りたいと思ったら、答えに近づいていこうとするタイプなのだ。
なつみの最終目標としては、シャーロックホームズを原作版で読むこと。だが、単語も文法もわからない彼女には、到底不可能な目標だった。しかし、それで諦めるようななつみではない。まずは児童文学の作品から読めるようになれば、いつかは難しいミステリーだって読めるようになるに違いないと考えた。
そして、手を伸ばしてみる。棚の一番上に見つけた、”Winnie the Pooh”と書かれた背表紙。
「プーさーん‼︎‼︎…ッ、届かなーい‼︎‼︎」
背伸びをして、体のどこもかしこも伸ばせるだけ伸ばしたが、届かない。唸っても、届かない。はしごや踏み台を持ってきたら良いのに、ちっちゃなプライドがちょっぴり許せなかった。それをやったら負けなのだ。
「うにゃーッ😖」
「これかな」
そこに現れた、有難迷惑な紳士。なつみが取ろうとしていた本をすっと棚から抜いて、彼女に差し出す。
「どうぞ」
ちっちゃい子扱いをされたようで、ご不満ななつみは、くだらないプライドにより、まだ伸びの姿勢をプルプル保っていた。
(誰だよ、この失礼なやっちゃは!)
その失礼なやっちゃの顔を拝むと、ギョッとした。
「ギョッ‼︎」
「ぎょ?(笑)」
「雀部副隊長!これはどうも、ご親切に、ありがとうございます。すいません」バッと本を受け取って。「ありがとうございます///」
恥ずかしい姿勢を見られて、なつみは顔を真っ赤にして、本を抱きながら縮こまった。
「君は、…死神なのか?」
その日、休日だったなつみは死覇装ではなく、私服を着ていた。
「それとも…」
なつみを上から下まで見てみたら、霊圧と斬魄刀があったので、死神だろうかと思ったが、それ以外がそうでもないため、疑ってしまう。その視線に気付いたなつみは、この失礼なやっちゃに自己紹介する。
「そうです!ぼくは三番隊所属、木之本なつみです!よろしくお願いします!」
ビシッと一礼決めかます。
「三番隊か。すまない。てっきり、どこかの名家の娘さんかと思ったよ(笑)」
何か面白そうな本は無いかな的なそぶりをしつつ、なつみに話しかける。
「君はその、英語が好きなのかな」
取ってもらったプーさんの表紙を見て、なつみが答える。
「英語が好きというわけではなく、英語で読んでみたいと思ったんです」クスッと笑う。「文法とか全然知らないんですけどね😌」
「そうなのか。それなら、その本はまだ難しいと思うぞ」
「そうなんですか?翻訳と比べて読めば、大丈夫かなって考えは、甘いですか」
ほっぺをぽりぽり。
「そうだな。…、英語の知識はどれくらいあるんだ?」
「えっと…、アルファベットは完璧です👍あと、映画は字幕で見るようにしてます。洋楽もたまに聞きますね。そんな感じです。勉強はしてないんですけど、耳はちょっとだけ育ってます」
「ほぉ、良い趣味をしている」
「ほんとですか😊」
褒められて悪い気のしないなつみと、珍しく趣味の合う者と出会えて嬉しい雀部。にこにこが止まらない。
(一番隊の副隊長に、褒められちゃった〜よ〜)
(こんな偶然があって良いのか。この好機、逃してなるものか)
「あの!」
チャンスを逃したくないのはなつみも同じ。
「何かな」
「もしよかったら、英語を初めて勉強するのに打って付けの本をご存知でしたら、是非紹介していただきたいんですけど」
なつみはもじもじしながら尋ねた。そんななつみに優しく微笑みながら答えてあげる。
「まずは、辞書を手に入れることだな。単語を調べられなければ、物語を読み進められないだろう」
「辞書ですか。そうですね。あっちの棚ですかね」
なつみは文学のコーナーから移動しようと踏み出したが、右手をパッと掴まれて動きを止められた。
「待ちなさい。ここはお店だから、大きな声で言えないが」
雀部は手招きをして、小さな声が届く距離に来てもらった。
「私のお古で良ければ、英和辞書を君にあげようか。買うとなると、結構するからね」
「ぅわー💖良いんですか!」
ひとつ頷く。
「今日はこの後、予定があるかな?」
「無いです。ありません!」
「では、うちの隊舎までついてきてくれ」
「はい!😆」
コソコソコソコソとおしゃべりをした2人、とりあえず、プーさんを購入すべくレジへ向かった。
「おや、雀部副隊長、お戻りですか。査定が終わりましたので、お支払いしますね。お値段がこちらになります。いかがでしょうか」
一枚の紙を見せられる。
「わかった。それで良いよ」
「はい、では用意します」
「あ、待ってくれ。1冊買いたい本があるんだ。木之本、それを渡しなさい」
「え、結構ですよ!自分で払います!」
「良いじゃないか。知り合った記念だ。プレゼントさせてくれ」
せっかくのご厚意に、ここまで言われて断るのも申し訳ないため、甘えることにした。
「わかりました。どうぞ」
「ありがとう」
なつみから本を受け取り、そのままお店の方に渡した。
店での用事を終えて、なつみと雀部は一番隊隊舎へ行き、雀部の部屋へ。洋風の家具で揃えられたインテリアを目にし、つい感動に浸ってしまう。
「うぅぅ、すっごい素敵です💖ときめきます💖家具の脚が、猫足だぁ〜✨かわいいー😍」
こりゃたまらん!と瞳をキラキラさせて椅子に座ってみる。
「ふわふわだ〜💖枠の曲線もたまらんが、座面クッションのストライプが、悶絶かわいい💖」
インテリアを洋風にまとめていることについて、周りが変態扱いしてくるのを目の当たりにしてきたが、よもや絶賛してくる変態が現れようとは思いもしなかった。その変態は椅子の背もたれに抱きついて、「しあわせ💕」とつぶやき、うっとりしていた。
(本当に変わった子だな…💧)
雀部は本棚から分厚い英和辞書を取り出し、机の上に置いてやった。
「持って帰るには、少し重いかもしれないな」
「大丈夫です!大事に持って帰ります!」
「そうか。なら、受け取ってくれ」
「はい!大切に使います!ありがとうございます😊」
「君の返事は、清々しいな(笑)」
感心していると、何か思い付いたようだ。
「お茶を淹れよう。紅茶は飲めるかな?」
「はい!好きです!」
「砂糖かミルクは入れた方が良いか?」
「ふふっ、ぼくもお手伝いします。一緒に用意しましょう」
「そうだな。そうしよう」
2人はすっかり仲良くなっていた。
お茶を楽しみながら決めたことは、以下の通り。雀部がなつみに英語の文法を一から教えてあげること。教室は雀部の部屋。2人が予定を確認し合えるように、連絡先を交換すること。文法がある程度わかるようになったら、一緒に小説を読むこと。授業前に、おいしいお茶とお菓子を毎回用意すること。雀部が英語を教えてくれるからと、なつみは雀部を「先生」と、雀部はなつみを下の名前で呼ぶことにした。
「よろしくお願いします、先生!」
「こちらこそ、よろしく。なつみ」
こうして人知れず、なつみの英語レッスンは始まっていた。
それから何度となつみと授業をしていくうち、彼女と会えるのが楽しみで仕方なくなっていた雀部は、明らかに様子が変わっていた。
「何やら機嫌が良さそうに見えるのは、儂の気のせいか?沖牙よ」
鼻歌まじりに庭の花に水をやる雀部を、物陰から顔を出して盗み見る姿2人。
「気のせいではありません。恐らく、最近こちらに来るようになった、三番隊の木之本という隊士が関係しているのでしょう。自分の部屋にその子を連れ込んで、何やら楽しそうにお喋りしている声が度々聞かれています」
「なんと⁉️ついに奴にもそのような存在ができたということか。ここは、温かい目で見守るべきかの」
「そうですね…😌」
しみじみと、それはもうしみじみと、温かい目で成り行きを見届けてやることで落ち着いた総隊長殿。
と、思われたが、やはり気になる、大事な部下の恋模様。英語のレッスン中に乱入して、挨拶をしてやった。するとビックリ、相手はなんと年端も行かぬ少女であった。
「あわっ!総隊長!はじめまして、こんにちは。三番隊所属、木之本なつみです!お邪魔してます」
ぺこっと頭を下げるなつみを上から下まで眺めて得た感想。「小さい」
「雀部よ、お前、よくも恥ずかしげもなく、幼いおなごに手を出せたものじゃな💢」
「違いますよ!誤解です、元柳斎殿!💦」
「そうです!誤解です!ぼくは幼くありません!大人です!」
そういうこっちゃねーよな論争で一悶着あったものの、雀部が丁寧に事情を説明することで、なんとか事態は収まった。
なんやかんやと初対面のときは不機嫌だった元柳斎も、なつみという者を知っていくうちにどんどんと彼女に惹かれていき、ついには孫のように可愛がるようになっていた。
特に、なつみが始解を修得しようと鍛錬を積んでいた頃には、たくさんのアドバイスを送り、彼女の心を支えていた。だからこそ、なかなかできるようにならないことでプレッシャーとなり、ストレスになっていた節もあるが、だからこそ、なつみは諦めることなく自分の斬魄刀と向き合い続けることができたのだ。
ということが、実はひっそりとあった。隊首会では時間の都合上、話されることはなかったため、今もなお、一番隊だけの秘密となっている。
話は、マユリがなつみについての報告書を提出し、元柳斎がそれを読んだ日へと移る。
元柳斎さんが言うことにゃ、こんなことがあったそうな。