第九章
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積み方に問題は無さそうだ、ということで、しばらくのなつみの生活は以下のようになった。虚夜宮の屋上に上がって、石材を積む。資材調達の間は、誰かに相手を頼んで斬拳走鬼の稽古に励む。休憩がてら映画鑑賞やサウナに入るなりして、なつみ汁の材料となる体液を回収される。撒き餌はまだまだ必要なのだ。
そうして過ごしていたある日、屋上で引き続き壁を作っていると、待ちに待った、待望の時が訪れた。
「なつみ」
呼ばれ、一旦作業を止めて、声のした方へ振り向く。
「あぃっ❗️あぃ❓あ…ぃ❓❓❓」
声で振り向く前に正体がわかっていたが、実物を見たら、疑わしくなってしまった。なつみは目をぱちくり。
「あ…いぜん隊長ですよねぇ😅」
藍染らしき人物は笑ってしまい、一度目を逸らした。
「そうだよ。門出には、新たな自分で臨みたいのが、私の性分なんだ」
そのセリフと笑顔の意味を理解し、嬉しい半分、疑い半分で、慌てて藍染の向こうにいるだろう2人を探した。
「わぁッ‼️…あぁ」
いつも通りでした。良かった。
「プフッ(笑)」
市丸には、なつみの反応の意味がわかる。
「やっとお引越しされるんですね❗️」
髪は後ろに撫でつけられているは、眼鏡は無いわで、誰やねんなイメチェンを遂げた藍染だったが、なつみの幸せに満ちた笑顔を前にすると、つい目尻が下がる。低いところにあるふわふわな髪の毛を撫でてあげ、彼女を労った。
「頑張ってるね、なつみ。ご苦労様。君ひとりで、よくあそこまで積み上げた。さぁ、少し休憩しよう」振り返る藍染。「要、ギン、なつみを回復させてあげて」
「「はい」」
座るなつみの両サイドに、東仙と市丸がやってきて座り、なつみの手を取る。その間に藍染は、できている壁を眺めながらしばし歩いた。
その隙をついて、こそこそ井戸端会議をする。
「藍染隊長、変な啓発本でも読んできたんですか?あれ」
「そうかもしれへんな(笑)」
「私は良いと思うが」
「「……😑」」
「本心だ」
「…、陰でヨン様って呼ばれてるの聞いちゃったんですかね」
「それも聞こえているよ」
「うげっ💦」
いつの間にやら背後にいた藍染に聞かれてしまった。
「気に入らないかな」
「そそそんなこと、まっさか〜。お似合いですぅ〜。おほほほほ〜」
「気に入らんて〜(笑)」
「デュクシッ」市丸にキック。「おほほほほ〜」
「私が君の男の姿に慣れたように、君も私のこのなりに慣れて欲しいな」
上から見下ろしてくる藍染の顔を、座った姿勢のまま見上げる。
「…避けませんでしたっけ」
「今の話をしている」
「あーらそ〜」というふうに、なつみは肩をすくめた。
「力が溜まったら、今度は私が力を貸そう。ふたりで一緒に壁を仕上げよう」
なつみはそんな提案に戸惑った。
「でも、大変ですよ。ぼくひとりでやりますから。隊長方はお部屋で荷解きされた方が、良いんじゃないですか?着いたばかりなんですよね」
「そう。真っ先に来た。けど良いんだ。君を手伝いたい」藍染は話しながら懐に手をやる。「荷解きも、そんなに時間はかからないしね。前々から少しずつしていたから。もしや私が君の足を引っ張るんじゃないかと、心配しているのかな?」
「してませんよ‼️」
それは絶対にないが。
「君の邪魔はしない。約束する」
ちょっと心配。すると市丸が肩で小突いてきた。
「変わったんは見た目だけとちゃう。付き合ったり」
ふーん…、と少し考えてみる。
「わかりました。そこまで言ってくださるなら、やってみましょう」
やめてもらいたくなったら、そうすれば良いだけのこと。
「そうこなくちゃ」
「元気になりましたよ、市丸隊長、東仙隊長。ありがとうございます😊」
2人の手を放して、なつみは立ち上がった。
「要とギンは部屋に居てくれて構わないよ」
藍染が東仙と市丸に話している間に、なつみは斬魄刀を抜いて、再び構える。
「えー。見てたいわぁ、なつみちゃんの大活躍」
「お好きにどーぞ」
「ほな、おる」
「では、私も」
「痛い思いをしても知らないよ」
「え……?😑」
なつみは固まった。
「冗談だ。さぁ、やろう。手を握って」
藍染は、握れと言うのに、既に握った手を出してきた。
「❓」変だなぁと思う。「何か持ってます?」
「気にしないで」
ちょっと躊躇ったが、右手を藍染の出している左手の拳を上から包むように乗せることにした。
「いきますよ。従え、夢現天子」
高まる霊圧。
藍染は、せっかくなつみが手を乗せたのに、少し下ろして拳を返した。
(❓)
そして手を開き、下からなつみの手を握ってきた。彼が持っていた物は、ふたりの手の中に。
(⁉️)
能力を発動している最中に、なつみはそれに直接触れてしまった。高めた霊圧が、藍染と、そして手の中にあるそれによって、爆発的に倍増していく。
「うわぁッ‼️‼️」
周囲から急速に霊力が蓄えられ、流れに呑み込まれてたじろぐなつみ。
「大丈夫。集中して、なつみ。君が望むことを頭の中に描くんだ。いつもしているようにね」
逆巻く風の中、なつみは藍染の顔を不安げに見上げる。
「これ、何なんですか‼️」
「怖がることは無いよ。さぁ、早く。君の願いを待っているよ」
そんなことを言われても、落ち着いて考えることなどできない。
その時遠くから声が届いた。
「なつみちゃん!その人のこと信じたり!悪いことになったりせーへんから‼︎」
市丸が口元に手をやって、風に負けないよう、声を張り上げて言ってくれた。
大好きな頼れるお兄ちゃんの言うことなら、なつみはすぐにでも信じられる。うんうんっと素早く頷いて見せると、口をきゅっと結んで、真剣な眼差しになる。
「従え。壁を完成させよう」
意志が決まると、ふたりは痛いぐらいぎゅっと、握る手に力を入れた。この中にある物が放つ勢いで、離れそうに思えたから。なつみの願いを乗せて、爆風が虚夜宮の外側へ向けて、全方位に掛けていった。
「ううッ」
「しっかり。僕が支えているから、意識を途切れさせないで」
「ふふっ」
「どうして笑うのかな」
「そっちの方が好きです、藍染隊長」
「仕方ない。君の前でだけだよ」
藍染は左手へ右手を持っていき、なつみの手を握る手を変えた。彼女の背後に移動し、後ろから抱きしめる。倒れてしまわないように。
「一気にいこう」
「はい‼️」
なつみは目を閉じる。これまでひとりで作業してきたから感じるのだが、誰かといる安心感は絶大だ。頼って良いんだと、心に余裕ができる。思い切り力を発揮して、燃料切れになってもすぐに助けてもらえる。自分にできる最大限のパフォーマンスをしても大丈夫なのだ。ひとりじゃない。早くできそうという期待が自信となり、みんなの笑顔を思い浮かべると、更に力が湧いてくるようだった。
「GO」と強く囁くと、既に積み上がっている壁の向こうにある資材置き場の岩が動き始めた。
ガタンッ、スパンスパンスパンッ、ドンドンドンドンドンッ
今までにないスピードで、岩が切り出され、積み上がっていく。
「うへへへへ。やばっ」
藍染のおかげか、何なのか、とりあえず、背の高い力持ちになれたような気がして、高いところにも手が届く感覚になり、変に笑ってしまった。
「なつみちゃん、楽しそうやね」
スムーズに作業が進み、運ばれてあった石材は、あっという間に使い切ってしまった。
「んん、もう無い」
疾風がザッと走り、目を閉じるなつみの代わりに確認してくれた。
「無いなら、創り出せば良いんだよ」
「❓」
藍染の顎の下で、小首を傾げるなつみ。
「願いは叶う。君は良い子だから、絶対に叶うよ」
「そーんな、おとぎ話みたいな」
「だったら、現実的に考えれば良い。そして、君には仲間がたくさんいることを思い出して」なつみの頭のてっぺんにキスを。「世界の始まりを辿るんだ、僕らで」
新しいアイデアが流れ込んでくる。
「あーあ、イチャついてもうてるわ。片想い丸出しやけど」
「これが世界の創造か。大地の産声が聞こえてきそうだ」
それまでは大きな岩を切って積んでいたが、やり方を変える。もう切る必要は無い。自然の存在と対話し、砂から岩を作り出していくのだ。すると、強度も形も、なつみの意のままとなった。
「積みやすいー❗️これで良いよ、これでー❗️」
最初の不安はどこへやら。なつみはどんどんイメージを具現化していき、手の中の力と藍染に感謝した。
「お手伝いしていただき、ありがとうございます、藍染隊長、それから…崩玉さん」
クスクスクスッ
照れ笑いの後、壁を作る思いがフィナーレを彩った。最高潮に高まった力の働きが空気を振るわせて、パチパチ光り、光の粒がパーンと飛び散ったのと同時に、壁は理想の高さに到達した。
なつみはそっと目を開ける。
「はーぁ、できちゃいました」
そう言うと、一瞬フラついて、藍染にもたれかかってしまった。
「おっと。疲れてしまったかな。今日はここまでにしよう」
小さな掌から崩玉を回収し、頭を撫でてなつみを労わる。
「よしよし」
「んー…、ちっちゃい子扱いしないでください」
寝起きのような掠れた囁きで、藍染の腕の中のなつみは甘えた。
「君は偉大な子だ、なつみ」
両手の空いたなつみは、厚意に甘えて藍染に抱きつき、霊力をいただく。
「次はですね、この虚夜宮に柱を建てて、天井の支えにしますよ」
「うん」
甘えているが、甘い話にはならない。なつみはしっかり仕事の話をする。
「どんな柱にするか、決めてあるのかな」
「かなり太くするので、丈夫にするついでに、塔のような作りにしたらどうかなって思ってます」
「それは良いね。だったら、5本建てよう」
「5本ですか?」
こだわりがあるのだろうか。
「五は、頭と四肢、指のように、支えとなる重要な数字なんだよ」
「さすが五番隊隊長」
五への執着。
「バランスを取るのが難しいが、美しく整えば、強固な柱となる。この調子で、作業を続けていこう。もう、僕たちはここにいられる。好きなだけ手伝えるよ」
その言葉に、なつみの胸はきゅんきゅん騒めき、藍染の胸に顔をくいくい押しつけてから、元気にお返事してあげた。
「はいっ❗️」
そうして過ごしていたある日、屋上で引き続き壁を作っていると、待ちに待った、待望の時が訪れた。
「なつみ」
呼ばれ、一旦作業を止めて、声のした方へ振り向く。
「あぃっ❗️あぃ❓あ…ぃ❓❓❓」
声で振り向く前に正体がわかっていたが、実物を見たら、疑わしくなってしまった。なつみは目をぱちくり。
「あ…いぜん隊長ですよねぇ😅」
藍染らしき人物は笑ってしまい、一度目を逸らした。
「そうだよ。門出には、新たな自分で臨みたいのが、私の性分なんだ」
そのセリフと笑顔の意味を理解し、嬉しい半分、疑い半分で、慌てて藍染の向こうにいるだろう2人を探した。
「わぁッ‼️…あぁ」
いつも通りでした。良かった。
「プフッ(笑)」
市丸には、なつみの反応の意味がわかる。
「やっとお引越しされるんですね❗️」
髪は後ろに撫でつけられているは、眼鏡は無いわで、誰やねんなイメチェンを遂げた藍染だったが、なつみの幸せに満ちた笑顔を前にすると、つい目尻が下がる。低いところにあるふわふわな髪の毛を撫でてあげ、彼女を労った。
「頑張ってるね、なつみ。ご苦労様。君ひとりで、よくあそこまで積み上げた。さぁ、少し休憩しよう」振り返る藍染。「要、ギン、なつみを回復させてあげて」
「「はい」」
座るなつみの両サイドに、東仙と市丸がやってきて座り、なつみの手を取る。その間に藍染は、できている壁を眺めながらしばし歩いた。
その隙をついて、こそこそ井戸端会議をする。
「藍染隊長、変な啓発本でも読んできたんですか?あれ」
「そうかもしれへんな(笑)」
「私は良いと思うが」
「「……😑」」
「本心だ」
「…、陰でヨン様って呼ばれてるの聞いちゃったんですかね」
「それも聞こえているよ」
「うげっ💦」
いつの間にやら背後にいた藍染に聞かれてしまった。
「気に入らないかな」
「そそそんなこと、まっさか〜。お似合いですぅ〜。おほほほほ〜」
「気に入らんて〜(笑)」
「デュクシッ」市丸にキック。「おほほほほ〜」
「私が君の男の姿に慣れたように、君も私のこのなりに慣れて欲しいな」
上から見下ろしてくる藍染の顔を、座った姿勢のまま見上げる。
「…避けませんでしたっけ」
「今の話をしている」
「あーらそ〜」というふうに、なつみは肩をすくめた。
「力が溜まったら、今度は私が力を貸そう。ふたりで一緒に壁を仕上げよう」
なつみはそんな提案に戸惑った。
「でも、大変ですよ。ぼくひとりでやりますから。隊長方はお部屋で荷解きされた方が、良いんじゃないですか?着いたばかりなんですよね」
「そう。真っ先に来た。けど良いんだ。君を手伝いたい」藍染は話しながら懐に手をやる。「荷解きも、そんなに時間はかからないしね。前々から少しずつしていたから。もしや私が君の足を引っ張るんじゃないかと、心配しているのかな?」
「してませんよ‼️」
それは絶対にないが。
「君の邪魔はしない。約束する」
ちょっと心配。すると市丸が肩で小突いてきた。
「変わったんは見た目だけとちゃう。付き合ったり」
ふーん…、と少し考えてみる。
「わかりました。そこまで言ってくださるなら、やってみましょう」
やめてもらいたくなったら、そうすれば良いだけのこと。
「そうこなくちゃ」
「元気になりましたよ、市丸隊長、東仙隊長。ありがとうございます😊」
2人の手を放して、なつみは立ち上がった。
「要とギンは部屋に居てくれて構わないよ」
藍染が東仙と市丸に話している間に、なつみは斬魄刀を抜いて、再び構える。
「えー。見てたいわぁ、なつみちゃんの大活躍」
「お好きにどーぞ」
「ほな、おる」
「では、私も」
「痛い思いをしても知らないよ」
「え……?😑」
なつみは固まった。
「冗談だ。さぁ、やろう。手を握って」
藍染は、握れと言うのに、既に握った手を出してきた。
「❓」変だなぁと思う。「何か持ってます?」
「気にしないで」
ちょっと躊躇ったが、右手を藍染の出している左手の拳を上から包むように乗せることにした。
「いきますよ。従え、夢現天子」
高まる霊圧。
藍染は、せっかくなつみが手を乗せたのに、少し下ろして拳を返した。
(❓)
そして手を開き、下からなつみの手を握ってきた。彼が持っていた物は、ふたりの手の中に。
(⁉️)
能力を発動している最中に、なつみはそれに直接触れてしまった。高めた霊圧が、藍染と、そして手の中にあるそれによって、爆発的に倍増していく。
「うわぁッ‼️‼️」
周囲から急速に霊力が蓄えられ、流れに呑み込まれてたじろぐなつみ。
「大丈夫。集中して、なつみ。君が望むことを頭の中に描くんだ。いつもしているようにね」
逆巻く風の中、なつみは藍染の顔を不安げに見上げる。
「これ、何なんですか‼️」
「怖がることは無いよ。さぁ、早く。君の願いを待っているよ」
そんなことを言われても、落ち着いて考えることなどできない。
その時遠くから声が届いた。
「なつみちゃん!その人のこと信じたり!悪いことになったりせーへんから‼︎」
市丸が口元に手をやって、風に負けないよう、声を張り上げて言ってくれた。
大好きな頼れるお兄ちゃんの言うことなら、なつみはすぐにでも信じられる。うんうんっと素早く頷いて見せると、口をきゅっと結んで、真剣な眼差しになる。
「従え。壁を完成させよう」
意志が決まると、ふたりは痛いぐらいぎゅっと、握る手に力を入れた。この中にある物が放つ勢いで、離れそうに思えたから。なつみの願いを乗せて、爆風が虚夜宮の外側へ向けて、全方位に掛けていった。
「ううッ」
「しっかり。僕が支えているから、意識を途切れさせないで」
「ふふっ」
「どうして笑うのかな」
「そっちの方が好きです、藍染隊長」
「仕方ない。君の前でだけだよ」
藍染は左手へ右手を持っていき、なつみの手を握る手を変えた。彼女の背後に移動し、後ろから抱きしめる。倒れてしまわないように。
「一気にいこう」
「はい‼️」
なつみは目を閉じる。これまでひとりで作業してきたから感じるのだが、誰かといる安心感は絶大だ。頼って良いんだと、心に余裕ができる。思い切り力を発揮して、燃料切れになってもすぐに助けてもらえる。自分にできる最大限のパフォーマンスをしても大丈夫なのだ。ひとりじゃない。早くできそうという期待が自信となり、みんなの笑顔を思い浮かべると、更に力が湧いてくるようだった。
「GO」と強く囁くと、既に積み上がっている壁の向こうにある資材置き場の岩が動き始めた。
ガタンッ、スパンスパンスパンッ、ドンドンドンドンドンッ
今までにないスピードで、岩が切り出され、積み上がっていく。
「うへへへへ。やばっ」
藍染のおかげか、何なのか、とりあえず、背の高い力持ちになれたような気がして、高いところにも手が届く感覚になり、変に笑ってしまった。
「なつみちゃん、楽しそうやね」
スムーズに作業が進み、運ばれてあった石材は、あっという間に使い切ってしまった。
「んん、もう無い」
疾風がザッと走り、目を閉じるなつみの代わりに確認してくれた。
「無いなら、創り出せば良いんだよ」
「❓」
藍染の顎の下で、小首を傾げるなつみ。
「願いは叶う。君は良い子だから、絶対に叶うよ」
「そーんな、おとぎ話みたいな」
「だったら、現実的に考えれば良い。そして、君には仲間がたくさんいることを思い出して」なつみの頭のてっぺんにキスを。「世界の始まりを辿るんだ、僕らで」
新しいアイデアが流れ込んでくる。
「あーあ、イチャついてもうてるわ。片想い丸出しやけど」
「これが世界の創造か。大地の産声が聞こえてきそうだ」
それまでは大きな岩を切って積んでいたが、やり方を変える。もう切る必要は無い。自然の存在と対話し、砂から岩を作り出していくのだ。すると、強度も形も、なつみの意のままとなった。
「積みやすいー❗️これで良いよ、これでー❗️」
最初の不安はどこへやら。なつみはどんどんイメージを具現化していき、手の中の力と藍染に感謝した。
「お手伝いしていただき、ありがとうございます、藍染隊長、それから…崩玉さん」
クスクスクスッ
照れ笑いの後、壁を作る思いがフィナーレを彩った。最高潮に高まった力の働きが空気を振るわせて、パチパチ光り、光の粒がパーンと飛び散ったのと同時に、壁は理想の高さに到達した。
なつみはそっと目を開ける。
「はーぁ、できちゃいました」
そう言うと、一瞬フラついて、藍染にもたれかかってしまった。
「おっと。疲れてしまったかな。今日はここまでにしよう」
小さな掌から崩玉を回収し、頭を撫でてなつみを労わる。
「よしよし」
「んー…、ちっちゃい子扱いしないでください」
寝起きのような掠れた囁きで、藍染の腕の中のなつみは甘えた。
「君は偉大な子だ、なつみ」
両手の空いたなつみは、厚意に甘えて藍染に抱きつき、霊力をいただく。
「次はですね、この虚夜宮に柱を建てて、天井の支えにしますよ」
「うん」
甘えているが、甘い話にはならない。なつみはしっかり仕事の話をする。
「どんな柱にするか、決めてあるのかな」
「かなり太くするので、丈夫にするついでに、塔のような作りにしたらどうかなって思ってます」
「それは良いね。だったら、5本建てよう」
「5本ですか?」
こだわりがあるのだろうか。
「五は、頭と四肢、指のように、支えとなる重要な数字なんだよ」
「さすが五番隊隊長」
五への執着。
「バランスを取るのが難しいが、美しく整えば、強固な柱となる。この調子で、作業を続けていこう。もう、僕たちはここにいられる。好きなだけ手伝えるよ」
その言葉に、なつみの胸はきゅんきゅん騒めき、藍染の胸に顔をくいくい押しつけてから、元気にお返事してあげた。
「はいっ❗️」