第一章
夢小説設定
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急いで市丸がなつみを抱いて支えてやると、状況が徐々に見えてきた。左手は口を覆うように当てられたままプルプル震い、右手には斬魄刀が握られている。
「やったなコイツ」ジトーッと睨む市丸。
(してないしてないしてない!)ブンブン首を横に振りまくるなつみ。
「自分から仕掛けといて、茹で蛸さんみたいに真っ赤っかーになってしもて。このあんぽんたん!刀しまいなさい」
市丸にポンッとおでこを叩かれ、なつみは大人しく言うことを聞いた。一歩離れてから夢現天子を鞘に戻すなつみの姿を見ながら、京楽は何が起きたのかと思考を巡らしていた。
「なつみちゃんの能力って一体…」
市丸がクルッと京楽に背を向け、なつみにコソッと尋ねる。
「どこまで話した?」
「まだ何も」
確認するとクルッと向き直った。
「なつみちゃんの斬魄刀は、自分の方に狙ったもの何でも引き寄せる能力を持ってるんです。…ボクの予想やけど、うまくコントロールできんくて、京楽さんのこと引っ張りすぎたんやろ。ね、なつみちゃん」
うーん?と首をゆっくり傾げるなつみにつられて、ゆーっくり同じ角度に自分たちの首も傾げてしまう市丸と京楽。と、なつみはそうだった!とハッとし、慌ててうんうんっ!といっぱい頷いた。
「そうだったんだ。事故だったんだね。はぁー、惜しかったな。だったら、願わくば、手じゃなくてお口にしたかった」
「チョットぉ」
「じょーだんっ」
「なつみちゃん!何があったかは後できくで、もう帰るで!」
市丸のカリカリした声色で少しおどおどしながら、なつみは少し離れたところに置いておいたクッキーの袋を取りに行った。その間に市丸は京楽に物申す。
「なつみちゃんが京楽さんの頼み絶対断れんのわかって、こんなことしたでしょ。困ります!」
「ごめんよー。ご機嫌に歩いてるなつみちゃんがあんまりにもかわいかったから、つい」
ピキッ。
「お待たせしました、市丸隊長。あの…、さっきのことはみんなには内緒にしてもらえませんか?」
ピキピキッ。
「仕事サボって、京楽さんとチューしてたなんて、言えるわけないやろ」
「うぅぅっ、ごめんなさい」
「そんなに怒らなくても良いじゃないか。彼女は悪くないんだからさ」
「せや!アンタが悪い!」
「そんな…、京楽隊長は悪い人じゃないですよ」
プツン。
「悪い人に、決まってるやろーッ!なつみちゃん攫って、帰れんようにしとったんやからァ!」
「すいませんでした」「うにゅにゅ(泣)」
京楽の能天気さとそれを上回るなつみの能天気さに、市丸の堪忍袋の緒がキレた。そんな市丸を前に、京楽は素直に頭を下げ、なつみは泣き出してしまう。なつみの涙を見て、さすがに声を荒げすぎたと思い、なつみの肩に手を置いて、なるべく穏やかに訴えた。
「なつみちゃん、ボクな、ホンっマに心配したんや。どこかもわからんとこに連れ去られて、怖い思いしてるんちゃうかって」小さな子をなだめるように、柔らかく抱きしめた。「無事で良かった」
「隊長…、ご心配おかけして、申し訳ありませんでした」なつみは鼻をすすりながら、市丸の腕の中で、市丸の目をまっすぐ見ながら謝罪した。「今度、京楽隊長とお話しするときは、断固たる決意で『時間なので帰ります』って言います!」
凛々しいイケメンな顔つきで、なつみはギュッと市丸に抱きついた。少し間を空け、半分笑って半分呆れて市丸はなつみの頭をぽんぽん撫でてやった。
「そーゆーこととちゃうけど、…まぁ、今はええわ」
蚊帳の外にいる京楽に視線を変え、釘を刺しておく。
「次またやったら、許しませんよ」
「あはは…、肝に銘じておくよ」
また視線をなつみに戻して。
「帰るで、なつみちゃん」
「はい。京楽隊長、失礼します」
「うん。またね」
一礼したなつみを市丸は抱き上げた。
「隊長⁉︎」
「なつみちゃんは帰り道知らんやろ」
「隊長の後ついていきますから、降ろしてもらって大丈夫です」
「あかん!」
また運搬されるなつみであった。
その場に残された京楽。仰向けに寝転がって、午後の空を見上げた。
「あーぁ、ボクは悪者か。ふーん…、にしても、なつみちゃんの能力…」
不思議だなと振り返りつつ、未遂ではあったなつみとのキスも思い出す。
「いやー、かわいかったな〜。もしかして、ファーストキス奪っちゃったかな〜」
確かにボクは悪い人だよ、と心の中で呟いて目を閉じた。
なつみが遅刻をした理由として、クッキー屋から帰る際、近道をしようとして知らない道に入り、見事に迷子になってしまったという言い訳を用意しておいた。それでイヅルや仲間たちは納得し、李空からはデコピンを食らった。
「バーカ。迷惑かけんな」
「うぅ、ごめん」
お詫びとして、大事に持って帰ってこれたクッキーをみんなに配って回った。
ということがあった。美沙と藍染の次に始解を見せたのが京楽であり、不本意ながらも能力を使って京楽とキスしそうになったなんてことは、絶対に絶対にぜーったいに言えないなつみであった。
(言えない!妄想で暴走したなんて!…、どうして手をどけてなかったんだ‼︎)
「やったなコイツ」ジトーッと睨む市丸。
(してないしてないしてない!)ブンブン首を横に振りまくるなつみ。
「自分から仕掛けといて、茹で蛸さんみたいに真っ赤っかーになってしもて。このあんぽんたん!刀しまいなさい」
市丸にポンッとおでこを叩かれ、なつみは大人しく言うことを聞いた。一歩離れてから夢現天子を鞘に戻すなつみの姿を見ながら、京楽は何が起きたのかと思考を巡らしていた。
「なつみちゃんの能力って一体…」
市丸がクルッと京楽に背を向け、なつみにコソッと尋ねる。
「どこまで話した?」
「まだ何も」
確認するとクルッと向き直った。
「なつみちゃんの斬魄刀は、自分の方に狙ったもの何でも引き寄せる能力を持ってるんです。…ボクの予想やけど、うまくコントロールできんくて、京楽さんのこと引っ張りすぎたんやろ。ね、なつみちゃん」
うーん?と首をゆっくり傾げるなつみにつられて、ゆーっくり同じ角度に自分たちの首も傾げてしまう市丸と京楽。と、なつみはそうだった!とハッとし、慌ててうんうんっ!といっぱい頷いた。
「そうだったんだ。事故だったんだね。はぁー、惜しかったな。だったら、願わくば、手じゃなくてお口にしたかった」
「チョットぉ」
「じょーだんっ」
「なつみちゃん!何があったかは後できくで、もう帰るで!」
市丸のカリカリした声色で少しおどおどしながら、なつみは少し離れたところに置いておいたクッキーの袋を取りに行った。その間に市丸は京楽に物申す。
「なつみちゃんが京楽さんの頼み絶対断れんのわかって、こんなことしたでしょ。困ります!」
「ごめんよー。ご機嫌に歩いてるなつみちゃんがあんまりにもかわいかったから、つい」
ピキッ。
「お待たせしました、市丸隊長。あの…、さっきのことはみんなには内緒にしてもらえませんか?」
ピキピキッ。
「仕事サボって、京楽さんとチューしてたなんて、言えるわけないやろ」
「うぅぅっ、ごめんなさい」
「そんなに怒らなくても良いじゃないか。彼女は悪くないんだからさ」
「せや!アンタが悪い!」
「そんな…、京楽隊長は悪い人じゃないですよ」
プツン。
「悪い人に、決まってるやろーッ!なつみちゃん攫って、帰れんようにしとったんやからァ!」
「すいませんでした」「うにゅにゅ(泣)」
京楽の能天気さとそれを上回るなつみの能天気さに、市丸の堪忍袋の緒がキレた。そんな市丸を前に、京楽は素直に頭を下げ、なつみは泣き出してしまう。なつみの涙を見て、さすがに声を荒げすぎたと思い、なつみの肩に手を置いて、なるべく穏やかに訴えた。
「なつみちゃん、ボクな、ホンっマに心配したんや。どこかもわからんとこに連れ去られて、怖い思いしてるんちゃうかって」小さな子をなだめるように、柔らかく抱きしめた。「無事で良かった」
「隊長…、ご心配おかけして、申し訳ありませんでした」なつみは鼻をすすりながら、市丸の腕の中で、市丸の目をまっすぐ見ながら謝罪した。「今度、京楽隊長とお話しするときは、断固たる決意で『時間なので帰ります』って言います!」
凛々しいイケメンな顔つきで、なつみはギュッと市丸に抱きついた。少し間を空け、半分笑って半分呆れて市丸はなつみの頭をぽんぽん撫でてやった。
「そーゆーこととちゃうけど、…まぁ、今はええわ」
蚊帳の外にいる京楽に視線を変え、釘を刺しておく。
「次またやったら、許しませんよ」
「あはは…、肝に銘じておくよ」
また視線をなつみに戻して。
「帰るで、なつみちゃん」
「はい。京楽隊長、失礼します」
「うん。またね」
一礼したなつみを市丸は抱き上げた。
「隊長⁉︎」
「なつみちゃんは帰り道知らんやろ」
「隊長の後ついていきますから、降ろしてもらって大丈夫です」
「あかん!」
また運搬されるなつみであった。
その場に残された京楽。仰向けに寝転がって、午後の空を見上げた。
「あーぁ、ボクは悪者か。ふーん…、にしても、なつみちゃんの能力…」
不思議だなと振り返りつつ、未遂ではあったなつみとのキスも思い出す。
「いやー、かわいかったな〜。もしかして、ファーストキス奪っちゃったかな〜」
確かにボクは悪い人だよ、と心の中で呟いて目を閉じた。
なつみが遅刻をした理由として、クッキー屋から帰る際、近道をしようとして知らない道に入り、見事に迷子になってしまったという言い訳を用意しておいた。それでイヅルや仲間たちは納得し、李空からはデコピンを食らった。
「バーカ。迷惑かけんな」
「うぅ、ごめん」
お詫びとして、大事に持って帰ってこれたクッキーをみんなに配って回った。
ということがあった。美沙と藍染の次に始解を見せたのが京楽であり、不本意ながらも能力を使って京楽とキスしそうになったなんてことは、絶対に絶対にぜーったいに言えないなつみであった。
(言えない!妄想で暴走したなんて!…、どうして手をどけてなかったんだ‼︎)