第八章
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かくして、無事、なつみの快気祝いが執り行われる運びとなりました。
「お前らー❗️元気がいちばんだ❗️わかっとるかーッ❗️😆」
「どういうツカミだよ」
「そうだそうだー❗️イチバンだーッ❗️」
「ぼくの元気を祝して〜、カンパーイ‼️」
お友達はみんなお酒だが、なつみだけはお茶である。
「もはやジュースすら選ばねぇのな」
「あのね、ジュースって糖分ヤバいの。最後にちょっとヒッかけるくらいで良いの。大人だぞ❗️」
「デザート何個も食べてた頃のお前はどこいったんだよ!さみしいぞ!」
「とぉい過去だん。ケンコー第一☝️」
「なんやかんや、俺らより死にかけてる回数多いもんな、お前」
「おーう。自慢じゃねーぞぉ」
「そうだな。中級大虚以外、お前の勝手な好奇心が招いたことだから、自業自得だ、クソチビ」
「あぁッ⁉️やんのか、コノヤロー💢」
こんなケンカも元気で集まれるからこそだ。
「まぁまぁ、仲良くやろうぜ。会う度にケンカすんなよ」
「無いなら無いで、寂しいくせに😁」
「おー。イヤミ言わねぇなんて、気持ち悪いな」
ポコスカポコスカ👊✊🤜💨
「やめなさい‼️うっとーしいッ‼️💢」
「「はい…。」」
(美沙ちゃん、怖ぇ〜😅)
このメンバーで食事会は、巣立ち1ヶ月同窓会以来だろうか。
「なぁ、木之本さ、そっちに戻ったから、男性死神協会退会したのか?」
「ううん、してないよ。しなくて良いって言われた」
「そうなのか?」
「『お前はイッチャンの稼ぎ頭じゃけぇ、出ていかれたら困る!女じゃろーが、ワシらん仲間じゃ!退会なんぞ、許さん‼︎😎』って言ってくれたの」
「お前はそれで良かったんだ」
「うん!『押忍ッ‼️』ってお返事したよ😄」
「へ〜」
「死覇装のあの着こなしができなくなるけどね。でもさ、こっち戻ったじゃん。そしたらさ、草鹿副隊長がやたら女性死神協会に勧誘してくるようになったんだよね」
「ヘッドハンティングじゃん(笑)」
「ははっ、そーかな。両方って大変かな、やっぱり」
「お前、変に忙しいよな。仕事じゃねぇとこでよ」
「やりがい!自分磨き!ドヤァ〜」
「そのうち分身の術でも修得しそうだな」
「木之本が何しようと、今更驚かねぇけど」
「ま、ほどほどにやれよ」
「ほどほどにね〜。あたし、噂で聞いちゃったんだけど、何かおっきなイベント開こうとしてるらしいじゃん」
「そーなんだよ‼️まだ企画を練ってる段階で、予算とかの案をまとめてるだけだから、やりますって発表できてないんだけど。バレてたんだ」
「なになに?それ」
「打ち上げ花火をさ、みんなで見ようって約束したじゃん。だから、花火大会をね、やりたいですって、男性死神協会の会合で提案して。で、やる方向で話進めれてるんだけど、夜だけってもったいなくねってなって、明るいうちから、みんなで楽しめるイベントもやろうってなったの。そのイベントが、なんと、カラオケ大会‼️屋外特設会場を建てて、みんなでワイワイ🙌」
「みんなでって、規模どのくらいで想定してんの?」
「もち、瀞霊廷のみんなさん👍」
「バーカ。そんなん男性死神協会だけの金じゃ無理だろ。人手も足りねぇ。計算は他人任せだからって、非現実的過ぎだろ」
「だーって、たまにはお祭り騒ぎしたいじゃん。隊長たちにも歌ってもらおう!浮竹隊長はすげぇノリ気でさ、もう曲探してんの。イベントスタッフは貼り紙とかして募集しつつ、お金は、朽木隊長とか…?総隊長とか…?とかとかに〜?めっちゃお願いしてみるつもり👏」
「調子良いぜ🫤」
「音響機材とかはどうすんだよ。生音じゃ、そんな響かねぇだろ」
「そこはー、技術開発局のみなさんに👏」
「オケは?まさか全部生バンドでやるつもりか?」
「気分は武部聡志、なっつって。それはそのグループ毎で決めてもらうよ。で、もし、音源用意する系だったら、カラオケ音源を現世から違法ダウンロードしたり、ぼくがトラック作るわ」
「おい、1個目のは犯罪だぞ」
「バレたところでだわ、そんなもん。そんで一番隊舎のホールでレコーディングすっから。レンがギターで、尾田がコーラスな。やれよ」
「拒否権無しかよ⁉︎😅」
「タダ働きだ。ボランティーアだ。やれよ」
「はいはい。仰せのままに😄」
「カラオケ大会と言いつつ、これを利用して、先生とのデュオを披露したいのよね。ずっと2人で遊んでるだけだったからさ。発表会したいの。先生のヴァイオリン、ちょーキレイだよ」
「ねぇ、そんだけ大規模なイベントなら、出店とかもやったら?おいしいもの食べながら音楽聞きたいよぉ」
「それイイじゃん!」
「フェスだな」
「は〜ヤバ!そうだよ!フェスだよ!」
「もう、どんどんアイデアが膨らみすぎて、数週間じゃ準備できないんじゃない?1年かかりそう」
「なるべく早くできるようにするさ〜」
「とりあえず、外にいるのが気持ちいい季節にやってくれよ」
「そうそう。あと現世任務とか遠征とかと被んない日な」
「尾田がおらんくてもGOだよな😏」
「何でだよ‼️参加させろよ‼️」
「こっちいるのに、風邪で行けねぇも、なかなかツラいよな(笑)」
「元気でいましょ、みなさん。元気がイチバンよ」
「たぶんさ、マジで開催するんだったら、木之本、女性死神協会に声かけた方が良いと思う」
「おう、そっか。そうだね。男だけじゃ気付かないアイデアとかあるもんね。やっぱ、勧誘に乗っかるべきか」
「べきだな👍」
「👍」
次に気になるは、やはりあのこと。
「で?京楽隊長とはどうなったのさ〜。教えろよ〜😙」
「記事のネタにしようってんなら、話すもんか😤」
「あ、ケチだな」
「でもあたしからは聞いてよ!」
美沙がなつみとレンの間に割ってきた。
「も、すっごい迷惑だったんだから!」
「そんな、根に持ってるような言い方しないでよ」
「えー、聞かせて、美沙ちゃん。めっちゃ気になる」
「聞いてって言っておきながら、やっぱやめとくわ。事の始まりは、この子の方がよく知ってるから。はい、話してやって!」
「んー…、わかったよぉ…。あのね」
退院して2日後のこと。お昼休憩で、いつものお部屋にてごろごろしていたら、京楽が庭に突然姿を現した。
「こんにちは、なつみちゃん」
「あわっ!京楽隊長、こんにちは💦」
「お昼寝してたの?☺️」
縁側に腰掛ける。なつみはわたわたと起き上がり、正座する。
「お昼休憩中ですので、リラックスしてました///」
「そっか。ね、もうちょっとこっち来て」
手招きするので、その通りに近寄ってみる。すると。
チュッ…
「⁉️///」
ぷにゅっとほっぺにキスされた。
見開く目の向かいは、満足そうに細める目がある。
「何するんですか‼️こ、こんなとこでっ‼️誰かに見られたら、恥ずかしいじゃないですかっ‼️💦」
(……。見てもーた😑)
「い〜じゃ〜ん、別にぃ見せちゃえば。ボクら恋人同士なんだからさ😉」
「はわはわはわっ……、恋人ぉ⁉️」
(え…?)
「え、なんでそこで驚くの?ボクら一昨日から付き合ってるだろ?」
「えッ⁉️だって、あれは、お互いの思ってることをお話ししただけで、そんな、恋人になるなんてっ」
(あー…、それで嬉しさが爆発しとらんかったんか)
「うーん…」
頭をぽりぽり。京楽は、病室でイチャイチャしたことを思い出して、そうかと納得した。
「そうだね。ボクの気が早かったよ。ちゃんとプロポーズしてなかったもんね。それじゃあ…」
立ち上がると、縁側の前で片膝立ちになり、右手をなつみに差し出した。
「なつみちゃん、キミのことが大好きです。ボクの恋人になってください。よろしくお願いします」
お返事を待つのだが、その顔は自信に満ちていた。イエスと答えるに決まっている。だって、ふたりは両想いなのだから。
パタパタと緊張気味に瞬きをし、小さなお口が開かれた。
「ごめんなさいッ‼😖️💦」
「えっ‼️⁉️」
(えっ‼️⁉️)ガンッ💥「ィ痛ッタ‼️💦」
「ゲッ‼️市丸隊長‼️」
頭を下げて謝っていたなつみは、縁側の縁まで行って上階を見上げた。ふたりのやり取りにズッコケた市丸が、窓枠に頭をぶつけて痛むところを摩っている。
「いつから見てたんですか😣💦」
「そんなことどーでもええ‼️なに断ってんねん‼️付き合ったらええやろ‼️」
「ううっ、だって」
「そーだよッ‼️何が不満なのさ。ボクら相思相愛なんだから、断ることないじゃないか❗️あんまりだよ‼️」
隊長ふたりにガミガミ責め立てられて、あちこち振り向いて、頭の中がワーッとなってしまう。
(ワーッ💦💦💦)
「どうせまた自分なんか言うて、遠慮しようとしてんねやろ!しょーもない!もっと欲張ったらええやん!京楽さんが選んだんは、キミやで!自信持ち‼︎」
「あ、あんまり良いこと言わないでくれる?ボクの出番無くなっちゃう😅」
「ちょっと黙っとき‼️」
「はい💦(え〜😅)」
窓辺の市丸はサッシに手を置いて、少し身を乗り出していた。
「理由は何なん、なつみちゃん」
何か言わなきゃと思うほど、なつみは胸の上で握る手に力を入れてしまう。への字の口で困り顔。かわいいと感想を抱いても、ここはしゃんとしなければ。
「どうして『ごめんなさい』なのか、教えてくれないかい?なつみちゃん」
俯くなつみの頬に髪がかかる。その癖っ毛のカーブに添うように、京楽はそっと触れた。前髪から覗く、愛おしい上目遣いと逢う。
ちゅんとした唇から、とつとつと語られる。
「お気持ちは嬉しいです。ぼくも京楽隊長のこと大好きですから。ですけど、お付き合いは、じゅ、重大なことですから、考える時間が欲しいです。すぐにお返事できなくて、ごめんなさい……。」
ぺこと頭を下げた。
「なんだ。そういうことなら」
良かったと胸を撫で下ろす京楽であった。が。
「アカーーーンッ‼️」
上から轟いた。
「へっ⁉️😣💦」
下のふたりは手を取り合ってビビる。
「先延ばしにしたら、アカンの‼️重大なんやったら、最優先にせな‼️ボクはなァ、なつみちゃんがのんきに笑てんのを1分でも1秒でも長く見てたいんや‼️悩んでる顔なんか見たない‼️藍染隊長には一緒に怒られたるから、とっとと行き‼️遅刻は許したる‼️早よぉ‼️」
ビシッと指すは五番隊舎方面。
「はっ、はいぃッ‼️‼️💦💦」
市丸の勢いに押されて、パッと立ち上がると、逃げるようになつみは飛んでいってしまった。後に残される京楽。きょとん…。京楽、きょとん…。
「どして、急に藍染隊長?」
「アホぉ。恋バナ相手にあんなオッサンいらんわ」
「美沙ちゃぁーーーんッ‼️😫💨💨💨」
五番隊に到着すると、美沙の名前を連呼しながら、彼女の霊圧をたどり、開けた扉は道場のもの。
バンッ‼️
「美沙ちゃーんッ❗️どーしよーッ‼️😫」
「なつみ‼️⁉️どうしたの⁉️」
隊士たちの斬術の稽古を監督していた美沙は、親友の突入を食らった。突撃ともいう?
「大変なんだよぉ‼️聞いて聞いて聞いて‼️」
痛いほどの勢いと圧力で抱きつかれたと思ったら、離れ、肩を掴まれて、前後にブンブン揺さぶられる。
「やーめーて‼️何なの、もう❗️あたし仕事中なんだけど‼️」引き剥がす。「あんたも仕事してる時間でしょ⁉︎何しに来たの」
「隊長に許可もらってる!遅刻して良いって!」
「はぁ⁉︎」
話し方から、誰かの身に危機が迫ったということではなさそうだが、何やら切迫しているらしいことはわかる。市丸まで関与しているのならば、無視はできない。
「わかった。みんなはそのまま続けてて。ちょっとこの子の相手してくる」
なつみの乱入で、様子を伺うように手が止まっていた隊士たちは、美沙の指示で稽古を再開する。
竹刀が当たる音の中、場内の隅っこに移動したなつみと美沙。本当はこそこそ話したいが、うるさく鳴り響く衝突音に負けない声を張り上げなければならなかった。かくかくしかじか…。そのボリュームがベースとなったため、驚きに押し上げられた美沙の声はどデカく響き渡ってしまった。
「京楽隊長に告られたァーッ‼️⁉️…、あ💧🫢」
静寂の中、大注目を浴びるふたり。これは仕事どころではない。
この時間、道場からは竹刀がぶつかり合う音や、素早い衣擦れ、足音が鳴っているはずなのだが、なんだか静かである。そして何故か、居るはずのないなつみの気配があった。
「どうしたの、みんな。何かあった……、え?」
様子を見に来た藍染が見たものは、何かのセミナーに誤って入ってきてしまった気分になる光景。全員が道場の中程で座って集まっている。なつみと美沙が、発言しようと熱心に挙手する数十人の隊士たちの前にいた。
「何をしているのかな?これ😅」
ここまで堂々とサボられては、怒るに怒れない。
「藍染隊長!稽古を中断して申し訳ありませんが、護廷隊の一大事なんです!」
美沙は大真面目だった。
「あの、そう。…、木之本くんがまた何かやってしまったのかな?」
「今回はぼくじゃありません😤」
「半分はあんたよ」
「何の話か、とりあえず教えてくれるかな?💧」
「京楽隊長から、恋人にならないかと申し出されまして、お付き合いすべきかどうか、みんなのご意見を聞かせてもらっていました❗️」
「あー…、それは一大事だね😅」
よく考える時間を設けられたと判断した京楽は、なつみを迎えに行くことにする。五番隊舎に入ると、雛森が案内してくれた。
「こちらですね」
なつみと美沙の気配を察知し、道場の中を覗き込むと、あらビックリ。
「浮気されない保証は無いよ。一昔前の噂だけど、かなり多くの女性隊士が泣かされたと聞くからね。君が同じ目に遭わないとは限らないよ。僕は現状維持をお薦めするかな」
藍染が反対派勢力のリーダーになっていた。
「藍染隊長まで何参加してるんですかっ‼️😅」
呆れる雛森である。
件の人登場に背筋がシュッとなって、緊張がなつみの身体を走った。鼻の穴がピクピクッ。
「それで…、なつみちゃん。考えはまとまったかな?」
京楽が歩いて行くと、観衆の間に道ができ、いささか睨まれているのかもしれない視線の中を最前列へと通された。
「あの…」
「待った」
なつみが口を開いた途端に美沙がそれを遮って、2人の間に割って入った。
「はっきり言いますが、この子の答えならイエスです」
「え❗️ちょっと美沙ちゃん、だったらぼくが言うのに💦」
先に言われちゃった。
「ですがッ❗️」
黙っていろと、後ろになつみを押し戻す美沙。
「ここのみんなと、藍染隊長も含め、話しましたが、京楽隊長がなつみに相応しいのか、正直なところ疑わしいんです。これまでの交際遍歴の噂を聞いていますからね。なので、ここで、みんなの前で誓いを立ててください!この子のことをどれだけ本気で想っているのか、証言してください!なつみが望むなら、その通りにさせてあげたいですが、親友が悲しむ姿なんて絶対見たくないので、良い加減な気持ちから交際を申し込んだわけではないことを、嘘偽り無く、はっきり述べてもらいたいです!はい、どうぞ‼︎‼︎」
((美沙ちゃん、強ぇ〜💦))
ひぇ〜っとビビるも、確かに美沙の仰る通り。コホンと咳払いをして、喉をクリアにしよう。誠心誠意、心を込めて宣言しなければ。京楽はまっすぐに美沙に視線を向けた。その彼女の後ろで、心配そうな顔を覗かせている愛しい子にも届くように。
「ボクは、なつみちゃんと知り合ってから、なつみちゃんのことばかり考えていたよ。誰よりも大切に想ってるつもり。目移りなんかするもんか。ボクはすっかりなつみちゃんの魅力にメロメロなんだからね。なつみちゃんに好意を持ってる他の人たちに負けないくらい大好きさ。そいつらに絶対奪われたくない。ボクがなつみちゃんを必ず幸せにするから、ボクを信じて、一緒になってほしい。愛しているよ。だから美沙ちゃん、キミの大事ななつみちゃんを、ボクにください。お願いします」
こんなに頼もしく男らしい京楽を未だかつて見たことがあっただろうか。躊躇うことなく美沙に頭を下げ、思いの丈を申し入れた。これを見届けた美沙の返事は。
「足りないですけど、まぁ良いでしょう。なつみ、あっち行きな」
(足りないの?💧)
戸惑う京楽のところへ、テケテケテケとなつみは小走りで駆け寄った。照れた顔をして。
「足りてないのに、良いのかい?💧」
「これから、今仰った言葉を実行してもらいます。なつみを幸せにしてあげてください。それであたしは満足します。できなきゃ、怒りに行きますよ!」
「それなら僕も加勢するよ✋」
「惣右介くんまで来るの⁉︎いやいや、無いから。幸せにするよ!泣かせたりしないから!任せて!」
そう言って、強くぎゅっとなつみの肩を抱き寄せた。
(ふにゅぅッ///)
みんなの前で恥ずかしいが、とっても嬉しい。
そのみんな、特に女子隊士たちは、自分のことのようにワーキャー叫んでくっ付いて騒いで、場の雰囲気を盛り上げていた。そして、次の美沙の言葉で、更に歓声が上がった。
「おめでとう、なつみ。よかったね。お幸せに😊」
「うん‼️」
大きなお返事をして、なつみは京楽に抱きついた。
「よろしくお願いします、京楽隊長」
こんなにときめいて、胸が幸せに騒つくなんて、感じたこともなかった。
「ありがとう、なつみちゃん。ありがとう、美沙ちゃん。約束守るからね」
小さな頭をなでなで。
「はい❗️ぼくも協力します‼️」
祝福の中、なつみと京楽は微笑みあった。
高まりが落ち着いたところで、京楽はなつみから身体を離し、何やらごそごそと自身の懐を漁り出した。
「どうしたんですか?」
「あのね、あった、これこれ。婚姻届はさすがに早いから、また今度で良いけど、まずこっちにサインしてくれないかい😄」
「はい?」
広げて見せた紙というのは。
「毎日会えるように、ウチの隊に異動しようね❗️」
異動願いだ。
「ちょっ❗️それはダメだって言ったじゃないですか❗️ぼくは市丸隊長から離れませんよ❗️異動しません❗️しなくたって、あ、会いに行きますよ❗️いっぱい❗️」
お断りだ。
「え〜、ヤダよ、そんなの。毎日会いたい❗️異動がダメなら、引越しだな。ボクのおうちで暮らそう、なつみちゃん❗️」
「それもダメです!あたしのとこに帰ってきたばっかりなのに、そんなにすぐ連れてかないでください!」
今度は美沙の言い分だ。
「えー!もう!そんなこと言ってたら、付き合い方が今までと変わんないじゃないか!」
先程のかっこよさはどこへやら。呆れるほどの駄々をこねまくる京楽。最年長です。
「木之本くん、もう別れた方が良いかもしれないよ」
思わず周りは賛同しそうになる藍染の提案。
「やめてよ❗️交際期間5分とか、最短にも程があるって❗️洒落になんないよ」
時計を確認。
「3分ですね」
「いい加減言うなよ❗️✊」
ほくそ笑む藍染であった。
「そ、そんなに、いろいろ慌てて変えなくても良いじゃないですか!ゆっくり、たくさん思い出作っていきましょ。ね😅」
不満たらたらに、その場をなだめようとしたなつみを見やる京楽。
「じゃあ、連絡先の交換して」
「…総隊長命令なので、それもちょっと💧」
「💢」
珍しくお怒りのご様子。
「もォォォオッ‼️恋人って何なんだァアアアアアッ‼️」
「哲学ですね(笑)」
ほんとですね、藍染様。
「お前らー❗️元気がいちばんだ❗️わかっとるかーッ❗️😆」
「どういうツカミだよ」
「そうだそうだー❗️イチバンだーッ❗️」
「ぼくの元気を祝して〜、カンパーイ‼️」
お友達はみんなお酒だが、なつみだけはお茶である。
「もはやジュースすら選ばねぇのな」
「あのね、ジュースって糖分ヤバいの。最後にちょっとヒッかけるくらいで良いの。大人だぞ❗️」
「デザート何個も食べてた頃のお前はどこいったんだよ!さみしいぞ!」
「とぉい過去だん。ケンコー第一☝️」
「なんやかんや、俺らより死にかけてる回数多いもんな、お前」
「おーう。自慢じゃねーぞぉ」
「そうだな。中級大虚以外、お前の勝手な好奇心が招いたことだから、自業自得だ、クソチビ」
「あぁッ⁉️やんのか、コノヤロー💢」
こんなケンカも元気で集まれるからこそだ。
「まぁまぁ、仲良くやろうぜ。会う度にケンカすんなよ」
「無いなら無いで、寂しいくせに😁」
「おー。イヤミ言わねぇなんて、気持ち悪いな」
ポコスカポコスカ👊✊🤜💨
「やめなさい‼️うっとーしいッ‼️💢」
「「はい…。」」
(美沙ちゃん、怖ぇ〜😅)
このメンバーで食事会は、巣立ち1ヶ月同窓会以来だろうか。
「なぁ、木之本さ、そっちに戻ったから、男性死神協会退会したのか?」
「ううん、してないよ。しなくて良いって言われた」
「そうなのか?」
「『お前はイッチャンの稼ぎ頭じゃけぇ、出ていかれたら困る!女じゃろーが、ワシらん仲間じゃ!退会なんぞ、許さん‼︎😎』って言ってくれたの」
「お前はそれで良かったんだ」
「うん!『押忍ッ‼️』ってお返事したよ😄」
「へ〜」
「死覇装のあの着こなしができなくなるけどね。でもさ、こっち戻ったじゃん。そしたらさ、草鹿副隊長がやたら女性死神協会に勧誘してくるようになったんだよね」
「ヘッドハンティングじゃん(笑)」
「ははっ、そーかな。両方って大変かな、やっぱり」
「お前、変に忙しいよな。仕事じゃねぇとこでよ」
「やりがい!自分磨き!ドヤァ〜」
「そのうち分身の術でも修得しそうだな」
「木之本が何しようと、今更驚かねぇけど」
「ま、ほどほどにやれよ」
「ほどほどにね〜。あたし、噂で聞いちゃったんだけど、何かおっきなイベント開こうとしてるらしいじゃん」
「そーなんだよ‼️まだ企画を練ってる段階で、予算とかの案をまとめてるだけだから、やりますって発表できてないんだけど。バレてたんだ」
「なになに?それ」
「打ち上げ花火をさ、みんなで見ようって約束したじゃん。だから、花火大会をね、やりたいですって、男性死神協会の会合で提案して。で、やる方向で話進めれてるんだけど、夜だけってもったいなくねってなって、明るいうちから、みんなで楽しめるイベントもやろうってなったの。そのイベントが、なんと、カラオケ大会‼️屋外特設会場を建てて、みんなでワイワイ🙌」
「みんなでって、規模どのくらいで想定してんの?」
「もち、瀞霊廷のみんなさん👍」
「バーカ。そんなん男性死神協会だけの金じゃ無理だろ。人手も足りねぇ。計算は他人任せだからって、非現実的過ぎだろ」
「だーって、たまにはお祭り騒ぎしたいじゃん。隊長たちにも歌ってもらおう!浮竹隊長はすげぇノリ気でさ、もう曲探してんの。イベントスタッフは貼り紙とかして募集しつつ、お金は、朽木隊長とか…?総隊長とか…?とかとかに〜?めっちゃお願いしてみるつもり👏」
「調子良いぜ🫤」
「音響機材とかはどうすんだよ。生音じゃ、そんな響かねぇだろ」
「そこはー、技術開発局のみなさんに👏」
「オケは?まさか全部生バンドでやるつもりか?」
「気分は武部聡志、なっつって。それはそのグループ毎で決めてもらうよ。で、もし、音源用意する系だったら、カラオケ音源を現世から違法ダウンロードしたり、ぼくがトラック作るわ」
「おい、1個目のは犯罪だぞ」
「バレたところでだわ、そんなもん。そんで一番隊舎のホールでレコーディングすっから。レンがギターで、尾田がコーラスな。やれよ」
「拒否権無しかよ⁉︎😅」
「タダ働きだ。ボランティーアだ。やれよ」
「はいはい。仰せのままに😄」
「カラオケ大会と言いつつ、これを利用して、先生とのデュオを披露したいのよね。ずっと2人で遊んでるだけだったからさ。発表会したいの。先生のヴァイオリン、ちょーキレイだよ」
「ねぇ、そんだけ大規模なイベントなら、出店とかもやったら?おいしいもの食べながら音楽聞きたいよぉ」
「それイイじゃん!」
「フェスだな」
「は〜ヤバ!そうだよ!フェスだよ!」
「もう、どんどんアイデアが膨らみすぎて、数週間じゃ準備できないんじゃない?1年かかりそう」
「なるべく早くできるようにするさ〜」
「とりあえず、外にいるのが気持ちいい季節にやってくれよ」
「そうそう。あと現世任務とか遠征とかと被んない日な」
「尾田がおらんくてもGOだよな😏」
「何でだよ‼️参加させろよ‼️」
「こっちいるのに、風邪で行けねぇも、なかなかツラいよな(笑)」
「元気でいましょ、みなさん。元気がイチバンよ」
「たぶんさ、マジで開催するんだったら、木之本、女性死神協会に声かけた方が良いと思う」
「おう、そっか。そうだね。男だけじゃ気付かないアイデアとかあるもんね。やっぱ、勧誘に乗っかるべきか」
「べきだな👍」
「👍」
次に気になるは、やはりあのこと。
「で?京楽隊長とはどうなったのさ〜。教えろよ〜😙」
「記事のネタにしようってんなら、話すもんか😤」
「あ、ケチだな」
「でもあたしからは聞いてよ!」
美沙がなつみとレンの間に割ってきた。
「も、すっごい迷惑だったんだから!」
「そんな、根に持ってるような言い方しないでよ」
「えー、聞かせて、美沙ちゃん。めっちゃ気になる」
「聞いてって言っておきながら、やっぱやめとくわ。事の始まりは、この子の方がよく知ってるから。はい、話してやって!」
「んー…、わかったよぉ…。あのね」
退院して2日後のこと。お昼休憩で、いつものお部屋にてごろごろしていたら、京楽が庭に突然姿を現した。
「こんにちは、なつみちゃん」
「あわっ!京楽隊長、こんにちは💦」
「お昼寝してたの?☺️」
縁側に腰掛ける。なつみはわたわたと起き上がり、正座する。
「お昼休憩中ですので、リラックスしてました///」
「そっか。ね、もうちょっとこっち来て」
手招きするので、その通りに近寄ってみる。すると。
チュッ…
「⁉️///」
ぷにゅっとほっぺにキスされた。
見開く目の向かいは、満足そうに細める目がある。
「何するんですか‼️こ、こんなとこでっ‼️誰かに見られたら、恥ずかしいじゃないですかっ‼️💦」
(……。見てもーた😑)
「い〜じゃ〜ん、別にぃ見せちゃえば。ボクら恋人同士なんだからさ😉」
「はわはわはわっ……、恋人ぉ⁉️」
(え…?)
「え、なんでそこで驚くの?ボクら一昨日から付き合ってるだろ?」
「えッ⁉️だって、あれは、お互いの思ってることをお話ししただけで、そんな、恋人になるなんてっ」
(あー…、それで嬉しさが爆発しとらんかったんか)
「うーん…」
頭をぽりぽり。京楽は、病室でイチャイチャしたことを思い出して、そうかと納得した。
「そうだね。ボクの気が早かったよ。ちゃんとプロポーズしてなかったもんね。それじゃあ…」
立ち上がると、縁側の前で片膝立ちになり、右手をなつみに差し出した。
「なつみちゃん、キミのことが大好きです。ボクの恋人になってください。よろしくお願いします」
お返事を待つのだが、その顔は自信に満ちていた。イエスと答えるに決まっている。だって、ふたりは両想いなのだから。
パタパタと緊張気味に瞬きをし、小さなお口が開かれた。
「ごめんなさいッ‼😖️💦」
「えっ‼️⁉️」
(えっ‼️⁉️)ガンッ💥「ィ痛ッタ‼️💦」
「ゲッ‼️市丸隊長‼️」
頭を下げて謝っていたなつみは、縁側の縁まで行って上階を見上げた。ふたりのやり取りにズッコケた市丸が、窓枠に頭をぶつけて痛むところを摩っている。
「いつから見てたんですか😣💦」
「そんなことどーでもええ‼️なに断ってんねん‼️付き合ったらええやろ‼️」
「ううっ、だって」
「そーだよッ‼️何が不満なのさ。ボクら相思相愛なんだから、断ることないじゃないか❗️あんまりだよ‼️」
隊長ふたりにガミガミ責め立てられて、あちこち振り向いて、頭の中がワーッとなってしまう。
(ワーッ💦💦💦)
「どうせまた自分なんか言うて、遠慮しようとしてんねやろ!しょーもない!もっと欲張ったらええやん!京楽さんが選んだんは、キミやで!自信持ち‼︎」
「あ、あんまり良いこと言わないでくれる?ボクの出番無くなっちゃう😅」
「ちょっと黙っとき‼️」
「はい💦(え〜😅)」
窓辺の市丸はサッシに手を置いて、少し身を乗り出していた。
「理由は何なん、なつみちゃん」
何か言わなきゃと思うほど、なつみは胸の上で握る手に力を入れてしまう。への字の口で困り顔。かわいいと感想を抱いても、ここはしゃんとしなければ。
「どうして『ごめんなさい』なのか、教えてくれないかい?なつみちゃん」
俯くなつみの頬に髪がかかる。その癖っ毛のカーブに添うように、京楽はそっと触れた。前髪から覗く、愛おしい上目遣いと逢う。
ちゅんとした唇から、とつとつと語られる。
「お気持ちは嬉しいです。ぼくも京楽隊長のこと大好きですから。ですけど、お付き合いは、じゅ、重大なことですから、考える時間が欲しいです。すぐにお返事できなくて、ごめんなさい……。」
ぺこと頭を下げた。
「なんだ。そういうことなら」
良かったと胸を撫で下ろす京楽であった。が。
「アカーーーンッ‼️」
上から轟いた。
「へっ⁉️😣💦」
下のふたりは手を取り合ってビビる。
「先延ばしにしたら、アカンの‼️重大なんやったら、最優先にせな‼️ボクはなァ、なつみちゃんがのんきに笑てんのを1分でも1秒でも長く見てたいんや‼️悩んでる顔なんか見たない‼️藍染隊長には一緒に怒られたるから、とっとと行き‼️遅刻は許したる‼️早よぉ‼️」
ビシッと指すは五番隊舎方面。
「はっ、はいぃッ‼️‼️💦💦」
市丸の勢いに押されて、パッと立ち上がると、逃げるようになつみは飛んでいってしまった。後に残される京楽。きょとん…。京楽、きょとん…。
「どして、急に藍染隊長?」
「アホぉ。恋バナ相手にあんなオッサンいらんわ」
「美沙ちゃぁーーーんッ‼️😫💨💨💨」
五番隊に到着すると、美沙の名前を連呼しながら、彼女の霊圧をたどり、開けた扉は道場のもの。
バンッ‼️
「美沙ちゃーんッ❗️どーしよーッ‼️😫」
「なつみ‼️⁉️どうしたの⁉️」
隊士たちの斬術の稽古を監督していた美沙は、親友の突入を食らった。突撃ともいう?
「大変なんだよぉ‼️聞いて聞いて聞いて‼️」
痛いほどの勢いと圧力で抱きつかれたと思ったら、離れ、肩を掴まれて、前後にブンブン揺さぶられる。
「やーめーて‼️何なの、もう❗️あたし仕事中なんだけど‼️」引き剥がす。「あんたも仕事してる時間でしょ⁉︎何しに来たの」
「隊長に許可もらってる!遅刻して良いって!」
「はぁ⁉︎」
話し方から、誰かの身に危機が迫ったということではなさそうだが、何やら切迫しているらしいことはわかる。市丸まで関与しているのならば、無視はできない。
「わかった。みんなはそのまま続けてて。ちょっとこの子の相手してくる」
なつみの乱入で、様子を伺うように手が止まっていた隊士たちは、美沙の指示で稽古を再開する。
竹刀が当たる音の中、場内の隅っこに移動したなつみと美沙。本当はこそこそ話したいが、うるさく鳴り響く衝突音に負けない声を張り上げなければならなかった。かくかくしかじか…。そのボリュームがベースとなったため、驚きに押し上げられた美沙の声はどデカく響き渡ってしまった。
「京楽隊長に告られたァーッ‼️⁉️…、あ💧🫢」
静寂の中、大注目を浴びるふたり。これは仕事どころではない。
この時間、道場からは竹刀がぶつかり合う音や、素早い衣擦れ、足音が鳴っているはずなのだが、なんだか静かである。そして何故か、居るはずのないなつみの気配があった。
「どうしたの、みんな。何かあった……、え?」
様子を見に来た藍染が見たものは、何かのセミナーに誤って入ってきてしまった気分になる光景。全員が道場の中程で座って集まっている。なつみと美沙が、発言しようと熱心に挙手する数十人の隊士たちの前にいた。
「何をしているのかな?これ😅」
ここまで堂々とサボられては、怒るに怒れない。
「藍染隊長!稽古を中断して申し訳ありませんが、護廷隊の一大事なんです!」
美沙は大真面目だった。
「あの、そう。…、木之本くんがまた何かやってしまったのかな?」
「今回はぼくじゃありません😤」
「半分はあんたよ」
「何の話か、とりあえず教えてくれるかな?💧」
「京楽隊長から、恋人にならないかと申し出されまして、お付き合いすべきかどうか、みんなのご意見を聞かせてもらっていました❗️」
「あー…、それは一大事だね😅」
よく考える時間を設けられたと判断した京楽は、なつみを迎えに行くことにする。五番隊舎に入ると、雛森が案内してくれた。
「こちらですね」
なつみと美沙の気配を察知し、道場の中を覗き込むと、あらビックリ。
「浮気されない保証は無いよ。一昔前の噂だけど、かなり多くの女性隊士が泣かされたと聞くからね。君が同じ目に遭わないとは限らないよ。僕は現状維持をお薦めするかな」
藍染が反対派勢力のリーダーになっていた。
「藍染隊長まで何参加してるんですかっ‼️😅」
呆れる雛森である。
件の人登場に背筋がシュッとなって、緊張がなつみの身体を走った。鼻の穴がピクピクッ。
「それで…、なつみちゃん。考えはまとまったかな?」
京楽が歩いて行くと、観衆の間に道ができ、いささか睨まれているのかもしれない視線の中を最前列へと通された。
「あの…」
「待った」
なつみが口を開いた途端に美沙がそれを遮って、2人の間に割って入った。
「はっきり言いますが、この子の答えならイエスです」
「え❗️ちょっと美沙ちゃん、だったらぼくが言うのに💦」
先に言われちゃった。
「ですがッ❗️」
黙っていろと、後ろになつみを押し戻す美沙。
「ここのみんなと、藍染隊長も含め、話しましたが、京楽隊長がなつみに相応しいのか、正直なところ疑わしいんです。これまでの交際遍歴の噂を聞いていますからね。なので、ここで、みんなの前で誓いを立ててください!この子のことをどれだけ本気で想っているのか、証言してください!なつみが望むなら、その通りにさせてあげたいですが、親友が悲しむ姿なんて絶対見たくないので、良い加減な気持ちから交際を申し込んだわけではないことを、嘘偽り無く、はっきり述べてもらいたいです!はい、どうぞ‼︎‼︎」
((美沙ちゃん、強ぇ〜💦))
ひぇ〜っとビビるも、確かに美沙の仰る通り。コホンと咳払いをして、喉をクリアにしよう。誠心誠意、心を込めて宣言しなければ。京楽はまっすぐに美沙に視線を向けた。その彼女の後ろで、心配そうな顔を覗かせている愛しい子にも届くように。
「ボクは、なつみちゃんと知り合ってから、なつみちゃんのことばかり考えていたよ。誰よりも大切に想ってるつもり。目移りなんかするもんか。ボクはすっかりなつみちゃんの魅力にメロメロなんだからね。なつみちゃんに好意を持ってる他の人たちに負けないくらい大好きさ。そいつらに絶対奪われたくない。ボクがなつみちゃんを必ず幸せにするから、ボクを信じて、一緒になってほしい。愛しているよ。だから美沙ちゃん、キミの大事ななつみちゃんを、ボクにください。お願いします」
こんなに頼もしく男らしい京楽を未だかつて見たことがあっただろうか。躊躇うことなく美沙に頭を下げ、思いの丈を申し入れた。これを見届けた美沙の返事は。
「足りないですけど、まぁ良いでしょう。なつみ、あっち行きな」
(足りないの?💧)
戸惑う京楽のところへ、テケテケテケとなつみは小走りで駆け寄った。照れた顔をして。
「足りてないのに、良いのかい?💧」
「これから、今仰った言葉を実行してもらいます。なつみを幸せにしてあげてください。それであたしは満足します。できなきゃ、怒りに行きますよ!」
「それなら僕も加勢するよ✋」
「惣右介くんまで来るの⁉︎いやいや、無いから。幸せにするよ!泣かせたりしないから!任せて!」
そう言って、強くぎゅっとなつみの肩を抱き寄せた。
(ふにゅぅッ///)
みんなの前で恥ずかしいが、とっても嬉しい。
そのみんな、特に女子隊士たちは、自分のことのようにワーキャー叫んでくっ付いて騒いで、場の雰囲気を盛り上げていた。そして、次の美沙の言葉で、更に歓声が上がった。
「おめでとう、なつみ。よかったね。お幸せに😊」
「うん‼️」
大きなお返事をして、なつみは京楽に抱きついた。
「よろしくお願いします、京楽隊長」
こんなにときめいて、胸が幸せに騒つくなんて、感じたこともなかった。
「ありがとう、なつみちゃん。ありがとう、美沙ちゃん。約束守るからね」
小さな頭をなでなで。
「はい❗️ぼくも協力します‼️」
祝福の中、なつみと京楽は微笑みあった。
高まりが落ち着いたところで、京楽はなつみから身体を離し、何やらごそごそと自身の懐を漁り出した。
「どうしたんですか?」
「あのね、あった、これこれ。婚姻届はさすがに早いから、また今度で良いけど、まずこっちにサインしてくれないかい😄」
「はい?」
広げて見せた紙というのは。
「毎日会えるように、ウチの隊に異動しようね❗️」
異動願いだ。
「ちょっ❗️それはダメだって言ったじゃないですか❗️ぼくは市丸隊長から離れませんよ❗️異動しません❗️しなくたって、あ、会いに行きますよ❗️いっぱい❗️」
お断りだ。
「え〜、ヤダよ、そんなの。毎日会いたい❗️異動がダメなら、引越しだな。ボクのおうちで暮らそう、なつみちゃん❗️」
「それもダメです!あたしのとこに帰ってきたばっかりなのに、そんなにすぐ連れてかないでください!」
今度は美沙の言い分だ。
「えー!もう!そんなこと言ってたら、付き合い方が今までと変わんないじゃないか!」
先程のかっこよさはどこへやら。呆れるほどの駄々をこねまくる京楽。最年長です。
「木之本くん、もう別れた方が良いかもしれないよ」
思わず周りは賛同しそうになる藍染の提案。
「やめてよ❗️交際期間5分とか、最短にも程があるって❗️洒落になんないよ」
時計を確認。
「3分ですね」
「いい加減言うなよ❗️✊」
ほくそ笑む藍染であった。
「そ、そんなに、いろいろ慌てて変えなくても良いじゃないですか!ゆっくり、たくさん思い出作っていきましょ。ね😅」
不満たらたらに、その場をなだめようとしたなつみを見やる京楽。
「じゃあ、連絡先の交換して」
「…総隊長命令なので、それもちょっと💧」
「💢」
珍しくお怒りのご様子。
「もォォォオッ‼️恋人って何なんだァアアアアアッ‼️」
「哲学ですね(笑)」
ほんとですね、藍染様。