第七章
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「やーっとこの日が来ました❗️みなさん❗️男性死神協会によるサウナの会、開幕ぅ〜っ‼️😆」
ワァーーーイッ👏🎉💪🥳
なつみの開会宣言で沸き立つ川岸。男性死神協会の面々が揃い、みんなでテント型サウナを楽しむというもの。人数の関係もあり、温度を変えて2棟立てた。
「晴れて良かったね」
「はい!まだまだ寒いですけど、先週よりはあったかいですよね。てか、吉良副隊長、白すぎですー😙」
「そうかな」
脱衣所用の3つ目のテントの中。人数分の籠を並べて、各々そこに服を入れていく。
「木之本、海パン買ったのか?」
「いえいえ、今日しか使わないので、借りたんですよ。日番谷隊長のサイズ、ぼくにはちょっぴりちっちゃいかな〜😄」
「借りといて、その言種は無いだろ。チクってやろうか?」
「やめてくださいよ〜、檜佐木副隊長。ナイショナイショですっ🤫」
男しかいないとは言え、通りすがりの女性にイチモツをさらすわけにはいかない。水風呂も用意が無く、川で済ませようという魂胆で、水着着用をルールに設けた。
「そしてそして〜、これ!」
なつみが袋から取り出したのは、サウナハット。
「じゃじゃーん。北欧スターイル✨」
見せびらかすようにポージング。
「何だよォ、お前だけズルいぞ」
「きっひひ、ぼくはお勉強してきたんです。この帽子を被ると、のぼせにくくなるんですって。せっかくだから、たくさん入って楽しみたいじゃないですか〜。しかも、かわいいですよね、これ。とんがり😁」
「しょーもない理由じゃのォ!男にかわいらしさなんぞ、いらん!丸腰じゃァ‼︎」
「むー☹️そんなこと言わないでくださいよ。丸腰なら、ちゃーんとサングラスも外してください、会長」
「んなッ🕶💦」
さっと射場からサングラスを取った。
「熱で悪くなっちゃいますよ。プフッ、射場さんの裸眼。新鮮😚」
「じゃかーしぃッ!返せ‼︎」
「は〜い😊」
それから、くるっと大前田の方も見る。
「大前田副隊長も。金属で火傷しちゃうかもしれませんから、アクセサリーは全部取ってくださいね」
「ったく…。盗るなよ?」
と言った相手はなつみではなく、檜佐木だった。
「何で俺‼️」
出口へ向かう射場の後ろ姿をチラ見して、なつみは感動した。
「射場さん⁉︎お尻めっっちゃキレーッすね‼︎」
「はァッ⁉️」
そんなこと言われたら、ついお尻を隠してしまう。彼はフンドシスタイルなのだ。
「ぼく、男だからってもうムダ毛処理めんどくてやってないんすよね〜。さすが。漢の鑑っす❗️押忍‼️」
そして両手を合わせる。
「拝むなァッ‼️💦」
外に出ると、やっぱり寒い。たったの数メートルでも、ヒヤァァッときた。
「やばぁ‼️」
「ワシァこっちじゃあ❗️」
「俺も❗️」
射場が先陣切って、室温を高くした方へ駆けて行った。その後を檜佐木、大前田、流れで伊江村が続いた。
低めに設定したテントへは、なつみ、イヅル、荻堂が入っていった。
「ぬるめでも、良い感じじゃないですか〜。こっちはゆっくりしましょうね」
「うん」
「あっち、絶対変なこと始まりそうだもんね。よく副会長行ったよ」
ぬくぬくと身体をあたためていく。
しばらくして、ある霊圧を察知した。もちろん遅刻してきたあの男だ。いちばん下っ端のなつみがお迎えに行く。
「わっ、さみぃーッ💦」
外気との差にびっくり。
「こんにちはぁ、浮竹隊長」
テントの入り口を閉めて、竿にかけてあるコートを羽織り、現れた男へくるりと向く。と、もうひとりいるのに気付いて。
「あわぁッ💦」
「やあ」
寒くてセルフハグしたのであって、決して、胸を隠したわけではない。
「京楽隊長⁉️」
「ふふふっ」
わざと霊圧を抑えて来た悪い人。
「遅れて悪かったな、木之本。待たせた」
「いえぇ///」
右腕を伸ばして、脱衣所テントを示す。
「こちらへどうぞ❗️」
「おう」
「は〜い」
まさかゲストが参加するとは思っておらず、わたわた。
「京楽隊長もサウナ入られますよね。すいません、籠が」
「大丈夫、持ってきたから」
通りで、大きな風呂敷を背負ってきたわけだ。
「来る途中にコイツと会って、ここのことを話したら、自分も参加したいって言い出してな。おかげで遠回りをしてしまった」
「ごめんよ〜。聞いてたら羨ましくなっちゃったんだ。キミもいることだし😉」
「///」
「協会に興味示したことなんか無いくせにな!」
「前の話だよ」
「あ!浮竹隊長、白樺いただきます」
「ああ、これな」
紙で包装されたものを受け取る。開けると、2束の枝が箒のように入っていた。
「ありがとうございます。ご足労おかけしました」
「構わないぞ。あそこの管理人は、少し気難しい性格をしてるからな。俺でなければ、分けてくれなかっただろう」
「ボクもいたし。鬼に金棒だよね」
親友の肩に肘をつく京楽。
「ああ。そうだな。さ、着替えるぞ」
「京楽隊長、協会でベンチコート作ったんです。みんなそれを着るつもりなんですけど、人数分しかなくて。ぼくのお貸しできれば良いんですけど、ちっちゃいですよね」京楽の前で、脱いで広げてみる。「どうしましょう」
「大丈夫。浮竹に言われて、要るものは全部持ってきたつもりだよ。ほら」
タオルとコートを見せる。
「あれ?」
「そうなんだ。デザインが決まる前に作った試作品が余っててな。そいつに渡した」
確かに、なつみのコートの左胸には『男性死神協会』とプリントされているが、京楽のは無地だ。
「だからそれはキミが着てて」
ぱさっとなつみのコートを取って、羽織らせてやった。
「…はい///」ぎこちない足取りで、テントを出ることにする。「失礼します」
テントの中からかすかに聞こえる、生地の擦れる音に、お耳がダンボ。
「キャーッ///」
ほぼ息だけの悲鳴を上げてしまった。
そこで、ズババババッ‼️と射場たちがテントから飛び出して来た。
「ギャーッ⁉️💦」
驚いたなつみはついでなノリで叫んだ。
「ぁ熱アーーーッ‼️‼️‼️」
「死ぬーーーッ‼️‼️‼️」
(生きてくださ〜い😅)
「ヤベェーーッ‼️‼️‼️」
「川‼️川‼️」
湯気の立つ、真っ赤な4人の男たちは、なつみの前を駆け抜け、川へ一直線。
ザブンッ💦💦💦
「冷たァッ‼️‼️‼️」
(いちいち賑やか😅)
「長く浸かるとダメですよッ。もう上がりましょう」
そして風に当たる。
「沁みるのォ‼️」
タオルで水気を拭き取り、いざビーチチェアへ。
「カァァーッ‼️堪らんのォ‼️」
そんな一連の流れの間に、なつみは空のテントへ入っていた。
「ぁあっっつァッ‼️⁉️バカか‼️💦」
アホみたいな温度に上げていたのを知り、慌てて換気をする。
「ふいーッ💦💦💦」
白樺の束をフリフリして、空気を外に送り出そうとする。すると。
「お、良い匂い〜😚」
葉っぱの爽やかな香りが、鼻からスッと入ってきた。
「ん〜、やっぱ要ったわ、これ🍃」
最初の設定に室温を戻し、外に出ると、ととのい気味の人たちがのんびりしていた。
もうひとつの束を低温テントへ運んでいく。
「失礼しまーす」
「ど〜ぞ〜」
「ッ///」
わかっていたことだが、京楽の肌がいのいちばんに視界に飛び込んできた。
(むきゃっ///)
入り口を閉めるのと、恥ずかしいのとで、きゅるんっと回れ右した。そのまま京楽の方は見ないように、白樺を水に浸け、上げてからフリフリする。
「良い匂いだね」
「癒されるなぁ。取りに行っていただき、ありがとうございます、浮竹隊長」
「あぁ。行った甲斐があったな!」
「本当だね〜」
束をフックに掛けて、さて、どこに座ろうか。とことことこ。ちょこん。
「ふんっ」
何故か姿勢良く、勇ましく、拳を膝の上でぎゅっと握る座り方。
「ボクのこと避けた?」
「😤⁉️💦」
「冗談だよ(笑)」
イヅル、なつみ、荻堂、京楽、浮竹な並びだった。確かに避けたのだが。
「そろそろ1回出るよ」
「あ、僕も」
そう言って、ずっとここにいた2人が出て行ってしまった。
「あ…」
残されるなつみ。
「んん。」
目のやり場に困り、なつみは下を向く。浮竹を凝視するわけにもいかないから。
「なつみちゃん」
「はいっ」
呼ばれたので、思わず顔を上げて返事をしたが、すぐにまた下げた。見慣れている身体だが、生の威力は凄まじいのだ。
(ヤバいぃぃっ💦勃つぅ💦💦💦)
隠せ隠せと縮こまる。
そんななつみを見る京楽は、困ったように笑っていた。
「大丈夫?」
ときめきすぎで居心地が悪いと言って、こんなに早く退室してしまうのは失礼に値するだろうとし、なつみは耐える選択をする。
「…、あの、ぉお2人の、その、そのような姿を、拝見するのに慣れていなくて。緊張しますねっ。ははっ💦」
誤魔化せ誤魔化せ。
「浮竹のはそうだろうけど、ボクのことは写真でいっぱい見てるでしょ?(笑)」
「ダハッ‼💦」
それを言っちゃぁ、お前ぇさんよぉと、誤魔化しきれなかったなつみは、テントの中でダンゴムシになる。見ない!見ない!
「ハハッ❗️ごめんってば〜。ちょっとからかっちゃった。許して、なつみちゃん」
京楽はダンゴムシの背中を撫でてあげた。
「フンッ///」
素肌に感じる大好きな人の手。ドキドキドキ。
「機嫌治して」
「浮竹隊長の前で言うことじゃないじゃないですかぁっ‼️」
威勢は良いが、姿勢はそのままお尻フリフリして言っただけだった。
「ごめん〜🙏」
「謝ってる人の言い方じゃないですぅ❗️」
怒られているのに、京楽はクスクスと笑っていた。
こんな雰囲気を変えてやろうと、浮竹が間に入ってやる。
「木之本、京楽から聞いたぞ」
ガバッと起き上がるダンゴムシ。
「どの写真ですか‼️‼️」
「違うって」
ツッコんだ京楽は、もう面白すぎてぷるぷる震えた。
「なッ😱」
またダンゴムシ。
「写真がどうしたか知らないが、それじゃない。お前たち2人の関係だ。京楽がずっと探していたのがお前で、お前が探していたのがコイツの兄だったという話」
そっちか〜とダンゴ解除。
「そうなんです。お、浮竹隊長には話しても大丈夫なんですね」
「うん。ボクにとっての数少ない理解者だからね、浮竹は」
やっとテントの中で目が合ったなつみと京楽。
「///」
やっぱり恥ずかしい。もじもじする。
「良かったな。わだかまりがとけて、スッキリしたろ」
「はい😊」
浮竹には難なく笑いかける。
「それにしても、こう見ると、やはり以前より身体付きが本当に変わったな」
喜びの笑顔に、少し残念さが滲み出た。
「はい。ちょっとさみしいですけどね」
「そうか。身体的に辛さは無いのか?」
首をふるふる振る。
「大丈夫です。どこも痛くないですよ。パンチとキックが弱くなったくらいです。脚もちょっと遅くなったかな。でも、先読み、先回りを意識することで、なんとかカバーできるようにしてくつもりです」
「さすがだな。お前は強いよ」
「ありがとうございます」
このやり取りにハテナな間の人。
「ねぇ、何の話してるの?」
「は?」「え?」
ぱちくりぱちくり。視線があっちの人、こっちの人へ、3人ともパチパチと入れ替わる。
「え?」
「え?」
「え?」
「なに?」
「聞いてないのか?」
「何を?」
「言ってないのか?」
「え、尾田から聞いてないですか?」
「だから何をさ。聞いてないよ、何も」
「え?」
「木之本、それは無いぞ」
「え⁉︎えー…💧」
「なつみちゃん、説明して😠」
「あぅ、うー…」
じーっと睨む京楽の視線に当てられるなつみは、サウナの効果もあって、発汗。
「ぼく、ぉぉ、女に戻るんです💦」
口あんぐりからの。
「えぇぇええええーーーッ‼️⁉️」
テントの外の人たちが、思わず振り返るほど。
「どーして、今まで黙ってたのさ‼️‼️いつだい⁉️いつ決めたんだい⁉️」
「あのっ、…美沙ちゃんと仲直りした日のちょっと前です😣」
「ボクと仲直りする前じゃないか‼️‼️言ってよ、なつみちゃん‼️‼️」
なるべく京楽から遠くなれるテントの隅っこ目がけてサササッと移動し、頭を何度も下げるなつみ。
「ごめんなさい❗️ごめんなさい❗️ごめんなさい❗️💦」
つい頭に浮かんでしまったセリフは、絶対に吐いてはならない。「別にあんたのためにしたんじゃないんだからね!」
「あぁも〜、なんだ。そうなんだね」
目を右手で覆い、ため息が出る。
「嬉しいだろ」
こそ。
「何とも言えないね」
こそこそ。
(はぁ。まぁ良いや。お股落ち着いたし)
シュン…。
「なつみちゃん」
「はい…?」
京楽はすっとテントの中央辺りを指差した。
「そこ立って、ぐるっと回って見せてよ。もうすぐ見納めなんだろ?男の子なキミを1回ちゃんと見ておかなきゃ😊」
「⁉️///」
「おい、変なこと言うなよ。木之本困ってるだろ。言うこと聞くことないぞ」
「んん、大丈夫です。やります///」
ぴょこっと立って、ちょちょっと前進。とことことこと1周し、京楽の前で両腕を軽く開いて止まった。
「はい///」
「ふふ。ありがとう」
近づいて、照れがぶり返したなつみは、急いで元の席へ退散しようとした。が。
「へっ⁉️///」
片腕を掴まれてしまい、後ろへ引き寄せられる。
「捕まえた♪」
「わぁっ‼️」
京楽の膝上に座ってしまった。お腹はしっかりホールドされている。
「京楽隊長‼️///」
「イイじゃないか。今は男の子なんだから」
「えっ❓💦」
「女の子に戻ってからこんなことしたら、ボク、悪者になっちゃうんだもん。今のうちなんだ〜」
「いやいやっ、何のアレにもなってないですって‼️///」
「アレって何だい?(笑)」
「ひゃーッ‼️‼️///💦」
鎖骨辺りに顔を埋める京楽。首が弱いなつみはそれはもう感じてしまい、再びカチカチ。
「やめてやれ」
浮竹に、後頭部をベシッと平手打ちされてしまった。
「痛ぁ💧」
「男相手でも充分ダメだ。放してやれ」
「わぁかったよ。はぁ〜。2人きりならな」
「ならなんだよ」
「えへへ」
解放されたなつみは立ち上がり、逃げるかと思われたが、ぐっと振り返り、ベッと京楽の頬を両方つねって引っ張った。
「むぅっ‼️‼️」
「イデデッ😣💦」
ピッと放し、それから走って逃げていった。
「あっはは。ジョンスミスだな😅」
やられた頬を摩る。
「全く。他にはしゃぎ方無いのか」
「ついだよ、つい。それより。なぁ、見たか?」
「何をだ」
「ククッ、なつみちゃん、勃ってた(笑)」
性別関係無く、悪者である。
「趣味が悪いぞ、お前」
「そうだね。フフッ、ボクのも(笑)」
「見せるな💢」
外でイヅルと荻堂とすれ違うなつみ。
「何拗ねてるの?中で変なことされた?」
「むぅ‼️サイテーです‼️」
プンスカと砂利に足が深く入っていくほどの足取りで川を目指す。全く寒くない。
「たぶん、京楽隊長にイタズラされたんだよ。あの人、木之本くんのこと大好きだから。この間までは全然だったけど、仲直りした途端に元通りになっちゃったみたい」
「ふーん。京楽隊長が男子にちょっかいとか、想像できないけどな」
帽子の子がちゃぽんと川に浸かる。
「むきゃあッ🥶」
ムリムリーッとものの2秒で上がると、バスタオルに駆け寄り、水気を拭く。ドカッとビーチチェアにもたれかかり、風に当たる。
「ぷあ〜、何じゃこれ。ぽかぽかだぁ〜ん」
川のせせらぎ、風の感触、ぽつんとひとり。
「ふぁーっ❗️のんびりだな〜。健康的ぃ〜」
あくびをし、伸びをし、高い青空を見上げた。
「届きそうだな〜」
左手は頭の下に。右手は空を捉えようとパーの状態で掲げられた。
そこにプーンとやって来た蟲が着陸した。
「あれ」
重みからして、例のあの子だ。
「こんにちは。ケーソクくん」
右手を顔の前に下ろすと、やはりだった。
「今朝はもうデータ送ったのに。どうしたの?」
不思議に思うなつみを他所に、ケーソクくんは計測を始める。虫の知らせでも来たのだろう。なつみの頭の先から順番に視線を走らせていった。
「そっか。代謝が上がって、変わったことが起きたと思われたんだ。心配してくれて、ありがと。でも大丈夫。サウナ入ってるだけだからね😊」
と発せられた声が、朝一よりもずっと高くなっていることに、気付きもしなかった。
ワァーーーイッ👏🎉💪🥳
なつみの開会宣言で沸き立つ川岸。男性死神協会の面々が揃い、みんなでテント型サウナを楽しむというもの。人数の関係もあり、温度を変えて2棟立てた。
「晴れて良かったね」
「はい!まだまだ寒いですけど、先週よりはあったかいですよね。てか、吉良副隊長、白すぎですー😙」
「そうかな」
脱衣所用の3つ目のテントの中。人数分の籠を並べて、各々そこに服を入れていく。
「木之本、海パン買ったのか?」
「いえいえ、今日しか使わないので、借りたんですよ。日番谷隊長のサイズ、ぼくにはちょっぴりちっちゃいかな〜😄」
「借りといて、その言種は無いだろ。チクってやろうか?」
「やめてくださいよ〜、檜佐木副隊長。ナイショナイショですっ🤫」
男しかいないとは言え、通りすがりの女性にイチモツをさらすわけにはいかない。水風呂も用意が無く、川で済ませようという魂胆で、水着着用をルールに設けた。
「そしてそして〜、これ!」
なつみが袋から取り出したのは、サウナハット。
「じゃじゃーん。北欧スターイル✨」
見せびらかすようにポージング。
「何だよォ、お前だけズルいぞ」
「きっひひ、ぼくはお勉強してきたんです。この帽子を被ると、のぼせにくくなるんですって。せっかくだから、たくさん入って楽しみたいじゃないですか〜。しかも、かわいいですよね、これ。とんがり😁」
「しょーもない理由じゃのォ!男にかわいらしさなんぞ、いらん!丸腰じゃァ‼︎」
「むー☹️そんなこと言わないでくださいよ。丸腰なら、ちゃーんとサングラスも外してください、会長」
「んなッ🕶💦」
さっと射場からサングラスを取った。
「熱で悪くなっちゃいますよ。プフッ、射場さんの裸眼。新鮮😚」
「じゃかーしぃッ!返せ‼︎」
「は〜い😊」
それから、くるっと大前田の方も見る。
「大前田副隊長も。金属で火傷しちゃうかもしれませんから、アクセサリーは全部取ってくださいね」
「ったく…。盗るなよ?」
と言った相手はなつみではなく、檜佐木だった。
「何で俺‼️」
出口へ向かう射場の後ろ姿をチラ見して、なつみは感動した。
「射場さん⁉︎お尻めっっちゃキレーッすね‼︎」
「はァッ⁉️」
そんなこと言われたら、ついお尻を隠してしまう。彼はフンドシスタイルなのだ。
「ぼく、男だからってもうムダ毛処理めんどくてやってないんすよね〜。さすが。漢の鑑っす❗️押忍‼️」
そして両手を合わせる。
「拝むなァッ‼️💦」
外に出ると、やっぱり寒い。たったの数メートルでも、ヒヤァァッときた。
「やばぁ‼️」
「ワシァこっちじゃあ❗️」
「俺も❗️」
射場が先陣切って、室温を高くした方へ駆けて行った。その後を檜佐木、大前田、流れで伊江村が続いた。
低めに設定したテントへは、なつみ、イヅル、荻堂が入っていった。
「ぬるめでも、良い感じじゃないですか〜。こっちはゆっくりしましょうね」
「うん」
「あっち、絶対変なこと始まりそうだもんね。よく副会長行ったよ」
ぬくぬくと身体をあたためていく。
しばらくして、ある霊圧を察知した。もちろん遅刻してきたあの男だ。いちばん下っ端のなつみがお迎えに行く。
「わっ、さみぃーッ💦」
外気との差にびっくり。
「こんにちはぁ、浮竹隊長」
テントの入り口を閉めて、竿にかけてあるコートを羽織り、現れた男へくるりと向く。と、もうひとりいるのに気付いて。
「あわぁッ💦」
「やあ」
寒くてセルフハグしたのであって、決して、胸を隠したわけではない。
「京楽隊長⁉️」
「ふふふっ」
わざと霊圧を抑えて来た悪い人。
「遅れて悪かったな、木之本。待たせた」
「いえぇ///」
右腕を伸ばして、脱衣所テントを示す。
「こちらへどうぞ❗️」
「おう」
「は〜い」
まさかゲストが参加するとは思っておらず、わたわた。
「京楽隊長もサウナ入られますよね。すいません、籠が」
「大丈夫、持ってきたから」
通りで、大きな風呂敷を背負ってきたわけだ。
「来る途中にコイツと会って、ここのことを話したら、自分も参加したいって言い出してな。おかげで遠回りをしてしまった」
「ごめんよ〜。聞いてたら羨ましくなっちゃったんだ。キミもいることだし😉」
「///」
「協会に興味示したことなんか無いくせにな!」
「前の話だよ」
「あ!浮竹隊長、白樺いただきます」
「ああ、これな」
紙で包装されたものを受け取る。開けると、2束の枝が箒のように入っていた。
「ありがとうございます。ご足労おかけしました」
「構わないぞ。あそこの管理人は、少し気難しい性格をしてるからな。俺でなければ、分けてくれなかっただろう」
「ボクもいたし。鬼に金棒だよね」
親友の肩に肘をつく京楽。
「ああ。そうだな。さ、着替えるぞ」
「京楽隊長、協会でベンチコート作ったんです。みんなそれを着るつもりなんですけど、人数分しかなくて。ぼくのお貸しできれば良いんですけど、ちっちゃいですよね」京楽の前で、脱いで広げてみる。「どうしましょう」
「大丈夫。浮竹に言われて、要るものは全部持ってきたつもりだよ。ほら」
タオルとコートを見せる。
「あれ?」
「そうなんだ。デザインが決まる前に作った試作品が余っててな。そいつに渡した」
確かに、なつみのコートの左胸には『男性死神協会』とプリントされているが、京楽のは無地だ。
「だからそれはキミが着てて」
ぱさっとなつみのコートを取って、羽織らせてやった。
「…はい///」ぎこちない足取りで、テントを出ることにする。「失礼します」
テントの中からかすかに聞こえる、生地の擦れる音に、お耳がダンボ。
「キャーッ///」
ほぼ息だけの悲鳴を上げてしまった。
そこで、ズババババッ‼️と射場たちがテントから飛び出して来た。
「ギャーッ⁉️💦」
驚いたなつみはついでなノリで叫んだ。
「ぁ熱アーーーッ‼️‼️‼️」
「死ぬーーーッ‼️‼️‼️」
(生きてくださ〜い😅)
「ヤベェーーッ‼️‼️‼️」
「川‼️川‼️」
湯気の立つ、真っ赤な4人の男たちは、なつみの前を駆け抜け、川へ一直線。
ザブンッ💦💦💦
「冷たァッ‼️‼️‼️」
(いちいち賑やか😅)
「長く浸かるとダメですよッ。もう上がりましょう」
そして風に当たる。
「沁みるのォ‼️」
タオルで水気を拭き取り、いざビーチチェアへ。
「カァァーッ‼️堪らんのォ‼️」
そんな一連の流れの間に、なつみは空のテントへ入っていた。
「ぁあっっつァッ‼️⁉️バカか‼️💦」
アホみたいな温度に上げていたのを知り、慌てて換気をする。
「ふいーッ💦💦💦」
白樺の束をフリフリして、空気を外に送り出そうとする。すると。
「お、良い匂い〜😚」
葉っぱの爽やかな香りが、鼻からスッと入ってきた。
「ん〜、やっぱ要ったわ、これ🍃」
最初の設定に室温を戻し、外に出ると、ととのい気味の人たちがのんびりしていた。
もうひとつの束を低温テントへ運んでいく。
「失礼しまーす」
「ど〜ぞ〜」
「ッ///」
わかっていたことだが、京楽の肌がいのいちばんに視界に飛び込んできた。
(むきゃっ///)
入り口を閉めるのと、恥ずかしいのとで、きゅるんっと回れ右した。そのまま京楽の方は見ないように、白樺を水に浸け、上げてからフリフリする。
「良い匂いだね」
「癒されるなぁ。取りに行っていただき、ありがとうございます、浮竹隊長」
「あぁ。行った甲斐があったな!」
「本当だね〜」
束をフックに掛けて、さて、どこに座ろうか。とことことこ。ちょこん。
「ふんっ」
何故か姿勢良く、勇ましく、拳を膝の上でぎゅっと握る座り方。
「ボクのこと避けた?」
「😤⁉️💦」
「冗談だよ(笑)」
イヅル、なつみ、荻堂、京楽、浮竹な並びだった。確かに避けたのだが。
「そろそろ1回出るよ」
「あ、僕も」
そう言って、ずっとここにいた2人が出て行ってしまった。
「あ…」
残されるなつみ。
「んん。」
目のやり場に困り、なつみは下を向く。浮竹を凝視するわけにもいかないから。
「なつみちゃん」
「はいっ」
呼ばれたので、思わず顔を上げて返事をしたが、すぐにまた下げた。見慣れている身体だが、生の威力は凄まじいのだ。
(ヤバいぃぃっ💦勃つぅ💦💦💦)
隠せ隠せと縮こまる。
そんななつみを見る京楽は、困ったように笑っていた。
「大丈夫?」
ときめきすぎで居心地が悪いと言って、こんなに早く退室してしまうのは失礼に値するだろうとし、なつみは耐える選択をする。
「…、あの、ぉお2人の、その、そのような姿を、拝見するのに慣れていなくて。緊張しますねっ。ははっ💦」
誤魔化せ誤魔化せ。
「浮竹のはそうだろうけど、ボクのことは写真でいっぱい見てるでしょ?(笑)」
「ダハッ‼💦」
それを言っちゃぁ、お前ぇさんよぉと、誤魔化しきれなかったなつみは、テントの中でダンゴムシになる。見ない!見ない!
「ハハッ❗️ごめんってば〜。ちょっとからかっちゃった。許して、なつみちゃん」
京楽はダンゴムシの背中を撫でてあげた。
「フンッ///」
素肌に感じる大好きな人の手。ドキドキドキ。
「機嫌治して」
「浮竹隊長の前で言うことじゃないじゃないですかぁっ‼️」
威勢は良いが、姿勢はそのままお尻フリフリして言っただけだった。
「ごめん〜🙏」
「謝ってる人の言い方じゃないですぅ❗️」
怒られているのに、京楽はクスクスと笑っていた。
こんな雰囲気を変えてやろうと、浮竹が間に入ってやる。
「木之本、京楽から聞いたぞ」
ガバッと起き上がるダンゴムシ。
「どの写真ですか‼️‼️」
「違うって」
ツッコんだ京楽は、もう面白すぎてぷるぷる震えた。
「なッ😱」
またダンゴムシ。
「写真がどうしたか知らないが、それじゃない。お前たち2人の関係だ。京楽がずっと探していたのがお前で、お前が探していたのがコイツの兄だったという話」
そっちか〜とダンゴ解除。
「そうなんです。お、浮竹隊長には話しても大丈夫なんですね」
「うん。ボクにとっての数少ない理解者だからね、浮竹は」
やっとテントの中で目が合ったなつみと京楽。
「///」
やっぱり恥ずかしい。もじもじする。
「良かったな。わだかまりがとけて、スッキリしたろ」
「はい😊」
浮竹には難なく笑いかける。
「それにしても、こう見ると、やはり以前より身体付きが本当に変わったな」
喜びの笑顔に、少し残念さが滲み出た。
「はい。ちょっとさみしいですけどね」
「そうか。身体的に辛さは無いのか?」
首をふるふる振る。
「大丈夫です。どこも痛くないですよ。パンチとキックが弱くなったくらいです。脚もちょっと遅くなったかな。でも、先読み、先回りを意識することで、なんとかカバーできるようにしてくつもりです」
「さすがだな。お前は強いよ」
「ありがとうございます」
このやり取りにハテナな間の人。
「ねぇ、何の話してるの?」
「は?」「え?」
ぱちくりぱちくり。視線があっちの人、こっちの人へ、3人ともパチパチと入れ替わる。
「え?」
「え?」
「え?」
「なに?」
「聞いてないのか?」
「何を?」
「言ってないのか?」
「え、尾田から聞いてないですか?」
「だから何をさ。聞いてないよ、何も」
「え?」
「木之本、それは無いぞ」
「え⁉︎えー…💧」
「なつみちゃん、説明して😠」
「あぅ、うー…」
じーっと睨む京楽の視線に当てられるなつみは、サウナの効果もあって、発汗。
「ぼく、ぉぉ、女に戻るんです💦」
口あんぐりからの。
「えぇぇええええーーーッ‼️⁉️」
テントの外の人たちが、思わず振り返るほど。
「どーして、今まで黙ってたのさ‼️‼️いつだい⁉️いつ決めたんだい⁉️」
「あのっ、…美沙ちゃんと仲直りした日のちょっと前です😣」
「ボクと仲直りする前じゃないか‼️‼️言ってよ、なつみちゃん‼️‼️」
なるべく京楽から遠くなれるテントの隅っこ目がけてサササッと移動し、頭を何度も下げるなつみ。
「ごめんなさい❗️ごめんなさい❗️ごめんなさい❗️💦」
つい頭に浮かんでしまったセリフは、絶対に吐いてはならない。「別にあんたのためにしたんじゃないんだからね!」
「あぁも〜、なんだ。そうなんだね」
目を右手で覆い、ため息が出る。
「嬉しいだろ」
こそ。
「何とも言えないね」
こそこそ。
(はぁ。まぁ良いや。お股落ち着いたし)
シュン…。
「なつみちゃん」
「はい…?」
京楽はすっとテントの中央辺りを指差した。
「そこ立って、ぐるっと回って見せてよ。もうすぐ見納めなんだろ?男の子なキミを1回ちゃんと見ておかなきゃ😊」
「⁉️///」
「おい、変なこと言うなよ。木之本困ってるだろ。言うこと聞くことないぞ」
「んん、大丈夫です。やります///」
ぴょこっと立って、ちょちょっと前進。とことことこと1周し、京楽の前で両腕を軽く開いて止まった。
「はい///」
「ふふ。ありがとう」
近づいて、照れがぶり返したなつみは、急いで元の席へ退散しようとした。が。
「へっ⁉️///」
片腕を掴まれてしまい、後ろへ引き寄せられる。
「捕まえた♪」
「わぁっ‼️」
京楽の膝上に座ってしまった。お腹はしっかりホールドされている。
「京楽隊長‼️///」
「イイじゃないか。今は男の子なんだから」
「えっ❓💦」
「女の子に戻ってからこんなことしたら、ボク、悪者になっちゃうんだもん。今のうちなんだ〜」
「いやいやっ、何のアレにもなってないですって‼️///」
「アレって何だい?(笑)」
「ひゃーッ‼️‼️///💦」
鎖骨辺りに顔を埋める京楽。首が弱いなつみはそれはもう感じてしまい、再びカチカチ。
「やめてやれ」
浮竹に、後頭部をベシッと平手打ちされてしまった。
「痛ぁ💧」
「男相手でも充分ダメだ。放してやれ」
「わぁかったよ。はぁ〜。2人きりならな」
「ならなんだよ」
「えへへ」
解放されたなつみは立ち上がり、逃げるかと思われたが、ぐっと振り返り、ベッと京楽の頬を両方つねって引っ張った。
「むぅっ‼️‼️」
「イデデッ😣💦」
ピッと放し、それから走って逃げていった。
「あっはは。ジョンスミスだな😅」
やられた頬を摩る。
「全く。他にはしゃぎ方無いのか」
「ついだよ、つい。それより。なぁ、見たか?」
「何をだ」
「ククッ、なつみちゃん、勃ってた(笑)」
性別関係無く、悪者である。
「趣味が悪いぞ、お前」
「そうだね。フフッ、ボクのも(笑)」
「見せるな💢」
外でイヅルと荻堂とすれ違うなつみ。
「何拗ねてるの?中で変なことされた?」
「むぅ‼️サイテーです‼️」
プンスカと砂利に足が深く入っていくほどの足取りで川を目指す。全く寒くない。
「たぶん、京楽隊長にイタズラされたんだよ。あの人、木之本くんのこと大好きだから。この間までは全然だったけど、仲直りした途端に元通りになっちゃったみたい」
「ふーん。京楽隊長が男子にちょっかいとか、想像できないけどな」
帽子の子がちゃぽんと川に浸かる。
「むきゃあッ🥶」
ムリムリーッとものの2秒で上がると、バスタオルに駆け寄り、水気を拭く。ドカッとビーチチェアにもたれかかり、風に当たる。
「ぷあ〜、何じゃこれ。ぽかぽかだぁ〜ん」
川のせせらぎ、風の感触、ぽつんとひとり。
「ふぁーっ❗️のんびりだな〜。健康的ぃ〜」
あくびをし、伸びをし、高い青空を見上げた。
「届きそうだな〜」
左手は頭の下に。右手は空を捉えようとパーの状態で掲げられた。
そこにプーンとやって来た蟲が着陸した。
「あれ」
重みからして、例のあの子だ。
「こんにちは。ケーソクくん」
右手を顔の前に下ろすと、やはりだった。
「今朝はもうデータ送ったのに。どうしたの?」
不思議に思うなつみを他所に、ケーソクくんは計測を始める。虫の知らせでも来たのだろう。なつみの頭の先から順番に視線を走らせていった。
「そっか。代謝が上がって、変わったことが起きたと思われたんだ。心配してくれて、ありがと。でも大丈夫。サウナ入ってるだけだからね😊」
と発せられた声が、朝一よりもずっと高くなっていることに、気付きもしなかった。