過去編
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「……はぁ………。」
日報の端に書かれた一文を、澪は静かに読み返した。
――『新任三席 市丸ギン』
「中央霊術院を一年で……しかも、前三席を倒して……」
信じがたい話だったが、実際に彼はやってのけた。
まだ幼さの残る白銀の少年――市丸ギン。
五番隊の、いや、護廷十三隊全体の噂の的だった。
「すごい子……なんだろうな」
市丸ギンに対しては嫉妬というより、まず驚きが勝った。
前任の三席には誰も見ていない所でしつこく絡まれてた事もあり市丸ギンが倒した事で不謹慎だが少し安堵した自分もいる。
それはさておき、あの年で、あの実力。どんな才能があれば、そんな真似ができるのか。
澪は、ぎゅっと拳を握りしめる。
(……羨ましい)
ほんの少し、そんな気持ちもあった。
澪も、誰よりも早く実力を認められたくて、全科目を修めて霊術院を卒業した。
そして五番隊に入隊し、平子真子のそばに立つために、努力を惜しまなかった。
(なのに……私よりもずっと若い、あの子が……)
(……でも、焦っちゃだめ)
平子隊長の横に立ちたいという想いは、変わっていない。
そのために必要なら、三席の一つや二つ、いずれ奪う覚悟はある。
(それまで――もっと強くならなきゃ)
「負けないから。……私だって、隊長の隣に立ちたいの」
誰にも聞こえないよう、小さく呟く。
けれど、その言葉は、自分自身に誓うように、心の奥に深く刻まれた。
******
市丸ギンが三席に就任して、しばらく経ったある日。
五番隊の執務室に、新たな三席の声が響く。
「澪さん、これ、こないして書くんで合うてます?」
「あら、凄く上手にできてるわね。さすが三席さん」
「へへ、褒めてもろたら、伸びるタイプやさかい」
やわらかな笑みを浮かべ、ギンは何でもないように澪の隣に腰を落とす。
年下の子供のように無邪気なふるまいだが、それを見ていた周囲の隊士たちは、ふと互いに目を合わせた。
「……あれ、完全に狙ってないか?」
「わかる。“子供っぽい”を武器にしてる感じ。 如月四席の甘さ、よく見抜いてる」
「最近じゃ、あいつがいる時の 如月四席、優しい目がたまらん、俺も向けられたい」
「おねえさんっぽい顔して笑いかけているせいか、あれ外から見たらただのおねショタじゃねぇか、羨ましい……」
「はぁ〜俺もショタになれれば 如月四席に思う存分甘えられるんだろうなぁ」
──隊の中で市丸ギンに対して羨望の眼差しを向ける隊士がじわじわと増えているのであった。
******
「ありがと、ギン君。これで助かったわ」
「へへ、 澪さんに褒められたら、明日からもがんばれそうやわ」
「うふふ、それは良かったわね」
年下の隊士というだけでなく、どこか放っておけない雰囲気がある。
まるで年端もいかぬ弟が出来たような感覚だ。
けれど、その瞳の奥に、ときおり 澪は妙な冷たさを感じていた。
(……まさか、ね)
気のせいだと、微笑みで包んでごまかす。
五番隊の四席として、穏やかで頼れる自分でいるために。
でも心の奥に、ほんの小さな灯のように残っている。
(……気のせいよね……)
微笑みながらも、 澪は静かに――ギンの動きを見つめ始めていた。
日報の端に書かれた一文を、澪は静かに読み返した。
――『新任三席 市丸ギン』
「中央霊術院を一年で……しかも、前三席を倒して……」
信じがたい話だったが、実際に彼はやってのけた。
まだ幼さの残る白銀の少年――市丸ギン。
五番隊の、いや、護廷十三隊全体の噂の的だった。
「すごい子……なんだろうな」
市丸ギンに対しては嫉妬というより、まず驚きが勝った。
前任の三席には誰も見ていない所でしつこく絡まれてた事もあり市丸ギンが倒した事で不謹慎だが少し安堵した自分もいる。
それはさておき、あの年で、あの実力。どんな才能があれば、そんな真似ができるのか。
澪は、ぎゅっと拳を握りしめる。
(……羨ましい)
ほんの少し、そんな気持ちもあった。
澪も、誰よりも早く実力を認められたくて、全科目を修めて霊術院を卒業した。
そして五番隊に入隊し、平子真子のそばに立つために、努力を惜しまなかった。
(なのに……私よりもずっと若い、あの子が……)
(……でも、焦っちゃだめ)
平子隊長の横に立ちたいという想いは、変わっていない。
そのために必要なら、三席の一つや二つ、いずれ奪う覚悟はある。
(それまで――もっと強くならなきゃ)
「負けないから。……私だって、隊長の隣に立ちたいの」
誰にも聞こえないよう、小さく呟く。
けれど、その言葉は、自分自身に誓うように、心の奥に深く刻まれた。
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市丸ギンが三席に就任して、しばらく経ったある日。
五番隊の執務室に、新たな三席の声が響く。
「澪さん、これ、こないして書くんで合うてます?」
「あら、凄く上手にできてるわね。さすが三席さん」
「へへ、褒めてもろたら、伸びるタイプやさかい」
やわらかな笑みを浮かべ、ギンは何でもないように澪の隣に腰を落とす。
年下の子供のように無邪気なふるまいだが、それを見ていた周囲の隊士たちは、ふと互いに目を合わせた。
「……あれ、完全に狙ってないか?」
「わかる。“子供っぽい”を武器にしてる感じ。 如月四席の甘さ、よく見抜いてる」
「最近じゃ、あいつがいる時の 如月四席、優しい目がたまらん、俺も向けられたい」
「おねえさんっぽい顔して笑いかけているせいか、あれ外から見たらただのおねショタじゃねぇか、羨ましい……」
「はぁ〜俺もショタになれれば 如月四席に思う存分甘えられるんだろうなぁ」
──隊の中で市丸ギンに対して羨望の眼差しを向ける隊士がじわじわと増えているのであった。
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「ありがと、ギン君。これで助かったわ」
「へへ、 澪さんに褒められたら、明日からもがんばれそうやわ」
「うふふ、それは良かったわね」
年下の隊士というだけでなく、どこか放っておけない雰囲気がある。
まるで年端もいかぬ弟が出来たような感覚だ。
けれど、その瞳の奥に、ときおり 澪は妙な冷たさを感じていた。
(……まさか、ね)
気のせいだと、微笑みで包んでごまかす。
五番隊の四席として、穏やかで頼れる自分でいるために。
でも心の奥に、ほんの小さな灯のように残っている。
(……気のせいよね……)
微笑みながらも、 澪は静かに――ギンの動きを見つめ始めていた。
