過去編
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時は経ち
瀞霊廷では技術開発局の目覚ましい進歩や、霊術院を一年で卒業した天才少年が五番隊に入隊し、即・三席に抜擢されるなど、目まぐるしく時が過ぎていた。
五番隊四席・ 如月澪は飲み会の後、平子に気持ちを打ち明けたが、酒で記憶が飛んでおり、いつも通りの日常を過ごしていた。
肝心の平子真子は、その“記憶のない澪”に日常の中で、焦れったい思いを抱えていた。
あの時の澪の言葉が嘘ではなかったと確信している。だが、彼女は「副隊長になるまでは告げない」と、自ら定めた一線を崩さない。
「……ホンマ、もうちょい融通効かせてくれてもええと思うんやけど……」
そうぼやく平子の背を、澪は変わらず追い続けていた。
平子がそんな気持ちを抱えているとはつゆ知らない澪はこの9年間である違和感に気付いていた。
(あぁ……まただ….。)
平子隊長が藍染副隊長と歩く時、必ずと言っていいほど、一定の距離を取っている。
ほんの半歩、気にしなければ見過ごすほどの差。
だが澪は、入隊してからずっと、平子だけを目で追ってきた。
誰よりも近くで、その背を見てきた。
その平子が、藍染副隊長にだけほんのわずか歩調をずらしたり、視線を合わせるのを躊躇うような仕草を見せる。
他の隊長と副隊長のような、気さくで冗談も言い合える間柄には見えなかった。
(もしかして……隊長、藍染副隊長のこと、警戒してる……?)
口に出すには曖昧すぎる。証拠もない。ただの“違和感”。
けれど澪は、笑う平子隊長の目が、藍染の前では少し冷めて見えることに気付いていた。
人当たりも良く、常に落ち着いており、隊士の間では(特に女性隊士に)、人気があり、理想的な上司という印象がある、そんな藍染副隊長を澪が敬愛してやまない平子隊長は警戒している。
確証は無いが澪からしたら平子隊長が警戒しているのなら藍染副隊長には何かしらあるのだろうし、警戒するに越したことはないと考えた。
これは決して、早くしっぽを出して私に副隊長の座を明け渡して欲しいという願望からくるものでは決してない。
******
執務室
「なぁ、流魂街の住人が消える事件あるやろ、あれどう思う」
頬ずえを付きながら机に向かって書類を処理している平子がふと、最近起きている事件について自身の目の前でお茶を用意しながら書類が出来上がるのを待機している部下に聞く。
「消える?ですか?」
「あぁ、しかも服だけ残していくときた、奇っ怪なこっちゃ」
問われた澪は最近この1ヶ月で起きてる事件について思い出す。
「服が残るとしたら、死んで霊子化するのとも違いますね」
「せやねん、だから何でやろなぁと思うてな」
そのあたりの事は技術開発局が詳しいだろうと当たりをつけ澪は平子へ提案する。
「技術開発局なら何か情報を掴んでいないのでしょうか?」
「そうやなぁ…後で少し聞いてくるわ」
ふと先日九番隊隊舎の近くを通った際、白さんに会い、雑談した時に九番隊も変死事件について調べていると言っていた事を思い出す。
「そういえば先日九番隊が先遣隊を派遣してましたね。」
「あぁ、けどまだ連絡が来てないらしく、拳西がこれから向かう予定らしいわ」
ほら出来たでと書類を渡される。
「ありがとうございます。…早く解決すると良いのですが…」
お礼と共に書類を受け取った澪は、わずかに眉を寄せて、手元の資料に目を落とした。
「こうしている間にも、どこかで誰かが……理由も分からず消えているのかと思うと……」
呟いたその言葉に、平子がちらりと視線を向ける。
「――心配なんか?」
「……はい」
その答えは迷いのないものだった。
「……私、流魂街で育ちましたから」
少しだけ遠くを見つめるように言った澪に、平子の動きが止まる。澪は気づかぬふりをして続けた。
「人が、ある日突然いなくなるのは、あの街じゃ珍しいことじゃなかったです。でも……霊子も残さず、ただ服だけっていうのは、聞いたことがありません」
「……せやな」
平子の声がわずかに低くなるが、すぐに澪を安心させる様に明るく伝える。
「ほな、うちの大事な四席が心配しなくて良い様に喜助に聞いてくるわ」
そう言って、平子は立ち上がる。冗談めかしたその言い方に、澪はわずかに目を伏せて笑った。
扉に手を置きながら平子は澪に呟く。
「そや……あんま疑いたないんやけどな、惣右介には――気ぃつけとき」
それだけ言い残し澪だけが、執務室に残される。
平子の言葉で澪の違和感が確信に変わった。
(平子隊長がそう仰るなら藍染副隊長には何かあるのだろう……警戒しとかないと)
不自然に態度に出す事はせず表面上はいつも通りに、けれど決して心は許さず警戒しようと決意し、業務へ戻った。
瀞霊廷では技術開発局の目覚ましい進歩や、霊術院を一年で卒業した天才少年が五番隊に入隊し、即・三席に抜擢されるなど、目まぐるしく時が過ぎていた。
五番隊四席・ 如月澪は飲み会の後、平子に気持ちを打ち明けたが、酒で記憶が飛んでおり、いつも通りの日常を過ごしていた。
肝心の平子真子は、その“記憶のない澪”に日常の中で、焦れったい思いを抱えていた。
あの時の澪の言葉が嘘ではなかったと確信している。だが、彼女は「副隊長になるまでは告げない」と、自ら定めた一線を崩さない。
「……ホンマ、もうちょい融通効かせてくれてもええと思うんやけど……」
そうぼやく平子の背を、澪は変わらず追い続けていた。
平子がそんな気持ちを抱えているとはつゆ知らない澪はこの9年間である違和感に気付いていた。
(あぁ……まただ….。)
平子隊長が藍染副隊長と歩く時、必ずと言っていいほど、一定の距離を取っている。
ほんの半歩、気にしなければ見過ごすほどの差。
だが澪は、入隊してからずっと、平子だけを目で追ってきた。
誰よりも近くで、その背を見てきた。
その平子が、藍染副隊長にだけほんのわずか歩調をずらしたり、視線を合わせるのを躊躇うような仕草を見せる。
他の隊長と副隊長のような、気さくで冗談も言い合える間柄には見えなかった。
(もしかして……隊長、藍染副隊長のこと、警戒してる……?)
口に出すには曖昧すぎる。証拠もない。ただの“違和感”。
けれど澪は、笑う平子隊長の目が、藍染の前では少し冷めて見えることに気付いていた。
人当たりも良く、常に落ち着いており、隊士の間では(特に女性隊士に)、人気があり、理想的な上司という印象がある、そんな藍染副隊長を澪が敬愛してやまない平子隊長は警戒している。
確証は無いが澪からしたら平子隊長が警戒しているのなら藍染副隊長には何かしらあるのだろうし、警戒するに越したことはないと考えた。
これは決して、早くしっぽを出して私に副隊長の座を明け渡して欲しいという願望からくるものでは決してない。
******
執務室
「なぁ、流魂街の住人が消える事件あるやろ、あれどう思う」
頬ずえを付きながら机に向かって書類を処理している平子がふと、最近起きている事件について自身の目の前でお茶を用意しながら書類が出来上がるのを待機している部下に聞く。
「消える?ですか?」
「あぁ、しかも服だけ残していくときた、奇っ怪なこっちゃ」
問われた澪は最近この1ヶ月で起きてる事件について思い出す。
「服が残るとしたら、死んで霊子化するのとも違いますね」
「せやねん、だから何でやろなぁと思うてな」
そのあたりの事は技術開発局が詳しいだろうと当たりをつけ澪は平子へ提案する。
「技術開発局なら何か情報を掴んでいないのでしょうか?」
「そうやなぁ…後で少し聞いてくるわ」
ふと先日九番隊隊舎の近くを通った際、白さんに会い、雑談した時に九番隊も変死事件について調べていると言っていた事を思い出す。
「そういえば先日九番隊が先遣隊を派遣してましたね。」
「あぁ、けどまだ連絡が来てないらしく、拳西がこれから向かう予定らしいわ」
ほら出来たでと書類を渡される。
「ありがとうございます。…早く解決すると良いのですが…」
お礼と共に書類を受け取った澪は、わずかに眉を寄せて、手元の資料に目を落とした。
「こうしている間にも、どこかで誰かが……理由も分からず消えているのかと思うと……」
呟いたその言葉に、平子がちらりと視線を向ける。
「――心配なんか?」
「……はい」
その答えは迷いのないものだった。
「……私、流魂街で育ちましたから」
少しだけ遠くを見つめるように言った澪に、平子の動きが止まる。澪は気づかぬふりをして続けた。
「人が、ある日突然いなくなるのは、あの街じゃ珍しいことじゃなかったです。でも……霊子も残さず、ただ服だけっていうのは、聞いたことがありません」
「……せやな」
平子の声がわずかに低くなるが、すぐに澪を安心させる様に明るく伝える。
「ほな、うちの大事な四席が心配しなくて良い様に喜助に聞いてくるわ」
そう言って、平子は立ち上がる。冗談めかしたその言い方に、澪はわずかに目を伏せて笑った。
扉に手を置きながら平子は澪に呟く。
「そや……あんま疑いたないんやけどな、惣右介には――気ぃつけとき」
それだけ言い残し澪だけが、執務室に残される。
平子の言葉で澪の違和感が確信に変わった。
(平子隊長がそう仰るなら藍染副隊長には何かあるのだろう……警戒しとかないと)
不自然に態度に出す事はせず表面上はいつも通りに、けれど決して心は許さず警戒しようと決意し、業務へ戻った。
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