過去編
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五番隊には、男の理想を詰め込んだような女隊士がいる。
その名は、五番隊四席──如月澪。
艶やかで指先が思わず伸びそうになる漆黒の髪は、まるで烏の濡れ羽色。
とろけるような瞳の下には、雫のように艶めく泣きぼくろ。
甘露を含んだ唇に、誰にでも優しく接する包容力。
──如月澪という女は、男たちの“理想”を一身に背負っているかのようだった。
五番隊の男隊士が集まり、誰と付き合いたいかという下世話な話を始めれば、
必ずと言っていいほどその名が挙がる。
──だが、当の本人にとっては他の男など眼中になかった。
入隊よりも遥か昔、幼い日からたった一人を想い続け、
“その人の好みの女”になろうと決めて、生きてきた。
如月澪は、ただ自然に美しくなったのではなく、それは、執念に近いほどの努力の結晶だった。
そして今日も澪は、想い人の隣に立てる日を夢見ながら、
副官の座を、静かに、けれど確かに狙い続ける。
執務室へと向かう途中、廊下の角を曲がった澪の目に、見慣れた白い隊長羽織が飛び込んできた。
瞬間、心が跳ねる。
駆け寄りたい衝動を抑えつつ、足取りは自然と早まっていた。
「おはようございます、平子隊長、藍染副隊長」
丁寧な所作で一礼をすると、平子がこちらを向いてにやりと笑った。
「おぉ、おはようさん。今日も朝からえらい別嬪さんやなぁ」
「おはよう、如月君」
「ふふ、ありがとうございます」
穏やかに微笑みながらも、内心では鼓動がうるさいほどに鳴っていた。
「お二人は、これから隊首会に向かわれるのですか?」
「せや。せやけどなぁ、惣右介ときたら“今日はキラキラした格好で来い”って言うたのに、結局いつも通りの格好で来よったんやで?」
平子が肩をすくめると、隣の藍染が小さく苦笑した。
「……だから隊長、僕だけ面白い格好をさせようとしないでください」
「ふふっ。あまり副隊長を困らせてはダメですよ、隊長」
小さな笑いが交わされ、朝の空気が少し和らぐ。
澪は静かに、落ち着いた声で続ける。
「確認が必要な書類は、後ほど隊長の机に置いておきますね。……では、行ってらっしゃいませ」
「おん、行ってくるわ。頼んだで、澪」
背を向けて歩き出す二人を、澪は微笑みを崩さずに見送る。
その横顔には、誰にでも分け隔てなく優しさを向ける淑女の顔があった。
──けれど、内心は。
(隊長に朝から会えるなんて……!しかも“別嬪さん”って……ふふ、隊長は今日も素敵です…!)
にやけそうになる口元を必死に押さえながら、澪は静かに踵を返す。
平常を装いながらも、心の中はふわふわと浮き上がっていた。
そう——如月澪の想い人は、五番隊隊長・平子真子。
ただひとり、平子隊長に振り向いてもらいたくて。
澪は今日も、平子の為だけに“理想の女”を演じ続ける。
その名は、五番隊四席──如月澪。
艶やかで指先が思わず伸びそうになる漆黒の髪は、まるで烏の濡れ羽色。
とろけるような瞳の下には、雫のように艶めく泣きぼくろ。
甘露を含んだ唇に、誰にでも優しく接する包容力。
──如月澪という女は、男たちの“理想”を一身に背負っているかのようだった。
五番隊の男隊士が集まり、誰と付き合いたいかという下世話な話を始めれば、
必ずと言っていいほどその名が挙がる。
──だが、当の本人にとっては他の男など眼中になかった。
入隊よりも遥か昔、幼い日からたった一人を想い続け、
“その人の好みの女”になろうと決めて、生きてきた。
如月澪は、ただ自然に美しくなったのではなく、それは、執念に近いほどの努力の結晶だった。
そして今日も澪は、想い人の隣に立てる日を夢見ながら、
副官の座を、静かに、けれど確かに狙い続ける。
執務室へと向かう途中、廊下の角を曲がった澪の目に、見慣れた白い隊長羽織が飛び込んできた。
瞬間、心が跳ねる。
駆け寄りたい衝動を抑えつつ、足取りは自然と早まっていた。
「おはようございます、平子隊長、藍染副隊長」
丁寧な所作で一礼をすると、平子がこちらを向いてにやりと笑った。
「おぉ、おはようさん。今日も朝からえらい別嬪さんやなぁ」
「おはよう、如月君」
「ふふ、ありがとうございます」
穏やかに微笑みながらも、内心では鼓動がうるさいほどに鳴っていた。
「お二人は、これから隊首会に向かわれるのですか?」
「せや。せやけどなぁ、惣右介ときたら“今日はキラキラした格好で来い”って言うたのに、結局いつも通りの格好で来よったんやで?」
平子が肩をすくめると、隣の藍染が小さく苦笑した。
「……だから隊長、僕だけ面白い格好をさせようとしないでください」
「ふふっ。あまり副隊長を困らせてはダメですよ、隊長」
小さな笑いが交わされ、朝の空気が少し和らぐ。
澪は静かに、落ち着いた声で続ける。
「確認が必要な書類は、後ほど隊長の机に置いておきますね。……では、行ってらっしゃいませ」
「おん、行ってくるわ。頼んだで、澪」
背を向けて歩き出す二人を、澪は微笑みを崩さずに見送る。
その横顔には、誰にでも分け隔てなく優しさを向ける淑女の顔があった。
──けれど、内心は。
(隊長に朝から会えるなんて……!しかも“別嬪さん”って……ふふ、隊長は今日も素敵です…!)
にやけそうになる口元を必死に押さえながら、澪は静かに踵を返す。
平常を装いながらも、心の中はふわふわと浮き上がっていた。
そう——如月澪の想い人は、五番隊隊長・平子真子。
ただひとり、平子隊長に振り向いてもらいたくて。
澪は今日も、平子の為だけに“理想の女”を演じ続ける。
