あの日彼女がくしゃみをしたから。(バッファローマン夢小説)
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あの日彼女がくしゃみをしたから
そんな劇的な夜のあと、二人の関係が一気に進展したかといえば、実際にはそうではなかった。どちらも人間かつ日本国籍であれば、思いたった日にしかるべき書類を役所に提出すれば、それが受理された日から晴れて正式な夫婦となるのだが。しkしそれだって、どちらの姓を選ぶか、また誰に保証人を頼むかなど、決めるべき事柄がちゃんと存在する。
日本国籍ではないうえに人ではないバッファローマンの場合は、考えただけでげんなりするような手続きが山ほど待ちかまえていたのだった。ああでもない、こうでもない、と話しあう毎日が続いていた。
バッファローマンはシブい顔で言った。「思ったんだがな、ある日とつぜんオレみたいな物騒な超人が目の前に現れて、『お嬢さんと結婚します。これからはお義父さん、お義母さんと呼ばせてください!』なんていわれたら、おまえのオヤジさんやオフクロさん、ひっくり返るんじゃないのか?」
想像したらタラリと冷や汗が流れた。
「だ、大丈夫だと思うけど…」
「でもなあ、『可愛い娘を超人なんかに』って、フツーは思うんだよ」
「結婚したことないのに詳しいんだね」
「してねえけどしようと思ったことは無いわけじゃないからな」
「だましたな」
「だましてねえだろ、実際にはしなかったんだから」
「せっかく二人とも初めてのイベントだと思って喜んでたのに」
ふてくされる彼女に、バッファローマン「安心しろ。ちゃーんと考えてあるぞ『二人とも初体験のイベント』」と、告げた。その顔には、七人でいたあの頃の悪い笑みが浮かんでいた。
「帰ったぞー」
「お、おかえりなさい」
玄関のドアを開けたバッファローマンは「お!」と声をあげ、しげしげと迎えにでてきた彼女をねめまわした。
フリルのたくさんついた白いエプロン以外には一糸まとわぬその姿を。
「なかなかの眺めだ。んじゃクルッとターンな」
言われるがままに彼女は一回転する。下着も着けないのが正統派だといわれていたので尻がプリっと丸見えだった。
「うーん、いい」
「このカッコ、さむいんだけど」
チッチッチ、とバッファローマンは立てた人差し指を左右に振った。
「違うだろ、次は何て言うんだ?」
彼女は顔を赤く染め、しどろもどろになりながら、決められたセリフを口にした。
「お、おかえりなさいあなた。お風呂にする?ご飯にする?それともわ・た・し?」
「もちろんおまえに決まってるだろ?」
バッファローマンは嬉しそうに彼女の小さな身体をひょいと抱き上げると、頬に音をたててキスをした。
「いやあ、新婚つったらこれだ!な!?」
「……はずかしいよ」
とたんに彼女は小さなくしゃみをひとつした。
End
(初出:PIXIV 2023.03.29)
そんな劇的な夜のあと、二人の関係が一気に進展したかといえば、実際にはそうではなかった。どちらも人間かつ日本国籍であれば、思いたった日にしかるべき書類を役所に提出すれば、それが受理された日から晴れて正式な夫婦となるのだが。しkしそれだって、どちらの姓を選ぶか、また誰に保証人を頼むかなど、決めるべき事柄がちゃんと存在する。
日本国籍ではないうえに人ではないバッファローマンの場合は、考えただけでげんなりするような手続きが山ほど待ちかまえていたのだった。ああでもない、こうでもない、と話しあう毎日が続いていた。
バッファローマンはシブい顔で言った。「思ったんだがな、ある日とつぜんオレみたいな物騒な超人が目の前に現れて、『お嬢さんと結婚します。これからはお義父さん、お義母さんと呼ばせてください!』なんていわれたら、おまえのオヤジさんやオフクロさん、ひっくり返るんじゃないのか?」
想像したらタラリと冷や汗が流れた。
「だ、大丈夫だと思うけど…」
「でもなあ、『可愛い娘を超人なんかに』って、フツーは思うんだよ」
「結婚したことないのに詳しいんだね」
「してねえけどしようと思ったことは無いわけじゃないからな」
「だましたな」
「だましてねえだろ、実際にはしなかったんだから」
「せっかく二人とも初めてのイベントだと思って喜んでたのに」
ふてくされる彼女に、バッファローマン「安心しろ。ちゃーんと考えてあるぞ『二人とも初体験のイベント』」と、告げた。その顔には、七人でいたあの頃の悪い笑みが浮かんでいた。
「帰ったぞー」
「お、おかえりなさい」
玄関のドアを開けたバッファローマンは「お!」と声をあげ、しげしげと迎えにでてきた彼女をねめまわした。
フリルのたくさんついた白いエプロン以外には一糸まとわぬその姿を。
「なかなかの眺めだ。んじゃクルッとターンな」
言われるがままに彼女は一回転する。下着も着けないのが正統派だといわれていたので尻がプリっと丸見えだった。
「うーん、いい」
「このカッコ、さむいんだけど」
チッチッチ、とバッファローマンは立てた人差し指を左右に振った。
「違うだろ、次は何て言うんだ?」
彼女は顔を赤く染め、しどろもどろになりながら、決められたセリフを口にした。
「お、おかえりなさいあなた。お風呂にする?ご飯にする?それともわ・た・し?」
「もちろんおまえに決まってるだろ?」
バッファローマンは嬉しそうに彼女の小さな身体をひょいと抱き上げると、頬に音をたててキスをした。
「いやあ、新婚つったらこれだ!な!?」
「……はずかしいよ」
とたんに彼女は小さなくしゃみをひとつした。
End
(初出:PIXIV 2023.03.29)
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