心とかすような(バッファローマン夢小説)
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その日、天気は朝から快晴で、彼女がキッチンカーを運転して公園に着くころには、すっかり汗ばむ陽気になっていた。
嬉しいことにバッファローマンも姿をみせた。
「こんにちは、いらっしゃいませ!」
「暑いな」
「ずいぶん夏らしくなってきましたね」
「ああ。今日もいつものをもらおうか。それと――」
それからバッファローマンはジーンズの後ろポケットからバドワイザーの350ml缶を取りだした。
「一度コイツでチリドッグを食べたかったんだ」
その瞬間、彼女の顔にとまどいが浮かんだ。
「ええと、すみません。この公園、お酒飲んじゃいけないんです」
「そうか、悪かったな」
気を悪くしたようなそぶりは少しもみせず、バッファローマンはふたたび缶をポケットにもどした。
しかし彼女は、こんなお天気の日に好きなビールも飲めないなんて、とちょっとだけ目をつむることに決め、ドリンク用の使い捨てカップを相手に差し出した。
「あの、その、缶のままだとアレなんですけどコレに注いじゃいましょう!そしたら誰にもわかりません」
バッファローマンは一瞬キョトンとした表情をうかべたあと、破顔一笑した。
「サンキュー!」
それはこの超人におよそ似つかわしくない、まるで少年そのものの、無防備で開けっぴろげな笑顔だった。だから彼女はいつも以上に真心をこめてチリドッグを作って、彼に渡した。
バッファローマンはいそいそとアツアツのチリドッグをほおばり、冷えたビールを流しこんだ。
「あー旨い」
しみじみとため息をつくその姿は、自分のようなちっぽけな人間でも、彼を幸せにすることができるのだと、彼女に実感させるものだった。
そうして彼女はカラっぽになったカップとバドワイザーの空き缶をバッファローマンから受けとった。いつも仕事が終わると本社までキッチンカーを返しにいって、その日に出たゴミも一緒に持っていくのだ。もちろん缶は自分の家のゴミとして捨てるつもりだ。
「無理いってわるかったな」
「気にしないでください、わたしが言ったことですから」
小さな秘密を共有することになった二人は、前よりずっと互いに親近感を抱くようになっていた。
それから半月ほどたった。
バッファローマンはいつものようにやってきて、すっかり定番となった組み合わせをオーダーした。
できあがった品物を渡すため、キッチンカーを出て彼の目の前に彼女が立った瞬間。
「近いうちにオレとデートしないか?」
青天の霹靂のように、バッファローマンは彼女にそう告げた。
ちょうどチリドッグを手渡す瞬間だったから、まかり間違えれば手がすべって取り落としていたかもしれない。
あぶなかった――なんて、ホッとしてる場合ではない。
「デートって……わたしと、ですか?」
「他に誰がいるんだ?」
なにを言っているのだ、とバッファローマンは苦笑した。
そう、幸運なことに彼以外に誰もホットドッグを買いに来ることはなかった。
きっと神さまのおはからいだろう。
それから「この仕事をしているくらいだから、クルマは好きだろう?」と聞かれ「好きです」と答えた。ほかに「海と山ならどちらが好きだ?」とも聞かれ「海」と答えた。
嬉しいことにバッファローマンも姿をみせた。
「こんにちは、いらっしゃいませ!」
「暑いな」
「ずいぶん夏らしくなってきましたね」
「ああ。今日もいつものをもらおうか。それと――」
それからバッファローマンはジーンズの後ろポケットからバドワイザーの350ml缶を取りだした。
「一度コイツでチリドッグを食べたかったんだ」
その瞬間、彼女の顔にとまどいが浮かんだ。
「ええと、すみません。この公園、お酒飲んじゃいけないんです」
「そうか、悪かったな」
気を悪くしたようなそぶりは少しもみせず、バッファローマンはふたたび缶をポケットにもどした。
しかし彼女は、こんなお天気の日に好きなビールも飲めないなんて、とちょっとだけ目をつむることに決め、ドリンク用の使い捨てカップを相手に差し出した。
「あの、その、缶のままだとアレなんですけどコレに注いじゃいましょう!そしたら誰にもわかりません」
バッファローマンは一瞬キョトンとした表情をうかべたあと、破顔一笑した。
「サンキュー!」
それはこの超人におよそ似つかわしくない、まるで少年そのものの、無防備で開けっぴろげな笑顔だった。だから彼女はいつも以上に真心をこめてチリドッグを作って、彼に渡した。
バッファローマンはいそいそとアツアツのチリドッグをほおばり、冷えたビールを流しこんだ。
「あー旨い」
しみじみとため息をつくその姿は、自分のようなちっぽけな人間でも、彼を幸せにすることができるのだと、彼女に実感させるものだった。
そうして彼女はカラっぽになったカップとバドワイザーの空き缶をバッファローマンから受けとった。いつも仕事が終わると本社までキッチンカーを返しにいって、その日に出たゴミも一緒に持っていくのだ。もちろん缶は自分の家のゴミとして捨てるつもりだ。
「無理いってわるかったな」
「気にしないでください、わたしが言ったことですから」
小さな秘密を共有することになった二人は、前よりずっと互いに親近感を抱くようになっていた。
それから半月ほどたった。
バッファローマンはいつものようにやってきて、すっかり定番となった組み合わせをオーダーした。
できあがった品物を渡すため、キッチンカーを出て彼の目の前に彼女が立った瞬間。
「近いうちにオレとデートしないか?」
青天の霹靂のように、バッファローマンは彼女にそう告げた。
ちょうどチリドッグを手渡す瞬間だったから、まかり間違えれば手がすべって取り落としていたかもしれない。
あぶなかった――なんて、ホッとしてる場合ではない。
「デートって……わたしと、ですか?」
「他に誰がいるんだ?」
なにを言っているのだ、とバッファローマンは苦笑した。
そう、幸運なことに彼以外に誰もホットドッグを買いに来ることはなかった。
きっと神さまのおはからいだろう。
それから「この仕事をしているくらいだから、クルマは好きだろう?」と聞かれ「好きです」と答えた。ほかに「海と山ならどちらが好きだ?」とも聞かれ「海」と答えた。