残置物
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「コレ、かえすね」
ステキな忘れ物をバッファローマンに差し出した。
相手はいぶかしげにそれをつまみ上げ、しげしげと見つめたあと
「おまえのだろ?」
と云った。
「荷物うつしてたら、引き出しの奥にはいってたの」
悋気など感じていないから、ミスリードされないようイントネーションには気を付けたつもりだ。
数秒の後
「あー。オレんだわ」
と、だけ。
「……履くんだ」
「ムリだろ、どう見ても」
「じゃ、コレクションとか」
「ねえよ、そんな趣味」
次の瞬間、頭に浮かんだヒラメキを何も考えず口に出してしまった。
「もしかして帽子?」
唾をゴクリと飲みこむ音がした。
「それは……さすがに」
身の丈250センチメートルの超人が女物のパンツを頭にかぶって、しかも左右の穴からご自慢のロングホーンがにゅっと生えてる図を想像したら何だかちょっと可哀想になってしまった。
なので
「いちお、返したからね」
とだけ云って、作業の続きをするために部屋に戻った。
後ろめたくは、ない。
やましいことも、ない。
けれども彼女がもとの部屋に姿を消したとき、何ともいえない気分になったのは事実だ。
自分にはある種の魅力があるのだと思う。周囲にもそう指摘されるから客観的事実だ。だから必然的に以前にも他の女性と暮らしていたし、誰でも忘れ物をすることはあるから、これは不可抗力だ。不可抗力だけれども、こういう残置物があるとトラブルの火種になることは熟知している。にも関わらず無頓着に部屋を引渡しことについては若干配慮に欠けていたかもしれない。
謝るにやぶさかではないがその部分のニュアンスがうまく伝わるだろうか。
考えていたら面倒くさくなってきて、ついでにとっても上品な高級女性用下着を握りしめたままだったことを思い出した。正直いってこんな下着、コレっぽっちも記憶にない。
セクシーなほうがいい、とかフリルよりレースだ、とか何より清潔感が大事だとか熱いコダワリを持つ向きもあるが問題は中身だ。中身との相性だ。
「お前のせいでとんだとばっちりだ」
小さな布きれをリビングのゴミ箱にポイと投げ入れた。
ステキな忘れ物をバッファローマンに差し出した。
相手はいぶかしげにそれをつまみ上げ、しげしげと見つめたあと
「おまえのだろ?」
と云った。
「荷物うつしてたら、引き出しの奥にはいってたの」
悋気など感じていないから、ミスリードされないようイントネーションには気を付けたつもりだ。
数秒の後
「あー。オレんだわ」
と、だけ。
「……履くんだ」
「ムリだろ、どう見ても」
「じゃ、コレクションとか」
「ねえよ、そんな趣味」
次の瞬間、頭に浮かんだヒラメキを何も考えず口に出してしまった。
「もしかして帽子?」
唾をゴクリと飲みこむ音がした。
「それは……さすがに」
身の丈250センチメートルの超人が女物のパンツを頭にかぶって、しかも左右の穴からご自慢のロングホーンがにゅっと生えてる図を想像したら何だかちょっと可哀想になってしまった。
なので
「いちお、返したからね」
とだけ云って、作業の続きをするために部屋に戻った。
後ろめたくは、ない。
やましいことも、ない。
けれども彼女がもとの部屋に姿を消したとき、何ともいえない気分になったのは事実だ。
自分にはある種の魅力があるのだと思う。周囲にもそう指摘されるから客観的事実だ。だから必然的に以前にも他の女性と暮らしていたし、誰でも忘れ物をすることはあるから、これは不可抗力だ。不可抗力だけれども、こういう残置物があるとトラブルの火種になることは熟知している。にも関わらず無頓着に部屋を引渡しことについては若干配慮に欠けていたかもしれない。
謝るにやぶさかではないがその部分のニュアンスがうまく伝わるだろうか。
考えていたら面倒くさくなってきて、ついでにとっても上品な高級女性用下着を握りしめたままだったことを思い出した。正直いってこんな下着、コレっぽっちも記憶にない。
セクシーなほうがいい、とかフリルよりレースだ、とか何より清潔感が大事だとか熱いコダワリを持つ向きもあるが問題は中身だ。中身との相性だ。
「お前のせいでとんだとばっちりだ」
小さな布きれをリビングのゴミ箱にポイと投げ入れた。