残置物
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残置物
ローチェストの引き出しの奥。手に触れたものを何の気なしにそのままひきだした。
「あ」
思わず声が出た。
小さな布のかたまりは女性物の下着だった。
――ぱんつだ。
レースをふんだんにあしらった洗練されたデザインの品で、実際にはランジェリーとかファンデーションと呼ぶのがふさわしい。
ここはバッファローマン住むマンションの一室の「好きにつかっていい」とあてがわれた部屋。
この引き出しはウォークインクロゼットにしつらえられたローチェストの一番上の段。
いまは一人暮らしのアパートから運び込んだ荷物を移しかえているところ。
と、すればかつて引き出しを使用していた女性がこれの持ち主だろう。
少し前、バッファローマンのマンションのリビングでいつものようにくつろいでいるとき、突然こう告げられた。
「なぁ、ここで暮らせよ」
驚いて答えに窮していると
「――嫌か?」
と、聞かれた。
(嫌じゃない、全然嫌じゃない。むしろ嬉しい、すごく)
だから慌てて首を左右に振った。
「じゃ、決まりな」
ニッと彼は笑った。
彼女の意向を汲んでいても、まず命令形で切り出したのがらしいといえばらしい。
他の誰かさんなら
「拙者と共に暮らしてはくれぬか?」
「どうだろう、私と一緒に暮らしてみないか?」
「オラと二人で暮らさないか?」
「もし良かったら……俺と暮らしてくれないか?」
こんな感じだろうか。
それから手に持てる量の私物を少しずつ運び、最後にトリノに積めるだけの荷物を積んで、昨日ついにここに移った。
ローチェストの引き出しの奥。手に触れたものを何の気なしにそのままひきだした。
「あ」
思わず声が出た。
小さな布のかたまりは女性物の下着だった。
――ぱんつだ。
レースをふんだんにあしらった洗練されたデザインの品で、実際にはランジェリーとかファンデーションと呼ぶのがふさわしい。
ここはバッファローマン住むマンションの一室の「好きにつかっていい」とあてがわれた部屋。
この引き出しはウォークインクロゼットにしつらえられたローチェストの一番上の段。
いまは一人暮らしのアパートから運び込んだ荷物を移しかえているところ。
と、すればかつて引き出しを使用していた女性がこれの持ち主だろう。
少し前、バッファローマンのマンションのリビングでいつものようにくつろいでいるとき、突然こう告げられた。
「なぁ、ここで暮らせよ」
驚いて答えに窮していると
「――嫌か?」
と、聞かれた。
(嫌じゃない、全然嫌じゃない。むしろ嬉しい、すごく)
だから慌てて首を左右に振った。
「じゃ、決まりな」
ニッと彼は笑った。
彼女の意向を汲んでいても、まず命令形で切り出したのがらしいといえばらしい。
他の誰かさんなら
「拙者と共に暮らしてはくれぬか?」
「どうだろう、私と一緒に暮らしてみないか?」
「オラと二人で暮らさないか?」
「もし良かったら……俺と暮らしてくれないか?」
こんな感じだろうか。
それから手に持てる量の私物を少しずつ運び、最後にトリノに積めるだけの荷物を積んで、昨日ついにここに移った。
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