IKON
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駅までの途中にある、坂の上から始まるブロック塀は、初めは膝の上くらいのものがスロープ状に段々高くなっていき、最後はバッファローマンのみぞおちのすぐ下あたりにまで至る。その場所だと二人の目の高さはちょうど同じくらいになるので、相手の顔を真っ直ぐに見られるのが嬉しくて、一緒にここを通るときはつい塀に足をかけてその上をたどってしまう。今日もまた彼女は用心しいしいそこを歩くのだった。
二人の眼前をすぅ、と弧を描いて一羽のツバメが横ぎった。アスファルトに近い位置に描かれた軌跡から察するに天気は予報通り下り坂のようだ。
「低いね」
「雲が多いから降るかもな」
大気を裂いて飛ぶ流線型の黒くしなやかなその姿は、自由と優雅の象徴のようにも映る。
実際にはヒナを養う糧を求める振るまいで、日の出から日没まで雌雄を問わずそれに終止そしているに過ぎないのだが。
彼ら――ツバメを含む人間以外の動物――は「他者の眼に映る『自分の姿』」に対して全く無自覚であるし、自身が何者であるかということについても(恐らく)関心がない。
迷いもためらいもなく生を辿るバッファローマンの足どりにはそれと似たものを感じる。
彼ら超人が根本的に人間と違うのは『神の実存』を産まれながらに知っていることだ。たとえそれがかつて自分たちを拒絶した存在だったとしても。
もしも人間が「他者が抱く『自分への存在認識』」という呪縛から逃れられる時が来るとしたら、それは人間のための神の実存を証明できた瞬間なのかもしれない。
二人の眼前をすぅ、と弧を描いて一羽のツバメが横ぎった。アスファルトに近い位置に描かれた軌跡から察するに天気は予報通り下り坂のようだ。
「低いね」
「雲が多いから降るかもな」
大気を裂いて飛ぶ流線型の黒くしなやかなその姿は、自由と優雅の象徴のようにも映る。
実際にはヒナを養う糧を求める振るまいで、日の出から日没まで雌雄を問わずそれに終止そしているに過ぎないのだが。
彼ら――ツバメを含む人間以外の動物――は「他者の眼に映る『自分の姿』」に対して全く無自覚であるし、自身が何者であるかということについても(恐らく)関心がない。
迷いもためらいもなく生を辿るバッファローマンの足どりにはそれと似たものを感じる。
彼ら超人が根本的に人間と違うのは『神の実存』を産まれながらに知っていることだ。たとえそれがかつて自分たちを拒絶した存在だったとしても。
もしも人間が「他者が抱く『自分への存在認識』」という呪縛から逃れられる時が来るとしたら、それは人間のための神の実存を証明できた瞬間なのかもしれない。