往還(バッファローマン夢小説)
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「さあ、はじめましょう」
言いながらもサイコマンは動かない。腕を組み、薄ら笑いを浮かべてバッファローマンを眺めている。
自分ではない自分と戦ったことがあるのだとしたら策を弄しても意味がない。正攻法でいくことにした。
正面から接近し、パンチをたたき込むも当然それは読まれていて、想像通りの軽いフットワークでスルリと躱された。
バッファローマンのコメカミを狙い、サイコマンがハイキックを繰り出した。丸太のような肘をたてて前腕で防ぐ。残念なことにサポーターは使っていない。
間合いが詰まったので肩から相手に突っ込んだ。すんでのところでサイコマンはとんぼを切り、二転三転してバッファローマンの対角に位置するコーナーまで後退した。
「チョコマカとこざかしいこった」
吐き捨てるようにバッファローマンが言う。
フフ、と口に手をあててサイコマンは嗤った。
「それじゃ今度はこちらからいきましょうかね」
トン、と軽やかに宙に飛び上がる。
「完幻殺法スピア・ドレス!」
その言葉と共に白い装束の裾がふわりと広がり、次いですぼめた傘か、あるいは槍のような形状に変化した。サイコマンの眼が獲物の位置を定めるようにすうっと細められ、一度上半身をそらせると、その先端をバッファローマンに向けたまま急降下を始めた!
「――クッ!」
回避行動が一瞬おくれ、スピアの名の通りドレスの先端が一閃し、大胸筋をかすめた。
ひりつくような痛みと、赤い血が一筋胸を伝う。
「さあさあ、どんどんいきますよ!」
高度を上げたサイコマンは再び急降下を始める。
二度、三度とこちらに斬りこんでくる相手をすんでのところでかわしていく。
それでも傷は負う。鋭い先端に削られた表皮が宙を漂い、外気にさらされた真皮が火傷を負ったような焼けつく痛みを伝えてくる。
「どうしました!カカシみたいにたちつくして!もう終わりですか!?」
(……焦るな)
バッファローマンは己にじっと言い聞かせた。焦れば視線がブレる。
そして好機が訪れた。
その瞬間のサイコマンの攻撃は今までより軌道が大きく、その分だけ間があいた。
「いまだ!」
バランスを取るためにTの字のように開いていた腕の片方をバッファローマンはガッシと捕らえた!
急ブレーキでシートベルトに保護された時のように、サイコマンの身体がガクン、とかしいだ。
「捕まえたぞ、唐傘お化けめ」
「……よく見切りましたね」
でもね、とサイコマンは不敵に笑った。
「織り込み済みなんですよ!」
バッファローマンに握られているのとは反対の手で、自分を掴んでいる太い手首を鷲掴みにした!
ギュウ!とそれを強く握りこむ。
「グアァッ!」
想像も出来ないような怪力に締上げられ、たまらずに手を開いてしまった。
(――しまった!)
もう遅い。自由を取りもどしたサイコマンは素早いステップでバッファローマンの背後にまわり込んだ。
「驚かれました?あちらの貴方もこの握力には一目おいていましたよ」
ぬう、とのしかかるような気配を背後に感じた。
あの握力で首を極められたら、意識を失うのは勿論のこと、レフェリーストップの入らないこの闘いでは人生そのものが終わってしまう。
両腕を交差させとっさに首元をガードする。
するとサイコマンは彼の耳元でささやいた。
「普通はね、絞めるでしょう?だから貴方も自分の首もとに注意がいった。
――不正解です!巨握の掌!!」
言葉と同時に掌がガッキとバッファローマンの後頭部を掴んだ!
サイコマンはそのまま相手の頭部を万力のように掴み上げる。
ミリミリと肉に覆われた頭骨が悲鳴をあげはじめた。
こめかみの辺りの血管がドクドクと激しく拍動し、視界が血の色に染まってゆく。火花のような瞬きがチカチカ見えはじめた。
意識を失わないよう、バッファローマンは歯を食いしばってこれに耐えた。
『巨握の掌』などと大仰な名を冠するくらいだから、このまま絞め続けられれば頭骨ごと脳まで砕かれてしまうだろう。長くは持たない。
「アンタ、ほんと趣味悪ぃぜ!」
バッファローマンは全身全霊をこめ、ヨロヨロと立ち上がる!
今一度、闘うための気力を振り絞ろうと、熱病に冒され狂気に陥った獣のように咆哮した。
「ウガァァッ!」
裂帛の気合いと共に、全重量を載せて背後のコーナーポストに相手を叩きつける!
「グゥッッ!」
鋼鉄の柱にサイコマンの背中がめり込み、ありったけの肺の空気が吐き出された。
ついに訪れたそのチャンスを逃さず、バッファローマンは自分の後頭部を握ったままの細い右手首を無理やりもぎ放す。
振り返ってがら空きになったボディに高い位置からビッグブーツを思い切り叩き込んだ。いくら腹筋を鍛えていてもそこに力が入っていなければ何の意味もない。
サイコマンの顔が苦痛に歪む。眼から涙をこぼし、えずきながらマットに頭を垂れた。
力の抜けた相手の半身を起こし、正面から二つ折りの姿勢に抱え込む。そのまま自分の目線の高さまで持ち上げると、勢いをつけてサイコマンの後頭部から背中を一気にマットに打ち付けた。
『バッファローBOMB』。
我ながらえげつない事をするとバッファローマンは思ったが、息の根をとめないと元の世界にかえれないと言ったのは彼自身だ。
情け容赦なく続き技に持ち込んだ。
仰向けにしたサイコマンを自分の背に乗せて首をつかんで吊り下げる。
いわゆる『ハングマンホールド』だ。
すべての重さが頸部にかかり、頸椎にダメージを与える。
けれどこれでは終わらない。バッファローマンはその状態からサイコマンの身体をコーナーポストに向かって投げつけた!
これも彼のオリジナルホールド『メガトンシュート』。1000万パワーの時なら恐るべき威力を発揮し、一撃で相手をマットに沈めたこともあるが10分の1の超人強度しかない現在はそこまでのダメージを与えるべくもない。
それでも反対側のコーナーポストに激突したサイコマンは糸の切れた操り人形のようにクタリとマットに崩れ落ちた。
言いながらもサイコマンは動かない。腕を組み、薄ら笑いを浮かべてバッファローマンを眺めている。
自分ではない自分と戦ったことがあるのだとしたら策を弄しても意味がない。正攻法でいくことにした。
正面から接近し、パンチをたたき込むも当然それは読まれていて、想像通りの軽いフットワークでスルリと躱された。
バッファローマンのコメカミを狙い、サイコマンがハイキックを繰り出した。丸太のような肘をたてて前腕で防ぐ。残念なことにサポーターは使っていない。
間合いが詰まったので肩から相手に突っ込んだ。すんでのところでサイコマンはとんぼを切り、二転三転してバッファローマンの対角に位置するコーナーまで後退した。
「チョコマカとこざかしいこった」
吐き捨てるようにバッファローマンが言う。
フフ、と口に手をあててサイコマンは嗤った。
「それじゃ今度はこちらからいきましょうかね」
トン、と軽やかに宙に飛び上がる。
「完幻殺法スピア・ドレス!」
その言葉と共に白い装束の裾がふわりと広がり、次いですぼめた傘か、あるいは槍のような形状に変化した。サイコマンの眼が獲物の位置を定めるようにすうっと細められ、一度上半身をそらせると、その先端をバッファローマンに向けたまま急降下を始めた!
「――クッ!」
回避行動が一瞬おくれ、スピアの名の通りドレスの先端が一閃し、大胸筋をかすめた。
ひりつくような痛みと、赤い血が一筋胸を伝う。
「さあさあ、どんどんいきますよ!」
高度を上げたサイコマンは再び急降下を始める。
二度、三度とこちらに斬りこんでくる相手をすんでのところでかわしていく。
それでも傷は負う。鋭い先端に削られた表皮が宙を漂い、外気にさらされた真皮が火傷を負ったような焼けつく痛みを伝えてくる。
「どうしました!カカシみたいにたちつくして!もう終わりですか!?」
(……焦るな)
バッファローマンは己にじっと言い聞かせた。焦れば視線がブレる。
そして好機が訪れた。
その瞬間のサイコマンの攻撃は今までより軌道が大きく、その分だけ間があいた。
「いまだ!」
バランスを取るためにTの字のように開いていた腕の片方をバッファローマンはガッシと捕らえた!
急ブレーキでシートベルトに保護された時のように、サイコマンの身体がガクン、とかしいだ。
「捕まえたぞ、唐傘お化けめ」
「……よく見切りましたね」
でもね、とサイコマンは不敵に笑った。
「織り込み済みなんですよ!」
バッファローマンに握られているのとは反対の手で、自分を掴んでいる太い手首を鷲掴みにした!
ギュウ!とそれを強く握りこむ。
「グアァッ!」
想像も出来ないような怪力に締上げられ、たまらずに手を開いてしまった。
(――しまった!)
もう遅い。自由を取りもどしたサイコマンは素早いステップでバッファローマンの背後にまわり込んだ。
「驚かれました?あちらの貴方もこの握力には一目おいていましたよ」
ぬう、とのしかかるような気配を背後に感じた。
あの握力で首を極められたら、意識を失うのは勿論のこと、レフェリーストップの入らないこの闘いでは人生そのものが終わってしまう。
両腕を交差させとっさに首元をガードする。
するとサイコマンは彼の耳元でささやいた。
「普通はね、絞めるでしょう?だから貴方も自分の首もとに注意がいった。
――不正解です!巨握の掌!!」
言葉と同時に掌がガッキとバッファローマンの後頭部を掴んだ!
サイコマンはそのまま相手の頭部を万力のように掴み上げる。
ミリミリと肉に覆われた頭骨が悲鳴をあげはじめた。
こめかみの辺りの血管がドクドクと激しく拍動し、視界が血の色に染まってゆく。火花のような瞬きがチカチカ見えはじめた。
意識を失わないよう、バッファローマンは歯を食いしばってこれに耐えた。
『巨握の掌』などと大仰な名を冠するくらいだから、このまま絞め続けられれば頭骨ごと脳まで砕かれてしまうだろう。長くは持たない。
「アンタ、ほんと趣味悪ぃぜ!」
バッファローマンは全身全霊をこめ、ヨロヨロと立ち上がる!
今一度、闘うための気力を振り絞ろうと、熱病に冒され狂気に陥った獣のように咆哮した。
「ウガァァッ!」
裂帛の気合いと共に、全重量を載せて背後のコーナーポストに相手を叩きつける!
「グゥッッ!」
鋼鉄の柱にサイコマンの背中がめり込み、ありったけの肺の空気が吐き出された。
ついに訪れたそのチャンスを逃さず、バッファローマンは自分の後頭部を握ったままの細い右手首を無理やりもぎ放す。
振り返ってがら空きになったボディに高い位置からビッグブーツを思い切り叩き込んだ。いくら腹筋を鍛えていてもそこに力が入っていなければ何の意味もない。
サイコマンの顔が苦痛に歪む。眼から涙をこぼし、えずきながらマットに頭を垂れた。
力の抜けた相手の半身を起こし、正面から二つ折りの姿勢に抱え込む。そのまま自分の目線の高さまで持ち上げると、勢いをつけてサイコマンの後頭部から背中を一気にマットに打ち付けた。
『バッファローBOMB』。
我ながらえげつない事をするとバッファローマンは思ったが、息の根をとめないと元の世界にかえれないと言ったのは彼自身だ。
情け容赦なく続き技に持ち込んだ。
仰向けにしたサイコマンを自分の背に乗せて首をつかんで吊り下げる。
いわゆる『ハングマンホールド』だ。
すべての重さが頸部にかかり、頸椎にダメージを与える。
けれどこれでは終わらない。バッファローマンはその状態からサイコマンの身体をコーナーポストに向かって投げつけた!
これも彼のオリジナルホールド『メガトンシュート』。1000万パワーの時なら恐るべき威力を発揮し、一撃で相手をマットに沈めたこともあるが10分の1の超人強度しかない現在はそこまでのダメージを与えるべくもない。
それでも反対側のコーナーポストに激突したサイコマンは糸の切れた操り人形のようにクタリとマットに崩れ落ちた。