ゲームブック ドスくん落ち
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がちゃんと食器が割れる音がして。
ティーセットが床に落ち見るも無惨な姿に変わっていた。
「嘘はいけませんね。あれ程主様の寵愛を授かっているというのに、なんて罪深い人だ」
「っ!?」
すれ違う瞬間、壁がまるで大きな手のように変化しその手中に捕まってしまったのだ。
...ああ、そうか。
"以前のアジトより少々見た目は悪いですが此処にいれば安全ですから"
いつだったか、此処に来てから言われた言葉を思いだす。
ここは安全圏であると同時に、私が逃げ出さない為の檻でもあったのだと、ようやっと理解した。
「ですが主様は慈悲深く寛大なるお方。なまえ様の罪も許し正しき道へ導いて下さるでしょう!」
両手を広げ興奮したように説くイワンさん。
なんとか逃げ出そうと藻掻くが硬い岩に為す術も無く、急激に締め上げられ意識を失った。
「う、」
痛む頭を枕に抑えつけて、何があったのか記憶を手繰り寄せる。何故自室にいるのだろう。確かイワンさんに会って、それから、どれくらい経ったのか、
「やっとお目覚めですか」
「フョードルさん...!?」
何故、どうして此処に?暫く帰って来ないって、まさか私は何日も眠って__
「いいえ?貴方が脱走を企て実行したと聞き途中で帰って来ました。気を失ってからまだ二時間ほどしか経っていませんよ。多少日程はズレますが問題ないでしょう」
頭の回る彼は私のような凡人の考えはお見通しだと言わんばかりに、次々と疑問を解いていくが日程とは、いったいなんの事だ。
「何故逃げようとしたのか、理由は分かっています」
どうあっても彼に隠し事は通用しないらしく不穏な雰囲気に俯く。
「黙って出ていこうとしたのは、本当にごめんなさい、でもフョードルさん達の事は誰にも言わないし、」
「帰らないでください」
「だから私帰らないと、...え?」
「帰らないで。ぼくの傍にいてください、なまえさん。愛してるんです」
縋るようなか細い声に顔を上げれば、フョードルさんは今まで見たこともない顔をしていた。
「ぼくたちあんなに愛し合っていたでしょう?」
今にも死にそうな悲壮感漂う姿は同情を誘う。
私の答えは既に決まっていた。
それでも帰りたい