Dear Saiyans 6話・緊迫の出会い

「…それで、クリス君はここに来たんだ…」
一家は、クリスの壮絶な話に涙を流した。
「クリスのお兄ちゃん、宇宙人だったんだね!しかもすごく優しいんだね!」
「あたし、クリスお兄ちゃんを応援するよ!」
子供達は無邪気に言った。
「クリス君、これからも力になるよ。もしまた困った事があったら、いつでも言ってくれ」
男性は明るく言った。
「あ、ありがとうございます!…えっと」
「おっと、挨拶が遅れたね。俺の名はノーマン。こう見えて大工だ」
「私は妻のイブよ。よろしくね」
続いて、子供達も挨拶をした。
「ぼくはポールだよ。こっちは妹のミーモ」
「よろしくね、クリスお兄ちゃん」
「…こちらこそ」
クリスは嬉しくて、今にも泣きそうだった。
そして、お礼として家族の手伝いをした。
薪を割る仕事に、畑を耕す作業、車を洗車も手伝った。
思ってたよりも大変な作業だったが、すごく楽しい気持ちになった。
こんなに楽しい気分は、生まれて初めてだった。
親や兄達からの愛情を受けてもらえず、ひたすら勉強漬けだった生活。そして、毎日星の制圧や大虐殺という恐ろしい修羅場。
幼い頃から辛く怖い思いしていたクリスは、初めて家族の温かさを感じた。

やがて、仕事は全て終わった。
「助かったよ、クリス君。君って本当に良い子だね」
「ありがとう、クリス君」
「あ、いいえ。お礼を言いたいのはぼくのほうです。美味しいご馳走をありがとうございました。おかげで元気が出ました」
クリスは改めてお礼を言った。
「クリス君、ラディッツさんが元気になったら一緒に遊びにおいで。待ってるよ」
イブが言った。
「あ、待ってクリス君。これをあげるよ」
ノーマンが持って来たのは、リンゴとみかんがたくさん入った箱だった。
「こ、こんなにたくさん?!」
「遠慮はいらないよ。これを食べれば元気になれるよ」
クリスはリンゴとみかんの入った箱を受けとると、お礼を言った。
そして、ノーマン達家族に見送られながら、ラディッツの待つ宇宙船へと帰った。
5/13ページ
スキ