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Dear Saiyans 5話・閉ざされた心

クリスは肩の力を抜き、静かに歌った。
その歌声は、鈴を転がすような、そしてウグイスのような美しく透き通ったかわいらしい声だった。
そして、クリスが歌っている歌も、優しく元気が出る子守唄のような内容だった。
農家のおじさんと若い医師は、クリスの美しく優しい歌声に耳を傾けていた。
医師はふとラディッツの顔を見ると、ある変化に気づいた。
なんとラディッツが、眠りながら笑みを浮かべていたのだ。その笑みは、喜びに満ちた嬉しそうな笑みだった。
「ラディッツさんが、笑ってるよ」
「え…?」
クリスはびっくりして、歌を止めた。
「どうやらクリス君の気持ちが、伝わったのかもしれないね」
農家のおじさんが言った。
そして二人はクリスの歌を褒めた。
「いや~、素晴らしい歌声だね。これなら、ラディッツ君もこれから来るお仲間さんも助けられるかもしれないな」
その時クリスは、ベジータ達の事を思い出した。
1年後にこの地球にやって来て、皆を襲うことを。
「あ、ありがとうございます。でも、ベジータさん達はこの地球を襲うつもりなんです。ぼくに止められるか、怖くて…」
農家のおじさんと医師は、落ち込むクリスを慰めた。
「大丈夫さ。もし危ないと思ったら、オレが地面に穴を掘って隠れてみせるさ」
農家のおじさんは笑いながら言った。
「君なら大丈夫さ。それにもし困った事があったら、いつでも僕に相談してね。力になるから」
医師はクリスの肩に両手を置いて言った。
「ありがとうございます。それに、迷惑をかけて、ごめんなさい…」
クリスは目に涙を浮かべて、お礼と謝罪をした。
農家のおじさんと医師は、クリスとラディッツに頑張ってねと言い残すと、宇宙船をあとにした。
「地球に、こんなに優しい人がいるんだ。ぼくも頑張らないと!」
ラディッツを元気にするべく、そしてこれからやって来るベジータとナッパを止めるべく、クリスはがんばることを誓った。

続く
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