「…そうか…、お前さんはそんなに辛い思いをしてきたんだ…」
農家のおじさんは悲しい表情を浮かべて言った。
「はい…。あ、あの…ラディーの、ラディッツさんの代わりに謝ります。ごめんなさい！」
クリスは目に涙を浮かべて頭を深く下げた。
「そんな…、あの時お前さんが助けてくれたから、もう大丈夫だよ。ほら、頭を上げなさい」
農家のおじさんはあわててクリスを抱きしめた。
クリスはたまらず泣き出してしまった。
「お前さんの、大切なお友達を助けたいという気持ちも、宇宙の人たちに申し訳ないという気持ちも充分伝わった。だからもう大丈夫、お前さん達は悪くないぞ」
農家のおじさんはクリスを慰めると、眠っているラディッツを撫でながら言った。
「ラディッツ君とやら、お前さんがオレにした事は咎めたりせんよ。お前さんはそんなに悪い人ではないと、初めから分かっていたさ」
ラディッツは眠ったままだが、農家のおじさんの言葉を聞いている様子だった。
クリスは泣きながら言った。
「もう麻酔は完全に抜けているのに…。このままじゃ、ラディーが本当に死んじゃうかもしれない…」
「とりあえず落ち着きなさい。実はうちに知り合いの医者がいるんだ。彼なら、クリス君のわからない原因が分かるはずだ」
聞けばその医者は、クリスよりかなりのベテランで、他の病院では治すことが難しいケガや病気を治した凄腕の医者だという。
クリスは少し怖かったが、農家のおじさんの知り合いである医者に託すことにした。