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Dear Saiyans 5話・閉ざされた心

あれから2時間後の午前2時56分、メディカルマシンの治療完了のアラームが鳴った。心身共に疲労し、うとうとしていたクリスは、アラームの音にハッとした。
「いけない!ぼくうっかり寝ちゃってた!」
クリスは早速メディカルマシンの蓋を開けた。
そして、ラディッツの酸素マスクを外し、抱き抱えると、再び手術台に寝かせた。
この医療用宇宙船には、手術台の他に治療用のベッドやソファーがあるのだが、メディカルマシンから少し距離がある為、クリスよりも体が大きい上に弱っているラディッツを運ぶのは無理がある。
クリスはあらかじめ、ラディッツが寝やすいように、マットや毛布、枕を手術台に用意していた。そして、ラディッツが手術台から落ちないように柵を立て掛けた。
ラディッツのチップを取り出した手術の傷はすっかり消え、ナメック星人のエネルギー波によって大きく開いた穴もすっかりふさがっていた。
しかし、胸と背中にはその傷痕が残ったままになっていた。
あとは、麻酔から覚める事を祈るばかりだ。
「ラディー、お疲れ様。よく頑張ったね…。もう大丈夫だよ…」
眠っているラディッツの手を優しく手に取ると、クリスは自分の頬にそっと触れさせた。
あの時冷たかったラディッツの体は、今ではすっかり温かくなっていた。
クリスは、たちまち気持ちが混み上がり、とうとう泣き出してしまった。駆けつけた時には、もう息を引き取っていたラディッツ。
しかし、そんな彼が息を吹き返し、再びこの世に戻ってきたのだ。
だが、ドラゴンボールを使ってもないのに一体なぜ。そして、あの世からラディッツを救い、ラディッツに生きる希望を与えたニッセとローラは、どこからやって来たのか…。
それは、クリスの愛する友を救いたいという強い気持ちと純真な心、そして、あの時冷たくなっていたラディッツの体にこぼれ落ちたクリスの涙が、ニッセとローラの魂を呼び、奇跡を起こしたのかもしれない。

窓を見ると、空がほんの少しだけ明るくなってきていた。
泣き疲れたクリスは手術台に上がると、ラディッツを優しく抱いて眠りについた。
「ラディー…、温かい…」
再び息を吹き返したラディッツの体に、温もりが戻った。
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