Dear Saiyans 54話・我が弟よ

ラディッツはここ最近古傷が疼いている為、修業はおろかパトロール等の仕事も休みがちだった。
本当は皆の為に頑張りたいが、無理をすればかえって足手まといになってしまう。
「……こうなっちまったのは、オレが親父やおふくろ、クリスの言うことに耳を貸さなかったからだ。それに、惑星侵略をしてたから、バチが当たったんだ…」
ラディッツはベッドで丸まりながらポツリと呟いた。


そこへクリスが部屋に入って来た。
「ラディー、具合はどう?大丈夫?」
クリスは心配そうに声をかけると、ラディッツは憂鬱な表情で答えた。
「…心配かけてすまんな。だが、すごく痛いんだ…」
「ラディー…」
クリスはそっとラディッツの側に寄り添った。
そしてラディッツのお腹の古傷にそっと手を当てた。
クリスは癒しの力で痛みを取り除いてあげようとしたのだ。
しかし、魔貫光殺砲で貫かれた大きなケガは、いくらクリスの力でも治すことはできない。
さらに魔貫光殺砲は強力な魔族の技である為、仙豆でも魔人の治癒能力でも治すことはできないのだ。
「どう?ラディー?」
クリスがおそるおそる声をかけると、ラディッツはクリスの頭を撫でながら言った。
「…ありがとうよ。まだ痛むが、少し楽になったぜ」
しかし、ラディッツの表情は相変わらず暗かった。
本当はクリスやナッパ達と修業したり、遊んだり、楽しい時間を過ごしたかったのだ。
だが、古傷が痛むせいでラディッツはストレスがたまっていた。
クリスはそんなラディッツがかわいそうで、心配だった。
でも、どうしたらいいか分からず困っていた。
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