Dear Saiyans 53話・無限地獄を抜けて

デンデのワープ能力で家に着いたクリスは、ガーリックJrを連れて玄関を開けて叫んだ。
「師匠!ラディー!みんな!ガーリックJrさんを助けて!20年も何も食べてなくて弱ってるんだ!」
すると、家の中からバーダックとギネが出てきた。
二人はベルからガーリックJrのことを聞いていたので、最初は警戒していたものの、クリスの慌てっぷりを見てすぐに分かってくれた。
「分かったわ、クリス。私に任せて!」
ギネは大急ぎで料理を始めた。
「ガーリックJrといったな、遠慮はいらねぇから入れ。ただし、暴れたら許さんぞ」
バーダックはふらふらになっているガーリックJrを支えながら言った。
「…ふ、まさか、この私がサイヤ人とやらの世話になるとは情けないな」
ガーリックJrはポツリと言った。
彼は昔、サイヤ人の噂を聞いていた為、サイヤ人のことは知っていたのだ。

ガーリックJrは、バーダックに促されて席についた。
よく見ると、ガーリックJrの体はやせ細り、すっかり弱り果てていた。
そこへ、ギネが料理を運んでやってきた。
「おまたせ、ガーリックJr。これを食べれば元気になるわよ」
ギネが作ったのは、たらこがたっぷり入ったスパゲッティと、千切りキャベツが添えられた唐揚げだった。
「これは…、なんだ?」
ガーリックJrは、人間の食べ物が初めてだった。
魔族であるガーリックJrは、イモリやカエル、生肉などを食べていた為、人間の作る料理を知らなかったのだ。
しかし、スパゲッティと唐揚げの美味しそうな匂いに負けたガーリックJrは、思わずよだれが出そうになった。
「さぁ、冷めないうちにお食べ。遠慮はいらないわよ」
ギネは優しく言うと、ガーリックJrは頷いた。
「…わかった。では、お言葉に甘えていただくとしよう」
ガーリックJrは箸を手に取ると、たらこスパゲッティを一口食べた。
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