今、目の前にある光る物体こそが、デッドゾーンに閉じ込められている魔族・ガーリックJrだった。
ジングルはベルの話を聞いて、考えを改めた。
「そうだね…、助けたとしても何をしでかすか分からないもんね…」
しかし、クリスは涙を流していた。
「どうしたの？なんで泣いてるんだい？」
ベルが言うと、クリスが言った。
「この人は魔族で、怖い人だったというのは分かったよ。でも、このままにしておくのは、いくらなんでもかわいそうだよ！お願いだから助けてあげて！ぼくがなんとかするから！」
「…分かったよ。でも、もしものことがあれば、いずれこいつと戦うことになるぞ。それでも良いのかい？」
「…うん、覚悟は出来てるよ」
ベルはクリスの必死の頼みに負けて、ガーリックJrを閉じ込めたデッドゾーンを取り払う為に、ドラゴンボールを集めた。
そして見事に、デッドゾーンは取り払われ、ガーリックJrは解放された。
しかし、何十年もデッドゾーンに封印されていたガーリックJrは、痩せ細り意識がなく、まるで死んでいるかのように眠り続けていた。
「しばらくすれば目を覚ますと思うが、気をつけたほうがいいな」
「えぇ、相手は魔族ですからね…。何事も起こらないと良いのですが」
ベルとデンデが言った。
ベルは相変わらずガーリックJrを警戒しているが、当分の間ガーリックJrを神の神殿に寝かせて休ませることにした。
「良いかい、デンデ。もし何かあったら、すぐに連絡するんだぞ」
「分かりました。任せてください」
ベルはそう言って、その場を去ろうとした。
すると、クリスがベルとジングルに言った。
「ぼくも見張ってる」
「クリス！」
「いくらなんでも危険だよ！ここはデンデ君に任せたほうが…」
ベルとジングルはあわてて言った。
「大丈夫！それに、彼を放っておけないもん」
クリスの目は相変わらず潤んでいた。
「…分かったよ。でも良いかい？ヤバいと思ったら、すぐにデンデと一緒に逃げるんだぞ」
「うん、分かった」
クリスは神の神殿に残って、ガーリックJrを見守ることにした。