Dear Saiyans 3話・悲しき運命

ワープを開始したその直後、ラディッツが悟空を蹴飛ばした。
ラディッツの重い一撃に悶絶する悟空を心配した男の子が、悟空のもとに駆け寄った。
ラディッツが男の子に近づく。
「ダメだよラディー!乱暴しちゃダメ!」
しかし、クリスの願いは全く届かず、ラディッツは男の子を捕まえてしまった。
そして、悟空に恐ろしい要求をした。
「カカロットよ、子供を生きて返して欲しければ、明日までにこの星の人間を100人殺して、ここに死体を積んでおけ!」
「そんな…!なんてことを言うのラディー!!そんなのダメだよ!!」
クリスは怒った。
悟空は必死に息子を助けようと、ラディッツによりすがるも、ラディッツは悟空を振り払い、そのまま男の子を抱き抱えて飛び出してしまった。
スカウターからは、男の子の泣き声が響いていた。
「ラディーは悪い人なんかじゃないのに…。いくら全身にチップが埋まっているからって…」
残酷な光景だが、今のラディッツにはこうするしかなかった。
ラディッツの体には、腰に埋まっている監視用のチップに加え、頭には思考を読み取るチップ、左胸には生命反応を読み取るチップ、右の太腿には位置情報を読み取るチップ、そして、うなじ、首の後ろには電気チップが埋まっている。
この電気チップは、ラディッツが人を助けたり、フリーザ軍から脱走するなどの行動をすると、裏切り行為と見なし強い電流が流れる仕組みになっている。
呼吸など、生命を維持する神経がある為、そこに強い電流が流れれば間違いなく命を落としてしまう。
「ラディーを止めなきゃ。でも、どうすれば…」
下手に手を出せば、ラディッツを殺してしまうかもしれない。
しかし、このままラディッツが悪事を働けば、間違いなく命を狙われる。
クリスはラディッツを止めるべく、覚悟を決めた。
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