Dear Saiyans 49話・孤独

その夜、ラディッツ達は緊急会議を終えて部屋に戻った。
部屋の中では、クリスが落ち込んでいた。
「…クリス」
ラディッツはそっと声をかけると、クリスはラディッツに抱きついてすすり泣きをした。
「ラ、ラディー…、師匠が…!うぅ…」
ラディッツは何も言わず、クリスを抱きしめた。
しばらく泣いた後、クリスはラディッツに言った。
「ラディー、フューを怒らないで…」
「なぜだ、クリス?あいつは自分の身を守る為に、親父を洗脳してトワとミラに送りやがったんだぞ?無関係な親父を巻き込んだのに…」
ラディッツは戸惑ったが、クリスは言った。
「師匠は簡単に洗脳されたりはしないよ!だって、強い人なんだもん。ぼくはそう思うよ」
「…そうか、そうだよな。大体親父がそんな安い術にかかる訳がないもんな。オレもちょっとやり過ぎちまったな…。フューを助けたら、謝らないとな…」
ラディッツは微笑みながら言った。
「ラディー、もしかしてフューを助けるの?」
「当たり前さ。それにあいつは根っからの悪人じゃなさそうだし、トワ達に連れて行かれた時なんかすごい嫌がっていたからな。よし、明日作戦を考えて、フュー救出と暗黒魔界討伐の旅に行くぞ」
「うん!ぼくも頑張るよ!」
クリスは涙を拭いて言った。
だが、ラディッツは険しい表情で言った。
「ただし、目指すはここから遥か遠い暗黒魔界だぞ。しばらくは帰れんし、そこは恐ろしい世界らしいぞ?もしかしたら、化け物がうじゃうじゃいるかもしれんぞ?」
「大丈夫!ラディーやみんなと一緒なら、何も怖くないよ!覚悟は決めたよ!」
クリスはまっすぐな目で言った。
「よく言った!それこそオレの親友だ!これぞ戦闘民族サイヤ人の精神だ!」
ラディッツはクリスを抱きしめて言った。
「わぁ!ラディー、苦しいよ!でも、ぼく絶対頑張るからね!」





続く
6/6ページ
スキ