Dear Saiyans 49話・孤独

ー全てを話したフューは、しばらく黙っていた。
悟空は言った。
「…それで、こんなことをしてたんだ」
「だったら、ドラゴンボールを使えばいいじゃねぇか?そうすればすぐに、そのドギドギって奴を生き返らせることができるかもしれねぇぞ?」
ナッパが言うと、フューは首を横に振って言った。
「…ドギちゃんは暗黒魔界の生き物なんだ。だから、ここのドラゴンボールでは生き返らせることはできない…」
「あ、やっぱりダメか…、すまんな」
ナッパは肩を落とした。
いくらどんな願いも叶うドラゴンボールであっても、宇宙の裏側に存在し、さらに強力なエネルギーを持つ暗黒魔界には敵わない。
だから、死亡した暗黒魔界の住人を生き返らせることはできないのだ。
悟空は言った。
「おめぇの、ドギドギを想う気持ちはよく分かった。でも、こんなことをしてドギドギが喜ぶと思うか?」
ベジータも言った。
「お前の話だと、そのドギドギとやらは災いの鳥になっても、結局中身は昔と変わらないままだっただろ?あいつからしてみれば、お前のやってることが、母親と同じことをやってるようにしか見えんと思うぞ?」
「ぼくが、母さんと同じことをやってる?!」
フューはハッとした。
「そうだ。それにおめぇの実験で苦しんでいる人もたくさんいるんだぞ。ドギドギの為を想うのなら、もうこんな実験は今すぐやめるんだ。そして、おめぇが奪ったエネルギーを、元に戻してやってくれ」
悟空はフューの肩を優しく掴んで言った。
「…分かった、エネルギーを戻すよ。そして、もう実験はやめる」
フューはそう言って、そっと剣を抜いた。そして、大きく振った。
すると、農家のおじさんの戦闘力とラディッツの戦闘力が元通りになった。
「クリス、二人の戦闘力はどうだ?」
悟空が言った。
「あ、よかった!二人とも元に戻ってる!」
クリスが言った。
その時、フューが突然地面に伏したかと思うと、なんと土下座をした。
「みんな…、ごめんなさい!」
フューの目からは、大粒の涙が滴り落ちていた。
「ははは、もう大丈夫だ。だからもう泣くな」
悟空はフューを抱きしめて言った。
「ところでフュー。君がさらった戦士って、カンバーさんの他にもいるの?一体どんな人か正直に話してごらん?」
未来の悟飯が言った。
「あぁ、その人は…」
フューが言葉を発した、その時だった。
「見つけたわよ、フュー!」
突然、若い女性の声が聞こえた。
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