Dear Saiyans 47話・暴走!孫悟空

しかし、ベジータは黒い気をまとったまま動かなかった。
顔こそは、今暴走している悟空と同じ白眼になっているが、どうも様子がおかしかった。
ベジータは、今にも薄れゆきそうな意識の中、ライバルである悟空やラディッツとナッパ、そして愛する家族を思い出した。

ーオレは、もう昔のオレとは違う…。
昔は、宇宙の頂点に立つには、力こそが全てだと思っていた…。だが、それは間違いだった…。
弱者を傷付け、物を奪い、力で全てを支配するものではない…。
弱き者、愛する家族、守るべきものの為に闘い、時にライバルと競い合い、お互いに強さを求め、共に頂点を極める…。
それがオレ達、誇り高き戦闘民族・サイヤ人だ!

すると、ベジータの体が群青色に染まった。
見ると、姿は超サイヤ人ブルーであるものの、濃い青色が混ざった気をまとっていた。
「ど、どういうことだ!?悪の気を克服しただけでなく、逆に力に変えるなんて!」
少年はものすごく驚いた。
「ベジータの奴、すげぇじゃねぇか!操られるどころか、自分のものにしちまうとはな!」
ナッパが言った。
「へへ、さすが我らがサイヤ人の王子だ!」
ラディッツが言った。
「…ナッパ、ラディッツ、オレがあのサイヤ人を仕留めてみせる!その間に、みんなでカカロットを止めるんだ。できるな?」
ベジータはラディッツとナッパに言った。
「もちろんだ、カカロットのことは任せておけ!」
「お安い御用さ、王子様!」
ラディッツとナッパが言った。
「みんな!カカロットを抑えるんだ!」
ターレス達とベル達は一斉に悟空を取り囲み、押さえつけた。
悟空はもがいたものの、身動きが取れない。
「よし!父さんを押さえたぞ!クリス!君の出番だ!」
未来の悟飯はクリスに言った。
「ええ!?」
「時間がないんだ!君の癒やしの力を使えば、父さんを助けられるかもしれないんだよ!さぁ、勇気を出すんだ!」
クリスは戸惑ったが、未来の悟飯に言われて、悟空に近づき抱きしめた。
クリスの腕の中で暴れる悟空と必死に悟空を抱きしめるクリス。
「カ、カカロット、さん!お、落ち着いて、くださ、い!!」
何度振り払われそうになっても、クリスは悟空を離さなかった。
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