ベジータは続けて言った。
「…昔、悪さをしたオレが言えることではないが、大切なのは心なんだ。どんな容姿だろうと、人を思いやる心を持てば、気持ちは伝わるはずだ。だから、ドラゴンボールを使ってまで姿を変える必要はないぞ、クリス」
「…でも、ぼくの顔と、体を見て…、フリーザを思い出さないの？」
クリスは泣きながら言った。
「それはない。だいたい、声も全然違うし、顔もまるで子供みたいで可愛らしいしな」
ベジータは笑いながら言った。
その時だった。
「今の話、全部聞かせてもらったぜ」
なんと、バーダックとラディッツがやって来た。
「突然、クリスの気配が消えたから、思わず飛び起きたんだぞ」
バーダックが言った。
「それに、お前本物のサイヤ人になる為にドラゴンボールを集めてたのか。何も姿を変えなくてもいいのによ」
ラディッツは笑いながら言った。
「でも師匠、どうしてここだって分かったのですか？」
クリスが言った。
「ラディッツがスカウターで見つけたのさ。そしてお前に気づかれねぇように、こっそり付いてたんだぜ」
バーダックが言うと、隣でラディッツが自分のスカウターを指さしてキメていた。
そして、バーダックはクリスを抱きしめて言った。
「クリス、オレらは今のお前のままのほうが良いぜ。フリーザに姿が似てるからって、同じ血が流れてるからって無理に姿を変えることはないさ。ベジータの言うとおり、人を思いやる心が大事なんだ」
「そうだぜ。だからもう、フリーザやクウラと同じだとは思うなよ。姿は違うが、お前もオレ達と同じサイヤ人の仲間だ」
ラディッツが言った。
「みんな…、うぅ、うわぁー！」
クリスは泣き叫んだ。
「辛かったんだな…。よしよし…」
バーダックは、泣き叫ぶクリスの頭を撫でて慰めた。そしてベジータに言った。
「すまなかったな、ベジータ。こんな夜遅くに」
「かまわんさ、おかげでクリスと話ができて楽しかったぞ」
ベジータは微笑みながら言った。