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Dear Saiyans 45話・サイヤ人とは…。

ベジータはクリスをソファーに座らせると、ココアを持ってきた。
「ごめんね、ベジータさん…。ありがとう…」
クリスは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「気にするな、クリス」
ベジータは優しく言った。
フリーザ軍だった頃のベジータは、血も涙もない恐ろしい戦士だった。
その後フリーザに痛めつけられ、悟空やブルマに助けられ、バビディに洗脳されたりもしたものの、地球で家族や仲間の温かさに心を開き、今では悟空と共に修行しつつも、ブルマの良き夫、そしてトランクスとブラの良き父親として幸せに暮らしている。
クリスは、ベジータが優しい人になって嬉しかった。心からそう思った。
「ところで、なぜドラゴンボールを集めている?お前のその様子だと、何か悩んでいるように見えるが」
ベジータはクリスに言った。
そして、クリスは意外なことを口にした。
「…ぼくね、サイヤ人になりたいんだ」
「サイヤ人になりたい?どういうことだ?」
ベジータは驚いて、思わず目をまるくした。
「…ぼくはフリーザ一族で、宇宙の帝王フリーザとクウラの弟。姿も似てるし、同じ血も流れている。それが辛いんだ…」
クリスの目は涙ぐんでいき、声も震え始めた。
「だから、ドラゴンボールの力でサイヤ人に生まれ変わりたいんだ。ラディーやベジータさん達と同じサイヤ人になりたいんだ!」
とうとうクリスは泣き出してしまった。
すると、ベジータが言った。
「お前は、すでにサイヤ人だ」
「え!?」
ベジータの意外な発言に、クリスはびっくりした。
「ぼくのどこがサイヤ人なの?!どこからどう見ても、フリーザ一族だよ!どうしてぼくがサイヤ人だって言い切れるの!?」
クリスはあまりにびっくりした為、思わず立ち上がった。
ベジータは微笑みながら言った。
「確かにお前はフリーザ一族だ。それは間違いない。だが、お前はフリーザの野郎とは違い、平和を愛し、そして愛する人を守る為に困難に立ち向かう。まさに誇り高きサイヤ人だ」
確かに昔は、戦いこそが全て、力こそが全てだったサイヤ人だったが、本来はそんな怖いものではなかった。
強い者と戦い、共に成長し、時に家族や仲間を守る為に戦う。
フリーザの手によって、一度は悪人になってしまったものの、惑星ベジータがフリーザに破壊される寸前に、クリスに助けられたことによって、優しさを取り戻すことができた。
そして、二度と罪を犯さない、同じ過ちを繰り返さないと誓ったのだ。
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