Dear Saiyans 2話・掟破り

「ラディッツ、お前は弱虫ラディッツなんだから無茶はするな!」
ナッパはラディッツを叱ると、ベジータはもう良いと言って止めた。
「…好きにしろラディッツ。ただし、今度こそしくじったり逃げ出したりしたら、覚悟しておくんだな…」
「…行ってくる、ベジータ、ナッパ」
ラディッツは意を決して、その場を去った。
クリスはすぐに追いかけたかったが、外にはベジータとナッパがいて動けない。
困っていると、窓の外には丸い宇宙ポッドが飛び去って行った。ラディッツの乗っている宇宙ポッドだった。
「……ラディー…」
クリスはいてもたってもいられなくなった。
そして、ベジータとナッパがいなくなった隙をついて、急いである場所へ走り出した。

着いた場所は、宇宙船の倉庫だった。クリスは数ある宇宙船の中から、何か役に立ちそうな宇宙船を探した。そして、あるものが目に止まった。
それは、昔フリーザ軍がまだコルド軍だった頃に使われていた、かなり古い医療用の大型宇宙船だった。
実はクリスは幼い頃から、技術師や医師の資格を取る英才教育を受けて育った為、こういったものには詳しいのだ。
身震いがした。今ラディッツの身に危険が迫っている。今を逃しては、ラディッツだけでなく、ベジータやナッパが助かる道はない。
クリスは決心を固めると、自分の私物や家具を医療用宇宙船に詰め込み、空になった部屋を見つめてこう言った。
「……ぼくは、お父さんやお母さん、兄さん達よりも、サイヤ人を愛してるんだ。それに、もうこれ以上星を、人々の命を失いたくないんだ!」
クリスは覚悟を決めて医療用宇宙船に乗り込むと、そのまま発進させた。
「…ラディー、今行くからね。だから、死なないで…!」

続く
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