Dear Saiyans 39話・ターレスの過去

ターレスはとうとう星を荒らす荒くれ者となってしまった。
アモンドは、神精樹の実は神のものだということを知っていたため、最初は反対していた。
しかし、ターレスは聞かなかった。
宇宙最強になるためなら、どんな手を使ってでもかまわない。 
ターレスは宇宙を渡り歩き、星々を破壊し尽くしていった。


その後地球に降り立ち、地球で育ったサイヤ人・孫悟空ことカカロットと戦い追い詰めたものの、カカロットの最後の力・元気玉をもろに食らい、神精樹と共に消滅した。
しかし、ターレスは死んではおらず、時空を突き破ってラディッツ達のいるこの世界に転がり込んだ。
そこでターレスは、ラディッツとクリスに助けられ、地球人の温かさに救われ、自分の過ちに気付き、罪滅ぼしとして地球を、宇宙を守ることを誓った。


しかし、現在でも両親を亡くした悲しみは消えなかった。
さらに自分の身勝手で、自分を育ててくれたアモンドをはじめ、共に生きた仲間も亡くしてしまった。
だから、ターレスは時々両親や仲間の夢を見て、涙を流すことが何度もあった。
普段は明るく、ラディッツ達やクリス達とよく遊んだり、悟空達と組み手を楽しむ彼だが、ひとりになると両親や仲間、そして神精樹の写真を眺めて思い出に浸っている。
そしてこんなことも考えるようになった。
ーあの時は自分さえ良ければいいと考えていた…。力こそが全てだと思っていた…。だがそれは間違いだった…。アモンド達には、本当に悪いことをしてしまった…。
神精樹の実は、食べた者に素晴らしい力を与えてくれる。これを活かせば、誰かを救えるのかもしれない。
でも、神精樹が育つと地球は枯れてしまう。
どうすればいいのだろうか…。
ターレスは写真を眺めながら、深くため息をつき、小さな涙がこぼれ落ちた。
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