Dear Saiyans 39話・ターレスの過去

やがてターレスは成長し、立派な若者となった。
長年、神精樹の実を食べ続けたためか、ターレスの戦闘力は意外に高く、あのベジータ王子顔負けの強さを誇っていた。
しかし、アモンドに育てられたとはいえ、両親を事故で亡くした悲しみが癒えたわけではない。
その悲しみを払拭するべく、ひたすら戦い、星を荒らすようになってしまった。

ある日ターレスは、少しでも気分を変えようと、当時アモンドと出会ったあの星に足を踏み入れた。
その星は、昔と変わらずとても美しかった。
そして、自分の命を救ってくれた神精樹と再会した。
ターレスは神精樹の実を一つ掴むと、ゆっくりとかじった。
ー旨い…、懐かしい味だ…。そして力がまた湧いてくる…。
アモンドに引き取られてからも食べ続けていたものの、気がつくともう底をついていた。
しかし、ターレスは神精樹の実の味が忘れられなかった。
あの時、空腹で死にかけた自分を救ってくれた。それにこの力があれば、もっと強くなれる。
ターレスは、食べ終えて種だけになった神精樹の実を眺めながら、目を鋭くさせ、ニヤリと笑って誓った。
「この力で、全宇宙をひざまつかせてやる…」
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