ドアを開けると、そこにはビルスとウイスがいた。
ターレスは覚悟した。
やむを得なかったとはいえ、神精樹を悪用したから破壊されるのではと。
しかし、ビルスは優しく微笑んで言った。
「安心しろ。君を破壊したりはしないよ。確かに神の物に手を出したのは良くないが、そういうことだったなら許してあげるよ」
「それに力欲しさではなく、大切な仲間を手助けし、人々の命を救う為に神精樹の力を使いたいという気持ちは良いことですよ」
ウイスもターレスに言った。
「…でも、どうすんだ？」
ターレスは不安だったが、ビルスが言った。
「簡単さ。これを君にプレゼントするよ」
ビルスはそう言うと、玄関の近くの木々に手を向けた。
すると、なんと木が何本か灰になってしまった。
ターレスがびっくりしていると、なにやらいつの間にか果樹園が完成した。
「果樹園が、できた！？」
するとウイスが言った。
「この土に、神精樹の種を植えてみて下さい」
「なんだって！？」
「ほらほら、早くしないと破壊しちゃうぞ？」
「い！？あ、分かった…」
ターレスはびくびくしながら果樹園に入り、神精樹の種を土に植えた。
すると、木がすくすくと育ち、まるで宝石のようなきれいな果物が生った。
神精樹だった。
クラッシャー軍団の頃と比べてかなり小さいが、どこか懐かしさを感じた。
しかし不思議なことに、神精樹が立っているにもかかわらず、森も川も枯れてはいなかった。
ターレスは不思議そうに神精樹を眺めていると、ビルスは神精樹の実を一つ採ってターレスに渡した。
その実は、昔食べていた物とは違い、水晶のように透き通っていて、ダイヤモンドのようにキラキラと光っていた。
「さぁ、食べてごらん」
「あ、あぁ…。いただきます…」
ターレスは戸惑いながら、神精樹の実を一口かじった。