Dear Saiyans 36話・人間0計画

ー正午。昼食を済ませたラディッツ達は、庭で楽しく遊んでいた。
まるで子供のように笑いながら走りまわったり、勢い余っておもいっきり転んだり、ドッジボールを始めたりと、とにかく元気いっぱいだ。
その姿は、もはや戦闘民族に見えなかった。
「ふふふ、みんな元気いっぱいだね」
ギネはクスクス笑いながら言った。
「全く…。おーい!あまりやんちゃしてケガすんなよ?」
バーダックはラディッツ達に言った。

一方クリスは、部屋の窓から心配そうに外を眺めていた。
悟空達のことがどうも心配なのだ。
そして、世界が滅ぼされるという言葉が頭から離れられず、とても怖かった。
「…こんなに居心地がいい地球も、宇宙も、そしてラディー達も消えちゃうなんて…。そんなの絶対にいやだよ…。カカロットさん、ベジータさん、負けないで…」
クリスの目はみるみる潤んでいき、涙がぽろぽろとこぼれだした。
そこへ、バーダックが部屋に入ってきた。
「クリス、まだここにいたのか…って、何泣いてんだ?」
バーダックはクリスが泣いているのを見て心配した。
「…師匠、ぼく、怖くなってきた…」
クリスは震えながら言った。
「ゴクウブラックのことがか?大丈夫だ、カカロットにベジータ、それに向こうのトランクスがやっつけてくれるさ。心配すんな」
バーダックはニコニコ笑って、クリスを慰めた。
すると突然、バーダックの携帯電話が鳴った。
ブルマからだった。何やら大変なことが起こったようだ。
「クリス、カカロットとベジータからSOSだそうだ。行けそうか?」
バーダックが言うと、クリスは涙を拭いて頷いた。
「…はい!ぼくも行きます!」
「いい子だ。それでこそオレの弟子、いや、オレの子だ!」
「…え!?」
突然の言葉にクリスはびっくりした。
「お前はフリーザやコルド達の反対を押しきってまで、オレ達サイヤ人を愛してくれた。それに、カカロットと殺し合いをして死にかけたラディッツを助けてくれたんだ。…それに」
「…?」
「お前がフリーザと同じ最終形態になって、みんなに怖い思いをさせたくないと家を飛び出したあの日、オレは気付いたんだ。クリスはフリーザの弟として生まれたから、陰で苦しい思いをしてるんだと。だからあの時、ギネと話し合って決めたんだ。クリス、お前をオレ達の息子に迎えるってな」
「…師匠」
クリスはまた泣き出した。
「へへ、まだ師匠と呼んでんのか」
バーダックは笑った。
「…師匠、あ、お父さん…」
クリスは照れながらそう呼ぶと、バーダックはさらに笑った。
「ははは!なら、いつも通りの呼び方で構わねぇよ。でも、オレの子であることに変わりはないぜ」
するとそこへ、ラディッツが飛び込んできた。
「親父!クリス!早くしてくれ!カカロットとベジータが待ってるぞ!」
「おっと!こんなことしてる場合じゃなかったな。よし、行くぞクリス!」
「あ、はい!」
みんなは大急ぎで、カプセルコーポレーションに向かった。
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