しかし、ザーボンから放たれた一言が耳から離れず、ベジータはイライラしていた。
ナッパは疲れてうとうとしており、ラディッツはボーッと窓から星を眺めていた。
すると、どこからか歌声が響いてきた。
その歌声は、鈴を転がすような透き通った美しい声だった。
ベジータ達は、その歌声に導かれるかのように歩み出した。

そこには小さな移動用ポッドに乗ったクリスがいた。歌声の主はクリスだった。
彼はこう見えて、歌を歌うことが大好きだ。嬉しい時も悲しい時も、歌を歌って気分転換しているのである。
ベジータ達は、クリスの意外な姿に驚いた。そして、クリスが歌っている歌の内容は、優しくて心が温まる内容だった。
先ほどまで荒ぶっていたベジータ達の心は、静まっていき、温かくなっていった。
そして、静かに膝を着き、耳を傾けた。
クリスはベジータ達の存在に気付くと、びっくりして思わず歌が止まってしまった。
ベジータはハッとした。
「ご趣味のお邪魔をしてしまい、申し訳ございません。失礼しました」
帰ろうとするベジータを、クリスはなだめた。
「あ、大丈夫だよ。逆に聞いてもらえて嬉しいよ」
クリスはニコッと笑って言った。
その笑みは、フリーザにはない優しくて温かい、かわいらしい顔だった。
ベジータ達は、そんなクリスの笑顔に思わず赤面した。