Dear Saiyans 1話・サイヤ人とフリーザの狭間

その日の夜、ベジータは落ち込んでいた。
ベジータは幼い頃からフリーザに仕えていたものの、愛情を受けてもらったことなどなかった。
ナッパもラディッツも同じだ。
ベジータとラディッツは幼なじみで、とても仲が良かった。そしてナッパともよく遊んでいた。
しかし、今は帰る所もなければ、家族も友達もいない。そればかりか、彼らの仕事は、星の制圧・破壊・そして異星人の大量虐殺…。そんな毎日を過ごしていくうちに、彼らの凛々しかった表情は、いつしかまるで鬼のような、悪魔のような恐ろしい顔つきに変わっていってしまった。
そんな中、ナッパはベジータとラディッツに、惑星ベジータが消滅した本当の原因、そしてベジータ王が亡くなった真相を話した。
「ベジータ王が殺害されたのも、惑星ベジータが消滅したのも、全部フリーザの仕業だったんだ」
するとベジータはナッパに言った。
「…知ってたさ」
「知ってた?!なのにあいつの元で働いているのか」
親が殺されても、故郷を破壊されても自分には関係ない。ただひたすら戦い、強くなり、ゆくゆくはフリーザを倒して、全宇宙の頂点に立ってやる。
ベジータはそう言って恐ろしい声で大きく笑った。
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