Dear Saiyans 34話・心の傷

そこへ、バーダックとナッパ、ターレス、ベルとジングルが覗き込んで来た。
ラディッツの様子を見にやって来たのだ。
ナッパは、クリスの部屋のドアをそっと開けると、音を立てないように入った。
そしてベッドを覗いて見ると、ラディッツとクリスが寝息を立てながら眠っていた。
まるで本当の兄弟、いや、本当の親子のように仲睦まじい寝姿だった。
「ラディッツめ、何を考えていたのかと思ったら、こういうことだったんだな」
ナッパはクスクスと笑って言った。
「あいつはクリスに命を救われたから、その恩返しをしたんだ」
バーダックが言った。
「恩返し、か…。オレ達もクリスに助けられたからな…。よし、オレもラディッツと同じく、今度はオレ達がクリスを守ってやるぞ」
ターレスが言った。
「そうだな。この子はたった一人でオレ達を助けてくれたんだ。それに、戦闘民族であるオレ達を見下すことなく、心から愛してくれたんだ。だからきっちり恩を返さなくちゃな」
ナッパが言った。
すると。
「…ラディー…師匠…、みんな……。ぼくが…、ぼくがみんなを、守るからね…」
クリスが寝言を呟いた。
バーダックはそれを聞いて、クリスの頭を撫でながら言った。
「安心しろ、今度はオレ達がお前を守ってやる。だから無理はせず、たまには甘えなさい」
そして、二人を起こさないようにそっと部屋を後にした。
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