Dear Saiyans 34話・心の傷

悟空とベジータの活躍により、フリーザは倒され、地球に平和が戻った。
しかし、クリスはあの日から夜も眠れなかった。

フリーザに囚われ、ひどい拷問を受けた末に、恐ろしい方法で処刑されそうになったところを、ラディッツ達に助けられた。
だが、フリーザから受けた暴力による痛みや、目の前まで迫ってきた回転ノコギリの音や風圧が頭から離れられず、悪夢となって毎晩現れるようになった。
繰り返し同じ悪夢を見たり、さらにはラディッツ達が殺された夢を見て泣き出したりと、クリスの心がすっかり傷ついてしまっていた。

クリスはみんなに迷惑をかけまいと必死に隠していたのだが、師匠であるバーダックは見逃さなかった。
「…クリス」
「はい?師匠?」
「…お前、全然眠れてねぇだろ?」
「そう…ですか…?」
クリスはなんとかごまかそうとしたが、バーダックは続けた。
「…目に隈ができてるし、すげぇ疲れた顔してるぞ?それに、昨夜お前の部屋の前を通ったら、すげぇうなってたぞ?」
「…」
バーダックは、クリスが最近眠れていないこと、そして悪夢にうなされていたと分かっていた。
クリスはバーダックに全てを悟られたと分かった途端、大粒の涙が溢れだし、大きな声で泣き叫んだ。
「う…、うわあぁぁぁぁぁん!!」
「…よしよし、相当おっかねぇ夢を見てたんだな。だが大丈夫だ、もう何も怖いもんはねぇよ…」
バーダックは泣き叫ぶクリスを優しく抱きしめ、頭を撫でた。
クリスのただならぬ泣き声を聞いたギネもかけつけ、クリスを抱きしめた。
「大丈夫だよ、クリス。私達がついているからね」
その後も、クリスはバーダックとギネに抱かれながら、数十分も泣き続けた。
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