フリーザに囚われたクリスは、牢屋の中でうずくまっていた。
フリーザから拷問を受け、身体中に複数もの傷ができており、とても痛々しい姿になっていた。
いつ処刑されるかわからない。クリスはひたすら恐怖に震えていた。
地球に住み初めてから数十年が経ったとはいえ、クリスはまだ幼い子どもだ。だから余計に怖かった。



その時だった。
「かわいそうに、ずいぶんひどい目にあったんだね…」
誰かに声をかけられた。
声の主の正体は、隣の牢屋に囚われた男だった。
「…あなたは…？」
クリスは恐る恐る声をかけた。
「私は元々フリーザ軍兵だったんだが、もう人の命を奪うのはごめんだと言って抜け出したんだ。だがすぐに捕まって、この牢屋に入れられたんだ」
「…いつから、ですか？」
「そうだな…、もう17年になるかな？」
男はフリーザ軍兵だったが、フリーザの惨いやり方に我慢できず脱走したが、すぐに捕らえられてしまい、17年もの長い間処刑を待つ羽目になっていたのだ。
「…そんな、酷すぎる…」
クリスは男がかわいそうになった。
「お前さん、声がずいぶん幼いね。もしかして、子どもかい？」
男は優しく声をかけた。
「…はい。ぼくは、クリスといいます…」
クリスは弱々しく言うと、男はハッとした。
「お前さん、フリーザの弟さんだったのか！あのサイヤ人を助けようとしたって」
男はクリスのことを知っていた。
「…はい」
クリスは小さく返事をした。
「お前さんフリーザの弟でありながら、あのおっかない3人組を助けに出ていったらしいじゃないか。勇気があるんだね」
男は微笑みながら言うと、クリスが言った。
「…いいえ、ラディー達は全く怖い人じゃないです…。本当は、とっても優しい人達なんです…。あの時は、帰る場所も失って、何よりも愛情が足りなかったから、ラディーもナッパさんも、ベジータさんも心が壊れただけなんです…」
「…お前さん、ここまでサイヤ人のことを想ってくれてたんだね。フリーザやコルドと違って、本当に優しい子だね」
男は優しく言った。