Dear Saiyans 31話・隠された魂

すると、クリスは後ろから声をかけられた。
ビルスの付き人のウィスだった。
「クリスさん、ちょっとよろしいですか?あなたとお話がしたいと思いまして」
「え?あ、うん…」
クリスはドキッとしながら、ウィスと二人きりになった。

ウィスはクリスに言った。
「あなたはフリーザ軍にいた頃、ベジータさん達を助けようとしたそうですね。あのフリーザの弟とあろう者が、なぜサイヤ人をあれほどまでに想っていたのです?」
ウィスに疑問を聞かれ、クリスは少しプレッシャーだったものの、やっと言葉を発した。
「…確かに、ぼくは4歳ぐらいの時までは、サイヤ人はとても怖い人達だったと思っていた…。だけど、バーダック師匠と出会ったことで、サイヤ人の見方が大きく変わった。本当は怖い人なんかじゃなく、家族や仲間を大切にし、守るために戦っている優しい人達だって…」
「…しかし、当時のベジータさん達は違っていましたね。当時はフリーザ軍で、星をめちゃくちゃに荒らし、罪のない者達を手にかけたのですよ。ビルス様はあの時、フリーザもろとも破壊しようとお考えになられていたのですよ」
その言葉に、クリスは背筋を一瞬ゾッとさせたが、なんとか冷静を取り戻した。
「…だからぼくは、ベジータさん達にもう星の制圧はやめて欲しいと何度もお願いをしたんだ。だけど、あの時のベジータさんは聞かなくて…。それでもぼくは、なんとかベジータさん達を助けたかったんだ。でもそんな時、ラディーが地球に旅立って…」
クリスは、あの日死にかけたラディッツのことを思い出して、目が次第に潤み出した。
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