Dear Saiyans 30話・破壊神の影

バーダック達は、ビルスの怖さに動けなくなってしまった。
いくら誇り高い戦闘民族であるサイヤ人とはいえ、破壊神を前にしては怖くて仕方がない。
すると。
「こ、この人達は、ぼくの大切な人達なの!どうかお願い!見逃してください!」
クリスはブルブル震えながら必死に訴えかけた。
ビルスはしばらく黙ってクリスを見つめた後、クリスに質問をした。
「…君はフリーザの弟でありながら、当時は奴隷だったサイヤ人のことを想っていたそうだね。なぜここまで、サイヤ人をかばいたてしたんだ?」
「…ぼくは、師匠と、バーダック師匠と出会って、サイヤ人は怖い人達じゃないって気が付いたんだ…。それに、あの時ラディー達が、ひどい目に合わされてたから放っておけなくて…」
クリスは震えながら答えた。
すると、ビルスはクスクス笑った。
「ふふふ、君はあのフリーザと違って、こんなに優しい心を持っていたとはね。本当はフリーザ軍やサイヤ人もろとも破壊しようかなと思ったけど、見逃しておいてよかったよ」
「そうですね。下界にこんな純真な心を持った者は、孫悟空さん以来ですね」
ウイスが言うと、クリスがハッとした。
「え?!カカロットさんに会ってたの!?」
「あぁ、地球に来る前に界王星に寄ったんだ。サイヤ人の生き残りの一人が、界王星にいたからね」
ビルスが言った。
「…そ、そういえばあんた達、その超サイヤ人ゴッドというやつを探してるみたいだが…」
バーダックは恐る恐るビルスに言った。
「そうだよ。何か知ってるのかい、超サイヤ人ゴッドが現れる方法を」
ビルスが言うと、バーダックは申し訳なさそうに言った。
「それが、伝説で聞いただけであまり分からねぇんだ…。ただ、正しい心を持った者が変身するらしいから、もしかしたらカカロットが…」
バーダックの言葉に、みんなはハッとした。
「そうか!あいつは悪い心は一切持ってねぇからな。もしかしたらいけるんじゃないか!」
ナッパが言うと、未来の悟飯が言った。
「…でも、オレ達がよく知ってる超サイヤ人と違うから、どうやって変身するかが問題ですね…。ちょっとダメ元かもしれませんが、神龍に聞いてみるといいのかもしれません…」
「なるほど。これは期待できそうですね。では、悟空さんが戻って来るまで、お食事をいただきましょうか」
ウイスが言った。
サイヤ人達もクリス達も、長い時間緊張した為、少しお腹が空いてしまった。
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