その時、ラディッツの身にある変化が起こった。
ラディッツの額に刻まれた『Ｍ（エム)』の紋章が消え、顔つきも優しくなり、元の普通の超サイヤ人に戻ったのだ。
「ラディー！元に戻ったんだ！」
クリスは喜んだ。
「あ、あぁ、なぜか急に力が抜けたんだ」
ラディッツはそう言うと変身を解いた。
すると、ジングルが駆け込んできた。
「ラディッツ君、クリス君！魔人ブウがバビディに反抗したんだ！そして、バビディが魔人ブウに…！」
なんと地球で、魔人ブウがバビディを惨殺したというのだ。

ー実は魔人ブウは昔、バビディの父・ビビディに封印されたことがあった。
バビディは魔人ブウを封印する為の呪文を知っていた為、魔人ブウに言うことを聞かなければ封印すると脅していたのだ。
その結果、魔人ブウはそんなバビディに嫌気がさし、バビディに反逆し、殺害したのだった。
主人を自分の手で葬った魔人ブウは、自由気ままに破壊の限りを尽くし始めたのだ。

「自分の主人を…、だと？」
「このままじゃ、みんなが危ない！」
ラディッツとクリスは身震いした。
ジングルは二人に言った。
「だから、ぼくとサクロスで地球に戻って、残ったみんなを助けに行くんだ」
するとクリスも言った。
「ぼくも行く！」
「いや、ダメだ。ここはぼくとサクロスに任せて、君はみんなと残ってて。お菓子にされたら大変だよ！」
「うぅ…」
ジングルは強く言った。
そしてそのままサクロスの元へ飛び去った。
クリスは心配そうに去り行くジングルの背中を見続けた。
すると、ラディッツの表情が険しくなっていた。
そしてこう言った。
「…悟天達の身が危ない…。オレも行くしかねぇな！」
なんとラディッツも地球に戻ると言い出したのだ。
クリスは慌てた。
「だ、ダメ！危ないよ！ラディーも見たでしょ！魔人ブウは生き物をお菓子にしちゃうんだよ！それに、ラディーは体が弱いから…」
しかし、ラディッツは首を横に振って言った。
「確かにオレは昔、カカロットに悪いことをした。そしてバビディの魔術で、お前にもひどいことをしてしまった。だがな、あのベジータがオレにみんなを頼むと言ってくれたんだ。だから、オレも地球に残っている連中を助ける！」
ラディッツはそう言って飛び去った。
「…ラディー、ジングル、サクロスさん…」
クリスは一人、涙を流して見ていた。